本屋をつくる人たち 「厳しい経営を承知で」のなぜ(Yahooニュース)

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本屋を作る人たち「厳しい経営を承知で」のなぜ

5歳児が値段を決める美術館


■毎日、Yahooニュースを読む習慣があります。今日は、「5歳児の工作が「百億円」!話題のECサイト 始めた理由は?「息子の成長」見守る父の愛がスゴい」という記事が目にとまりました。まずは、「5歳児が値段を決める美術館」をご覧いただきたいと思います。そこには、以下の説明があります。

このサイトは、とある1人の子供が4歳から5歳にかけて作ってきた作品の一部を販売する「ECサイト」です。アートにおいて「表現」や「コンセプト」以外にも「値段」は欠かせない要素です。もし5歳児がアーティストを名乗り、自分の作品の「値段」を決めると、どんな世界観になるのでしょうか。

ここでは実際に5歳児自身に「作品名・コメント・値段」を全て決めてもらいました。それ故に日本円では支払うことのできない「19千億円」などの単位も生まれてしまいました。作品は全て販売していますが、払えない値段のものは、支払いが不可能なため実際に購入をすることはできません。他にも数兆円など現実的には買えない値段もありますが、実際に販売はしております。

■「とある1人の子供」とありますが、これはこのサイトを製作したアートディレクターの佐藤ねじさんの息子のことです。息子さんが作った工作の作品の数々が、このサイトで購入することができるのです。いや、本当に。実際に売れているようです。で、売れないものもあります。それは、息子さんは息子さんなりのルールに基づいて値段をつけているようなのですが、きちんと値段が付いているものだけでなく、「無量大数円」とか「不可説不可説転円」のように大人には値段が判別できないものがあります。その場合は、「値段がおかしいので買うことができません」となります。おもしろい!!

■アートディレクターであるお父さんが、ご自身のプロの技やアイデアを使って、息子さんと、息子さんの作品をこのようなアートに構成することで、息子さんの成長記録を残しておられるのでしょう。お父さんの佐藤ねじさんの目線は、あくまで息子さんと対等の目線です。佐藤さんは、「自分は普段から面白いものを作ろうと思っているが、子どもの行動や感性の方がよっぽど面白いときがある」と感じておられるのことからもわかるように、息子さんの感性を大切にされているのです。その様子は、トップのYoutubeの動画をご覧いただければ、よくわかります。


■佐藤ねじさんは、いろいろ「面白い」作品を製作されています。その数々の作品については、佐藤さんのサイトでご覧いただけます。その中で見つけた息子さんも関係してくる作品が、これ、「顔はめ絵本」です。笑ってしまいました。顔出し看板と絵本が合体しています!! YouTubeの動画で顔を出しておられるのは、お母さんですね。ご夫婦で、こうやって息子さんの成長を楽しんでおられるのですね。いいな〜、素敵だな〜。

鎌田東二さん「この時代にこそ考えるべき死生観」

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■上智大学グリーフケア研究所特任教授の鎌田東二さんは、ここで改めて説明する必要もないほど有名な方ですね。今年の6月には、上智大学グリーフケア研究所と龍谷大学世界仏教文化研究センターが主催する「グリーフケア講座」で講師を務めていただきました。さて、その鎌田さんのインタビュー記事をネットで偶然見つけました。

「この時代にこそ考えるべき死生観――SNSやブログは生きる支えになる?」

■記事の中で鎌田さんは、「血縁・地縁が薄くなって『無縁社会』が一般化しています。少子高齢化、老老介護、孤独死も増え続けている。そういう流れが加速する今、日本人は改めて死んだらどこへ行くのかに思い巡らせ、死生観を考え直すべき」と述べています。そして、34歳で亡くなった市川海老蔵さんの妻・小林麻央さんのブログのことを取り上げます。小林さんは、ブログを通じて不特定多数の方たちに「前向きな闘病をつづって」きたわけですが、この様な姿勢は、国学者である平田篤胤の「死後の魂の行方を突き詰めて考え、きちんとした死生観を持ち、『安心をつくるべき』」という主張とも結びつくと、鎌田さんは考えます。鎌田さんは、小林さんのブログから「『安心をつくる』という姿勢が感じ」とっていたからです。

■私は未読ですが、鎌田さんは著書『日本人は死んだらどこへ行くのか』の中では、「SNSでの『縁の結び直し』」が紹介されているそうです。小林さんの場合も、SNSを通じたたくさんの方たちとの交流が「安心」につながり、生きる支えにもなりました。その様なSNSを通じてのコミュケーションで死の向こうに行くための力を得ることができるのです。鎌田さんは、自分自身の死を、「死」→「史」→「詩」と展開させていくことで力を得ることができると述べておられます。

死生観も含めて人生のふり返りが「史」になります。だけど、ふり返るだけでは収まらなくて、物語が必要になってくる。物語は「詩」です。ですから、「死」を前にして「史」がふり返られて、「詩」として言霊になったら…本人も周りも救われる気持ちになる。

また、死で力を奪われるのではなく、力を得ることもできます。平田篤胤は37歳で31歳の愛妻を亡くします。それだけでなく、長男と次男も亡くしている。しかし、愛する妻と子供の死が、彼のその後の生き方につながったんです。人の死は悲しいことですが、それ以上に、その後の人生の支えとなる何かを残してくれることもあるんです。

■記事の中では、「臨床宗教師」についても書かれています。龍谷大学大学院 実践真宗学研究科では、2014年4月に東北大学大学院 文学研究科実践宗教学寄附講座に創設された「臨床宗教師研修」に学び、上智大学グリーフケア研究所の協力を得て、2014年度から本学においても「臨床宗教師研修」を実施しています。詳しくは、以下をご覧ください。

臨床宗教師研修「臨床宗教師研修」の目的と意義 ―2017年度カリキュラムについて―

宗教間の対話


■キリスト教の話題を伝える「Christian Today」というサイトがあります。そのサイトに「アマゾンのクリスマスCMにキリスト教とイスラム教の本物の聖職者が出演(動画あり)」という記事がアップされました。キリスト教の牧師とイスラム教のイマム(イスラム教の指導者)が互いにプレゼントを贈り合う内容のCMで、役者さんではなく本物の聖職者の方達が出演されています。「牧師の家でお茶を飲みながら、談笑に時を過ごす。別れた後で、相手が祈りのためにひざまずくときに膝を痛めないよう、それぞれ思いやりの心から、アマゾンで互いのために膝パッドを注文する」というストーリー。イギリスでは、amazonの労働環境の酷さがニュースになりamazonは社会的に非難されているようですが、このCMに関しては何か惹かれるものがあります。
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■昨日から、ブログの調子が悪くなりました。ご迷惑をお掛けしますが、しばらくお待ちください。原因がわかりました。

■このエントリーのタイトルをクリックしてください。右側の下の方に「Last 10 entries」とありますので、そこから最近の記事をご覧ください。また、「Archives」からも過去の記事をごらんいただけます。操作を誤り「Categories」も消去してしまっています。ですので、古い記事の「Categories」は、内容とは一致していません。また、再構築する必要が出てきました。のんびりやっていきますので、おつきあいください。

NHKクローズアップ現代「“穏やかな死”を迎えたい~医療と宗教 新たな試み~」

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■細かな議論は別にして、とても大切なことだと思います。なおかつ、とても関心があることでもあります。
NHKクローズアップ現代「“穏やかな死”を迎えたい~医療と宗教 新たな試み~」

facebook「滋賀県農政課世界農業遺産推進係」のページ

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■現在、滋賀県では、琵琶湖と共に育まれてきた滋賀独自の農林水産業と文化、景観、生物多様性を全国に発信し、県全域での「世界農業遺産」認定を目指しています。担当部署は、農政水産部農政課の世界農業遺産推進係です。本日、「世界農業遺産推進係」のページがオープンになりました。ぜひ、ご覧いただければと思います。私は、この「世界農業遺産」認定を目指す「世界農業遺産」プロジェクト推進会議には、農学部の竹歳一紀先生が座長として、私がアドバイザーとして参加しています。

滋賀県農政課世界農業遺産推進係
滋賀の農業次世代継承!「世界農業遺産」プロジェクト

NHKクローズアップ現代「小さな島の大きな決断~地方創生の現場から~」

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■NHKの「クローズアップ現代」、新年度から新しい番組に変わるようですね。新しい番組がどのような内容なのか私は知りませんが、1993年から続いてきた国谷裕子キャスターの番組がNHKから消えてしまうことに、非常にがっかりしています。もったいない…。私は、勤務時間の関係で、なかなか放送を拝見することはできませんが、公式サイトにある「放送まるごとチェック!」は頻繁に拝見してきました。放送が一部動画で観ることができますし、放送内容が全てテキスト化されています。学生を指導する際にも、活用させてもらいました。国谷裕子キャスターが降板することで、この公式サイトも消えてしまうのでしょうね。もったいない…、非常にもったいないと思います。

■今日は、会議と会議の間の時間で、来年度の授業の内容を考えていました。その際にヒントにさせてもらったのが、クローズアップ現代の今年の1月13日に放送された「小さな島の大きな決断~地方創生の現場から~」です。こんな内容です。アンダーラインは、私が注目したところです。ぜひ「放送まるごとチェック!」でご覧いただきたいと思います。番組に登場された、青柳花子さん、その後も頑張っておられますかね〜。

“消滅”を回避し、自ら地域振興アイデアを絞り出せ-いま全国の自治体に、年度内を期限に総合戦略の策定が求められている。データに基づく人口ビジョンや具体的な雇用創出戦略が国に承認されれば、地方創生予算から助成を受けられる仕組みだ。現実には特効薬はなく「コンサルタント丸投げ案」も存在すると言われる中、新潟沖にある人口365人の孤島の挑戦が注目されている。新潟県粟島浦村(あわしまうら)は、衰退する漁業と観光民宿業を抱え、25年後には人口が180人まで減ると予測される典型的な消滅危惧自治体だ。いま、残った若者たちが島外協力者と10年先を見据えた「基幹産業の再生プロジェクト」に取り組む。横ならびの基準料金を定めた民宿ではない新しい宿の設立などを含む「若者提言書」の策定を進め、変化に前向きになれない村を粘り強く動かし始めた。総合戦略の提出期限が迫り、島民らが迎えた決断の日。地に足をつけた創生とはどうあるべきか、ある地域の奮闘を通じて考える。

■「放送まるごとチェック!」では、キャンスターの国谷さんが、コメンテータの山崎亮さんに以下の質問をされています。質問に対する山崎さんの答えが面白いですね〜。

●人口減少・将来の予測が厳しい島ならば、外から来た方のアイデアを歓迎するかと思いきや抵抗感が強かった その姿をどう見た?
「こういう強いつながりの中で、何かを動かしていこうと思う時には家族のような関係の中からどういうふうに、それを新しい方向へつむぎ直していくのかという事が大切になると思いますね。」

●外から来た変化をもたらしてくれそうな人に対する不信感や本気度を問う気持ち 島の人々のその気持ちの背景にあるのは何か?
「その本気度を確かめたくなるという気持ちが湧いてしまうんだと思いますね。」

●外から来た人が特別扱いされる事で、まなざしが厳しくなる そういう例もあった?
「我々が関わった当初はやはり、役場の人たちが外から入ってくる移住者ばっかりに優遇策を出しているんじゃないかという話をとてもよく聞きました。」

●人間関係が濃密でいろいろな古いルールがある地域で理解を進め、本当の変化をもたらしていくには、どういうプロセスを踏んでいけばよい?
「誰かが持ってきたものをやろうという事ではない事。」「本人たちがこれをやるというふうに言い出したかどうかという事と、この人たちと一緒にやりたいと思えるような仲間を、ちょっと時間はかかるけれどもつくる事ができたかどうか。」

●コンサルタントの阿部さんは40代までの移住者を中心に話し合いを重ねた その中での気づきや理解はどういうふうに生まれてくるもの?
「情報を知らないと、なかなか新しい発想が出てきませんので、これから島の人口はどれぐらいになるのか、それから、もし人口が減ってしまうんだったらどんなやり方があるのか、全国や世界の事例をみんなに知って頂く。」「要望や陳情型の意見ではなくて、提案・実行型の意見ですね。」

●提案されたものが実行できるかは人間関係が大事だとおっしゃったが、どこを見ている?どういう人を見ている?
「人と人のつながりをどういうふうに作っていくのか、最初にそれを見て、そのあとつながった人たちが地域資源とどういうふうにつながると新しい事業が生みだされるのか?人と物の関係を見るのは、その次ぐらいかもしれないですね。」

■いろいろ指摘をされていますが、共感するところが多々ありました。地域づくりや地域活性化だけの問題ではなく、現在、自分が関わっている超学際的・実践的な研究プロジェクトと照らし合わせても、とても参考になります。

1人への支援が、社会のためになる・山仲善彰市長インタビュー

20151229yamanaka2.jpg ▪︎「滞納取り立てよりも支援」という山仲善彰・野洲市長のインタビュー記事(朝日)を読みました。野洲市は、全国に先駆け、「生活困窮者自立促進支援モデル事業」に取り組んきたました。山仲さんのインタビュー記事は、そのような取り組みの成果や実績に基づくものです。

▪︎山仲さんとは、滋賀県庁におられる時から少しお付き合いがあります。琵琶湖環境部長をされていた時に、琵琶湖の環境問題関連の仕事では、いろいろお世話になりました。今も、滋賀県の「ヨシ群落保全審議会」ではご一緒させていただいています。しかし、よくよく考えてみれば、山仲さんと環境以外のことでお話しをさせていただいたことはなかったように思います。私は、右の朝日の記事を読んで、多くの点でなるほどと納得しました。

▪︎この記事に刺激を受けて、さらに野洲市の政策に関してネットで関連記事を探してみました。すると、『日経ビジネス』の記事がみつかりました。『日経ビジネス』の「2000万人の貧困』というシリーズ記事の中のひとつのようです。「1人への支援が、社会のためになる『困窮者自立支援法』モデル都市の市長の提言」(2015年9月1日(火))というタイトルが付いていました。貧困に苦しむ人びと、高齢者、障害者といった社会的弱者を、行政としてどのように包摂していくのか、また、そのためにはどのような行政組織の経営が必要なのか…といった内容でした。以下は、インタビューの冒頭に山仲さんが語っていることです。基本的な考え方が示されています。続きについては、ぜひ直接お読みいただければと思います。
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行政の基本は、市民の方がそれぞれ健康で幸せで自己実現でき、人生を楽しめるための公共サービスを提供することだと思っています。

伸びようとする人がより伸びられるように、困難な状況にある人はきちっと自立できるようにということです。困窮者や弱者から発想が始まっているのではありません。弱者も、そうでない人も、それぞれの人生がいいものになることが大事だと思います。

ただ、伸びる人の場合はある程度、自分で資源調達ができたり、支援が見つけられます。けれど弱者の場合、そうはいかないことがある。ですから、どちらかと言えばそこを手厚くすることによって、全体が良くなるという視点に立っています。

もう一つは、やっぱり「1人を救えない制度は制度じゃない」ということです。役所へ行くと「この制度はあなたのためではないのでお引き取りください」とか、「いや、うまく合わないんですよ」と言われて追い返される。生活保護のいわゆる「水際作戦」(注:生活保護の受給申請者に対して、費用を抑えるなどの目的で、自治体ができるだけ受給できない理由を見つけようとすること)なんていい例ですよね。

制度というのはそれではいけません。そこにニーズがあるのだから、何とか解決するための手段でなくてはいけない。公序良俗に反することはいけませんが、その人の人生にかかわることや地域のためにというニーズなのであれば、課題を最終的にクリアできるようにするのが務めです。

20151229hinkon.jpg ▪︎なお、この山仲さんのインタビューは、日経BP社から発行されている『ニッポンの貧困 必要なのは「慈善」より「投 資」』の中にも収録されているようです。以下は、amazonに掲載された内容紹介です。

日本の相対的貧困は、およそ2000万人――。75歳以上の後期高齢者よりも多いこの国の貧困層は、この先3000万人まで増えるとも言われています。そしてこの病巣は静かに、けれども急速に、日本に暮らすあらゆる人々の生活を蝕み始めています。

ひとり親、女性、子供…。これまで貧困は、社会的弱者の課題として語られることが多かったはずです。
けれど貧困は今や「一部の弱者の問題」として片付けられる存在ではなくなっています。

困窮者の増加が消費を減退させ、人材不足を進め、ひいては国力を衰退させる――。

経済記者が正面から取り組んで見えてきたのは、貧困問題が日本経済や日本社会に及ぼす影響の大きさでした。
「かわいそう論」はもう通用しません。求められるのは、貧困を「慈善」でなく「投資」ととらえ直す視点の転換です。企業やビジネスパーソンにできることは何か。
貧困を巡る日本の現状と課題、そして解決の糸口を「経済的観点」から分析した初のルポルタージュ。

▪︎この本の紹介にある「貧困は今や「一部の弱者の問題」として片付けられる存在ではなくなっています」や、「貧困問題が日本経済や日本社会に及ぼす影響の大きさでした」という指摘は、山仲さんの「1人への支援が、社会のためになる」という考え方と、どこかで繋がり合うような気がします。現在、貧困ではない人でも(貧困は自分には関係ないと思っている人でも)、より大きな視点に立てば、貧困問題は自分自身の問題でもあるわけです。自己責任という言葉は、時として、このような現実を隠蔽することになります。また、社会が成立するために必要な共同性をも蝕んでしまうことになります。

「“移住1%戦略”は地方を救えるか」(NHKクローズアップ現代)

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■昨日のNHKの「クローズアップ現代」は、「“移住1%戦略”は地方を救えるか」でした。非常に興味深い内容です。私は、教授会と研究科委員会、そのあとは専攻委員会と会議が夜まで続き、この番組を視ることができませんでした。ということで、クローズアップ現代のサイトを確認してみました。以下は、この番組の内容を紹介したものです。

「もし毎年1%の人を呼び込めれば、町の人口減や高齢化は食い止められる」とする“理論”が注目を集めている。典型的な中山間地である島根県邑南(おおなん)町などで実践が始まっている「1%戦略」だ。年に数世帯ずつ家族が定住してくれれば、大規模な産業誘致や開発などしなくとも、数百人規模のコミュニティは存続可能という。実際、移住は地方衰退の救済策としてどこまで有効なのか?NHKでは明治大学と共同で全国の自治体に移住に関する最新状況を調査した。昨年度、県外流入者は1万人超、この5年で4倍近くに増えたことがわかった。さらに、移住支援を行うNPOの調査でも移住者の半数を40代までが占めるなど、現役世代の増加が顕著だ。地方を選択する理由は“暮らしやすさ”という。大抵、表面上は収入減となる地方移住だが、生活上の様々な要素を貨幣価値に換算し具体的に分析してみると、東京生活より「豊か」にすることも可能なことが見えてきた。田園回帰と呼ばれる最近のムーブメント、地方消滅対策としての可能性とヒントを、データジャーナリズムのアプローチから探る。

■解説は、一橋大学の小田切徳美さん。番組では、東京から鳥取県に移住した若いご夫婦の紹介からはじまります。鳥取での生活の豊かさを経済的価値に置き換えると、「利便性については東京に劣るものの、総合評価で比べると鳥取のほうが3万円以上価値が高くなりました。 鳥取の暮らしやすさは全国でもトップクラスという結果がはじき出されています」というのです。最近、よく知られるようになった徳島県の神山町も紹介されます。このような最近の地方での動きを、移住支援を行うNPOグリーンバレーの理事・大南信也さんは、「今までなかったような機能が少しずつそこに集まってきて回り始めるということですよね、地域内でいろんな(ことが)。ある面、経済が循環し始める、小さいながらも」と説明されています。小さな経済の循環。そして、そこに人のつながりが生まれてくる。興味深いですね~。

■島根県の山あいにある,自治体、邑南町も紹介されています。人口は11,000人の邑南町では、定住促進策を進め、人口減少を食い止めようとしています。この町では、「移住1%戦略」に取り組んでいます。地元のシンクタンクのシミュレーションで、 地区の人口の1%ほどの移住者を呼び込めば、企業誘致や特産品の開発に頼る必要はないということがわかってきたのです。地元の自治会の副会長さんは、「私たちが不安に感じていたことが、7人という数値を与えてもらったことで、頑張る努力目標が見えた」と述べています。ということで、就農を希望する移住者には、後継者がいない農地を提供するなど、移住してきた若者たちに地域をあげて支援をされています。番組では、小田切徳美さんが、次のように解説されています。

●移住者は、何が移住の決め手になったと語っている?

実は、移住者の方々が異口同音に、「人」だというふうに言うんですね。この「人」っていう意味は多様です。例えばお世話をしてくれた地域コーディネーターの方とか、あるいは移住者の先輩だったり、あるいは見守ってくれた集落のご老人だったり、いずれにしても、ああいう人がいるからこの地域に行くんだということで引き寄せられていく、そういうパターンがあるようですね。

●自治体は何を大事にして総合戦略を作るべき?

総合戦略は現在、市町村単位で作られています。しかし、もっと重要なのは、コミュニティー単位でのビジョン作りです。このコミュニティー単位でのビジョンを作って地域をみがいていく、そのことによって、そこに移住者が入って、そして移住者と共に地域を作り上げることが可能になると思いますね。 (地元の人たちも意識は変わっていく?)そうだと思いますね。

■私自身、実際に番組を視ることはできませんでしたが、ぜひ「NHKオンデマンド」で見てみようと思います。「幸せ」とはいったい何なのか、「豊かさ」とはどういうことなのか、人とのつながり、身近な環境とのかかわりのなかでゆっくり・じっくり、それらの「幸せ」や「豊かさ」を実感することの大切さを、若い年代の人たちも感じ始めているのです。

西粟倉村のこと

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▪︎つい先日、知り合いの新聞記者から問い合わせがありました。仕事上の問い合わせというよりも、個人的に意見を聞かせてほしい…という感じでしょうか。このような質問です。「日本創成会議が提唱している東京圏から地方への移住呼びかけについてはどう思うか?」。この「移住の呼びかけ」については、以下の日本経済新聞の記事をご覧ください。

民間有識者でつくる日本創成会議(座長・増田寛也元総務相)は4日、東京など1都3県で高齢化が進行し、介護施設が2025年に13万人分不足するとの推計結果をまとめた。施設や人材面で医療や介護の受け入れ機能が整っている全国41地域を移住先の候補地として示した。

 創成会議は「東京圏高齢化危機回避戦略」と題する提言をまとめた。全国896の市区町村が人口減少によって出産年齢人口の女性が激減する「消滅可能性都市」であるとした昨年のリポートに次ぐ第2弾。

 東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県では、今後10年間で75歳以上の後期高齢者が175万人増える。この結果、医療や介護に対応できなくなり、高齢者が病院や施設を奪い合う構図になると予測した。解決策として移住のほか、外国人介護士の受け入れ、大規模団地の再生、空き家の活用などを提案した。

 移住候補地は函館、青森、富山、福井、岡山、松山、北九州など一定以上の生活機能を満たした都市部が中心。過疎地域は生活の利便性を考え、移住先候補から除いたという。観光地としても有名な別府や宮古島なども入っている。

 高齢者移住の候補地域は以下の通り(地名は地域の中心都市。かっこ内は介護施設の追加整備で受け入れ可能になる準候補地域)。

【北海道】室蘭市、函館市、旭川市、帯広市、釧路市、(北見市)
【東北】青森市、弘前市、秋田市、山形市、(盛岡市)
【中部】上越市、富山市、高岡市、福井市、(金沢市)
【近畿】福知山市、和歌山市
【中国】岡山市、鳥取市、米子市、松江市、宇部市、(山口市、下関市)
【四国】高松市、坂出市、三豊市、徳島市、新居浜市、松山市、高知市
【九州・沖縄】北九州市、大牟田市、鳥栖市、別府市、八代市、宮古島市、(熊本市、長崎市、鹿児島市)

▪︎いかがでしょうか。なるほどと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、私は、この提案内容に納得がいきませんでした。一極集中している東京の視点から語られているからです。乱暴にいえば、東京=大都市の論理に地方を従属させて消費しようとしているかのようです。移住とは、そんなに簡単なものでしょうか。高齢者の移住に関していえば、身体の弱ってきた人たちほど、移住は難しいと思います。移住してそこに根を生やして、その土地の人たちといろんな関係を作り、その地域になんらかの貢献をして…そういうプロセスを経ることが移住には必要だと思っているからです。このよう提案は、「物価の安い海外で優雅に暮らそう」という発想と、ほとんどかわりはありません。知人の新聞記者に教えていただきましたが、かつて「シルバーコロンビア計画」というものがあったそうですね。wikipediaで申し訳ありませんが、以下のように説明されています。「1986年に通商産業省のサービス産業室が提唱した、リタイア層の第二の人生を海外で送るプログラムを指す。正式名称『シルバーコロンビア計画”92”-豊かな第二の人生を海外で過ごすための海外居住支援事業』。『92』が付いているのは、目標年次を1992年としていたため。結局は、『計画』どまり、『構想』レベルに終わった」。また、もっと以前に遡れば、「南米への移住」等の政策についても、同様の考え方のように思います。

▪︎そのようなやり取りを、知人の新聞記者としたあと、facebookでひとつの記事をみつけました。岡山県にある西粟倉村に関する記事です。西粟倉村は、岡山県の最北東端に位置し、兵庫県・鳥取県と境を接する村です。記事は、「ニシアワー」という名前がついたサイトです。西粟倉村の挑戦者たちの活動を伝えるサイトです。こう紹介されています。

ぐるぐる、めぐる。生態系の循環に寄り添う地域作り
ニシアワーは、岡山県西粟倉村の挑戦者たち活動をお伝えするメディアです。

2008年、西粟倉村で50年後(2058年)を目指す「百年の森林構想」が掲げられました。50年後を目指す冒険の物語は、ローカルベンチャーと呼ばれる挑戦者たちが村に眠っている可能性を発掘していくこと、そして挑戦者たちを見守ってくださる応援者を増やして行くことによって成立し、前進していきます。

■「なんだか、おもしろいぞ!!」と思わせる力のようなものを感じました。西粟倉村の主産業は林業てす。しかし、多くの国内の地域と同じく林業になかなか展望を見いだせない状況にありました。そのような厳しい状況にありながらも、西粟倉村は2004年に合併を阻み、独自の道を歩み始めます。2008年には「百年の森林構想」を打ち出し林業と地域と人の再生をはかっていきます。この「百年の森林構想」の経緯にいて説明した文書を引用してみます。

西粟倉村は、2004年に合併を拒み、村として自立していく道を選択しました。スケールメリットよりもスモールメリット。小さな村だからこそ実現できる未来があるはずだ。大都市、大企業の下請けにはならない、自立した循環型の地域経済を目指すべきだ。2004年以降、議論を積み重ねるなかで、目指すべき方向が徐々に言語化されていきました。

2005年には「心産業(しんさんぎょう)」というコンセプトが打ち出されます。心の生態系の豊かな村へ。心のつながりを大切にしながら、価値の創出と交換が行われる地域経済へ。(中略)仕事がないから過疎化する。だったら仕事を生み出そう。地域資源から仕事を生み出していける起業家型人材の発掘・育成を進めることになりました。 そして2008年、「百年の森林構想」という旗が掲げられました。「百年の森林構想」というビジョン、「心産業」というコンセプト、「雇用対策協議会」という推進組織によって、移住・起業の連鎖反応が広がっていくことになります

■非常に建設的で前向きな地域経営に対する意志のようなものを感じます。地域の主体性です。そのような主体性が、移住・起業の連鎖を生み出したというのです。このあたりについては、「挑戦者たち」というページにいろんな方たちが登場します。たとえば、酒屋と日本酒バーを開業した女性、「地域の中のローカルベンチャーの支援をする。それのなにが悪いんですか」と主張する役場職員、地域商社、西粟倉・森の学校の若き経営者…。非常に気になる方たちばかりです。こういう方たちがいる地域って、魅力的ですよね。その魅力に挽きつけられるように多くの方たちが、この西粟倉村にやってこられるようです。そして、西粟倉村で生まれて育っている子供たちが増えているというのです。詳しくは、こちらのページをご覧ください。

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