第31 回「北船路野菜市」

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■本日は、第31回「北船路米づくり研究会」でした。2011年の9月に始まった「北船路野菜市」ですが、夏野菜と秋・冬野菜の生産の端境期である4月と9月や、特別な事情があって休んだときを除いて、先輩から後輩へと引き継ぎながら毎月1回、第3土曜日に開催してきました。今年の6月からは、「(株)まちづくり大津」さんや「中心市街地活性化協議会」さんのお誘いで、第4土曜日に開催される「大津百町市」のなかで開催させていただけるようになりました。31回続けてくることができたのも、じつに多くの皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。

■今年の6月には、「北船路野菜市」はリニューアルしました。野菜については、北船路の協力農家の皆さんに出荷していただいていますが、リニューアルにともない、それぞれの農家の方専用のカゴを用意し、そこに「農家さんカード」を取り付け、どのような思いで生産されているのかをより消費者の皆さんに伝えられるようにしました。「生産者と消費者の顔の見える関係」をより太くしていくための学生たちのアイデアです。また、北船路での農作業の様子をお伝えすることや、美味しい料理の仕方などの情報についても提供できるようにしました。これも学生たちのアイデアです。少し、店先が洗練された感じになってきました。

■今回は、研究会で生産した「龍大米」(コシヒカリ)と「龍大芋」(サトイモ)も販売させていただきました。「龍大米」については、京都や大津の飲食店で使っていただいていますが、今日は、そのようなお店に「龍大芋」も配達させていただきました。大津の中心市街地にある居酒屋「利やん」さんと、懐石料理「魚忠」さんに、「龍大芋」をお届けしました。実際に、お店に出す料理に使っていただきます。北船路の棚田は、里芋の生産に適しているようで、ねばりがあり、煮崩れのしない、美味しい里芋ができます。そのことを評価してただきました。少しずつですが、研究会の活動の成果が生まれてきました。

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■今日は、素敵なコラボもおこなわれました。滋賀の食材をつかった石釜ピザを販売される「Ishigama」さんが、「北船路野菜市」の横のスペースで、焼きたてのピザの出張販売をされました。大津百町館のなかに臨時の石釜を設営されてピザを焼く作業をされていました。こちらは、今年中に、「地域食財(特産)」×「石窯ピザ」により、大津の商店街の裏道にある隠れ家的な石窯ピザ屋を開店させようと頑張っておられる方達です。今回は、北船路の野菜(ジャガイモとタマネギ)を使っていただきました。ありがとうございます。今後とも、「ishigama」さんとは、良い連携ができればと思っています。写真の最後ですが、「北船路米づくり研究会」の活動のためにスペースを提供してくださっている「大津百町館」(大津の町家を考える会)の雨森さんです。焼きたてのピザ、そして同時に発売されたスパークリングワインで上機嫌にされているところです。美味しそうだ。

赤松学長に活動報告

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■今年も、赤松学長に、「北船路米づくり研究会」の活動報告をさせていただきました。赤松学長には、3年生の代表である小西くんと副代表の小林さんから、龍大米と龍大芋が届けられました。小西くんも小林さんも学長にお会いするということで、大変緊張していましたが、無事に報告を終えることができました。いろいろ、個人的に「予行演習」をしてきたのかもしれませんが、うまくいったのかな。

■今日の活動報告については、龍谷大学のホームページの「大学紹介」>「学長の動き」で紹介されるかもしれません。

【追記】■「学長の動き」の10月23日に、予想とおり掲載していただきました。

里芋のコロッケ

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■昨晩は、「北船路米づくり研究会」で学生たちが生産した龍大芋(棚田の里芋)を使っていただいている、「串かつ おばんざい とんとん」さん(京都市中京区 富小路通蛸薬師下る高宮町571-1)を訪問しました。そして龍大芋をつかったコロッケをいただきました。ジャガイモのコロッケとは、まったく異なる食感と美味しさでした。ひとつはソースで、ひとつはカレー塩でいただきました。ごちそうさまでした。

お米が届きました!!

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■ゼミで行っている「北船路米づくり研究会」関連。指導農家である吹野藤代次さんから、研究会のメンバーであるゼミ生に「お米」が届きました。配達の予定がなくなったお米を、学生のためにと送ってくださったのです。吹野さん、ありがとうございます。いただいたお米を、郵便用の秤ではかり、二重にしたナイロン袋に入れていきました。この作業を、3年生のゼミ生たちがやってくれました。ご苦労様。テープルの上のものは、4年生に渡されるお米です。

20141009syougakumai.png ■今回は、指導農家さんからのプレゼントでしたが、「学生とお米」というキーワードから、私は「奨学米」のことを連想しました。「奨学金を”お米”に置き換えて、農家が学生を食生活の面でサポートする」という趣旨の取り組みです。「奨学米」については、ちゃんとサイトがあります。株式会社奨学米という会社組織で運営されています。イベントの企画、運営、インターネットを利用した食品等の販売をされている会社ですが、「内閣府認定農村六起第一回ビジネスコンテスト」でも、支援対象事業に認定されているようです。さて、「奨学米」の取り組み、この会社では次のように説明しています。

奨学米とは奨学金を“お米“に置き換えて 農家が学生にお米を無償で提供し 食生活の面でサポートする仕組み。その代わりに 学生はお米をご提供いただいた農家の農業のお手伝いや地域のイベントに参加することで還元していきます。奨学米で学生・農家のつながりを創り互いの未来を育てて行きます。

VISION〝もう一つの実家をツクル”
自分は何を食べているのか、自分が食べているものはどこで作られているのか若者は自分の食事に責任を持ち始めている。真摯にお米作りに取り組む農家とこれからをつくる学生を繋ぎ、 相互理解の信頼関係を築くことで長期的に食材を購入したり、農家に遊びに行けるような、もう一つの実家を奨学米を通じて創っていきます。

MISSION
-農家がお米を提供し、食生活の面で学生を支え、学生の夢や目標を支援する
-農家と学生を結びつけ、農家が真摯に作ってきた日本人のソウルフードである〝お米”の大切さを伝える
-互いの顔が見える新たなコメ文化を構築し、長期に渡り交流でき、食材を購入できる信頼関係を築く事で、〝もう一つの実家をツクル”

■「モノ」(米)と「労働」(若者の力)の「交換」をベースにしながらも、そこにあたかも「擬制的親子」の関係をつくっていくような取り組みに思えました。「擬制的親子」とは堅い学術用語ですが、一般には「親分子分」や「オヤコ」ともいわれます。実際の親子ではないのに、あたかも親子の関係を設定して、親(親方)になった年長者は子(子方)になったを若者を社会的に支援(庇護)します。また、逆に、子の方は、親にいろいろ奉仕する、そういう関係です。社会保障の制度が不十分であった時代、こういう擬制的親子は、ローカルな社会を安定させることができたのでしょう。地方によっては、烏帽子親と呼ばれることもあります。これは、ある北陸の農村の話しですが、役所が、都会の学生が研修に村にやってくるプログラムを進めようとしたところ、村人が不安がったので、「まあ、烏帽子親になってもらうようなことですよ」というと、深く納得された…という話しを聞いたことがあります。この「奨学米」の事業のなかにも、同様の発想があるように思いました。

イベント「町家×日本酒×学生」

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■昨日は、「町家×日本酒×学生」というタイトルの素敵なイベントが、彦根市の「彦根古民家 ごはん家くまくま」で開催されました。主催は、「小江戸ひこね町屋活用コンソーシアム事務局」さんです。イベントの内容は、以下の通りです。
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大津・彦根・長浜で、町家の活用、日本酒づくりに取り組んでいる滋賀県各地の大学の学生と教員がそれぞれの取り組みをご紹介。終わった後は、ざっくばらんに交流会を実施します。もちろんおいしいお酒もありますよ。

町家やお酒、学生の活動などに興味のある方は、ふるってご参加、よろしくお願いします。
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■参加したのは、龍谷大学、長浜バイオ大学、滋賀県立大学の関係者の皆さんです。龍大の活動については、私がお話しをさせていただきました。大津市内の町家キャンパス「龍龍」を拠点とした中心市街地での「大津エンバワねっと」に取り組くみについて。そして、「北船路米づくり研究会」が、農村・北船路と蔵本・平井商店とをつなぎ、吟醸純米酒「北船路」をプロデュースしたこと。以上の2点についてお話しをさせていただきました。「北船路米づくり研究会」からは、ゼミ生のIくんが参加してくれました。また、平井商店の平井弘子さんや、先日の稲刈りのときに参加してくださった堀昭一さんも参加してくだいました。長浜バイオ大学からは、松島三兒先生とバイオ大学の学生の皆さんが、長浜市内の町家キャンバスを拠点に活動されている様々活動について紹介されました。この冬には、長浜市の農家と長浜バイオ大学や地元のまちづくり団体の連携により、新しい地酒がプロデュースされる予定です。滋賀県立大学からは、「滋賀県立大学日本酒プロジェクト」の皆さんや、卒業生の皆さんが活躍されている「小江戸ひこね町屋活用コンソーシアム事務局」の活動が紹介されました。滋賀県立大学では喜多酒蔵さんと連携して、「湖風」という日本酒をプロデュースされています。この「湖風」、滋賀県内の大学発の日本酒として大先輩です。

20141005kyotoshinbun.png ■当日の様子は、京都新聞の記事になりました。「酒造で地域活性化奮闘 龍大・長浜バイオ大・滋賀県立大グループ」。各大学の取り組みの紹介が終わったあとは、いよいよ交流会です。平井商店からは、お店の方でも最後になってしまった純米吟醸無ろ過生原酒「北船路」と、純米吟醸「北船路」が卓上にならびました。喜多酒蔵さんからは「湖風」も用意されていました。それから、これから長浜バイオ大学関係者や農家と協力して日本酒を生産される冨田酒造さんからは、「七本槍」が登場しました。どの日本酒も、それぞれの味があり美味かったですね〜。このイベントを契機に、これから大学間の連携がより強化されていくとよいなと思います。

【追記】■今回は、滋賀県立大学の出身者の方達が、卒業後、地域社会のなかで活躍されていることを実感しました。地域の企業に就職したあとも、「何か地域社会で面白いことをしたい!!」というワクワクした気持ちのもとで、広い意味での地域活性化の活動に取り組んでおられるからです。その滋賀県立大学と比較したとき、我が龍谷大学社会学部はどうなんだろう…と、いろいろ思ってしまいました。おそらくは、参加したゼミ生のIくんは、たくさんの刺激を受けたのではないかと思います。長浜バイオ大学の松島先生は、「学生たちもほかの大学の学生たちとさっそく友達になっていました。さっと垣根が下がってネットワークができるのも、こうした会の醍醐味ですね。このネットワークがいつの日か、化学反応を起こすかもしれませんよ」と書いておられました。私も、そのような素敵な予感がします。

町家×日本酒×学生

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■こういう小さなイベントが開催されます。私もお話しをさせていただきます。以下は、主催側の関係者の方からの情報。
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大津・彦根・長浜で、町家の活用、日本酒づくりに取り組んでいる滋賀県各地の大学の学生と教員がそれぞれの取り組みをご紹介。終わった後は、ざっくばらんに交流会を実施します。もちろんおいしいお酒もありますよ。

町家やお酒、学生の活動などに興味のある方は、ふるってご参加、よろしくお願いします。

■会場 彦根古民家 ごはん家くまくま(彦根市河原2丁目2-38)

■スケジュール
開場・受付 15:30
フォーラム 16:00-18:30
交流会 18:30-21:00

■定員 30名(先着順)

■参加費 無料
*ただし、懇親会参加費3,000円
懇親会に参加される方は公共交通機関をご利用のうえ、お越しください。飲酒運転は法律違反です。絶対におやめください。

■申し込み方法
下記のFAXまたはメールにてお申し込みください。

■お申し込み・お問い合わせ先
小江戸ひこね町屋活用コンソーシアム事務局
TEL:0749-23-2123 FAX:0749-26-2730
mail:info@hikone-machiya.com

臼擦り

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■現在、韓国の光州市で開催される国際会議に出席するために出張中です。この記事の文章を、ホリデーイン・クワァンジュ(Holiday Inn Gwangju)で書いています。

■さてさて、15日(月)、「北船路米づくり研究会」の3年生3人が、天日干し作業の続きと臼擦り作業をしてくれました。臼擦りとは、天日干しをすませた籾から玄米を取り出す作業です。この日の出来事については、この日参加した学生がfacebookに記事を投稿してくれましたので、そちらから引用したいと思います。

9月15日は、前日収穫した龍大米の臼すりでした。学生3名の参加でした。

水分量の問題により、米を乾燥させながら、臼すりをしました。研究会の顧問である指導農家の吹野さんの指導のもと、学生は初めての作業ながらも頑張りました!

脇田先生や吹野さんのお知り合いで、近所にお住まいの川口さんが、臼すりの様子を見にきてくださいました!ありがとうございました!

今年は、150キロ(白米で135キロ)の龍大米が収穫できました。今後の野菜市などで販売していく予定です。

そして来週には、酒米収穫予定です!

■ということで、酒米の方の収穫ももうじきです。今年の品種は「吟吹雪」です。今年も美味しい吟醸酒ができてほしいです。できれば、大吟醸ができると嬉しいのですが、こればかりは米の成長具合を確認しないとなんともいえません。楽しみです。

稲刈り・脱穀・天日干し

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■14日(日)、「北船路米づくり研究会」の2014年度の「稲刈り作業」が行われました。快晴でした!! この日集まることができたのは、現役の学生が3人、OBが2人(2人とも)、そして1人のOBのガールブレンドが1人、それから一般からのご参加が2人、教員の私、そして指導農家の吹野さん、10名での作業になりました。トップの写真をご覧いただけばおわかりいただけますが、風雨により、稲の多くが倒れてしまっているなかでの稲刈り作業になりました。なかなか大変でした。すべてを鎌をもって手刈りで行う…というわけにはいきません。田んぼの広さは、4畝。コンバインが使えるように、田んぼの四隅を手刈りし、なおかつ中央にコンバインが入りやすいようにちょっとした道をつくりました。田植機のときもそうでしたが、今回の稲刈りでも、農業機械の「すごさ」に改めて驚きました。私たちの手作業だけでやっていたら、とても一日だけでは終わらなかったのではないかなと思います。

■稲刈りは午前中で終えることできました。好天であったことから、午後からも引き続き籾を天日干しにすることにしました。ムシロの上で、籾を拡げてお日様にあてるのです。例年は、どんどん均質に乾燥していくのですが、今年は稲が風雨で倒れたために、湿り気を多分に含んだものと、乾いているものとが入り交じり、乾燥に手間取りました。きちんと乾燥しているかどうかを知るためには、水分計という計測器を使うのですが、出てくる数字はなかなか…なのです(結局、この日だけでは乾燥できず、翌日にも別の3名の学生が天日干し乾燥を行いました)。

■この日の稲刈り作業には、一般参加の方お2人にご参加いただきました。老舗の鮒寿司屋「阪本屋」社長の内田健一郎さん。それから、これから会社をおこして地域活性化を目指す若い起業家の堀昭一さん。午後の天日干し作業のさいに、このお2人と村のリーダーのお1人との出会いが実現しました。丸屋町商店街の平井商店さんとの連携から純米吟醸酒「北船路」が誕生したように、今回も新しい素敵な出来事が生まれる予感がしました。「農」・「商」・「学」連携がさらに進めばよいなあと思います。内田社長からは、翌日に「お礼状」をいただきました。ここには、まだその内容を詳しく書くわけにはいきませんが、とても素敵だったので感動しました。内田社長は、そのお礼状のなかで「当店、農家、お客様、龍谷大学のみなさん、四方よしでいければと願っております」とお書きになっていました。近江商人の「三方よし」ならぬ「四方よし」です。時間はかかっていますが、「北船路米づくり研究会」がまたひとつ歩みを進めた瞬間だった…と思いました。

【追記】■来年4月に瀬田キャンパスに開設される「農学部」のfacebookページにも、この日の農作業を記事としてアップしていただきました。ありがとうございました。職員のTさんには、心より感謝いたします。

https://www.facebook.com/RyukokuAgr/posts/201072596729919
https://www.facebook.com/RyukokuAgr/posts/201134420057070

第3回「かかし祭」を終えて。

20140901wakkykakashi.jpg ■昨日の「かかし祭」、ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた皆様には、心より御礼申し上げます。

■昨日の「かかし祭」で実施された子供神輿。地元・北船路の「子供会」のお子さんと、市街地にある「みつばち保育園」の園児さんたちが主役でした。私の気持ちとしては、前者のお子さんたちには、北船路の農業後継者として成長していただきたいし、後者の園児の皆さんには食の安心・安全に配慮し農家を応援する志しのある消費者に成長してほしいと思っています。そして、大人になったときに、お互いに支えあえるような関係を築いていってほしいとも思っています。もちろん、その頃には、私は、もうこの世にいません。そのような年代の「おじさん」(子どもさんたちからしたら「おじいさん」)の希望でしかありませんが、心の底からそう思っています。ですから、昨日の子供神輿は、「象徴的な意味」において、とても大切なことだったように思います。

■このようなことを思うのにも理由があります。それは、日本の農業の未来は、けして明るいものではない…ということです。特に、北船路のような棚田の農村のような条件不利地域では、なおさらのこと農業や農地の維持していくことは大変な苦労がともないます。「かかし祭」では、北船路集落にある「農事組合法人 福谷の郷」と「北船路 中山間地域管理組合」のご協力をいただいていますが、両方とも、北船路の農家が組織されているものであり、北船路の農業や農地を守っていくために組織されています。

■「農事組合法人 福谷の郷」は、自分では耕作できない農家から農地を預かって、オペレーターの農家の方が農作業をされています。昨日の「かかし祭」に参加された「みつばち保育園」の園児の皆さんが、給食のときに食べておられるご飯、それは「農事組合法人 福谷の郷」で生産した「環境こだわり米」です(ちなみに、「みつばち保育園」は、「地産地消」や「食育」をとても大切にされています)。「みつばち保育園」では、遠足もかねて北船路に田植や芋掘りに来られますが、「農事組合法人 福谷の郷」では、その受入れも行っておられます。私たち「北船路米づくり研究会」の学生たちも、授業がなければ応援にかけつけています。

■昨日の子供神輿の行事は、国の「中山間地域直接支払制度」における「多面的機能増進活動」の一環としても行われました。この支払い制度に関係する団体が「北船路 中山間地域管理組合」です。この制度は、農業生産条件が不利な状況にある中山間地域等の農業生産の維持を図りながら、多面的機能を確保するために平成12年度から導入されている制度です。村としても国が制度的に用意した農政のメニューを積極的に活用しながら、努力されているのです。今回の子供神輿は、村の側からの提案でした。

■2012年から始まった「かかし祭」は、今年で3年目になります。また毎月1回開催している(4月と9月除く)「北船路野菜市」も、2012年から始まり、今年の8月で第30回目になりました。「北船路米づくり研究会」は、ひとつのゼミが行っている拙い活動にしかすぎませんが、少しずつ地域の「食・農」に関わる多様なステークホルダーの皆さんとの連携(地域のネットワーク)が深まってきています。

●北船路の指導農家および協力農家の皆さん。
●「農事組合法人 福谷の郷」と「北船路 中山間地域管理組合」の農家の皆さん。
●「みつばち保育園」の園児と保護者の皆さん、そして保育士の皆さん。
●月1回開催の「北船路野菜市」を応援してくださっている中心市街地の「株式会社 まちづくり大津」と「大津百町館」の皆さん。
●北船路の野菜を楽しんでいただいている中心市街地の消費者の皆さん。
●北船路の野菜や米をメニューに使っていただいている大津駅前の居酒屋「利やん」、そして京都四条の「串かつ おばんざいの店 とんとん」の関係者やご常連の皆さん。
●北船路産の酒米をつかって純米吟醸酒「北船路」を醸してくださっている大津街中の平井商店さん。

■私の個人的な思いですが、いつか研究会が、地域社会の「農」「生業」にかかわる皆さんと龍谷大学内の様々な資源とをつないでいく役割(地域づくりのハプ機能)をも、一定程度果たしていけたらなあと思っています。瀬田キャンパスにある理工学部、来春開学する農学部だけでなく、深草キャンパスの学生や教員の皆さんとも連携していければと思っています。実際、少しそのような連携のお誘いも受けています。近畿大学農学部の「近大マグロ」のようなものはありませんが、このような地道な活動のなかで形成される地域と大学間の厚い広がりをもったネットワークこそが、龍谷大学の「売り」になるのだと思うのです。もちろん、「北船路米づくり研究会」がそのようなレベルに達することは、まだまだ先のことでしかありません。

■今後も、多くの関係者の皆様からのご支援のもと、多様な連携のなかで「北船路米づくり研究会」の取り組みを展開してまいります。

第3回「かかし祭」開催しました!!

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■第3回「かかし祭」を、昨日8月31日に、大津市八屋戸にある北船路集落で開催しました。北船路の「農事組合法人 福谷の郷」、「北船路 中山間地域管理組合」、「北船路子供会」の関係者の皆さんには、ご協力とご支援をいただき心より感謝いたします。

■「北船路米づくり研究会」の学生たちは、前日30日から北船路に入り、「かかし祭」の準備を進めました。この「かかし祭」は、2012年から開催していますが、その究極の目的は、「都市の消費者と農村の生産者の顔の見える関係づくり」にあります。第1回目から、中心市街地にある「みつばち保育園」の園児・保護者・保育士の先生方、そして大津駅前の居酒屋「利やん」や京都四条の「串かつ おばんざい とんとん」のご常連および関係者の皆様にご参加いただいています。今年は、地元「北船路子供会」の子供神輿が、北船路の棚田をのぼりました。子供会のお子さんたちに加えて、「みつばち保育園」の園児さんたちも参加されました。また、数十年前になくなってしまった「虫送り」の行事の再現も行われました。

■はたしてどうなるのか…と心配していた学生たちの運営も、なんとか無事にうまくいきました。「北船路米づくり研究会」の活動はゼミ生による活動であり、個人の自由意志のもとで運営されています。もちろん、ゼミの活動だから…ということで、ゼミ仲間との付き合い…という感じで隅っこのほうに参加している学生もいるかもしれません。様々な動機で参加しており、活動に対する熱心さにも差があります。その一方で、地域の皆さんと連携しながら、学外で行う取り組みについては、チームとして一定の結果が求められますし、個々人の責任感も求められます。そのためには、当然のことながら集団としての能力(チーム力)が必要になります。指導する教員としては、集団の凝集性を高めていくことや、集団としての能力(チーム力)を高め、それを継承していくことの難しさをいつも感じています。とはいえ、前日のミーティンクでは、良い意味での緊張感が感じられました。それぞれが、「かかし祭」全体のなかで自分が何をすべきなのかをきちんと理解し、チーム全体で「かかし祭」を成功させようとする気持ちから生み出される緊張感です。とはいえ、北船路の関係者の皆さん、そしてご参加いただいた皆さんのご協力とご支援があったからこそ、なんとか無事に終えることができたわけです。
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■「かかし祭」では、大津から伊吹山まで広がる琵琶湖のパノラマ風景を、棚田のてっぺんから堪能したあとは、保育園グループと一般参加者グループに分かれて村内ツアーに出発します。一般参加者のグループでは、まず「龍大米」を生産している現場を訪れました。「龍大米」(天日干し)は、今年の秋の「北船路野菜市」で販売する予定になっていますが、その生育状況をご覧いただきました。そのあとは、「龍大芋」(里芋)の畑、そして純米酒「北船路」の酒米を生産している水田を見ていただきました。酒米の水田では、参加者の皆さんに純米吟醸酒「北船路」の試飲もしていただきました。そして、「北船路野菜市」に野菜を出荷していただいている協力農家の畑を訪ね、お話しを伺いました。野菜のプチ収穫体験もさせていただきました。最後は、琵琶湖畔にある指導農家である吹野さんの宅の庭で、BBQの交流会を楽しみました。保育園グループも、園児さんたちが田植を体験した水田、里芋畑を見学したあと、同じく、吹野さんのお宅の庭でお楽しみ会をもたれました。

■今回は、研究会OBも参加してくれました。昨年のリーダーで、今年の3月に卒業して姫路で働いている枡田くんです。しかも、仕事の関係で交流会には参加できず、ツアー終了後には姫路に帰宅しました。枡田くんは、第1回目の「かかし祭」から参加しています。この農村-都市交流イベントに対する強い思いがあるのでしょう。実は、第1回目のときのリーダである岩崎くんも参加したかったとのことですが、名古屋在住で仕事との調整が難しく、来ることができませんでした。岩崎くんは第1回目のリーダーですから、「新しく立ち上げる苦労」がありました。大変だったと思います。枡田くんは、岩崎くんをサポートしながら、その苦労を経験しています。だからこそ、2人は遠くから後輩たちの活動を心配してくれているのです。こういう卒業生が彼ら以外にもたくさんいます。そういう先輩たちの存在を、心の底から嬉しく思っています。卒業生の皆さん、今回は来れなくても、何かの気楽に機会にやってきてください。

【追記1】■学生にこう尋ねました。「それにしても、地域の皆さんは、私たちのような拙い活動に、よくおつきあいしてくださっているな~と思ったことはありませんか」。学生の皆さんには、「ご縁」と「感謝の気持ち」を大切にしてほしいということです。なんだか宗教っぽい感じに聞こえるかもしれません。実際、龍谷大学に勤務して、浄土真宗のことを自分なりに勉強しつつ、地域づくりや地域活性化について考えたり活動したりするうちに、そう思うようになりました。ただし、大切な「ご縁」に気がつくって、なかなか難しいことなのです。自分が活かされている、あるいは自分を励ましてくれている、支えてくれている「社会的ネットワーク」…といってもよいのかもしれません。その「ご縁」に支えられていることがわかってきたとき、自然に「感謝」の気持ちになれます。人は1人ではなにもできません。そうすると、すごくハッピーな感覚で心が満たされます。また、一方的に活かされているだけでは、済まなくなります(ある意味で、自分だけ得をしておくことはできなくなります)。このあたりが大切なことかなと思います。

■これは「贈与論」にもかかわる問題です。「贈与論」などという言い方はされませんが、地域づくりに取り組んでおられる方達がよく言われる「街のため」「村のため」にという発想も、同様の意識にもとづいておられるように思います。けっして、「街のため」「村のため」に嫌々渋々地域づくりに取り組まれているのではありません。また、単純に、個人的な充足感や達成感を求めて地域づくりに取り組まれているのでもありません。大津の中心市街地でお世話になった方がおっしゃっていましたが、「街が自分を育ててくれた。こんどは、自分が街のお世話をする番だと思って…」。ここには、世代を超えた「贈与」の論理を垣間みることができるのです。

【追記2】■「北船路米づくり研究会」は、ゼミ活動の一環としておこなわれていますが、ゼミの評価とは関係ありません。また、単位にもなりません。このような事業に取り組むためには、「この事業が将来このように発展していって、地域社会が、将来、こういうふうになっていったら素敵だなな!!」という夢やビジョンが必要です。もちろん、自分たちの学年の代でできることには限りがあるので、「今はこんな小さなことしか(小さなモデル)できないけれど、これから引きついでくれる後輩たち、さらにはまだ見ぬ遠い将来の後輩たちが、この事業をさらに発展させていってくれる」という信念や信頼が必要になります。心配して様子を見に来てくれた卒業生の枡田くんや、後輩の活動を気にかけてくれている卒業生の皆さんは、おそらく、こういう考えをもっていてくれていると思います。だから、今でも後輩たちの活動を見守ってくれているのかなと思います。

■もうひとつ。この研究会の指導をしてくださっている農家の吹野さんからは、次のような話しを聞かせてもらいました。1人の3年生(男子)が、吹野さんにこのような話しをしてくれたというのです。その3年生も、他県の農村部の出身です。その農村部も北船路と良く似たコミュニティであると言う話しから、しだいに彼は夢を語りだしたそうです。自分は、地元を離れていても、将来の地元のために頑張れるようにこの研究会で経験を積んでおきたい。そして、地元の友人知人に対しては、「必ず地元に役立ついろいろな経験と知識を持って帰るから、待っておけ!」という気持ちなのだと眼をキラキラさせて語ったそうです(これは吹野さんの表現)。吹野さんは、ご自分の若いころの気持ちと似ているところがあると、とても喜んでおられました。交流会でアルコールが入っているとはいえ、なかなか頼もしいではありませんか。ここには、地元の課題に対するビジョンはまだ曖昧であるにしろ、確かな夢はありますね。こういうパターンも、素敵だなと思っています。

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