第15回「高槻ジャズストリート」

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■5月3・4日、高槻市の阪急高槻市駅・JR高槻駅周辺・全52会場で、第15回「高槻ジャズストリート」が開催されます。私は2010年にはボランティアとして、昨年は一般来場者として、このジャズフェスティバルに参加しました。近年、日本各地で地域を盛り上げようとジャズフェスティバルが開催されていますが、この「高槻ジャズストリート」は、全国的にも大変名の知れたジャズフェスです。私は、5月3日に「高槻ジャズストリート」に行く予定にしています。

■詳しくは、以下のサイトをご覧いただければと思います。
高槻ジャズストリート(公式サイト)
高槻ジャズストリート(wikipedia)

■今は、塩漬け状態になってしまっている個人ブログにも、2010年のことをエントリーしています。今読み返してると、「高槻ジャズストリート」の雰囲気に、かなり興奮していますね。それほど、素敵なジャズフェスなのです。それで、今、気がつきました。このエントリーのコメントに、「大津ジャズフェスティバル」の実行委員長をされていた、今は亡き小山清治さんが、Seijiさんのお名前でコメントをくださっています。
高槻ジャズストリート(Blog版 環境社会学/地域社会論 琵琶湖半発)

新3年生ゼミ

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■50歳代も半ばになると、いろんなことがなかなか覚えられません。覚えていることでも、「ほれ、あれ…、ええと、あれあれ」というぐあいになります。もう少し若い頃は、記憶力の減退を嘆いていましたが、「老人力」が身に付いてきて少々のことではなんともなくなりました。とはいえ、新しいゼミ生の名前はきちんと覚えないと…。これが一苦労です。

■上田、靏井、坪井、坂上。冨田、吉永、磯辺、河野、寺瀬、梅村。鳥居、山科、平山、光定、柳原、竹内。これで全員かと思いましたが、あと齊藤と逢坂。逢坂くんの顔が浮かんでこない…。まあ、こんなひどい(失礼な…)記憶力の私を、学生の皆さん、許してください。まあ、5月中には完璧に覚えますから。で、ところで…です。皆さん自身は、お互いの名前を完璧に覚えていますか?じつは、怪しいんじゃないのかな。

■ところで、ここまでのところで自己紹介にじっくり時間をかけてきました。初回の15日は、ごく簡単に自己紹介。その他事務的な連絡。22日は、「インパクトのある自己紹介」ということで、1週間、自分をゼミの仲間にアピールできことを用意してきてもらいました。これは非常に楽しかった。「へ〜〜っ」と驚くようなこだわりをもっていたり、いろんな経験をされているんですね。29日、今日は、22日には「インパクトのある自己紹介」を時間の関係でできなかった残り3人にしてもらった後、ゼミの指導方法(個別面談重視)、ゼミの進め方等について説明し、そのあとは個々人が関心のあるテーマ等について簡単なレポート(メモ書き?)を書いてもらいました。これからの指導の参考資料にさせてもらいます。

■今期の脇田ゼミ。なかなかユニークな学生たちがそろっています。今後、どのような成長していくのか、楽しみにしています。

今年度最初の農作業・北船路米づくり研究会(その2)

■写真は、クリックすると大きくなります。

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【1段目】
左:鍬の使い方のこ講習。
中:里芋の種芋を仕分ける。
右:種芋の芽の出る方はこちら…と説明を受ける。
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【2段目】
左:メジャーで計測して穴をあける。
中:穴を堀、肥料を入れ、種芋を乗せ、土をかぶせる。
右:マルチシートをかぶせる。
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【3段目】
左:仲良く昼食。
中:里芋畑、作業完了。
右:昨年植えた玉ねぎ。畑の除草。
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【4段目】
左:棚田の畑からの琵琶湖。
中:限界田からの琵琶湖。感動!!
右:限界田の作業も。これから水をはり代掻き。
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【5段目】
左:脇田案山子。3年目…。
中・右:棚田の一番上から琵琶湖の風景を楽しむ。
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【6段目】
右:トラクターが引っぱる荷台に乗って移動。
中:琵琶湖湖岸。
右:指導農家宅で新3年生の歓迎会。
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【7段目】
山科についたらお腹が減った! 駅前の中華料理店で餃子と唐揚げ。「北船路米づくり研究会」農作業後によく行くお店。

今年度最初の農作業・北船路米づくり研究会(その1)

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■昨日は、今年度最初の「北船路米づくり研究会」の活動をおこないました。研究会の活動の本拠地である大津市八屋戸北船路の棚田での農作業です。今回から、脇田ゼミの新3年生も参加することになりました。新しい3年生は18名。昨日は、そのなかから8名が参加しました。そして、4年生が3名、さらにはこの春に卒業したOBも参加してくれました!!

■この農作業の中心は、里芋の種芋の植え付けでした。畝をつくり、穴をあけ、肥料を入れ、種芋を植えて、土をかぶせ。そして、マルチシートをかぶせる。そのような作業です。もちろんほとんどの学生にとってこのような農作業は初めてなのですが、指導農家のもとで無事に作業を終えることができました。秋には昨年の1.5倍の量の里芋を収穫できそうです。それらの里芋は、大津市内で毎月第三土曜日に開催している「北船路野菜市」で「龍大芋」として販売されます。また、、大津市内や京都市内の飲食店でも使っていただくことになっています。

■トップの写真は、来月、私たちが田植えをする、田んぼで撮ったものです。この田んぼは棚田の一番てっぺんにあり、山と隣接しています。ということで、うちの指導農家は限界田と呼んでいます。田んぼからの琵琶湖を一望する風景に、新3年生たちは驚きの声をあげていました。

第2回大津百町まちなかバル

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■最近、全国あちこちの地域で、「街バル」と呼ばれるイベントが開催されています。この「街バル」とは、「地域・街の活性化と飲食店の活性化を目的として地域・街が密着して開催する大型の食べ歩き飲み歩きグルメバルイベント」のことです(街バルジャパンによる定義)。バルとは、スペイン語です。酒場、喫茶店、軽食堂が一体となったお店です。仕事帰りにちょっと気軽に立寄って、顔なじみの常連の人たちが交流する街中の社交の場でもあります。私が知る限り、2004年に北海道の函館市で始まった「「函館バル街」がその発祥なのではないかと思っています。

■この函館のバルについては、現在は「塩漬け状態」になっている個人ブログに、記事を投稿しています。
「函館のバル街」
「函館のバル街」(その2)
「函館のバル街」(その3)
「函館の「バル街」と社会関係資本」(その4)
「函館バル街」(その5)
「函館のバル街」(その6)
「函館のバル街」(その7)
「函館のバル街」(その8)

■このような記事を個人ブログに投稿していたのは、2005年のことです。龍谷大学に赴任して2年目。その当時、「こんなイベントが大津でも実現したらいいな〜」と思っていましたが、その後、全国各地にこの街バルが展開していくことになりました。そして、大津でも昨年から「大津百町まちなかバル」が始まりました。今回は2回目になります。全国いたるところで街バルが流行している…、これはたいへん結構なことだと思っています。「街バルジャパン」というサイトの情報によれば、「大阪(53) 兵庫(21) 京都(8) 和歌山(5) 奈良(3) 滋賀(3)」、()の中の数字は開催地数です。ものすごいな〜。ただ、少し思うことは、ここで立ち止まって街バルの「根本にある精神」を再確認してもよいのかな…とも思っています。

■以下は、主催者である「大津百町まちなかバル運営委員会」の説明です。
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バルイベントって何? スペインではおなじみの「バル(BAR)」。日本の「バー」とは少し違い、気軽に立ち寄れる社交場として利用されています。 そんな“バル”の雰囲気をグルメイベント『街バル』として大津で実現! ワイワイ楽しく大津の街を“食べ歩き”、“飲み歩き”そして“街歩き”してみませんか? 楽しみ方は? 1枚600円、5枚綴り※のバルチケットを購入すれば、バル参加店でチケット1枚につき 「バルメニュー(ドリンク1杯とフード)」と交換できます。 一冊で5店舗のお店を楽しんでいただけます。 ※前売りの場合。当日のみ1枚単位(700円) で購入することも可能です。 ★大津ジャズフェスティバルのプレイベント(本イベントは10/19sat・20sun)や大津百町市も同時開催! 〜 対面販売もしております 〜 《前売り券》 【販売期間】平成25年4月20日(土)〜5月15日(水) 【販売価格】1冊 3,000円(5枚綴り) 【販売場所】 ● 株式会社まちづくり大津(旧大津公会堂2F/平日10:00〜17:00) ● びわ湖大津観光協会(JR大津駅構内2F/平日10:00〜17:00) ● 湖の駅浜大津(浜大津アーカス2F/10:00〜22:00) ● 大津祭曳山展示館(火〜日10:00〜19:00)[休館日/毎週月曜日、但し月曜日が祝日の場合は翌火曜日] ● まちなか交流館 ゆうゆうかん(終日10:00〜18:30)[休館日/毎週水曜日] ● 各参加店舗(〜5月16日(木) 販売時間は各店舗の営業時間内) 《当日券》 【販売期間】平成25年5月18日(土) 【販売価格】1冊 3,500円(5枚綴り)・1枚 700円(バラ売り可) 【販売場所】 ● JR大津駅前広場特設売場(10:00〜20:00) ● 京阪電車浜大津駅 改札前(10:00〜20:00) ● 大津祭曳山展示館(10:00〜20:00) ● まちなか交流館 ゆうゆうかん(10:00〜18:30) 【主催】大津百町まちなかバル運営委員会

ミロコマチコさんのこと

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■今週の火曜日、東京大学農学部で公開シンポジウム「自然共生社会を拓くプロジェクトデザイン:文理協働による統域科学のキックオフ」が開催され、私も参加してきました。シンポジウムは午後からだったので、以前からいってみたかった水道橋駅そばにある食堂でとることにしました(水道橋は、東大にも比較的近いわけですし)。その食堂、「アンチヘブリンガン」といいます。関西にいる私がどうして、この東京の食堂のことを知っているのかといえば、親しくさせていただいている写真家・masaさんのブログ「Kai-Wai散策」のエントリー「食堂 アンチヘブリンガン」を、ずいぶん以前に拝見していたからです。リンクしてあるので、クリックしていただくとわかりますが、masaさんの写真はとても魅力的です。というわけで、このお店に行ってみたい…そのように、ずっと思っていたのです。ちなみに、食堂の名前ですが、小津安二郎監督の作品「秋日和」という映画に出てくる薬の名前からきているのだそうです。

■トップの写真は、「アンチヘブリンガン」の中を撮らせてもらったものです。iPhone5で撮っていますし、撮ったのが私なので、イマイチといいますか、ぜんぜんこの食堂の雰囲気を伝えられていません。だけど、とっても素敵な雰囲気のお店なのです。写真のなかに黒板があります。その黒板に、なにやら不思議な絵がチョークで描いてあります。オオカミですね。左隅に、「miroco machiko」と書いてあります。この絵を描かれた方のお名前のようです。食堂の方に、この絵のことを尋ねてみました。ミロコマチコさんという絵本作家が描かれたのだそうです。

20130425mirokomachiko1.jpg ■この絵に見とれていると、食堂の書架からこんな絵本を取り出してみせてくださいました。ミロコマチコさんの『オオカミがとぶひ』という絵本です。絵本のページをめくりながら、心を鷲掴みにされました〜。こんな感じです!!
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かぜがつよい日。オオカミが空をかけまわる!

きょうはかぜがつよい。
びゅうびゅうびょうびょうふきぬける。
だってオオカミがかけまわっているから。
とおくでカミナリがなっている。
ゴロゴロドンドンなっている。
そうか、ゴリラがむねをたたいているんだ。
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■ミロコマチコさんのこの『オオカミがとぶひ』、先月、日本絵本賞大賞を受賞された作品のようです。ちょっと不思議な感じ、読後に「ちゅうぶらりん」にされたような奇妙な感覚…そのような私好みの絵本なのです。皆さんも、ぜひお読みいただければと思います。

公開シンポジウム「自然共生社会を拓くプロジェクトデザイン」

■私は、滋賀県立琵琶湖博物館に勤務している時代から、自然科学・工学分野の研究者との共同研究(文理連携)に参加しています。その代表的なものは、京都大学生態学研究センターを中心とした自然科学・工学分野の研究者との流域管理に関する共同研究です。その成果は、『流域管理のための総合調査マニュアル』(京都大学生態学研究センター)にまとめられました。また、この共同研究は、総合地球環境学研究所の琵琶湖-淀川水系の流域管理に関する共同研究に継承されました。この共同研究は、琵琶湖の面源負荷(ノン・ポイントソース)の代表例である「農業濁水問題」に焦点をあわせた文理融合(文理連携)の研究です。私は、研究全体を貫く基本的な考え方として「階層化された流域管理」というアイデアを提示しました。そして、その成果は『流域環境学-流域ガバナンスの理論と実践-』(京都大学学術出版会)として出版されました。最近では、総合地球環境学研究所のプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会ー生態システムの健全性」 に参加しています。

■ということで、明日は東京で以下のシンポジウムに行きます。いよいよ、文理融合の研究も本格化してきました。
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公開シンポジウム「自然共生社会を拓くプロジェクトデザイン:文理協働による統域科学のキックオフ」

主催:生物多様性・生態系分野における社会科学と自然科学の連携に関する研究会
後援:日本生態学会、環境経済・政策学会、環境社会学会、グローバルCOEプログラム「自然共生社会を拓くアジア保全生態学」、リスク共生型環境リーダー育成プログラム(SLER)、ほか

日時:2013年4月23日(火) 午後1時~5時
会場:東京大学農学部キャンパス中島記念ホール(フードサイエンス棟)

プログラム(案)
矢原徹一(九州大学、アジア保全生態GCOEリーダー):自然共生社会に向けての統域的研究の課題(問題提起)

第一部(1時間15分、各自20分+質疑5分):自然科学者からの提案
中静透(東北大学、生態適応GCOEリーダー):生態系サービスの持続的利用を可能にする条件について
松田裕之(日本生態学会会長、横浜国立大学、生態リスクGCOEリーダー):自然資本の劣化と人口減少時代の持続可能性科学の創生
島谷幸宏(九州大学):人口減少下の国土構築

第二部(1時間15分、各自20分+質疑5分):人文社会科学者からの提案
大沼あゆみ(環境経済・政策学会会長、慶応大学):利用と非利用にもとづく自然資本保全戦略?持続可能な社会の形成に向けて
宮内泰介(環境社会学会会長、北海道大学):ローカルな知と順応的なガバナンス
栗山浩一(京都大学):生物多様性の総合評価-自然共生社会の実現に向けて

パネルディスカッション:統域的研究の推進計画のあり方を討論し、具体化をはかる。
司会:矢原徹一
パネリスト:上記6名・文部科学省(研究開発局環境エネルギー課)・環境省・日立製作所

開催趣旨
わが国は、環境立国戦略において、持続可能な社会に向けての3つの社会目標(低炭素社会、循環型社会、自然共生社会)を設定し、その実現に向けてさまざまな行政施策を展開している。これらの社会目標(とくに自然共生社会という目標)を達成するためには、自然科学と社会科学の協働が欠かせない。自然共生社会に関連する文理協働(あるいは融合)研究は、JST異分野交流事業(2004-2005)、総合地球環境研「日本列島における人間-自然相互関係の歴史的・文化的検討」プロジェクト(2005-2010)、3つのグローバルCOE(生態リスク、生態適応*、保全生態*)などを通じて発展してきた。その結果、生態学分野と社会科学諸分野の接点が拡大し、本格的な文理協働研究を展開する機会が熟した。このシンポジウムでは、自然共生社会という目標を実現するための文理協働による研究プロジェクトの雛型を持ちより、分野をこえた議論を行うことによって、本格的な文理協働プロジェクトの計画を具体化したい。
 このシンポジウムは、Future Earthという新たな国際プログラムの推進にも貢献することを意図して企画された。Future Earthは、DIVERSITAS(生物多様性国際研究プログラム)、IGBP、IHDP, WCRPという4つの地球観測プログラムを統合し、人文社会科学を加えた統域的研究(trans-disciplinary research)を推進することによって、人類が直面する持続可能性に関わる課題の解決をめざす、10年間の科学プログラムである。このプログラムがめざす統域的研究とは、単なる学際的研究(multi-disciplinary research)ではなく、多分野の知識を統合し、さらに新たな科学の創生をはかるものである。しかし、Future Earthがめざす統域的研究は、現状では概念にとどまっており、具体性に乏しい。
 このシンポジウムでは、生物多様性・生態系を題材として、Future Earthがめざす統域的研究の具体化をはかる。生物多様性・生態系分野では、自然再生・生態系管理など地域の具体的諸問題をめぐって、文理協働が進んでおり、統域的研究の具体化をはかる準備が整ってきた。この状況を背景に、2012年度には3回の研究会を持ち、自然科学者と社会科学者の対話を積み上げてきた。今回のシンポジウムでは、これらの議論の成果をふまえて、文理協働による研究プロジェクトの提案を具体的に検討し、統域的研究の推進計画を立案したい。

【追記1】2013年4月25日
■このシンポジウムに参加しての印象を記しておこうと思います。私は10年以上前に、日本学術振興会の「未来開拓学術研究推進事業」(複合領域6:『アジア地域の環境保全』)の研究プロジェクトに参加していました。そのプロジェクトで行ったのと同様の議論が、今回、Future Earth という世界的な取り組みの新たな装いのもとで繰り返されている…というのが第一印象でした。こういうと傲慢に聞こえるかもしれませんが、がっかりしたようなびっくりしたような。10年たってもかわっていませんから。

■しかし、その一方で、自分たちがやっていたことが間違っていなかったという思いも強く持ちました。まるで、研究費確保のための方便のように言われていた「文理融合」に、私たちは真剣に取り組んで様々な分野の人たちとかなり深い議論を行いました。もちろん、当時の時代状況ではそのような議論はなかなか理解しにくかったのかもしれません(ある意味、時代を先取りしていた)。その成果は、『流域管理のための総合調査マニュアル』としてまとめました。また、そのプロジェクトに続いた総合地球環境学研究所でのプロジェクトでは、「階層化された流域管理」、「階層間のコミュニケーション」、「階層間の状況の定義のズレ」…といった考え方を柱とした『流域環境学』にまとめ出版しました。だから、今回のシンポジウムはデジャビュ…という感じなのです。
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■シンポジウムでは、生態学と環境経済学との連携、すなわち生態系サービスの経済的評価を軸とした研究フレームに対して、環境社会学からは「違和感」がある…という発言で終ってしまいました。しかし、本当にそれで良いのかなという思いもあります。もっと、前向きに積極的に、環境社会学のもっている可能性をアピールして、生態学や経済学とも「対抗的相補性」をともなった連携を構築できるはずだと考えるからです。これは、私たちがこれまでのプロジェクトで繰り返し主張してきたことでもあります。シンポで話題提供した環境経済学者の栗山さんともシンポジウムの後で話しをしました。彼は、環境経済学会を代表して自分たちの可能性をアピールしたわけで、ミクロレベルでは貨幣価値以外の価値が重要であること、そして、そこで環境社会学が大きな役割を果たすことにも同意されていました(私の考え方というか、社会学的視点からは、貨幣は、コミュニケーションのさいのメディアのひとつということになります)。

■今回は、Future Earth に乗り遅れまいとする生態学会の大御所(歴代の生態学会会長)が、リードしたシンポジウムでした。世界のトレンドから取り残されないように…。政策とも結びつかないといけないので、取り急ぎ、政策的に乗っかりやす、あるいは扱いやすい環境経済学との連携にもとづくモデルの話しに終始していた…という印象ももちました。しかし、大切なことは、実践的な関心から、文理融合・文理協働が「心の底から必要」と考えている人との生産的な関係をつくることなのだと思っています。

【追記2】2013年4月25日
■今回のシンポジウムに参加して、人との再会がありました。【追記1】にかいた日本学術振興会の「未来開拓学術研究推進事業」に参加しているときに、若い院生として一緒に勉強していた方が、シンポジウム終了後、話しかけてきてくれました。吉田丈人さん。現在は東大の駒場で教えておられます。当時は、京大の生態学研究センターの博士後期課程に在籍していたのです。しかし、再会した最初の言葉が「どうしたんですか〜、脇田さん、そんなに歳をとっちゃって」ですからね〜(^^;;。だって、実際に歳とっているんやから、仕方ありません。吉田くんとは、交流会でビールを飲みながらいろいろ話しができました。彼の研究は「動物・植物プランクトンからなる生態系の生態と進化のダイナミクス」ですが、その一方で福井県の三方五湖で、湖沼再生のための研究もされています。その研究のなかでは、小学生に両親や祖父母に湖沼の利用について話しを聞いて、それを絵に描いてもらう…なんてこともされているようです。興味深くお話しを伺いました。

自治会の防災活動

■昨日は、昼間は社会学部の教育プログラム「大津エンパワねっと」の関係で、学生とともに大津市の中央学区自治連合会の総会と定例会議に参加させていただきましたが、晩は、自分が住んでいるマンションの防災委員会に参加しました。この防災委員会は、自治会・管理組合の役員10名、各階の責任者5名、そして管理人さんも含めた事務局6名、そして防災委員長1名、あわせて22名の住民で構成されています。80数世帯の小さなマンションですから、全体の1/4が参加していることになります。私も各階責任者の1人です。

■昨日の防災委員会では、6月に開催する「防火・防災訓練」の内容の確認等がおこなわれました。消防署の方も招いて、避難訓練や初期消火の放水訓練等を行います。そのなかでも私がとても大切だと思うのは非難訓練です。うちのマンションは、高齢者を抱える世帯が多くなってきています。介護を必要とされている方も複数いらっしゃいます。火災や災害のときに、高齢者や要介護の方たちが逃げ遅れないように、自治会内で助け合って非難する仕組みが必要なのです。その仕組みがまだうまく出来上がっているわけではありませんが、防災委員会の皆さんと力をあわせて、なんとかしていきたいと思っています。

■とはいえ、高齢者や要介護者に関する情報は、個人情報にもかかわるデリケートな情報です。ですから、実態を把握するのに苦労するところがあります。普段から、自治会のなかにお互いに協力的関係や信頼関係が十分にあれば、何かあったときに「あそこのおじいちゃん、大丈夫かな」、「避難の手伝いにいかんとあかん」と判断できるわけですが、自治会に対する考え方も様々、ご近所付き合いを「煩わしい」と思う方もおられるわけで、このあたりも難しいところです。

■先日、facebookでこんな記事を読みました。
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店のご近所に、○○○の会って自治会があります。その地区の人たちはいろんな所から集まって来てたまたまそこにお家を買った人達でした。ニュータウンというやつですね。そして、夏祭りやお花見など毎年楽しい交流を持ってきました。今、30年ほど時が経ち、子供たちは大人になりました。そんな中の一人がこの度結婚することとなりました。結婚式は来月ですが、さすがにご近所さんまでは招待できません。そこで、ご近所さんで、お祝いをする会をもつことになりました。仮装で集まるという決め事で。最初は軽く耳を付けたり着ぐるみ着たりだったのですが、終盤親チームがいなくなり、再び現れたら、サザエさんファミリーになって登場しました。私たちも気合入れて仮装したのですが、負けました!!
とても良いお祝い会でした!!
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20130422jichikai.jpg ■素敵なお話しですね。もともと縁もゆかりも無かった方達が、30年のあいだに、お互いに助け合い、楽しみを共有できる良い関係を培ってこられたようすがわかります。おそらくは、子育てをするお母さんたちを中心に、しだいにこういった関係が生まれてきたのかなと想像しています(違うかもしれないけれど…)。私の暮らしているマンションも、そのようなお互いに助け合い、楽しみを共有できる良い関係がないわけではありません。自治会や管理組合の役員経験者の皆さんが、自主的にボランティアグループをつくり(私も最年少会員です)、このような関係づくりに、自然体で取り組んでおられるからです。このような関係は、一朝一夕にできるわけではありません。社会科学では、社会関係資本(ソーシャルキャピタル)という言葉で説明しますが、社会関係資本の蓄積には時間がかかるのです。マンションに長年暮らし続けてこられた方達には、このような関係のネットワークが一定程度あります。しかし、マンションでは転出・転入がつきものです。新しく転入されてきた、特に若い世代のご家族はどうかといえば、うちのマンションでは、子供会活動に取り組む若いお母さん方が、夏祭や餅つきなどの行事を通じて、年配のボランティアグループの皆さんと良い関係をつくってこられています。

■週末は、老母の介護や、大学の地域貢献関連の仕事で不在するとが多いわけですが、できるかぎり自治会活動に積極的にかかわっていこうと思っています。

7,000アクセス感謝!!

■このホームページに設定しているカウンターの数字が7,000を超えました。6,000を超えたのが3月21日でしたから、ほぼ1ヶ月で、さらに1,000回のアクセスをいただきました。これまでも、1ヶ月に約1,000のペースでご覧いただいてきました。

◾ブログのエントリー数は250弱程になっています。ブログでは、日々の記録、身辺雑記程度のことしかアップしていませんが、これからもこのペースを維持できように、更新に励みたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。。

大津エンパワねっと学生チーム「わわわ」

20130421empower.jpg ■今日は、大津市中心市街地の中央学区自治連合会の総会と定例会議に、「大津エンパワねっと」のチーム「わわわ」の学生たちとお邪魔しました。総会と4月の定例会議が開催されたからです。毎年、この最初の定例会議のさいに、お集まりになられた中央学区の各自治会の会長さんや、自治連合会傘下で活動されている各種団体長の皆さんにご挨拶をすることになっています。さらに今日は、そのようなご挨拶に加えて、学生チーム「わわわ」がこれから取り組む事業の説明を、自分たち自身で行うことになっていました。

■大津市は全国の自治体のなかでも珍しく、まだ人口が増加している地域です。住宅開発、マンションの開発に伴い、京阪神地区から転入される若い世代のご家族が多いからです。しかし、そのような大津市の現状のなかにおいても、中央学区は相対的に高齢化率が高いのです。自治連合会では、特に一人暮らしの高齢者の皆さんがどのように日々を暮らしておられるのか、家に閉じこもりがちになってはいないのか…いわゆる「高齢者の孤立」を心配されています。

■学生チーム「わわわ」は、そのような中央学区の抱える高齢者問題に注目して活動してきました。そして、この春から、自治連合会や学区社会福祉協議会の皆さんと連携をしながら、この問題に取り組むことになりました。一人暮らしの高齢者の問題は、プライバシー保護の問題もあり、なかなか把握しにくいわけですが、今回は、自治連合会のなかから10の自治会の会長さんにご協力いただき、学生たちが中心となって聞き取り調査とアンケート調査を実施させていただくことになりました。

■私が「大津エンパワねっと」全体に関して簡単にご説明とご挨拶をさせていただいたあと、自治連合会長と学区社会福祉協議会前会長のお2人が調査の趣旨説明をされ、チーム「わわわ」を指導する笠井先生からの挨拶のあと、学生たち自身が自分たちの問題意識とアンケートの具体的な実施方法について説明を行いました。写真は、そのときの様子を笠井先生が撮られたものです。私は、ちょっとだけ心配そうに、一生懸命説明しているKさんの方をみています。実際、学生たちはとても緊張していました。しかし、事前にきちんと練習をしてきたのかもしれませんが、大変わかりやすく、丁寧な説明をしてくれました。素晴らしい!! 定例会議のあとにも、自治連執行部のある方が、「学生の皆さんは、大変しっかりされていますね。私たちが学生の頃には、とてもあのような説明はできませんでした」と評価してくださいました。

■チーム「わわわ」では、これから調査をしながら、同時に、見えてきた調査結果をもとに、一人暮らしの高齢者の問題に自分たちなりのプロジェクトを地域の皆さんと一緒に取り組んでいきます。このチームの活動がどのように展開していくのか、私にもよくわかりませんが、素晴らしい成果につながるといいなと大変期待しています。

【追記】■「大津エンパワねっと」の学生チームには、すべてチーム名がついています。で、このチーム「わわわ」、なんだか不思議なネーミングですよね。「わわわ」と慌てふためいているような印象も持ってしまうのですが、そうではありません。一度、チーム名の由来を聞いたのですが…、忘れてしまっています。また、聞いておきます。

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