「世界農業遺産(GIAHS)と農村地域開発に関する国際シンポジウム」(3)

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▪️今週の月曜日から水曜日まで3日連続で、国連FAO(国連食糧農業機関)主催の「世界農業遺産(GIAHS)と農村地域開発に関する国際シンポジウム」が東京のGrand Nikko Tokyo Hotelで開催されました。すでにこのブログでも報告させていただいたように、「森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」からの報告を、滋賀県庁農政水産部農政課の課長さんと一緒に行いました。その時の写真を、昨日、シンポジウムに同行してくださった県庁職員の方が送ってくださいました。このシンポジウムでの感じた少し詳しいことを以下に投稿しておこうと思います。シンポジウムの間、FAOの職員である遠藤 芳英さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。

▪️今回のシンポジウムでは、世界農業遺産に認定された以下のサイトから報告が行われました(報告順)。リンクを貼り付けてありますが、前半がFAOによる情報、後半が個々のサイトになります。ただし、日本のサイトのみです。

①森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム / 「琵琶湖システム」(2022年認定)
②にし阿波の傾斜地農耕システム / 「にし阿波の傾斜地農耕システム」(2018年認定)
③オルタ・デ・バレンシアの歴史的灌漑システム(2019年認定)
④能登の里山里海 / 「能登の里山里海」(2011年認定)

▪️今回報告された4つのサイトのうち「琵琶湖システム」が一番最近になって認定されたサイトです。「能登の里山里海」が認定されたのは2011年ですから、昨年認定された「琵琶湖システム」よりも11年も「先輩」になります。「大先輩」です。「能登の里山里海」の活動報告は一番最後でしたが、「さすが!! 大先輩」という印象を持ちました。

▪️「能登の里山里海」は石川県にあります。活動報告をされたのは、石川県農林水産部里山振興室の室長さんでした。いろいろ質問をさせていただいてわかったことは、以下のことでした。石川県は地理的に南北に伸びています。北部の能登半島は、南部の金沢などがある地域と比較して、少子高齢化や過疎化が深刻な状況にあります。そのようなこともあり、能登半島では様々な地域の振興策が取り組まれてきました。もちろん、「世界農業遺産」に認定される以前から取り組まれています。認定後は、「世界農業遺産」をある種のフレームにして、それらの振興策をフレーム内にもう一度位置付け直されてきました。また、そのことと並行して、「世界農業遺産」に関連した様々な事業を生み出し、それらを進めていく推進体制を整備されてきました。また、事業に必要とされる資金についても、基金を整備するなどして対応されてきました。「能登半島の振興」という県民の多くが納得できる「大義」があり、その上に「世界農業遺産」が重なり、様々な振興策を進めてこられた、そのような感じかなと思います。ひとつの事業を紹介しましょう。「奥能登直行便」という事業です。奥能登では、特色ある野菜が生産されているのですが、市場出荷するには生産量が少なく、また地元にはそれらを購入する消費者が少ないという課題を抱えていました。そこで奥能登の地域にあるJAの支店から本店へ運び、今度は本店から南部の金沢地域という消費地に運ぶ仕組みを作られたのです。これなどは、「琵琶湖システム」でも学ばせていただくことのできそうなアイデアです。

▪️「琵琶湖システム」の活動報告においても、「認証・登録制度」、「付加価値向上・品質向上の取り組み」、「6次産業化の取組」、「農林水産業とツーリズム」、「都市部と農村部の交流」、「パートナーシップの構築」、「交流プログラム」、「農林水産業と教育」との説明が行われましたが、「能登の里山里海」のように「世界農業遺産」のフレームの中にうまく位置付け直されているわけではありません。考えてみれば当たり前のことなのですが、「世界農業遺産」の認定だけでは、そのこと自体が何かを生み出すわけではありません。認定されただけでは、「世界農業遺産」の持つ価値を実感することも難しいのかなと思います。その価値を、様々な農業に関連する事業、そして支援していく仕組みとうまく結びつける必要があります。また、推進体制や基金についても考えて行かねばなりません。

▪️今回の国際シンポではいろいろ考えることになりました。たとえば、「『琵琶湖システム』は大きすぎるよな〜」という思いを強くしました。メインシステムの「琵琶湖システム」の中に、サブシステムがいくつかあっても良いのかなと思いました。「琵琶湖システム」は、森・里・湖(うみ)に育まれています。であれば、森、里、湖にそれぞれサブシステムがあっても良いのかなと思うわけです。あまりご理解いただけないかもしれませんね。例えば、「地域の森林の再生」に取り組んでいる人たちは、普段、「琵琶湖システム」のことなど考えたことがないのかもしれませんが、その地域の森林再生の取り組みが、結果として、「琵琶湖システム」を育んでいると理解するのならば、「地域の森林の再生」は立派な「琵琶湖システム」の一部だし、サブシステとして理解できるのではないかと思うのです。

▪️今回の国際シンポジウムでは、他のサイトの方と交流することの大切さを実感しました。こういう交流の機会が定期的にあって欲しいなあと思いました。石川県農林水産部里山振興室の室長さんは、シンポジウムに出席されていた農林水産省の職員の方に、国の方からその交流にかかる費用を出せないかと発言されていましたが、交流大会の開催のようなところまでいかなくても、いろんなタイプの情報交換や交流ができるようになったら素敵だなと思いました。知恵やアイデアを交換し、悩みを共有すことって大切だと思うからです。そうすることで、「世界農業遺産」の眠っている価値を引き出すことができるのだと思うのです。

▪️その他には、今回はヨーロッパの状況についても少し理解を深めることができました。同じ農村、同じように家族が営む家族農業ではあっても、その実態にはかなり差異があるなと思いました。日本では、世界農業遺産の各サイトでは「都市部と農村部の交流」がよく見られることだし、事業としても取り組まれているわけですが、ヨーロッパの場合は、今回のサイトからの活動報告やディスカッションからはよく伝わってきませんでした。こういった「都市部と農村部の交流」が存在するのか、もし存在するとしても実態はどのようなものなのか、その辺りのことについてもっと知りたいと思いました。日本でうまくいっていることが、海外でうまくいくわけでもありません。おそらく、この分野の研究者の人たちが論文等で情報発信されているでしょうから、もっと勉強しなくてはいけません。そのためにも、今回のような交流を今後も重ねていくことが必要だと強く思いました。

▪️さて、3日間にわたって開催されたシンポジウムが終了しました。朝食と昼食はホテル内でしたが、夕食はホテルではなく、新橋まで出かけて滋賀県庁の皆さんとご一緒させていただきました。というのも、ホテルの食事は庶民には高すぎるからです。新橋ですが、ものすごい人でした。大阪梅田でも人の多さに圧倒されるのですが、東京だとなおのこと…という感じでした。これからの人生で東京に暮らすようなことは無いと思いますが。今は、滋賀がちょうど良いのかもしれません。

「世界農業遺産(GIAHS)と農村地域開発に関する国際シンポジウム」(2)

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20231128giahs3.jpg▪️国連FAO(国連食糧農業機関)主催の「世界農業遺産(GIAHS)と農村地域開発に関する国際シンポジウム」の2日目。午前中に、世界農業遺産「琵琶湖システム」に関して、滋賀県庁農政水産部農政課の課長さんと一緒に報告を行いました。

▪️私は、滋賀県で取り組まれている「魚のゆりかご水田」の取り組みを社会関係資本の概念を通して分析して明らかなったことをもとに、GIAHSサイトとして今後の展望や課題等についてお話をしました。ヨーロッパから参加されている皆さんも、強い関心を持って質問やコメントをしてくださいました。ほっとしています。今回は、同時通訳の方は、ここにはいらっしゃいません。zoomがあるので、海外で通訳してくださっているようなのです。びっくり。そういう時代になったのですね。

▪️今回のシンポジウムでは、世界農業遺産(GIAHS)に認定された国内外4つのサイトから報告が行われました。ひとつはスペインのバレンシアのサイトですが、あとの3つは国内のサイトになります(ちなみに、「能登里山里海」は3日目に行われます)。

・森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム
・にし阿波の傾斜地農耕システム
・オルタ・デ・バレンシアの歴史的灌漑システム
・能登の里山里海

▪️これらのGIAHSに認定されたサイトからの報告意外にも、国内の過疎地域の農村開発の事例、イタリアのバンテレリア島における農村開発の事例、OECDが取り組む農村開発の取り組みについても報告が行われました。3日目は、ディスカッションになります。同時通訳が入るわけですが、やはり全てが伝わるわけではないし、かなり疲れるわけですが、なんとか役割を果たせるように頑張りたいと思います。

▪️ホテルの窓からは、レインボーブリッジ がドーンと見えます。これが「あの、レインボーブリッジなんか」と思いました。マジで、私っておのぼりさんなの…という感じです。
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全日本吹奏楽コンクールの報告と環境審議会自然環境部会

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▪️今日は、部局長会議(大学の理事等幹部の会議)の冒頭で、吹奏楽部が全日本吹奏楽コンクール・大学の部で、4回連続金賞を受賞したことを報告しました。本来だと、吹奏楽部の部長としてこの場にいないといけないのですが、滋賀県庁で環境審議会自然環境部会が開催されるため、報告は若林監督にお願いいたしました。監督、ありがとうございました。写真は学生部の職員さんが撮影してくださいました。監督の両サイドは、左が幹事長の大島さん。右が副幹事長の蔵口さん。一番左端は副部長の栗田さん、一番子右端は副部長の室矢さんです。

▪️滋賀県庁の環境審議会自然環境部会の方ですが、今日は、検討中の「(仮称)次期生物多様性しが戦略の素案」をもとに議論を行いました。年末にはパブリックコメントを行う予定のようで、非常にタイトなスケジュールの中で作業を取りまとめておられます。部会ではいろいろ意見を言わせていただきましたが、さらに頑張っていただきたいです。問題は、次期生物多様性しが戦略が策定された後、どうやって地域の具体的な活動とつなぎ、地域の活動を応援していくのか。戦略ができたからといって、自動的に活動が活発化していくわけではないですから。

▪️この辺りについては、『流域環境学 流域ガバナンスの理論と実践』(2009年,京都大学学術出版会)や『流域ガバナンス 地域の「しあわせ」と流域の「健全性」』(2020年, 京都大学学術出版会)を執筆しながら、流域ガバナンスに関して考えてきたこととも関係しますし、今、理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」の活動とも関連してきます。今日は改めて深くそう思いました。

地域コミュニティ通貨「ビワコ」、「びわぽいんと」、世界農業遺産認定「琵琶湖システム」。

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▪️今日は終日、滋賀県庁にいました。基本的に木曜日は授業や会議がないので、学外での活動を行うことができます

▪️午前中は、ゼミ生のKくんと一緒に総務部市町振興課に伺いました。Kくんの研究テーマは「地域通貨」。滋賀県で取り組まれているデジタル地域コミュニティ通貨「ビワコ」についてお話を聞かせていただくためです。今回は、滋賀県立大学の上田 洋平先生にもお世話になりました。ありがとうございました。「ビワコ」のことをそれなりに理解しているつもりではありましたが、改めてご説明いただくと、この仕組みのより深い部分が理解できたように思いました。理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」で提案している「びわぽいんと」の展開を考える上でも、今日のお話は大変勉強になりました。

▪️昼からは、「琵琶故知新」事務局長の藤沢 栄一さんと一緒に琵琶湖環境部琵琶湖保全再生課を訪問し、私どもの「びわぽいんと」に関連して様々な相談をさせていただきました。午前中のデジタル地域コミュニティ通貨「ビワコ」に続いて、午後からは「びわぽいんと」。もちろん、このようなことは偶然なのですが、連続して県職員の皆さんからお話を伺ったり、議論をさせていただきご意見を頂戴したりすると、自分のおいぼれて錆びつきつつある頭の中も少しずつ整理されていきました。午前中は、Kくんというゼミ生の指導の一環として市町振興課を訪問し、昼からは「琵琶故知新」の理事長として訪問したわけですが、結果として2つの訪問はつながっていきました。ありがたかったです(Kくんありがとう)。

▪️琵琶湖保全再生課の後は、事務局長と「琵琶故知新」が取り組もうとしているプロジェクトに関して、簡単な意見交換をしました。そして、次の訪問したのは農政水産部の農政課です。こちらは、今月末、3日間にわたって開催される世界農業遺産に関するシンポジウム「GIAHSと家族農業に関する国際シンポジウム2023」の打ち合わせをするためです。このシンポジウムで、農政課の課長さんと一緒に、世界農業遺産に認定された「琵琶湖システム」について発表を行うことになっています。課長さんと分担した際の私の役割は、主に「魚のゆりかご水田」の活動と今後の展開に関して…ということにもなります。「琵琶湖システム」や「魚のゆりかご水田」の持っているポテンシャルに関してお話をさせていただく予定です。農業セクターだけでなく、「琵琶湖システム」を媒介としたセクターの壁を超えた異業種間の連携や連帯、例えばツーリズムや社会教育との連携や連帯に関して、また農村集落のサステナビリティに関してもお話をさせていただこうと思っています。

【追記】▪️トップの2枚の写真、県庁の中で撮ったものです。左は滋賀県庁本館の階段の窓。いつも素敵だなと思っています。右は、琵琶湖環境部の廊下に掲示してあった「MLGs」の看板。

いつもの「利やん」で懇親会、世界農業遺産/びわ100

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▪️昨日は、博士課程の院生の中間発表会でした。全員が、中国からの留学生。1人は、来年度、学位請求論文を提出するようです。じっくり時間をかけて分厚い博士論文を提出するようです。来年の春は、副査としてそれを読まなくてはいけません。「満州における日本人経営中国語新聞と関東軍との関係に関する研究―『盛京時報』の経営を中心に」という研究です。歴史的な資料が相当量入っているので、気合を入れないと読めません。これから、懇談会(お疲れさん会)。

▪️そのあとは、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」で滋賀県庁で世界農業遺産に関わった職員の皆さんと懇親会でした。写真は、最後の集合写真。この日、県庁の皆さんは、南湖一周40kmを歩かれました。本当は、皆さんと一緒に歩きたかったのですが、博士課程の中間発表会があったものですから、その代わりに私は1週間前、南郷洗堰で折り返す南湖1周55kmを1人で歩きました。私も含めて、この写真の中の5人が「びわ100」(びわ湖チャリティー100km歩行大会)に挑戦します。私は、今回5回目の挑戦になります。過去4回、なんとか完歩しているので、今回もうまく行くように、努力します。最後は、痛みや苦しみに耐える精神力の問題になってきます。

世界農業遺産
世界農業遺産(GIAHS:Globally Important Agricultural Heritage Systems)とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域(農林水産業システム)であり、国際連合食糧農業機関(FAO)により認定されます。

▪️そもそものことの始まりは、私がこの写真の中のメンバー2人、藤江学さんと伊崎直人さんに声をかけて、「『びわ湖システム』が『日本農業遺産』そして『世界農業遺産』に認定されるように、『びわ100』では横断幕を持って歩こう、アピールしよう‼︎」と提案したことに始まります。そのような提案をしたのは、facebookの友達である永田咲雄さんが、ご自身で経営されている会社の社員さんたちとの団結を高めるために、会社で「びわ100」に出場されることをfacebookの投稿で知ったからです。世界農業遺産を目指すチームも、「頭を捏ね繰り返してばかりではなく、まずは琵琶湖を体感しつつ、チームとしての団結力を高めよう」と昭和のおじさんのノリで提案したのです。ひとつ失敗したのは、チームのリーダーであった青田 朋恵さんにも「歩こう!!」と声をかけなかったことですか。我々と一緒に歩かれるとは思っていなかったもので…。

▪️さて、このことを知った、当時農政水産部長であった高橋滝治郎さんは、部の職員全体に声をかけて参加者を募るようにと指示を出されました。その結果、大勢の方々が参加されることになったのです。さすがに、今は「世界農業遺産」に認定されたので、あの苦しみに耐える「びわ100」に出場される方は私も含めて5人に減りましたが、「びわ100」に出場しなくても、当時のことを懐かしみ、今もこうやって南湖1周に挑戦される方たちが集まられたわけです。素晴らしいです‼︎

▪️「びわ100」、10月の14日・15日です。14日10時過ぎに長浜をスタートして、彦根、東近江、近江八幡、野洲、守山、栗東、草津、瀬田、南郷洗堰と歩き、最後はゴールの雄琴を目指します。徹夜で歩きます。制限時間は28時間です。15日の14時までにゴールする必要があります。

「びわぽいんと」と「MLGs」(マザーレイクゴールズ)との連携を目指して。

20230921toshiyan.jpg▪️今日は、特定非営利活動法人「琵琶故知新」の理事長として、事務局長の藤澤栄一さんと共に、朝から滋賀県庁の琵琶湖環境部を訪問しました。私どもが提案している「びわぽいんと」と「MLGs」(マザーレイクゴールズ)との連携の可能性について意見交換させていただくためです。いろいろ厳しいご指摘やご質問をいただきましたが、同時に、一定ご理解いただけたようではあり少し安心しました。引き続き、意見交換をさせていただけることになりました。いただいたチャンスを活かしていきます。私たちの「びわぽいんと」は、まだ、抽象的なコンセプトやICTの技術だけが先行している段階なので、琵琶湖の周りで実際に環境保全に関わっておられる人びとの目線や立場からのご意見を丁寧に受け止めながら、現実の社会的な文脈の上で鍛え直していかなければなりません。がんばります。

▪️午後は、大学の評議会にオンラインで出席します。少し時間があったので、ウルトラウォーキング(びわ100)のためのアンダーウェア(パンツですけど…)、京都のヨドバシカメラの中にある「石井スポーツ」で購入。まずは55kmの練習で試してみます。休憩や食事も含めると、12時間ほど歩くことになるので、いろいろ考え事をすることができます。また、ラジオを聴いたり、スマホで音楽を聴いたり、そうそう落語を聴いたりしながら歩くことにします。自分を誤魔化すための工夫です。

▪️帰宅途中、大学の情報メディアセンターから連絡がありました。大学の学部のサーバーに置いてある私のホームページやブログ、使っているCMSのバージョンが古く、リプレイスされた新しいザーバーの中でうまく動かないようになっていたのですが、丁寧に対応していただき、バージョンアップ作業が終わったので確認して欲しいとの連絡でした。助かりました。帰宅後、確認します。なんだかんだ、午前中の出来事を羅列してすみません。

▪️それから、それから。今日の出来事ではありませんが、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」の看板がリニューアルされました。トップの写真です。これまでは、「利やん」なのに看板業者さんが間違って「利ちゃん」にしてしまい、亡くなったマスターが「ち」を力づくで剥がしていたのですが、これできちんとした看板になりました。お浄土におられるマスターの光山幸宏さんも納得されていると思います。個人的には大切なことなもので、書いておきます。

ヨシを使った生地で作られた法被

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▪️この法被、今日開催された、第39回滋賀県ヨシ群落保全審議会の中で紹介されました。背中は、MLGs(マザーレイクゴールズ)です。

▪️この法被を作ったのは、大阪市枚方にある株式会社「たまゆら」さんです。「たまゆら」さんでは、「企業参加でヨシ刈りを行い、そのヨシを利用して参加した企業のユニフォーム等を作成する」、そういうサービスを展開されています。また、「たまゆら」さん自身もヨシ刈りを行っておられます。ちなみに、ヨシから生地を製作しているのは高島市の複数の企業さんです。高島市は、元々、繊維産業が参加な地域です。その「伝統」の上に、このようなヨシを活用したこのような新しい事業が行われているわけです。この法被は、「たまゆら」さんから滋賀県に贈られたものです。ちなみに、2025年に開催される大阪・関西万博のユニフォームにこのヨシを使った生地が利用される予定になっています(←は今日の審議会での資料をもとに書いています)。

▪️審議会の方ですが、全ての委員の皆さんが熱心にご発言くださいました。議長を務めていますが、今回も委員の皆さんからの活発なご発言からいろいろ勉強させていただきました。ありがとうございました。

ヨシ群落の保全活動と企業とのネットワーク

20230905yoshi.jpg▪️昨日は、滋賀県庁の琵琶湖環境部・琵琶湖保全再生課を訪問しました。諸々の打ち合わせを行いました。写真はその際に見せていただいたものです。ヨシで作ったコースターです。これは岐阜にある企業さんが試作されたものです。西の湖のヨシを有効利用して建築資材(内装材)を製造しようとされています。

▪️他にも、ヨシを作業服の繊維の原料の一部として使用されている大阪の企業さんもおられます。こちらは、湖西、高島のヨシ。もっとヨシを使ってみたいとお考えの企業さんが増えてほしいし、ヨシを媒介に企業さん同士のコラボが生まれてほしいと思います。そして、そこで生まれた利益が、地域に根ざしてヨシ群落の保全に取り組む皆さんの背中を後押しするようにもなってほしいと思います。ヨシ群落の保全活動と企業とのネットワークが拡大していくことを期待しています。

審議会・NPO

20230807insect_cage ▪️今日の午前中は滋賀県環境審議会自然環境部会に出席しました。私は、この審議会の委員ではないのですが、今回の議題が「(仮称)次期生物多様性しが戦略について」ということで、専門委員として出席しました。これまで滋賀県の「滋賀生物多様性地域戦略策定に係る専門家会議」や「生物多様性しが戦略推進専門家会議」で一緒にいろいろ議論をしてきた滋賀県立大学の上田洋平さんや琵琶湖ホテルの菊地玲奈さんも一緒です。

▪️ただ、いろいろ思うところもありました。戦略策定がまとめられたとして、その戦略を展開していく戦術や作戦にあたる取り組みが具体的にはどういうものなのか。今あるさまざまな施策とどう関連づけていくのか、その辺りのことがとても気になりました。策定はこれからです。期間が短い中で大変な作業だなと思いますが、事務局の皆さんに頑張って取り組んでいただきたいと思います。この点に関して付け加えれば、次期の「生物多様性しが戦略」が、すでに動き始めているMLGs(マザーレイクゴールズ)とどう連関していくのか、その具体的な姿も知りたいなと思いました。もうひとつ、地域の金融機関にも関心を持っていただき、生物多様性に取り組む民間企業を応援するような事業に取り組んでいただきたいとも思っています。

▪️午後からは、特定非営利活動法人「琵琶故知新」の仕事でした。以前から、NTT西日本滋賀支店さんと、地域の課題解決に関してご相談を積み重ねてきたのですが、支店長さんが交代されたということで、ご挨拶と意見交換の場を作っていただきました。お会いできて良かったです。

▪️そのあとは、引き続き特定非営利活動法人「琵琶故知新」の用事でした。事務局長さんのと藤澤栄一さんと一緒に法務局に行き、法人登記に関して提出すべき書類の指導をしていただきました。こういった一連の事務作業を全て藤澤さんにやっていただいていたのですが、結構、複雑で煩雑であることに驚きました。NPOの実務に長けておられる方からすれば、どうってことのないことなのかもしれませんが、私には複雑で煩雑に感じられてしまいました。慣れないといけませんね。

▪️ 写真は、この投稿の中身と全く関係がありません。中心市街地を移動している時に、丸屋町商店街の花屋さんの前を通りかかった時、虫の鳴き声が聞こえてきたのです。虫籠がぶら下げてありました。中にいるのは、キリギリスかな。まだ真夏ですけど。秋がもうじきやってきますかね。

滋賀県琵琶湖地域「世界農業遺産」認定記念祝賀会

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■本日、滋賀県庁農政水産部農政課企画で世界農業遺産を担当されている職員さんから、写真が届きました。先日、このブログに「『世界農業遺産』認定シンポジウム」を投稿しましたが、このシンポジウムの後に開催された小さな祝賀会の時の写真です。この祝賀会が開催される前には、野洲市で「魚のゆりかご水田」に取り組んでおられる農家の堀彰男さんに、「世界農業遺産の認定を今後の地域での活動にどのように活かしていくのか」、まだちょっと抽象的な言い方になりますが、そのようなことについて相談をさせていただきました。また、世界農業遺産に認定された「琵琶湖システム」においては、湖岸地域とともに、その湖岸地域を含む流域の上流地域との交流が大切になってくると考えています。夢は広がります。そのようなことも、祝賀会では堀さんにお話させていただきました。共感もしていただきました。今後の展開が非常に楽しみです。

【関連エントリー】「『世界農業遺産』認定のお祝い」

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