シーズン初の「ピェンロー」
■気温が下がり、白菜が美味しい季節になりました。こうなると、「ピェンロー」を作らねばなりません。シーズン初の「ピェンロー」を作りました。このブログでは、以下のエントリーで「ピェンロー」を紹介してきました。見た目は地味ですが、とても美味しい。詳しくは、以下のエントリーをご覧ください。
妹尾河童さんの「ビェンロー」
大晦日の昼食
プロジェクトの研究成果の出版
■今日は、総合地球環境学研究所のプロジェクトの研究成果を書籍として出版するために、京都の本づくりのプロがおられる某所へ向かいました。その前に、腹ごしらえ。京阪三条で昼飯を摂ることにしました。京阪三条駅近くの「篠田屋」に行くことを思いついたからです。このお店の名物である「皿盛」を注文しました。この「皿盛」、ご飯の上にカツを乗せ、そこにカレーうどんの餡をどろりとかけたものです。和風の出汁とカレーの風味がミックスして、「なるほどここにしかない名物」だなと思いました。餡は、片栗粉のとろみでしょうか。普段だと食べないけれど、この日は、ご飯をしっかりいただきました。フルマラソンに備えてのカーボローディングですね。
■さて、京都の本づくりのプロがおられる某所には、総合地球環境学研究所のプロジェクトのコアメンバー会議で承認された企画案をもって行きました。プロジェクトのサブリーダーである京都大学生態学研究センターの谷内さんと一緒です。こちらでは、過去の出版の際にも、いろいろお世話になったのですが、今回は果たしてどうなるのだろうと思っていたところ、事前に企画案をお送りしてあったこともあり、編集長と担当の編集者の方には、本の目的や意図、その構成・目次案等について、おおいに関心を持っていただけたようでした。安心しました。また、有益なアドバイスもいただけました。いよいよ作業をスタートできるようなので、ひとまずは安心です。今後はいろいろ相談をしながら、プロジェクトのメンバーで執筆を進めて行くことになります。うまく出版でき多としても、それはまだ先のことになります。今日は、さらに翻訳して海外でも…という話しをしたわけですが、そういうことになると、さらに長丁場になるでしょう。翻訳のための費用も確保しないといけないし…。そうやっているうちに、定年まで後数年ということになるのかもしれませんね。
来年度の「大津エンパワねっと」の相談
■昨日は、大学で仕事を終えた後、早めの夕方から、来年度から再び担当する「大津エンパワねっと」の進め方に関して、学生達を受け入れていただく「中央学区の自治連会長」の安孫子さんと、「大津の町家を考える会」の雨森さんにいろいろ相談をさせていただきました。お2人とは、年に数回、こうやって数回お話しをさせていただいています。今日は、「大津エンパワねっと」についてです。
■「大津エンパワねっと」が、文科省の「現代GP」に採択されてからもうじき10年になります。学部のカリキュラムの中での位置付けも大きく変わりました。それだけではありません。地域社会の状況、もう少し具体的にいえば、自治体と地域社会の関係等の状況も変わってきました。人口減少社会の到来で、税収は低下していくことで、これまでのような形での行政サービスができなくなってきているのです。必然的に、地域社会内の「共助の仕組み」をしっかり組み立て直していくことが必要になります。これまで、縦割りの行政組織に対応した地域の様々な団体が、より一層相互に連携していくことが必要になってきているのです。これからの地域社会のマネジメントは、一層大変になってくるわけですが、地域の自治のあり方を状況に合わせて組み立て直していくチャンスでもあるように思います。ピンチはチャンスと言いますが、まさに今その時を迎えているように思います。
■このような段階で、地域の皆さんの新たな取り組みと歩調を合わせて、そして連動しながら、「エンパワ」を組み立て直していくことが必要です。学生による「大津エンパワねっと」と、地域の皆さんによるまちづくりの取り組み=「大人エンパワねっと」が上手く車の両輪のように連動していくように頑張ろうと思います。「ダブル・エンパワねっと」ですね。昨日の相談で、およそのアウトラインは確認できました。
■相談の後は、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」へ。と言いますか、相談をさせていただく場所もなくて(以前あった町家キャンパスも、今はもう無くなってしまいました!…いろいろ経緯がありました…)、お店にお願いして開店前の別館(宴会場)を使わせてもらいました。常連客の我儘を聞いていただきました。もちろん、場所貸しのサービスはされていませんので、ご注意を。まあ、そういうことでして、相談の後は、別館から本店に移動しました。キープしていた芋焼酎がなくなったので、新たに一升瓶をキープ。この店に通い始めて14年になりますが、キープした一升瓶も115本目に突入しました。「おまえは、アホか‼︎」と呆れられるような数字であることはわかっているのですが、この数字には私の多くの皆さんとの「つながり」の歴史が詰まっています。ということで、この「記念写真」も、キープした一升瓶に飾られることになります。
■こうやって、いつものように楽しく呑みながらも、話しに出てくるのは、高齢者の問題です。高齢者の貧困、高齢者の引きこもりということになります。引きこもりは、独居老人の方だけの問題ではありません。家族と暮らしていても、男性は引きこもりになりがちな傾向がある。そこが女性と違うところです。いろいろ課題は満載なのですが、「ダブル・エンパワねっと」の取り組みの中で、少しずつ実績を積み重ねていこうと思います。来年度履修する学生の皆さんには、是非とも頑張っていただきたいと思います。
来年度からのゼミの選択について 社会学科2回生の学生の皆さんへ(その2)
■今日も、ゼミ選択のために研究室に2人の学生がやってきました。自分なりの問題意識をもっているようで頼もしいと感じました。というのも、多くの学生は自分が何を研究したいのか、ゼミを選択する段階ではまだはっきりしていないからです。本当は、ある程度はっきりした上で、ゼミを選択してくれるのが理想なのですが、なかなかそういうわけにもいきません。これは、学生の皆さん自身のことではありますが、彼ら/彼女らだけの責任にしてしまうわけにもいきません。若い方達をそうさせている今の時代の社会背景があります。では、昔はどうだったのか。私たちが学生の時も似たようなものかもしれません。しかし、私の身の回りの経験にしか過ぎませが、当時は、皆んな、そんなに悩みませんでした。今の学生は、選択の結果、自分の身に降りかかる?!ことがとても気になります。おそらくは、「個人化」と「選択の圧力」のパラドックスがここにも存在しているのかもしれません。
■それはともかくとして、自分の研究テーマがはっきりしない場合はどうなるのか。「もっと違う理由」からゼミを選択することになります。「もっと違う理由」についても、例えば「飲み会の回数が多い少ない」「先生のノリがいい」「友だちが志望しているから私も」といった理由です。そのような理由も、学生の皆さんにとっては大切なことかもしれませんが、「本質」を外してゼミを選択することは、学生の皆さんにとっても幸せなことだとは言えないように思います。
■ここからは、教員としての反省です。
■本当は、入試の段階から積極的に情報発信をして、どういう学生を取りたいのかを明確にしなくてはいけないはずです。まだまだ不十分だと思っています。大学の教員の側から見ると、学生の皆さんは、進路指導の際に偏差値で機械的に振り分けられているのではないのかなと思うことがあります。偏差値という条件が大きくても、その中で自分は何をしたいのか、まだまだボヤっとしているとしても、それなりに考えることができれば…とも思います。そのような学生に、私たち教員も積極的にメッセージを届けなければなりません。偏差値重視の進路指導の中で、積極的なメッセージを受験生に届けることは、どこか徒労感の伴う仕事だと感じる教員がいるかもしれないけれど、やらないといけません。
■入学した後も重要です。入学してから3回生になるまでの4つのセメスターで、自分なりの問題意識をきちんと持てるような「状況」や「環境」を作ってあげなければならないと思います。基本はカリキュラムのユニークさだったり、ラーニングコモンズのような施設の充実だとは思いますが、その上で、教員ややる気のある学生の仲間たちとの直接的な交流が非常に大切になってくるのではないかと思います。「勉強するってワクワクする」という感覚が湧いてくるような小さな経験を積み重ねることができれば。本を読むと、世界が違って見えてきたという感覚も経験してほしいと思います。その上でのゼミ選択でなければなりません。
■ところで、今日、研究室までやってこられた学生さんは、すぐにお礼のメールを送ってくれました。こうやってお礼のメールを送ってくる学生は、本当に少なくなりました。別にお礼のメールを送ってもらう必要もないのですが、それはそれで、やはり送ってもらうと嬉しくなりますよね。ちょっとしたことですが、「この学生さんは、大切なことを身につけているな」と思いました。
来年度からのゼミの選択について 社会学科2回生の学生の皆さんへ(その1)
■龍谷大学社会学部社会学科では、現在、2回生の学生の皆さんが学科教員の研究室を訪問して、ゼミの方針やテーマ等について教員から直接話しを聞くことができるようにしています。私は、現在、国内長期研究員ということもあり、ゼミや授業の担当が免除されていることから、研究室を不在にしていることが多く、学生の皆さんにはご不便をおかけしています。幸いなことに、昨日の午後は、研究室に待機することを告知していたことから、学生の皆さんが研究室を訪問してくれました。明日、水曜日の昼休みにも1人の学生の方とお話しをする予定になっています。
■この私のホームページは、日々の出来事について記録を残しているブログが中心になっていますが、ホームページタイトルの下にある青い列の中の、「ゼミナール」をクリックしていただけば、私のゼミに対する考え方がご理解いただけると思います。できるだけ丁寧に説明しているつもりですので、参考にしていただければと思います。また、脇田がどのような経歴を持っているのかについては、同じく青い列の中の「ABOUT-A」を、どのような仕事をしてきたのかについては「研究」をクリックしてお読みいただければと思います。ゼミの志望理由書の提出は、12月13日の13時半までです。どうぞ、よろしくお願いいたします。
■写真は、私です。こんな顔の人です。今年の夏、琵琶湖の西にある比良山山頂にある「びわ湖バレイ」に行った時に撮ったものです。背景は、琵琶湖です。「びわ湖バレイ」にある「びわ湖テラス」からは、琵琶湖の南湖の大津の街から北湖の竹生島や奥琵琶湖を全て眺めることができました。
学長のツイート
■2015年4月から2017年3月までの2年間、研究部長を務めていました。龍谷大学の研究部で教員部長として、事務職員の皆さんと一緒に働いていました。その2年間、「研究広報をもっとやろう!! 組織的に展開して、頑張って研究に取り組んでいる人(この場合は、非常に広い意味での研究で、龍大らしさを具現化しているような研究)に光をあてて、龍大の持っている可能性を顕在化させ、評価を高めよう!!」と言い続けてきました。しかし、現実は、なかなかそのような私の思いのようにはいきませんでした。外部資金の獲得とその会計処理のことばかりの2年間でした。加えて、研究倫理に関する制度を整備したり、そして長期・短期研究員の制度を再編したりと、様々な課題がありました。
■新たに研究部の目標を提示しても、マンパワーが足らないこともあるのでしょうが、実現に向けて動き始めることはほとんどありませんでした。非常に残念でした。研究部は研究経理部ではありません。その辺りのことを、きちんと考えないといけないわけです。部長としての私の力が及びませんでした。昨年のことになりますが、このことに関連したこと、学長に就任される前に入澤先生にお話しいたしました。確か、大学の第5期長期計画の2期中期計画のヒアリングの時でした。
■さて、今朝のことになりますが、Twitterで情報発信をされている入澤学長が、以下のようにツイートされていました。このような情報発信をされることのないように、昨年までに研究部長としてきちんと情報発信の事業で成果を出すことができていればよかったのですが。入澤先生のかなり厳しい雰囲気のツイートを読んで、申し訳ない気持ちとともに深く反省いたしました。
龍谷大学ならではの研究プロジェクトがいくつかありながらも、それらを社会に向けて発信することができていない。昨日他大学の先生からも、どうして発信しないのかと質問を受けた。大学のブランディングということを言っているけれど、建学の精神と研究の中身に対する関心があまりに低い。
■Twitterを通して、入澤先生からは、「先生のお気持ち、十分にくみとっております。早急に、広報・研究部と話し合いの場をもち、いい方向に進めてまいります」とのお返事をいただきました。関係される皆さんのご努力で、頑張って取り組んでいただきたいと思います。どうか、よろしくお願いいたします。では、どうすれば良いのか。まずは、研究広報の必要性を深いところから理解することが前提です。ここでは具体的には書けませんが、対案があります。もっとも、関係部署の方達が、「何で、そんなことをしなくてはいけないのだ」と思っている限りは実現しません。このような内容をあえてこのブログに書くことの意図を、どうかご理解いただければと思います。
■ところで、入澤先生のTwitterを読んでいる人たち、非常にたくさんおられます。私の知り合いも入澤先生のTwitterのファンで、「いつもハッとさせられています」と言っています。ぜひ、ご覧ください。
「猟師と一緒にジビエ料理を囲み語らう夕べ」(高島ワニカフェ)
■昨晩は、高島市にある「高島ワニカフェ」で開催されたイベント「猟師と一緒にジビエ料理を囲み語らう夕べ」に参加しました。ジビエ料理、狩猟、獣害の問題、農業、環境…等々に関心を持った20名ほどの方達が参加されました。講師は、地元の猟友会で狩猟をされているIさんとKさん。ジビエ料理をいただく前に、Iさんがご自身でYouTubeにアップされた動画をもとに、参加者の皆さんといろいろ学ばさせていただきました。
■狩猟の昔と今。増えすぎた獣と森林のこと。狩猟の実際。狩猟だけでなく増やすこともやっていること。駆除した獣を大切にいただくこと。ジビエ料理のこと。ジビエ料理は、個体によって成長過程に差があるかことから味に違いがあること。それがジビエ料理の醍醐味であること。子どもたちを対象とした「湖地考知」プロジェクトでのワークショップ(フィールドワーク)のこと。そのワークショップでは、子どもの中には、罠にかかった鹿が可哀想だから「逃がしてやって」と言いながらも、解体する時から少しずつ子ども達の考え方がかわり、料理された鹿肉を美味しいと思うこと。命をいただくことを学ぶ子どものこと…。
■岡野さんご夫妻が経営されている「ワニカフェ」は、つくる(生産者)と食べる(消費者)2つの「ワ」をつなぐカフェを目指しておられます。様々な活動を展開されていますが、今回もそのようなお店の取り組みの一環として行われました。岡野さんご夫妻は、上記の「湖地考知」プロジェクト以外にも、高島市で盛んに生産されている有機野菜を地元で消費するための新しい流通の仕組みも作っておられます。「高島マーケット」といいます。
■さてお料理の方ですが、イタリアン料理を修行されてきた岡野さんによるジビエ料理、お腹いっぱいになりました。昨晩は家人も一緒でした。ジビエ料理が苦手と思い込んでいたようですが、その思い込みがひっくりかえったようでした。テーブルでは、猟師のKさんからさらにいろいろ詳しいお話しを伺うことができました。猟師になったきっかけから始まり、猟犬のことや、さらに詳しい狩猟の実際についてもいろいろお話しくださいました。ありがとうございました。ワニカフェの岡野ご夫妻には、とても素敵なチャンスをいただくことができました。心より感謝いたします。また、「湖地考知」プロジェクトのワークショップが開催される時は、ぜひお知らせください。よろしくお願いいたします。
【追記】■上記のワークショップのこと、YouTubeにアップされています。
湖地考知プロジェクト 第3回 ジビエフィールドワーク 2015.3.22
琵琶湖の水草問題に取り組むプロジェクト(その7)
■今日の午前中、琵琶湖・南湖の水草問題のプロジェクトの活動に取り組みました。分野やセクターを超えた協働のネットワークを創出するために、いろいろな方達に相談をする日々が続いています。今日、まずは、大津市役所の企画調整課を訪問しました。大津市役所には、水草問題にストレートに対応する課はありません。それぞれの担当エリアに発生する水草問題を、それぞれが別々に予算要求して対応にあたっておられるのです。環境政策課、廃棄物減量推進課、公園緑地化、道路・河川管理課、観光振興課。いろんな課にまたがっているのです。ということで、企画調整課にはいろいろお世話になっています。将来は、大津市役所内部だけでなく、滋賀県庁琵琶湖環境部、さらには農政水産部との連携も必要になると思っています。連携すれば創造的な取り組みができるはずです。例えば、南湖水草問題協議会のような連絡調整組織があればいいのにな〜とも思っています。
■晩は、真野浜に隣接する自治会の会長さんたちに、プロジェクトの取り組み内容についてご説明するとともに、連携・協働のお願いをさせていただくことになりました。この「晩の部」の会場は、大津市の真野市民センターでした。家人がチェロのハードケースを車に乗せて市民オーケストラの練習に行ったので、車が使えません。移動手段は、「電車と徒歩」、あるいは「ランニング」ということになります。ということで、当然(⁈)、後者のランニングを選択しました。とはいっても、ランニングウェアではないので、汗をあまりかかない程度のゆる〜いスピードでのジョギング。というのも、会議資料を入れたショルダーバッグを袈裟懸していたし…。自宅から真野市民センターまでは、4.5kmぐらいでしょうか。ゆっくりしたジョギングでしたが、それでもやはり汗は出てしまいました。
■市民センターには、プロジェクトの仲間であり、真野浜で民宿「きよみ荘」を経営されている山田さんがお越しくだいました。そして真野学区、真野北学区の自治連の会長さん、真野学区の地域の方、それから支所長さんや市会議員の藤井さんもお越しくださいました。私たちが取り組む水草プロジェクトの取り組みの内容についてご説明させていただきました。
■みなさん、とても丁寧に耳を傾けてくださり、非常に前向きに受け止めていただいたように思いました。感謝です‼︎ 今日は、真野と真野北の皆さんだけですが、近日中に堅田学区の方にもご説明とお願いに上がる予定です。来年の2月には、葛川から真野、堅田、仰木までを含む西北部地区のゴミ問題に関する市民会議で、水草問題のお話しもさせてもらうことになりました。地域社会での水草の有効利用の仕組み(小さな循環)が、単なる有効利用を超えて、もっと別の価値を生み出し、地域の共助の仕組みをさらに豊かにしていくことにつながれば…と一生懸命説明させていただきました。気持ちが通じたと思います。嬉しいです。今は詳しくは書けませんが、いつかこのブログでも説明させてもらいます。
■琵琶湖に関わるようになって27年。龍谷大学瀬田キャンパスに勤務して14年。滋賀県民・大津市民になって1年9ヵ月。龍谷大学に勤務するようになってから、地域社会での活動や行政の仕事を通していただいたご縁の中で、このような水草問題の取り組みもスムーズに進んできているような気がします。ありがとうございます。今、私は、この水草のプロジェクトを研究者として取り組んでいるのか、地域住民ないしは市民として取り組んでいるのか、そのあたりの境目も曖昧で微妙になってきた。それが心地よいです。これは菊地さんがいうところの、「レジデント型研究者」というやつなんでしょうか。まあ、そうかどうかは別にして、少しずつ着実に前進しています。人生の第4コーナーを回って、いよいよ残りは直線100mです。
『異界を旅する能 ワキという存在』(安田登)
■龍谷大学の入澤学長がtwitterで、以下のようなツイートをされていました。
誤解されている世阿弥の「初心忘るべからず」。「初めの気持ちを忘れるな」という意味ではありません。真の意味は「折あるごとに古い自己を裁ち切り、新たな自己として生まれ変わらなければならない。そのことを忘れるな」。この「初心」の精神が「能」を存続させた。必読、安田登『能』(新潮新書)
古い自己イメージをバッサリ裁ち切り、次なるステージに上り、そして新しい身の丈に合った自分に立ち返るー世阿弥はこれを「時々の初心」とも呼びました。世阿弥の云う「初心」に学生諸君は学ぶべし。必読、安田登『能』(新潮新書)
■学生の皆さんに宛てたツイートかと思いますが、年寄りの私も反応しました。この安田さんという方の本を読んでみたいと思いました。ということで、安田さんの『能』ともう一冊、『異界を旅する能 ワキという存在』という本を入手しました。偶然ですが、入澤学長が勧められた方ではなく、関連して自分で見つけた後者の方から読み始めました。たまたま。偶然です。読んで始めてみると、大変面白いのです。
■『異界を旅する能 ワキという存在』を面白いと思ったからといって、私が何か能に関して見識を持っている訳ではありません。能のことなど何も知らないに等しいのです。序章で、筆者はこのように解説しておられます。能にはシテとワキという役がある。これは、私でも知っています。しかし、この両者の役割や両者の間のコミュニケーションに関する説明を読んでいると、なんだかワキは精神分析や臨床心理の専門家の様だと直感的に思えたのでした。読み進めていくと、筆者もその話しをされていました。やっぱりそうなんだ。ワキの役割は、シテの『残恨の思ひ』=トラウマを意識化させ、シテの思いを無意識の暗闇から意識の明るみに引き出すことにあるのです。シテの中にあるぐちゃぐちゃの「思ひ」を、ワキは整理して再統合する。ワキの役割は、シテの姿を観客に「分からせる」ことと、もうひとつは、シテの「残恨の思ひ」を分節して、思ひを晴らす=祓う手助けをすることにあるのです。ワキは「分ける」なのです。このワキの役割、すごく気になります。仕事上のヒントになるように思いました。
水草のこと、世界農業遺産のこと
■今日は、午前中、大津市の皇子山にある大津市公園緑地協会と、堅田の真野浜の「きよみ荘」を訪問しました。両方とも、琵琶湖・南湖の「水草問題」関連での訪問です。民間の力を主体に琵琶湖・南湖の水草問題を解決するための取り組み、少しずつでしかありませんが前進しています。写真は、その真野浜から撮ったものです。普段は対岸や比良山系が美しく見えるわけですが、今日のように湖と空の境目がわからない様な、こういう「水墨画」ような風景も素敵だなと思います。
■午後からは滋賀県庁に移動しました。滋賀県は、現在、世界農業遺産に向けて申請準備を進めています。私は、その申請準備のアドバイザーを務めています。今日は、その申請書の作成をアドバイザーとしてサポートさせていただきました。午後は県庁にこもって仕事をしました。職員の方達とじっくりディスカッションもできました。職員の皆さんは、様々な分野の専門家から、申請に必要な情報や視点に関していろいろヒアリングをされています。そのような、ヒアリングから得られた情報についても考慮しながら、ディスカッションの中で浮かび上がってきた難しい課題を、なんとか乗り越える道筋が見えてきました。安心しました。集中し過ぎて首や背中が凝ってしまいました。結局、今日は「水草問題」と「世界農業遺産」で1日を終えることになりました。両方とも、琵琶湖に関わる事柄です。人生の最後のコーナーで、なかなか愉快です。400mトラックでいえば、300m超えたあたりです。あとは残りは、直線100m。頑張ります。