大竹茂夫さんのリスボンでの個展


▪️大竹茂夫さんの作品は、独特の雰囲気があります。大好きです。一度、神戸で開催された大竹さんの個展で実際にお会いしたことがあります。その時、少しお話をさせていただきました。私は、大竹さんの高校の後輩(兵庫県立兵庫高等学校)になるのです。画家でありながら、キノコ等の菌類にも大変お詳しい方です。そのことが、作品に強く反映しているように思います。この地球の根底を支えているのは菌類です。菌類との共生。大竹さんの作品では、冬虫夏草のように人間に菌類が寄生しているように見えます。冬虫夏草に寄生されるとその生物はキノコの栄養になって死んでいくわけです。普通は恐ろしいと思うのですが…。でも、大竹さんの作品では、「怖い×可愛い」雰囲気に加えて、なにか独特の静かな穏やかな雰囲気が漂っています。幸せな…というと言い過ぎかもしれませんが、この雰囲気がすごく好きなのです。

▪️このブログでも、2014年12月27日に大竹茂夫さんの個展のことを投稿しています。そこには、次のように書いていました。もう10年ほど前のことに何るのですね。

大竹さんの作品には、たくさんのキノコが登場します。また、大竹さんの想像力がつくりだした奇妙な生き物たちが登場します。大竹さんが描く作品は、そのようなキノコや奇妙な生き物たちに人間の世界が支配された、あるいは、キノコや奇妙な生き物たちが棲む世界に人間が迷いこんでしまった…そのような世界を描いておられます。私の拙い説明ではなかなか理解しがたいとは思いますが…。キノコの菌が人間に取り憑く…なんとも恐ろしいことのように思いますが、恐ろしいことでありながら、そこには静かな平和と安寧の世界がひろがっています。私の個人的なしかも拙い表現でしかありませんが、なにか「宙ぶらりん」のままにされたような不安定な気持ちになります。しかし同時に、静かに心が揺さぶられます。そして、通常の生活では経験できない、もっと別種の奇妙な感情が心のなかに浮かび上がってきます。それが、心地よい(?!)のです。

▪️大竹さんの公式サイトで、作品を拝見することができます

▪️現在、大竹さんの個展がポルトガルのリスボンで開催されているようです。少し前のことになりますが、北京でも個展が開催されいました。そのことを大竹さんのfacebookへの投稿で知りました。その投稿にあるリンク先で、そのリスボンでの個展の様子を拝見させていただきました。こちらのサイトでは、大竹さんのことが紹介されています

リスボンのADZギャラリーは、何十年にもわたって観客を魅了してきた著名な日本人アーティスト、大竹茂雄の最新展覧会を開催できることを大変嬉しく思います。 1955年に神戸で生まれた大竹の芸術の旅は、京都市立芸術大学で始まりました。そこで山添康二の指導の下、油絵と壁画の技術を磨きました。初期イタリア ルネサンスに深く影響を受けた大竹は、形成期の 2 年間をヨーロッパ各地を旅して過ごし、その経験が彼の芸術的ビジョンを深く形作りました。

大竹の作品は、伝統と現代の影響をユニークに融合させたもので、ハイブリッドな生物と冬虫夏草の神秘的な世界に魅了されます。彼の絵画では、これらの生き物が日常生活にシームレスに溶け込んでいる様子が描かれており、驚きと好奇心を呼び起こします。

40年以上のキャリアを持つ大竹にとって、本展覧会はアジア以外では初の個展となり、彼の独特で緻密な作品を体験できる貴重な機会となる。

川西英の『神戸百景』

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▪️先日、自宅のクリアファイルを整理していたら、このファイルを見つけました。確か神戸に出かけた時に、どこかのお店で買ったのかな…思い出せません。このクリアファイルには、神戸に生まれた画家・版画家の川西英(かわにし・ひで/1894-1965)さんの4つの版画の作品が印刷されています。画文集『神戸百景』におさめられた作品です。表の方は、「みなと」というタイトルの版画。裏には3つの作品がありますが、上から順番に「商工会議所」、「中突堤」、「新造船レセプション」です。震災からの復興や、街の開発で、もう『神戸百景』の作品のような雰囲気は神戸にはありません。でも、私の幼い頃の記憶にある神戸は、この版画に描かれたような雰囲気でした。こちらに『神戸百景』の作品が丁寧に紹介されています

▪️それから、大学時代の後輩であるOくんがfacebookに投稿していた動画「映画の中の神戸‥懐かしの昭和の風景」も、私にとって懐かしい風景が満載でした。良い動画を教えてもらいました。昔の映画に登場する神戸を集めた動画です。鶴田浩二、石原裕次郎、加山雄三、懐かしい俳優さんたちが登場します。古い国鉄や阪急も出てきます。神戸以外に、加山雄三の「海の若大将」という映画では、西宮にある母校・関西学院大学のキャンパスも登場します。母校が若大将シリーズの撮影に使われたとは知りませんでした。これはこれで、懐かしいですね。今はキャンパスの雰囲気も一部を除いて大きく変わっていますから。

「六斎念仏踊り」の皆さんと

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20240811toshiyan2.jpg▪️金曜日は、この皆さんと、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」。私のお隣は、坂本恭二さん(Kyoji Sakamotoさん)、向かいは、斉藤 成美さん、高橋タカカーンくん。坂本さんが、斉藤さんや高橋くんと呑むので一緒にどうですかと誘ってくださいました。このお3人は、高島市朽木古屋で伝えられてきた「六斎念仏踊り」を復活させてこられた皆さんです。坂本さんは、古屋のご出身ですが、斉藤さんと高橋くんは、高島市の教育委員会による「六斎念仏踊り」復活のプロジェクトに応募された方達です。「六斎念仏踊り」の継承者である古屋の古老の皆さんからしっかりと指導を受けて、「六斎念仏踊り」の復活を成し遂げられました。ちなみに、斉藤さんと高橋くんは踊り手、坂本さんは笛を吹かれます。

▪️どうして、このお3人と繋がっているのか、以下のブログの投稿をご覧いただければと思います。じつは、ゼミ生の卒業論文の指導がきっかけなのです。
「朽木古屋『六斎念仏踊り』の復活」
「朽木村古屋の坂本家のこと」
「六斎念仏踊り継承発表会」(滋賀県高島市朽木古屋)
「古屋六斎念仏踊りオンライン稽古」

▪️今年も、8月14日に朽木古屋で「六斎念仏踊り」が行われます。外の皆さんの力で復活したのですが、今ではそのことに刺激を受けて、古屋にルーツを持つ若者も参加されているとのことでした。とっても素晴らしいことだと思います。私も14日には、安曇川の支流、針畑川沿いの細い細い道を車を走らせて見学させていただく予定です。ところで、左の写真ですが、真ん中をご覧ください。酒場放浪記の吉田類さんのサインが入った色紙が飾ってあります。「利やん」は、居酒屋界の神様がやってきた名店なのです。
「吉田類の酒場放浪記 大津『利やん』」」
「BS-TBS『吉田類の酒場放浪記 あけまして2時間スペシャル!』」

NHK「体感!グレートネイチャー 名画が語る“地球の力”〜フランス・大地誕生の謎〜」

▪️録画してあったNHK「体感!グレートネイチャー 名画が語る“地球の力”〜フランス・大地誕生の謎〜」を視ました。5月に大阪中之島美術館で開催された「モネ 連作の情景」展を観覧していたので、大変興味深く視聴することができました。モネの時代の人びとは、鉄道を使ってあちこちに気軽に旅行でかけるようになりました。観光の始まりですね。モネも鉄道に乗ってあちこちに旅したのでした。そして、驚くような風景に魅了され、たくさんの絵画を残すのです。でも、そのような自然に魅せられたのはモネだけではありませんでした。ミレー、セザンヌ、そしてマティス。彼らが、魅了された自然の風景がどのように形成されてきたのか、番組の中ではその自然史・地学的な歴史がわかりやすく解説されていました。以下は、番組の解説です。

白き断崖エトルタ…、悪魔の絶景・ベリール…色彩と光の島コルシカ…19世紀、モネやセザンヌ等の画家たちを魅了した絶景から5億年に及ぶフランスの大地形成の謎に迫る!
19世紀後半、天才画家たちが競うように描いたフランスの絶景…。モネが描いた、奇観ベリールと白き断崖エトルタ。ミレーが愛した奇岩の森・フォンテーヌブロー。セザンヌが終生描いたサント・ヴィクトワール山、さらに色彩の魔術師マティスの原点・コルシカ島…天才画家たちを魅了したのは何だったのか?絵画の現場をたずね、そこに働く圧倒的な大地の力を体感!絶景誕生に秘められた5億年に及ぶ地球の歴史を明らかにする。

「まなざしのヒント 日本近代洋画」(NHK「日曜美術館」)

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▪️NHKの「日曜美術館」、毎週欠かさず視聴しています。昨日の放映は、特に勉強になりました。ちょっと社会学的だったかな。テーマは「まなざしのヒント 日本近代洋画」。以下のような内容です。

美術の楽しみ方を展覧会場で実践的に学ぶ「まなざしのヒント」。今回のテーマは「日本近代洋画」。明治になって異文化として日本に流入してきた西洋絵画。日本の画家たちは、試行錯誤を重ねながら日本独自の「洋画」を生み出した。講師に大原美術館館長の三浦篤さんと美術家の森村泰昌さんを迎え、ルノワールやモネやマティスの作品と日本人作家の作品を並べて鑑賞しながら、オリジナリティー溢れる日本近代洋画の魅力を探る。

▪️画像は、wikipedicommnsにあったエル・グレコの「受胎告知」です。大原美術館に所蔵されているようです。番組では、この「受胎告知」に関して大原美術館館長の三浦篤さんが解説されていました。マリアの服の赤色、ベールの青色が持つ宗教的な意味、天使ガブリエルが抱えている百合の花の意味について。こういうのは絵が描かれた文化的社会的背景をきちんと理解していないと深い意味を読み取れません。この三浦さんの解説とは別にハッとしたことがありました。ゲストの森村泰昌さんのコメントです。マリアの顔が長く見えるけど、それは横から見ているからであって、本来あの作品は、下から見上げるようにして鑑賞されることを前提にしていたのでは…というコメントでした。

半年ぶりの再会

20240712namiki_family2.jpg▪️昨晩は、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」で、並木州太郎さん千代苑子さんのご家族と懇親会でした。昨年の9月以来、10ヶ月ぶりでしょうか。まずは、龍谷大学ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンターに勤務されている並木さんのお仕事の話を聞かせていただきました。龍谷大学では、自らの事業や行動を通じて、主体的に社会の変革をリードする「価値創造力」や、他者の幸福に資することを考え行動するマインドを育むことを目的として、ビジネスや事業を学生が生み出す支援を続けていますが、並木さんの勤務されている部署、その先端で頑張っておられます。志を持って頑張っておられる若い方からお話を伺い、とても楽しい時間を過ごすことができました。並木さんには、私の話も聞いていただきました。最近の高島市での経験とか、地域連携の様々なプログラムやプロジェクトを、バラバラではなく包摂するような学内的な仕組みの必要性とか…諸々、有意義な時間になりました。

▪️以下は、並木さんが取り組まれている事業の一部です。学生さんむけの講演会の情報です。
宮島勇也氏(パナソニック株式会社)「失敗から学ぶイノベーション -人生を豊かにする挑戦-」(アントレプレナーシップセミナー )
菊池 モアナ 氏(Borderless Tanzania Limited)「すべての命が祝福される社会へ-アフリカで挑戦する女性起業家-」

▪️並木さんと仕事関係の話をした後、保育園から帰宅し、ひとっ風呂浴びてきたもうじき3歳になる息子さんと苑子さんも合流。苑子さんからは、ダンスを通じて、地域づくりを行う事業のお話を伺いました。兵庫県の豊岡市で一般社団法人ダンストークの活動です。大津でも、事業展開したらいいのにね、ということで少しだけお手伝いができるかもしれません。

▪️こんな動画も教えてくださいました。彼女の活動については、こちの記事「[for_KIDS 舞台芸術編]子どもたちの生きる力を育む「ダンス」の可能性」に詳しく紹介されています。

図録『Beautiful Japan 吉田初三郎の世界』

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▪️東京にお住まいの友人が、府中市美術館で開催されていた展覧会「Beautiful Japan 吉田初三郎の世界」に行かれたことをfacebookに投稿されていました。これは、府中市美術館独自の企画展で、巡回する類の展覧会ではないようです。残念ですけど。ということで、図録を取り寄せました。

▪️鳥瞰図絵師・吉田初三郎(1884-1955)の作品の多くは、観光というテーマに焦点化されています。旅行や観光が一般の人びとにも可能になった時代の作品、ガイドブック的な作品なのです。丁寧に取材をして、たくさんのスケッチを描き、それらを一枚の紙にグッと集約して書き込んでいます。特に描かれた鉄道は注目されます。鉄道を利用しながら、その地域を巡ることを眺める人に想像させます。そのような様々な工夫がしてあります。しかも、作品の端っこには、当時、日本が植民地としていた朝鮮半島や占領していた上海、また樺太等も書き込まれています。吉田初三郎の世界観を垣間見るような気持ちにもなります。

▪️当時の皆さんは、現在の私たちがGoogleEarthを使っている時に感じるのに近い感覚を、作品から感じ取っていたのかなと想像します。もちろん、GoogleEarthは人工衛星からの画像ですから全て写っていますが、吉田初三郎の場合は、テーマに沿って情報が選択され、あるいはテーマからは余分な情報は排除されています。そこに描いた作者である吉田初三郎の存在を逆に感じ取ることができるし、GoogleEarthとは異なる作品としての楽しみが生まれてきます。この図録、大変興味深いものなのですが、残念ながら、印刷では、作品に書かれた細かな文字が読むことができません。思わず、スワイプしてみたくなりますが、印刷だとそれは無理ですね。

【追記1】吉田初三郎式鳥瞰図データベース(国際日本文化研究センター)

【追記2】▪️先日観覧したあべのハルカス美術館「広重 擦りの極」展や、少し前になりますが大阪中之島美術館「モネ 連作の情景」展でも感じたことがあります。かつては、特定の土地に人びとが縛り付けられてきた過去とは異なり、社会全体に経済的なゆとりが少し生まれてきて、徒歩にしろ、お伊勢参りのように楽しみのために移動すること=観光が可能になったこと。鉄道でその範囲が広まったこと。また、そのような観光を支える仕組みや産業が発達したことと。それらのことと、広重の浮世絵、印象派の絵画、そして吉田初三郎のアートとは深く関係してるように思います。

あべのハルカス美術館「広重 擦りの極」展

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▪️昨日はあべのハルカス美術館の「広重 擦りの極」展を観覧しました。広重って、火消し同心役の武士だったんですね。知らなかったな〜。いろいろ勉強させていただきました。広重の浮世絵風景画が、江戸時代の旅行ブームと関係しているということが、とても面白いなと思いました。大阪中之島美術館で開催された「モネ展」で、鉄道が整備されて旅行ブームが起こり、モネたちもスケッチ旅行に出かけて作品を描いた…ということを学びましたが、そのことと似ています。

▪️例によって分厚い図録を買ってしまいました。こうやって、自宅が少しずつ少しずつ狭くなっていきます。写真ですが、撮っても良いコーナーの作品です。作品って書きましたが、絵画のような1つしかないものとは異なり、版画という方法を使って量産した印刷物に似たものと考えたほうが良いのかな…どうなんでしょう。たくさんの庶民に買ってもらうために製作してされているのですから。そうそう、春画も浮世絵のひとつのジャンルですね。この浮世絵は、ゴッホなどの画家に強い影響を与えてました。そのような西洋美術に影響を与えたということを経由して、浮世絵は「芸術」として日本でも評価されるようになった…ということはないんのでしょうか。日本で、浮世絵が芸術として受け止められるようになったのは、いつ頃なんでしょうか。知りたいです。

坂本さんとの再会

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▪️昨晩は、「限界集落にみるIターン者の役割-滋賀県高島市朽木針畑を事例に-」という卒業論文で、2011年春に卒業した坂本昂弘くんの叔父様、坂本恭二さんと再会しました。楽しかったです。盛り上がりました。叔父様は、副業で木工のお仕事もされています。今日は、スマートフォンを入れるとアンプのように音が拡大される木製スピーカーを受け取りました。叔父様の作品です。ありがとうございました‼️で、坂本くんの叔父様と知り合ったきっかけなんですが、以下をお読みいただければと思います。

「朽木村古屋の坂本家のこと」
「朽木古屋『六斎念仏踊り』の復活」

▪️あっ、もちろん大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」です。昨日は、お店は満員でした。コロナ禍の最中はお店の継続が心配されるほどでしたが、最近は完全に以前のように復活しています。すばらしい。

明後日までです「バーミアン弥勒信仰」

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▪️龍谷ミュージアムでは、春季特別展「文明の十字路・バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰-ガンダーラから日本へ-」が開催されています。明後日の6月16日までです。これは急がねば。私は、明日、観覧させていただきます。今年度は美術館と博物館できちんと勉強しようと誓っていたのですが、奈良国立博物館で開催されていた生誕1250年記念特別展「空海 KŪKAI ―密教のルーツとマンダラ世界」は行くことができませんでした。龍谷ミュージアムは、明日、絶対に参ります。

▪️龍谷大学の関係者の皆さん、教職員、学生の皆さん、保護者の皆さん、ぜひ参りましょう。

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