赤
▪️昨日、我が家に届いたものです。まず左側。親戚から頂いたイチゴです。奈良のイチゴです。みずた農園の「まほろばいちご」と入れてある箱には書いてありますね。大粒で甘いです。で、甘いとなると、ちょっと構えてしまいます。イチゴの果糖が…。だから、むしゃむしゃ食べずに、一度に2つ程度、血糖値を気にしながら、遠慮しながらいただいています。
▪️昨日、我が家に届いたもの。今度は右側。赤い「cafemug」です。真空断熱層のある金属製のマグカップです。蓋付きです。faebookのお友達であるMさんが投稿されているのを見て、私もポチッと衝動買いしました。Mさんは、私が学生時代、私が所属していた学生オーケストラによくエキストラでお越しいただいていました。ところで、家にもタンブラーがあるということがわかりました。ということで、どちらが保温力に優れているのか実験してみました。このタンブラーは断熱材としてプラスチックが入っているようなのです。同じ沸騰したお湯を入れてみて触ってみると、タンブラーの方が暖かく感じます。ということは、あまり保温できていないということなのかな。きちんと確認しようと、温度計で計測してみました。プラスチックのタンブラーは70℃になっていましたが、右の赤い「cafemug」は85℃でした。赤の勝ちです。自宅で重宝しそうです。
▪️年度末で仕事に追われて、書斎にこもっているのですが、Facebookとイチゴと「cafemug」に、気持的にですが「逃避」しています。
福音館の絵本『あさいち』の復刊、利益は義援金に。
▪️素敵なニュースです。絵本で有名な福音館書店では、石川県の「輪島朝市」の活気ある風景を描いた絵本『あさいち』(大石可久也 絵/輪島・朝市の人びと 語り) を2024年3月6日(水)に復刊し、本作の売上の一部 (利益相当額) は令和6年能登半島地震災害義援金として、日本赤十字社に寄付するそうです。詳しくは、こちらをご覧ください。これは福音館書店さんによるプレスリリースですが、その中では、絵本の中の一部の絵を見ることができます。amazon等で注文しても、手元に届くのはかなり先のことになりそうです。多くの方が購入されているので、増刷に時間がかかるのではないかと思います。
1970年代の輪島朝市を取材し、その様子を絵巻物風に描いた絵本『あさいち』を、被災地復興の願いを込めて、3月6日に復刊することとしました。
またその利益は、令和 6 年能登半島地震災害義援金として、日本赤十字社に寄付します。詳細はリンク先をご覧ください。https://t.co/0xtIntSNGd
— 福音館書店 (@Fukuinkan_PR) February 9, 2024
「堅田の落雁」と干菓子の「落雁」
▪️先日うかがった堅田の「魚清楼」さんで撮った写真です。もちろん、ホンモロコの素焼きと鴨すきを楽しみにして行ったのですが、あの有名な堅田の浮御堂の見えるお座敷にあげていただき、まず最初に出していただいたのが、この写真のお茶とお茶菓子でした。お茶菓子は落雁(らくがん)。落雁とは、米等から作った澱粉質の粉に水飴や砂糖を混ぜて着色し、型に押して固めて乾燥させた干菓子のことです。私の場合、糖質制限をしているので、甘いものはちょっと…なんですが、よく見ると、この落雁に浮かび上がっているのは目の前に見えている浮御堂でした。ふと思いました。今まで、考えたことがなかったのですが…。
▪️堅田は近江八景のひとつ「堅田の落雁」としてもよく知られています。リンクを貼り付けますけど、これは歌川広重の作品です。背景には、夕暮れの比良山系がみえますね。湖岸には、今とは少し形が違いますが浮御堂も確認できます。そして、空からは、渡り鳥の雁(カモ目カモ科ガン亜科の水鳥のうち、カモより大きくハクチョウより小さい一群の総称)が琵琶湖に舞い降りようとしています。近江八景は、中国の瀟湘八景(しょうそうはっけい)をモデルにしています。おそらく、「堅田の落雁」のモデルは、この瀟湘八景の「平沙落雁」ではないかと思います。ちなみに、「落雁」は俳句の秋の季語でもあるようです。
▪️では、「堅田の落雁」と干菓子の「落雁」、どういう繋がりがあるんだろう。それがね、よくわからんのです。なんで、干菓子の名前に「舞い降りる雁の群れ」という名前をつけたのか。
中国の「軟落甘(なんらくかん)」が「落甘」に転じた説と、中国の名所を集めた「瀟湘八景(しょうしょうはっけい)」のうちの一つ「平沙落雁(へいさらくがん)」を由来とする説があります。
▪️これ、和菓子屋さんの解説ですね。説が二つあるとして、「落甘」と「落雁」の音が近いから…なんとなくわかります。でも、もうひとつの方はよくわかりません。「平沙落雁」と干菓子の「落雁」、どういうふうに、どういう意味で繋がっていくんでしょうね。「落雁」の謎。
鼻歌検索
▪️「あの歌の曲名はなんやっかな〜、歌の一部しかわからへんわ〜」という場合はどうしたらいいんでしょう。調べみるとGoogleが簡単に教えてくれることがわかりました。「こんなの常識の部類やん」と多くの皆さんに言われそうですが、私は初めて知りました。以前は、鼻歌で検索できるアプリがあったように思うのですが、仕組み的には同じなのかな。その辺り、よくわかりません。こういうことらしいです。「鼻歌検索では、歌われた曲のメロディーの固有の特徴を抽出し、機械学習モデルで「指紋」(数列)に変換。Googleのデータベースに登録された、鼻歌やハミング、口笛から生成された「指紋」と照合することで検索を実現する」。AIの技術なのでしょうね。
▪️やり方は簡単です。スマホでGoogleを立ち上げ、「マイク」のアイコンをタッチして、「曲の選択」をタッチ。そこでフフフンと鼻歌を歌うと、すぐに教えてくれ流のです。今回、Googleが教えてくれた曲名は「白銀は招くよ」でした。メロディーが頭に浮かんできても、歌詞は一部しか浮かんでこなかったのです。しかし、頭の中に浮かび上がってきたのは、ダークダックスさんでした。早速、YouTubeで検索してみると、動画が出てきました。動画を拝見すると、間違って記憶していたことに気がつきました。私の記憶にあるのは「エーヤッホー」でしたが、そうではなくて「ヤーヤッホー」でした。しかも、この歌はもともとは映画なんですね。トニー・ライザーですって。オーストリアのスキー選手。この方のお名前は存じていましたが、映画のことまでは思い出せませんでした。ダークダックスのパクさん、マンガさん、ゲタさん、ゾウさん、それからトニー・ライザーさんも亡くなってしまいましたね。この「白銀は招くよ」をダークダックスが歌い始めたのは、私が1歳の時の1959年のようです。wikipediaで恐縮ですが、以下のように説明されています。
『白銀は招くよ!』 12 Mädchen und 1 Mann (1959年)
主演であり、主題歌は(原題「Ich bin der glücklichste Mensch auf der Welt」。邦題は同じく「白銀は招くよ」)が日本で大ヒットし、日本語の歌詞も作られ、日本の歌手達にも歌われた。また、「みんなのうた」(NHK)でも紹介されたり、「第22回NHK紅白歌合戦」では当時1972年札幌オリンピックを翌年に控え、有名なウィンターソングとしてダークダックスの出場曲にもなった。近年では「そう言えば あの時このうた」(NHK BS-2)でも放送された。今でも日本ではそのメロディーが広く知られている。
▪️なるほど、私が記憶の井戸からメロディーを汲み上げてきたのは、大ヒットしたからなんですね。具体的な体験や記憶と結びついていませんが、このメロディーは、何か幸せな気持ちにさせてくれるのです。で、このGoogleの鼻歌検索ですが、「ほんじゃクラシックはどうや年」と思って歌ってみました。マーラー交響曲第2番「復活」の冒頭、ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界」の冒頭、プロコフィエフの「ピーターと狼」の有名なフレーズ、全部ダメでした。でも、ショスタコーヴィチ交響曲第5番4楽章の冒頭は理解してくれました。歌い方が下手くそなんですかね。
▪️もう1曲。「長年の謎」が鼻歌検索で解決しました。何十年もの間、時々、この曲のサビの部分のメロディーが頭の中に浮かんできたのでした。でも、女性の歌手であること、特徴のある歌声ということしかヒントがありません。せめて歌詞がわかったら調べることもできたのでしょうが…。それが今回は、鼻歌検索で一発で解決しました。柴田まゆみさんというフォークシンガーの「白いページの中に」という曲でした。調べてみました。1978年に開催された第15回ヤマハポピュラーソングコンテスト(通称ポプコン)で入賞した曲でした。この時は、長渕剛さんも「巡恋歌」で入賞されています。この「白いページの中に」は、ポプコンと関連するラジオ番組「コッキーポップ」のオープニングに流れていたようです。たぶん、この番組を通して記憶するようになったのではないかと思います。ただ、柴田さんは、この1曲だけで芸能界を引退されていました。その後の曲はありません。知らなかったな〜。
▪️柴田まゆみさんは、私と学年は同じだということも今回初めて知りました。引退後は、ずっと音楽の世界から離れておられたようです。近年はご病気もされたようですが、友人の皆さんと一緒に初ライブを開催されたことが神戸新聞のネット記事になっていました。この記事では、そのライブの様子をYouTubeで視聴できます。
シリーズ 環境社会学講座 6『複雑な問題をどう解決すればよいのか—環境社会学の実践』
▪️新泉社から新刊として出版された「シリーズ 環境社会学講座 6 宮内泰介・三上直之編『複雑な問題をどう解決すればよいのか—環境社会学の実践』が送られてきました。今日、大学で受け取りました。私は第5章「多層的なガバナンスから流域環境問題の解決を考える 琵琶湖流域に焼ける協働の試みから」を執筆しました。文理融合の研究プロジェクトを通して経験した「支配-従属」問題について検討しています。協働の現場で、異質な「他者」とどのように関係を持つのか、異質な他者との協働はどのような意味で可能なのかを検討しています。お世話になった方達にお読みいただけたらと思っています。
▪️この書籍については、出版社からの情報をご覧いただければと思います。それぞれの章の一部をPDFで読むこともできます。
【関連投稿】『シリーズ 環境社会学講座 6 複雑な問題をどう解決すればよいのか』(新泉社)
「シリーズ 環境社会学講座」第6巻
『シリーズ 環境社会学講座 6 複雑な問題をどう解決すればよいのか』(新泉社)
堅田の魚清楼
▪️堅田の「魚清楼」さんです。今年の1月から予約を入れていました。「そんなに前から…」。そうなのです、予約でいっぱいなんです。京都の花街から芸妓さんや舞妓さんと一緒にやってこられる方も何組もいらっしゃるとか。人気があります。創業300年の老舗です。江戸時代は脇本陣だったというお話もお聞きしました。私は、こちらのお店は今回で3回目でした。2回目の時は、龍谷大学社会学部を退職される先生を慰労する会を、親しい社会学科の3人の同僚とこちらの「魚清楼」さんで開かせていただきました(退職される先生は学科が違っていましたが)。懐かしいです。今から、10数年前のことですね。
▪️で、今回は3回目です。冬のこちらのお店のお料理は、なんといってもホンモロコの素焼きと鴨すきです。堪能させていただきました。勤続40年を超える仲居さんが、全てお世話をしてくださいました。しかも、琵琶湖と堅田の浮御堂が座敷からしっかり眺めることのできる座敷です。勤続40年の仲居さんによるお世話と座敷からの風景も含めて、楽しませていただきました。
▪️私は琵琶湖の魚の中で、ホンモロコが一番好きだと思います。美しいホンモロコを炭火で素焼きしたものを、三杯酢に浸したし、その上で生姜醤油につけていただきました。すでにホンモロコは卵を抱えていました。もちろん、骨まで全部食べられます。美味しい!! 焼いた時の香りも素敵なんですよね〜。それから鴨。琵琶湖では禁猟ですので、北陸から仕入れておられるようです。こちらも美味しかったです。まずは鴨のたたきで美味しい出汁をとり、鴨肉と野菜を加えていきます。これも美味しかった。最後は、雑炊ですね(糖質制限の関係で控えめに…)。いろいろ美味しい料理はありますが、料理というか、食材そのものにパンチ力がある料理が好きなんですね。今日は、満足しました。
▪️お料理の写真ですが、一番最初にいただいたのが、一番下の左側、鯉の洗い。酢味噌でいただきます。その次は、ホンモロコの炭火焼き。最後は、金網に頭を突っ込んで少し焦がして、頭から全部食べられるように焼いてくださいました。そして、一番下の右側にあるゴリ(ヨシノボリの稚魚)の佃煮。最後が鴨すきですね。卵の黄身が見えますが、この黄身とたたき(鴨骨の部分を細かく砕いた)を混ぜて、まず最初に鍋に入れます。その後に、野菜と鴨肉を。美味しかったです。
▪️もっとも、そんなにゆっくりしている余裕はないのですが、前々から予約をしていたものですから…どうかご容赦ください。
【追記1】▪️私の経済力からすれば、魚清楼さんは高級なお店になります。でも、年に1回程度であれば、家族で湖の幸を楽しむことができるのかなと思っています。次回は、来年ですね。ホンもロコが卵を抱えつつ、まだ骨が柔らかい季節を早めに予約することにしたいと思います。
【追記2】▪️こういった湖の幸を楽しむことと、「MLGs」や「世界農業遺産」とがどこかで繋がって体験できるような仕組みが欲しいと思っています。
雪の比良山系
▪️今日は、「公益財団法人 淡海文化振興財団」の2024年度「未来ファンドおうみ助成事業」のプレゼンテーションの日でした。私たち特定非営利活動法人「琵琶故知新」事務局長の藤沢栄一さんが、現在、「琵琶故知新」で進めようとしているGIS(地理情報システム)を基盤に置いた事業に関してプレゼンテーションを行いました。理事長の私の役割は、質疑応答で藤澤さんをサポートすることでした。さあて、結果はどうなりますでしょうね。採択されるかどうか…。通知書が届くのを待ちたいと思います。
▪️写真は、プレゼンテーションを行なった「ピアザ淡海 滋賀県立県民交流センター」のそばから撮影したものです。この写真ではよくわかりませんが、琵琶湖文化館(お城の建物)の向こうに、山頂が白くなった比良山系が見えました。この琵琶湖文化館は、古い建物であることから耐震等に問題があり2008年4月から休館しているのですが、2027年には、「近江の文化財を中心とするミュージアム」、「地域の文化財のサポートセンター」、「文化観光の拠点となるビジターセンター」の3つの機能を柱とした新施設として、浜大津に移転開館する予定になっています。こちらからご覧ください。
2023年度龍谷大学吹奏楽部「卒部生歓送会」
▪️昨日は、龍谷大学吹奏楽部の「卒部生歓送会」でした。深草キャンパスの大学生協の食堂で開催されました。写真は、前・幹事長の大島拓巳くん。卒部生(4回生)の皆さんが順番にスピーチをされましたが、その最後に大島くんがスピーチを行いました。
▪️大島くん達の学年が大学に入学した年は2020年です。コロナで大学の授業はオンライン。龍谷大学吹奏楽部に張り切って入部したものの、課外活動は禁止。練習ができるようになっても交代でごく僅かの時間しか許可されない。吹奏楽コンクールは中止、サマーコンサートも中止。合宿や地域からの演奏依頼なども中止。なんとかサマーコンサートを延期してオータムコンサートとしてオンラインで開催。また、年末は、定期演奏会を人数制限をして昼の部と夜の部に分けて開催。大変な年でした。
▪️その後もコロナ禍は続きましたが、部員全員で力を合わせて頑張ってコロナ禍を始めとする様々な難題を乗り越えてこられました。今年度は、200名を超える部員を、大島くんは幹事長としてまとめてリードしてくれました。ありがとう。
春が近づいてきました。
▪️我が家の庭だけではないと思いますが、春が近づいて来ているせいか、少しずつ賑わいが増えてきました。1段目左は、クリスマスローズです。お世話になっている庭師さんに植えていただいたのは、白っぽいクリスマスローズでしたが、これは自分で植えました。ちょっと違う色にしたいと思い、赤っぽい品種にしてみました。昨年は咲きませんでしたが、やっと美しく咲いてくれました。ありがとう。1段目右はスイセンです。こちらは昨年はほとんど花が咲かなかったのですが、肥料のやり方が良かったのか、今年はたくさん咲いています。今年もきちんと最後まで世話をしてあげんようと思います。2段目左は、これまでも投稿してきたクリスマスローズです。これが庭師さんが植えてくださったクリスマスローズです。白っぽいのですが、花びらのような萼片がほんのりビンクに。可愛らしい。ちょっと恥ずかしがっているかのようです。2段目右は、ヒマラヤユキノシタです。小さいですが、鮮やかなビンクの花を咲かせます。昨年、どういうわけか弱りかけていたのですが、なんとか持ち直してくれました。そして花を咲かそうとしてくれています。嬉しいです。ありがとう。3段目はクロッカスです。元々は鉢に植えていたクロッカスなんです。昨年だったかな、花が咲き終わったので、日陰で保存するようなことをせずに、そのまま庭の片隅に植えていたのです。ちょっと愛情がこもっていませんね。ごめんなさい。それでも、こうやって花を咲かせてくれました。ありがとう。
▪️庭の植物たちは、春に備えて着々と準備を進めています。ここが私などは違い立派なところ。偉いな〜。4段目の左・右は、カラタネオガタマです。中国の南部原産、モクレンの仲間です。モクレンの仲間とはいっても、小さな花です。うっすらと茶色の産毛が生えた蕾が膨らんできています。今年はたくさんの蕾をつけてくれています。嬉しいです。開花すると、バナナのような甘い香がします。種名について調べてみたら、「神様に供える木であることから『招霊(おがたま)』と呼ばれていたことに加え、中国原産の植物のため『唐(から)』を頭につけて、カラタネオガタマと命名された」とありました。これから楽しみです。5段目左はリュウキュウアセビです。枝を伸ばして、そこに赤い蕾がありますが、これが白い壺型の小花として開花します。その右側は常緑ガマズミ。今は蕾でピンク色に見えますが、暖かくなると白い小さな花がたくさん咲きます。春が楽しみです。
社会学入門演習「現地実習報告書」
▪️編集作業が大幅に遅れていましたが、なんとか年度内に発行できそうです。学生の皆さんがお世話になった、高島市の皆様にお届けいたします。もうしばらくお待ちください。以下は、1組の報告書の冒頭に書いた「はじめに」の部分です。
はじめに
2020年度から猛威をふるってきた新型コロナウイルスの感染拡大、まだ安心できるような状況ではけしてありませんが、以前とは異なり、2023年5月8日以降、新型コロナウイルスは5類感染症に位置付けられるようになりました。
従来、この「社会学入門演習」では、大学に入学したばかりの学生の皆さんが教員と一緒に1泊2日の現地実習に出かけて、訪れた現場で多様な経験をし、その経験をもとに原稿を執筆して報告書にまとめることになっていました。しかし、コロナ禍の最中は、そのような現地実習を実施できない年が2年続きました。そして2022年度からになりますが、やっと日帰りならば現地実習が認められるようになりました。2022年度は、現地実習を高島市マキノ町で、そして今年度は高島市の今津町と朽木で現地実習を実施させていただきました。
今年度、このような現地実習を実施できたのは、私が参加した「全国棚田 (千枚田)サミット2022in高島市」でご縁をいただいた「特定非営利活動法人コミュニティねっとわーく高島」の坂下靖子さんに、現地実習のコーディネートをお引き受けいただいたおかげです。坂下さんのお力により素晴らしい現地実習を実施することができました。通常、教員が担当する「社会学入門演習」は1クラスだけなのですが、今年度は諸般の事情により、1組と10組を受け持つことになりました。その2クラスとも坂下さんにコーディネートしていただくことができました。そして坂下さんのコーディネートにより、1組については6月17日(土)に、高島市の今津町椋川と朽木上針の2カ所を訪問し、それぞれの地域に移住してこられた皆様にお話を伺うことができました。坂下さん、本当にありがとうございました。
ところで、なぜ今年度の現地実習で移住者の皆さんにお話を伺ったのか、そのあたりのことについても少し説明をさせてください。前述した「全国棚田 (千枚田)サミット2022in高島市」でお手伝いをさせていただいた際、サミットの事前の準備段階で、移住者の皆さんからお話を伺うチャンスがありました。その際まず気がついたことは、移住者の皆さんが、地元の皆さんの暮らし方や、その背後にある文化を大変尊重されていたということでした。山村で暮らしていくためには、農業や林業に関わって生きていくための深い知識や技術が必要になります。何世代にもわたって暮らしてこられた中で培った地域の社会的仕組みも大切になります。移住者の皆さんは、濃淡こそあれ、そのような地元の皆さんの暮らしを大変尊重されていました。加えて、地元の皆さんだけではうまく扱えない地域の課題に対して、移住者の立ち位置から積極的に関わっていこうとされていました。そのような移住者の皆さんの思いを、大学に入学してきたばかりの学生の皆さんは、自分の暮らしと対比しながらどのように受け止めるのか。言い換えれば、都会に暮らす自分たち若者とは異なる生き方をされている方達を、どのように理解するのか、そのあたりに今年度の「社会学入門演習」の目標を設定することにしたのです。
大学の教育の現場では、学生の皆さんに対して「きちんと単位を取っていますか」という言い方で指導をすることがあります。また、学生の皆さんの中には、単位を取りやすいかどうかというコスト・ベネフイットだけを考える人もいます。しかし、単位は目安のようなものであって、単位を取得すること自体が目的ではありません。単位や単位にもとづいたカリキュラムといった制度に、あたかも「流される」かのように学んだとしても、けして大学における自分自身の学び、すなわち「学修」には至りません。高校までは与えられた問題に「正しく」答えることが大切になりますが、大学の「学修」はそうではありません。大学では、自ら「問い」を立て、さまざまな資料やデータを基に緻密な分析と深い考察を行うことから、その問いに答えうる論理的・結論を導き出すことが必要になります。
では、どうすれば、大学4年間で自分自身の「学修」が可能になるのでしょうか。龍谷大学社会学部の教育理念は「現場主義」です。現場の中に我が身を置き、そこに生きる方達から丁寧にお話を伺うことを大切にします。お話を伺いながら、「はっ!」として、「どうしてなのだろう」、「どうすればよいのだろう」と自ら「問い」を立てることが大切になってきます。そして、そのような「問い」を積み重ねることのなかで、自分自身の「学修」が可能になっていくのです。「社会学入門演習」を担当した教員としては、今回、高島市の様々な皆さんのご協力により実現した現場実習を、そのような自らの「問い」を立てていくためのひとつのきっかけにして欲しいと思っています。大学に入学しばかりで、これまでに書いたことがないような長いレポートを執筆することは、大変なことだったかもしれません。実際、提出されたレポートは実に「様々」です。微妙な言い方ですが…。正直に言ってきちんとしたレポートのレベルに達していないものも含まれています。しかし、大変迷いましたが、今回は最低限の添削のみにしました。できるだけ執筆した学生の皆さんの「現在」が記録に残るようにあえてしてみました。残りの大学生活の中で、時々、この報告書の自分のレポートを振り返りながら、自分自身がどれだけ成長できているのかを確認して欲しいと思います。
最後になりましたが、今回、学生の皆さんに丁寧にお話をしてくださった皆さん、今津町の是永宙さん、上針畑の勅使川原学さん、藤原治文さん、廣清乙葉さん、そしてその他の関係者の皆様には心より感謝いたします。拙い報告書です。事実関係に関して、間違いがあるかもしれません。また、勘違いをしている部分もあるかもしれません。どうかご容赦ください。ただ、ご丁寧にお話しくださったことは、学生の皆さんの記憶に残り、何らかの形で個々人の成長につながるものと確信しております。本当にありがとうございました。