社会学入門演習「現地実習報告書」

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▪️編集作業が大幅に遅れていましたが、なんとか年度内に発行できそうです。学生の皆さんがお世話になった、高島市の皆様にお届けいたします。もうしばらくお待ちください。以下は、1組の報告書の冒頭に書いた「はじめに」の部分です。

はじめに

2020年度から猛威をふるってきた新型コロナウイルスの感染拡大、まだ安心できるような状況ではけしてありませんが、以前とは異なり、2023年5月8日以降、新型コロナウイルスは5類感染症に位置付けられるようになりました。

従来、この「社会学入門演習」では、大学に入学したばかりの学生の皆さんが教員と一緒に1泊2日の現地実習に出かけて、訪れた現場で多様な経験をし、その経験をもとに原稿を執筆して報告書にまとめることになっていました。しかし、コロナ禍の最中は、そのような現地実習を実施できない年が2年続きました。そして2022年度からになりますが、やっと日帰りならば現地実習が認められるようになりました。2022年度は、現地実習を高島市マキノ町で、そして今年度は高島市の今津町と朽木で現地実習を実施させていただきました。

今年度、このような現地実習を実施できたのは、私が参加した「全国棚田 (千枚田)サミット2022in高島市」でご縁をいただいた「特定非営利活動法人コミュニティねっとわーく高島」の坂下靖子さんに、現地実習のコーディネートをお引き受けいただいたおかげです。坂下さんのお力により素晴らしい現地実習を実施することができました。通常、教員が担当する「社会学入門演習」は1クラスだけなのですが、今年度は諸般の事情により、1組と10組を受け持つことになりました。その2クラスとも坂下さんにコーディネートしていただくことができました。そして坂下さんのコーディネートにより、1組については6月17日(土)に、高島市の今津町椋川と朽木上針の2カ所を訪問し、それぞれの地域に移住してこられた皆様にお話を伺うことができました。坂下さん、本当にありがとうございました。

ところで、なぜ今年度の現地実習で移住者の皆さんにお話を伺ったのか、そのあたりのことについても少し説明をさせてください。前述した「全国棚田 (千枚田)サミット2022in高島市」でお手伝いをさせていただいた際、サミットの事前の準備段階で、移住者の皆さんからお話を伺うチャンスがありました。その際まず気がついたことは、移住者の皆さんが、地元の皆さんの暮らし方や、その背後にある文化を大変尊重されていたということでした。山村で暮らしていくためには、農業や林業に関わって生きていくための深い知識や技術が必要になります。何世代にもわたって暮らしてこられた中で培った地域の社会的仕組みも大切になります。移住者の皆さんは、濃淡こそあれ、そのような地元の皆さんの暮らしを大変尊重されていました。加えて、地元の皆さんだけではうまく扱えない地域の課題に対して、移住者の立ち位置から積極的に関わっていこうとされていました。そのような移住者の皆さんの思いを、大学に入学してきたばかりの学生の皆さんは、自分の暮らしと対比しながらどのように受け止めるのか。言い換えれば、都会に暮らす自分たち若者とは異なる生き方をされている方達を、どのように理解するのか、そのあたりに今年度の「社会学入門演習」の目標を設定することにしたのです。

大学の教育の現場では、学生の皆さんに対して「きちんと単位を取っていますか」という言い方で指導をすることがあります。また、学生の皆さんの中には、単位を取りやすいかどうかというコスト・ベネフイットだけを考える人もいます。しかし、単位は目安のようなものであって、単位を取得すること自体が目的ではありません。単位や単位にもとづいたカリキュラムといった制度に、あたかも「流される」かのように学んだとしても、けして大学における自分自身の学び、すなわち「学修」には至りません。高校までは与えられた問題に「正しく」答えることが大切になりますが、大学の「学修」はそうではありません。大学では、自ら「問い」を立て、さまざまな資料やデータを基に緻密な分析と深い考察を行うことから、その問いに答えうる論理的・結論を導き出すことが必要になります。

では、どうすれば、大学4年間で自分自身の「学修」が可能になるのでしょうか。龍谷大学社会学部の教育理念は「現場主義」です。現場の中に我が身を置き、そこに生きる方達から丁寧にお話を伺うことを大切にします。お話を伺いながら、「はっ!」として、「どうしてなのだろう」、「どうすればよいのだろう」と自ら「問い」を立てることが大切になってきます。そして、そのような「問い」を積み重ねることのなかで、自分自身の「学修」が可能になっていくのです。「社会学入門演習」を担当した教員としては、今回、高島市の様々な皆さんのご協力により実現した現場実習を、そのような自らの「問い」を立てていくためのひとつのきっかけにして欲しいと思っています。大学に入学しばかりで、これまでに書いたことがないような長いレポートを執筆することは、大変なことだったかもしれません。実際、提出されたレポートは実に「様々」です。微妙な言い方ですが…。正直に言ってきちんとしたレポートのレベルに達していないものも含まれています。しかし、大変迷いましたが、今回は最低限の添削のみにしました。できるだけ執筆した学生の皆さんの「現在」が記録に残るようにあえてしてみました。残りの大学生活の中で、時々、この報告書の自分のレポートを振り返りながら、自分自身がどれだけ成長できているのかを確認して欲しいと思います。

最後になりましたが、今回、学生の皆さんに丁寧にお話をしてくださった皆さん、今津町の是永宙さん、上針畑の勅使川原学さん、藤原治文さん、廣清乙葉さん、そしてその他の関係者の皆様には心より感謝いたします。拙い報告書です。事実関係に関して、間違いがあるかもしれません。また、勘違いをしている部分もあるかもしれません。どうかご容赦ください。ただ、ご丁寧にお話しくださったことは、学生の皆さんの記憶に残り、何らかの形で個々人の成長につながるものと確信しております。本当にありがとうございました。

「社会学入門演習」報告書の原稿執筆

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20230704nyumonensyu3.jpg▪️今年度は1回生の「社会学入門演習」を2クラス担当しています。火曜日の2限が10組、木曜日の2限が1組。両クラスとも、現在、高島市の中山間地域で移住者の方達から伺ったお話をもとに、文章にまとめているところです。それぞれ、A4で3枚から4枚程度の原稿を書くことになります。だいたい4000字から多くても6000字まででしょうか。

▪️移住者の皆さんから伺ったお話は、音声データとしてすでにシェアされており、その内容を各自で整理してくれています(まあ、やっていない学生さんもいるかもしれませんが…)。その整理をもとに、原稿を執筆しています。おそらく、これだけのまとまった原稿を書くことは、大学に入学して初めてのことでなのではないでしょうか。原稿の提出は定期試験が始まる前までになっています。学生さんたちにとっては、少しハードな感じかもしれませんね。頑張ってもらいたいと思います。

「社会学入門演習」(10組)現地実習の振り返り

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■火曜日の2限は「社会学入門演習」(10組)です。10組は、6月10日に高島市の今津町椋川と朽木上針畑で、移住者の皆様からお話を伺わせていただきました。昨日は、スマホのボイスレコーダーに録音させていただいたお話を、LINEグループでシェアして、それぞれでお話の内容を整理しています。LINEはデータが消えていくので、後でGoogleドライブで共有します。まだ1回生で、使い方に慣れていないようなので、とりあえずLINEグループで共有です。

■スマホひとつでいろんなことができるようになりました。また、スマホだけでも、AIのアプリで正確にとはいかないけれど、それなりに文字起こしできるように時代になってきています。その昔、テープお越しといっていた時代は遠い昔のことになりました。テープお越し、あれはあれで、深く分析的に聞くことができたのですが、AIで文字化される時代で、そのあたりはどうなるのかな。時代についていけないおじいさんの独り言ですが…。

■普段は元気の良い皆さんですが、今は黙々と作業に没頭されています。単なる体験記や感想ではなく、自分ならではの観点からお話を分析して、報告書をしっかり書けるように頑張って欲しいと思います。

「社会学入門演習」の現地実習(1組)

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▪️6月10日(土)に引き続き、先週の土曜日、6月17日も、高島市の今津町の椋川と朽木の上針畑を訪問し、移住者の方達からお話を伺いました。先週は10組、今日は1組です。先週と今週、学生さんたちは別のクラスになりますが、お話しいただく移住者の皆さんは、同じ方達なのです。2度お話いただかねばなりませんでした。ごめんどをおかけしたかもしれません。でも、どちらの皆さんもとても暖かく学生さんたちを迎えてくださいました。本当に、ありがとうございました。

■トップの写真は、高島市今津町椋川の「おっきん椋川交流館」で、20年ほど前に移住されてきた是永宙さんにお話を伺っているところです。ここは、明治12年に建てられた茅葺屋根の農家を改修して交流の拠点です。以下は、高島市役所ホームページあった、こちらの施設の説明を転載したものです

地域の活性化を推進するため、今津町椋川(むくがわ)に現存する木造草葺平屋建の農家住宅が都市住民との交流の拠点施設として整備されました。明治12年に建築され、約140年もの間椋川を見守ってきた建物です。2008年、高島市に寄贈され改修・整備され、2009年春、都市農村交流拠点施設としてうまれかわりました。囲炉裏やオクドも再現され、アキニワではわら細工などの体験をすることもできます。「おっきん」は「ありがとう」という意味合いで日頃から地元で使っている言葉です。

■このような施設が存在するのは、20年近くにもわたって続けられてきた収穫祭のイベント「おっきん!椋川」とも関係しているように思います。以下は、「おっきん!椋川」のYouTube動画です。是永さんも登場されます。

20230620nyumonensyu3.jpg■昼食は、杇木の市場という中心地にある「丸八食堂」でいただきました。先日投稿した「『社会学入門演習』の現地実習(1組)」にも書きましたが、今回も、藤原穂波さんご夫妻にお世話になりました。藤原穂波さんも、今回の訪問地とは別のところ、もう少し杇木の奥の集落にお住まいで、やはり移住者です。指定管理者としてこの「丸八百貨店」の運営にあたっておられます。本当は、藤原さんにもゆっくりお話を伺えればよかったのですが、今回の「社会学入門演習」の現地実習では昼食だけお世話になりました。ありがとうございます。

■「丸八百貨店」についても少し説明を。もともとは、1933年(昭和8年)に、個人商店として建てられた建物のようです。西洋建築への憧れがあったのでしょう。その後、複数の商店や事務所がテナントとして入り利用していたようですが、平成の時代の最初の頃に閉鎖されたとのことです。wikipediaにる解説ですが、その後のことは以下のとおりです。睦美会の喫茶コーナーの後、この建物は改修されて、現在は藤原さんご夫婦が運営されているということなのかなと思います。この後は、とても細い道を、杇木上梁畑に向かってバスで移動しました。

1994年(平成6年)には鯖街道まちづくり委員会が丸八百貨店の活用計画を示し、1995年(平成7年)には朽木村役場が土地と建物を取得した。朽木村役場は建物の改修工事を行い、1階には村営書店と無料休憩所、2階には喫茶店とパブ、3階には会議スペースが設置された。1997年(平成9年)6月12日には国の登録有形文化財に登録された。滋賀県で3番目の登録有形文化財である。2002年(平成14年)には鯖街道まちづくり委員会が撤退したが、2004年(平成16年)からは地元女性グループである睦美会によって喫茶コーナーが運営されており、年配者を中心とする地元住民の憩いの場となっている。

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■6月10日に上針畑を訪問した10組は、上針畑の中の生杉(おいすぎ)という場所を散策しました。今回は、小入谷(おにゅうだに)を散策しました。小入谷には、ゲストハウスが2軒あります。2つとも移住者の方が経営されています。ひとつは「はるやゲストハウス」、もうひとつは「くつき渓流のお宿 古民家COCCO小入谷」です。

■上の方の2枚の写真は、「はるやゲストハウス」で撮ったものです。じつは、本心では、このゲストハウスでぼーっとしていたかったのです。もちろん、引率を続けましけど。風が吹くと、木にぶら下げられたいくつものウインドチャイムの音がして、独特の雰囲気に包まれます。我が家にもウインドチャイムが欲しくなりました。経営されている藤原治文さんは「風が強いとうるさいですよ」とおっしゃっていましたが、それでも欲しいなと思いました。

■もうひとつのゲストハウス「くつき渓流のお宿 古民家COCCO小入谷」、こちらは、古民家をほぼそのまま活用されています。空いていたお宅をお借りして経営されているのだそうです。移住されてきた経営者の廣清乙葉(ひろせいくによ)さんは龍谷大学出身。狩猟の免許をお持ちです。自伐林業にもチャレンジされています。詳しくは、「たかしまを彩る人 color.08 くつき源流のお宿 古民家cocco小入谷 廣清乙葉さん」という記事をお読みください。

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20230620nyumonensyu9.jpg■散策を終えた後は、「針畑ルネッサンスセンター」に移動して、お話を伺いました。ここは鯖のへしこや鯖のなれずしなど、この地域の特産品の加工を行っています。特産品は、この施設の横にある山村都市交流館「源流の駅 山帰来」(さんきらい)で販売されているようです。上の写真は、「針畑ルネッサンスセンター」でパワーポイントを拝見しながらお話を伺っているところです。大変濃い内容でした。学生さんたちが報告書の原稿を書き上げた頃に、改めてお話の内容をご紹介できたらなあと思います。

■上の写真の中央の右、女性が廣清乙葉さん、その左側の男性が勅使川原学さんです。勅使川さんは、京都の在宅の終末医療に取り組まれているクリニックにお勤めの医師です。週に3日クリニックで働かれて、あとの4日は移住された上針畑で様々な作業をしながら暮らしておられます。いま、お住まいのお宅の屋根のトタンを張り替えておられました。勅使川原さんが上針畑に移住されたのは、藤原さんが経営される「はるやゲストハウス」に宿泊された時がひとつのきっかけだったようです。もともと、自然の豊な場所に移住したいとのお考えはお持ちのようでしたが、「はるやゲストハウス」に宿泊して、この地域の持つ「豊さ」に気付き、移住を決心されたようです。

■最後の写真は、私たちが移動するためにお願いをしたバスです。今回の現地実習は、このバスのチャーターや移住者の皆様へのお願いや交渉も含めて、すべて特定非営利活動法人「コミュニティねっとわーく高島」の坂下靖子さんにお引き受けいただきました。大変お忙しくされていることは承知の上で、今回のコーディネートをお願いしたところ、快くお引き受けくださいました。また、全ての行程にご同行くださいました。あらためて、心よりお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

「社会学入門演習」の現地実習(10組)

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20230612n-yumonensyu1.jpg▪︎先週の土曜日(6月10日)は、1回生の「社会学入門演習」の現地実習で、高島市今津町椋川と朽木上針畑を訪問し、それぞれの地域に移住されてきた方にお話を伺いました。そう、今回のテーマは「移住者」なのです。皆さん、大変暖かく私たちを受け入れていただき、丁寧にお話をしてくださいました。本当にありがとうございました。

▪︎今回の現地実習のコーディネートをしてくださったのは、特定非営利活動法人「コミュニティねっとわーく高島」さんです。職員の坂下靖子さんが終日アテンドしてくださいました。坂下さんのおかげもあり、大変充実した現地実習になりました。今回の現地実習は、「社会学入門演習」の10組の皆さんでしたが、来週の土曜日は1組の皆さんになります。今回と同じく、椋川と上針畑を訪問いたします。
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▪︎昼食は、朽木の中心地である市場にある「丸八百貨店」でいただきました。ごちそうさまでした。藤原穂波さんご夫妻にお世話になりました。藤原穂波さんも、今回の訪問地とは別のところにお住まいの移住者です。指定管理者としてこの「丸八百貨店」の運営にあたっておられます。ありがとうございした。
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▪︎詳しいことをfacebookやこのブログにも書きたいのですが、まずは学生さんたちがしっかり今回の現地実習のレポートを執筆して報告書にまとめないといけないので、私はもう少し後に報告したいと思います。一昨年から高島市に「ご縁」をいただいています。大学と高島市の関係も深まっていけばと思い、いろいろ準備をしています。
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最近の「社会学入門演習」

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■今年度は1回生が必修で履修する「社会学入門演習」を2クラス担当しています。火曜日2限が10組、木曜日2限が1組。写真は火曜日10組のグループワークの様子を撮ったものです。

■10組は今週の10日(土)に、1組は17日(土)に、この「社会学入門演習」の現地実習で高島市の中山間地域に出かけることになっています。特定非営利活動法人「コミュニティねっとわーく高島」さんのコーディネートで、高島市今津町椋川と朽木上針畑を訪問し、それぞれの地域に移住されて来た方達からお話を伺います。

■写真は事前学習も兼ねて、訪問先のことを調べて、自分たちで小さな現地実習の「しおり」を作成しているところです。過疎や高齢化が進む日本の地域社会、中山間地域のこと、村の仕組み…あまりというか、ほとんど予備的な知識がありません。それは仕方のないことなんですが、それはそれとして、しっかりお話を伺って欲しいと思います。

■今回の現地実習で、自分たちの様々な「思い込み」が揺さぶられるような経験をしてくれればと思っています。そのような1回生を相手に、話をしてあげようと受け入れて下さった移住者の皆様には、感謝の気持ちしかありません。ありがとうございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

現地実習の「しおり」と「質問リスト」の作成

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■火曜日の木曜日の2講次は、1回生のための「社会学入門演習」です。今年は2クラス、10組と1組を担当しています。すでに以前の投稿でも説明いたしましたが、「社会学入門演習で日帰りで「現地実習」を実施することになっています。コロナ禍以前、「現地実習」は1泊2日だったのですが、現在は、よほどの理由が無い限り日帰りで実施することになっています。で、今年度、私が担当する2クラスはどこに伺うのかというと、高島市の中山間地域を訪問し、そこで地域の課題に取り組んでおられる移住者の方たちからお話を伺う予定にしています。

■一昨年度と昨年度、高島市から委託を受けて中山間地域の活性化について委託研究に取り組みました。また、昨年の秋に高島市で開催され「全国棚田(千枚田)サミット」でも、他の龍谷大学の教員の皆さん2人と一緒に、3つの分科会のコーディネーターを務めました。そのような経験のなかで、中山間地域に移住されてきた方達の存在に注目するようになりました。ということで、今回の「社会学入門演習」でも1回生の皆さんと、移住者の皆さんにお話を伺わせていただくことをお願いしたのです。そのコーディネートについても、地元のNPOにお願いをいたしました。

■この現地実習は来月なのですが、それまでにきちんと事前学習を行うことにしました。その事前学習も、5つのグループにわかれてグループごと課題に取り組むスタイルにしました。このグループワークの課題ですが、①現地実習の「しおり」を作成することと、②現地実習の際、移住者の方達への質問リスト作り、この2つになります。「しおり」って、修学旅行のときなどに配布されたあの「しおり」です。お話を伺う移住者の方達ごとに、事前に関連する情報をネットで検索して、情報を抽出し整理して「しおり」にレイアウトしていくようにお願いしました。手書きのイラストとか加えるなど、「現地実習」を「やらさせる、仕方のない」経験ではなく、「自分たち自身の成長につながる楽しい」経験になるように、自分たちの手で気持ちを盛り上げていってほしいと思っています。このような「しおり」に事前学習で情報を整理していくと、さらに移住されてきた方達にいろいろ伺いたいことが出てくるのではないかと思います。それは「質問リスト」の方にきちんとまとめるようにとお願いをしてあります。

■学生の皆さんに聞いてみたところ、こういったグループワーク、そしてアクティブラーニングは大学に入学して初めて行うことのようです。ほとんどは、入学したばかりで、講義を受講するタイプの授業なのだそうです。この「社会学入門演習」の経験が、大学での学びの感覚を掴むきっかけになってくれればなあと思っています。

社会学部パンフレットにゼミの卒業生の活躍が掲載されました。

20240428hazui_kun.jpg ■新しい社会学部の2024年度用の社会学部パンフレットに、ゼミの卒業生である筈井勇太くんが登場していました。彼は、準硬式野球部と教職の両方で頑張っていました。おそらく、教職センターの先生がパンレットにと推薦されたのでしょう。ご本人からLINEで連絡があったのですが、この4月から別の高校に転勤になりました。張り切って仕事をされているようです。卒業生が社会に出てどのように活躍されているのかを知ることは、とても嬉しいことです。筈井くんには、引き続き、お仕事を楽しみつつ、仕事に励んでほしいと思います。

■筈井くんの卒業論文は、「部活動で得たものと生きられた経験-県立高校の野球部を事例として-」というタイトルでした。彼の問題意識というか、卒論の研究の出発点は、野球が好きで高校の硬式野球部に入部したのに、どうしてみんな野球をやめてしまうのだろう…という点にありました。高校野球をはじめとする課外活動のあり方自体に問題があると考え、ご自身と同級生の野球部員だった方達やマネージャーの方達に、高校野球に取り組んでいた時の経験について丁寧にインタビューを行いました。教育社会学的な研究ということになります。優秀論文にはなりませんでしたが、頑張って取り組んだことがよくわかる卒論でした。

■熱心に野球に取り組んでこられたからでしょう。高校教員になってからも、硬式野球部の指導をされてきたようです。筈井くんは大学1年生の時から知っていますが、その頃は、社会科の高校教員になりたいというよりも、硬式野球部の指導者になりたいという気持ちの方が強かったかな。それはともかく、教職課程で適切な指導を受けて成長し、採用試験にも合格して卒業と同時に高校教員になりました。その頑張りを、ゼミの担当教員としてずっと拝見していました。入試パンフレットに登場して、後輩たちのロールモデルになるだけの人物だと思います。

龍谷新月会

20230420ryukoku_shingetsukai.jpg ■昨日は2限の授業を終え、JR大津駅行きのバスにとび乗り、JR大津駅からはJR稲荷駅まで。14時からの深草キャンパスでの会議に間に合うように急ぎました。この4月から副学長に就任された方に、研究部と世界仏教文化研究センターの取り組む事業について説明を行う会議です。13時45分過ぎに深草キャンパスに到着し、急いで持参した弁当を食べ、なんとかギリギリ間に合いました。その後は、1年生の実習でお世話になる現地のNPOの方とzoomでの協議を行いました。

■協議の後は、ホテルグランヴィア京都へ。昨晩は、こちらで「龍谷新月会」が開催されました。龍谷大学に勤務する関西学院大学出身者の教育職員(教員)と事務職員の皆さんの集いです。2016年に始まったこの会、もう何回目でしょうか。5回目かな〜⁈忘れてしまいました。途中、コロナでずっと開催できない年が続いたものですから…。前回は、私が通っている大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」と大衆路線でしたが、今回は、新たにお2人の新入会員をお迎えするということもあり?ホテルグランヴィア京都が会場になりました。高級路線ですね。

■これで、会員数は18人(教育職員11人、事務職員7人)になりました。上と下では親子ほど年齢が違うわけですが、大学時代の思い出話やキャンパスの変化等の話題で盛り上がりました。同窓会ならではの楽しさでした。会長はこれまで心理学部の東豊先生におつとめいただいてきましたが、次回から私が引き継ぐことになりました。明文化された規約はありませんが、「教育職員であろうと事務職員であろうと年齢の一番高い方が会長に就任する」、そして「退職後も会員の資格を持つ」ということでやってきました。今回は会長自ら掟を破られたわけですが、長年会長をおつとめくださり、ありがとうございました。

■事務局長は引き続き小野勝士さんです。小野さんよろしくお願いいたします。次回は7月頃のようです。今回はお仕事がご多用で参加できなかった皆様、次回はぜひご参加ください。ところで、東先生が着ておられるKGブルーのパーカー、かっこいいですね。

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龍谷大学新月会
龍谷大学新月会in 加賀屋京都店
第1回「龍谷大学新月会」

「図書館利用者講習会」

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■2023年度は、1回生を対象にした「社会学入門演習」を2クラス担当しています。昨日、木曜日のクラスは「図書館利用講習会」に参加しました。毎年、年度末になると、次年度「社会学入門演習」を担当する教員には、授業中の1コマを「図書館利用者講習会」に当てるかどうかの事前の問い合わせが来ます。まあ、これを断る人はいないと思うのですが…。私は、2クラスとも申し込みました。ということで、昨日は、図書館の職員の方たから、非常に丁寧に端末からの利用の仕方を学びました。職員に皆様、お世話になりました。ありがとうございました。

■この講習会の狙いは3つあります。①資料を入手する方法を理解する。②インターネットを利用した情報収集をマスターする。③図書館サービスを有効活用する。以上の3つです。具体的には、蔵書検索(OPAC)、まとめて検索(ディスカバリー検索)、CiNii Research、新聞データーベース等の利用の仕方について学びました。これらをうまく活用して学習を進めるのには、少し経験を積まなくてはいけないでしょうね。使いながらなれるしかありません。この講習会は3号館の地下にある端末が並ぶ教室で開催取れましたが、最後は、実際に図書館をご案内いただきました。図書館ツアーです。

■今や、どこの大学でもこのような丁寧で親切な講習会を開催しているのではないかと思いますが、自分たちが学生の時と比較すると隔世の感がありますね。私たちの時代は、カードで文献を検索していましたから…。今の方がもちろん便利だとは思うのですが、逆に大量の情報に溺れてしまうような状況になっているのかもしれません。何が自分にとって「本当に必要な情報」なのか、よくわからなくなっているかもしれません。

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