第3回「かかし祭」開催しました!!

20140901kakashi1.jpg20140901kakashi3.jpg
20140901kakashi2.jpg20140901kakashi4.jpg
■第3回「かかし祭」を、昨日8月31日に、大津市八屋戸にある北船路集落で開催しました。北船路の「農事組合法人 福谷の郷」、「北船路 中山間地域管理組合」、「北船路子供会」の関係者の皆さんには、ご協力とご支援をいただき心より感謝いたします。

■「北船路米づくり研究会」の学生たちは、前日30日から北船路に入り、「かかし祭」の準備を進めました。この「かかし祭」は、2012年から開催していますが、その究極の目的は、「都市の消費者と農村の生産者の顔の見える関係づくり」にあります。第1回目から、中心市街地にある「みつばち保育園」の園児・保護者・保育士の先生方、そして大津駅前の居酒屋「利やん」や京都四条の「串かつ おばんざい とんとん」のご常連および関係者の皆様にご参加いただいています。今年は、地元「北船路子供会」の子供神輿が、北船路の棚田をのぼりました。子供会のお子さんたちに加えて、「みつばち保育園」の園児さんたちも参加されました。また、数十年前になくなってしまった「虫送り」の行事の再現も行われました。

■はたしてどうなるのか…と心配していた学生たちの運営も、なんとか無事にうまくいきました。「北船路米づくり研究会」の活動はゼミ生による活動であり、個人の自由意志のもとで運営されています。もちろん、ゼミの活動だから…ということで、ゼミ仲間との付き合い…という感じで隅っこのほうに参加している学生もいるかもしれません。様々な動機で参加しており、活動に対する熱心さにも差があります。その一方で、地域の皆さんと連携しながら、学外で行う取り組みについては、チームとして一定の結果が求められますし、個々人の責任感も求められます。そのためには、当然のことながら集団としての能力(チーム力)が必要になります。指導する教員としては、集団の凝集性を高めていくことや、集団としての能力(チーム力)を高め、それを継承していくことの難しさをいつも感じています。とはいえ、前日のミーティンクでは、良い意味での緊張感が感じられました。それぞれが、「かかし祭」全体のなかで自分が何をすべきなのかをきちんと理解し、チーム全体で「かかし祭」を成功させようとする気持ちから生み出される緊張感です。とはいえ、北船路の関係者の皆さん、そしてご参加いただいた皆さんのご協力とご支援があったからこそ、なんとか無事に終えることができたわけです。
20140901kakashi5.jpg20140901kakashi6.jpg

■「かかし祭」では、大津から伊吹山まで広がる琵琶湖のパノラマ風景を、棚田のてっぺんから堪能したあとは、保育園グループと一般参加者グループに分かれて村内ツアーに出発します。一般参加者のグループでは、まず「龍大米」を生産している現場を訪れました。「龍大米」(天日干し)は、今年の秋の「北船路野菜市」で販売する予定になっていますが、その生育状況をご覧いただきました。そのあとは、「龍大芋」(里芋)の畑、そして純米酒「北船路」の酒米を生産している水田を見ていただきました。酒米の水田では、参加者の皆さんに純米吟醸酒「北船路」の試飲もしていただきました。そして、「北船路野菜市」に野菜を出荷していただいている協力農家の畑を訪ね、お話しを伺いました。野菜のプチ収穫体験もさせていただきました。最後は、琵琶湖畔にある指導農家である吹野さんの宅の庭で、BBQの交流会を楽しみました。保育園グループも、園児さんたちが田植を体験した水田、里芋畑を見学したあと、同じく、吹野さんのお宅の庭でお楽しみ会をもたれました。

■今回は、研究会OBも参加してくれました。昨年のリーダーで、今年の3月に卒業して姫路で働いている枡田くんです。しかも、仕事の関係で交流会には参加できず、ツアー終了後には姫路に帰宅しました。枡田くんは、第1回目の「かかし祭」から参加しています。この農村-都市交流イベントに対する強い思いがあるのでしょう。実は、第1回目のときのリーダである岩崎くんも参加したかったとのことですが、名古屋在住で仕事との調整が難しく、来ることができませんでした。岩崎くんは第1回目のリーダーですから、「新しく立ち上げる苦労」がありました。大変だったと思います。枡田くんは、岩崎くんをサポートしながら、その苦労を経験しています。だからこそ、2人は遠くから後輩たちの活動を心配してくれているのです。こういう卒業生が彼ら以外にもたくさんいます。そういう先輩たちの存在を、心の底から嬉しく思っています。卒業生の皆さん、今回は来れなくても、何かの気楽に機会にやってきてください。

【追記1】■学生にこう尋ねました。「それにしても、地域の皆さんは、私たちのような拙い活動に、よくおつきあいしてくださっているな~と思ったことはありませんか」。学生の皆さんには、「ご縁」と「感謝の気持ち」を大切にしてほしいということです。なんだか宗教っぽい感じに聞こえるかもしれません。実際、龍谷大学に勤務して、浄土真宗のことを自分なりに勉強しつつ、地域づくりや地域活性化について考えたり活動したりするうちに、そう思うようになりました。ただし、大切な「ご縁」に気がつくって、なかなか難しいことなのです。自分が活かされている、あるいは自分を励ましてくれている、支えてくれている「社会的ネットワーク」…といってもよいのかもしれません。その「ご縁」に支えられていることがわかってきたとき、自然に「感謝」の気持ちになれます。人は1人ではなにもできません。そうすると、すごくハッピーな感覚で心が満たされます。また、一方的に活かされているだけでは、済まなくなります(ある意味で、自分だけ得をしておくことはできなくなります)。このあたりが大切なことかなと思います。

■これは「贈与論」にもかかわる問題です。「贈与論」などという言い方はされませんが、地域づくりに取り組んでおられる方達がよく言われる「街のため」「村のため」にという発想も、同様の意識にもとづいておられるように思います。けっして、「街のため」「村のため」に嫌々渋々地域づくりに取り組まれているのではありません。また、単純に、個人的な充足感や達成感を求めて地域づくりに取り組まれているのでもありません。大津の中心市街地でお世話になった方がおっしゃっていましたが、「街が自分を育ててくれた。こんどは、自分が街のお世話をする番だと思って…」。ここには、世代を超えた「贈与」の論理を垣間みることができるのです。

【追記2】■「北船路米づくり研究会」は、ゼミ活動の一環としておこなわれていますが、ゼミの評価とは関係ありません。また、単位にもなりません。このような事業に取り組むためには、「この事業が将来このように発展していって、地域社会が、将来、こういうふうになっていったら素敵だなな!!」という夢やビジョンが必要です。もちろん、自分たちの学年の代でできることには限りがあるので、「今はこんな小さなことしか(小さなモデル)できないけれど、これから引きついでくれる後輩たち、さらにはまだ見ぬ遠い将来の後輩たちが、この事業をさらに発展させていってくれる」という信念や信頼が必要になります。心配して様子を見に来てくれた卒業生の枡田くんや、後輩の活動を気にかけてくれている卒業生の皆さんは、おそらく、こういう考えをもっていてくれていると思います。だから、今でも後輩たちの活動を見守ってくれているのかなと思います。

■もうひとつ。この研究会の指導をしてくださっている農家の吹野さんからは、次のような話しを聞かせてもらいました。1人の3年生(男子)が、吹野さんにこのような話しをしてくれたというのです。その3年生も、他県の農村部の出身です。その農村部も北船路と良く似たコミュニティであると言う話しから、しだいに彼は夢を語りだしたそうです。自分は、地元を離れていても、将来の地元のために頑張れるようにこの研究会で経験を積んでおきたい。そして、地元の友人知人に対しては、「必ず地元に役立ついろいろな経験と知識を持って帰るから、待っておけ!」という気持ちなのだと眼をキラキラさせて語ったそうです(これは吹野さんの表現)。吹野さんは、ご自分の若いころの気持ちと似ているところがあると、とても喜んでおられました。交流会でアルコールが入っているとはいえ、なかなか頼もしいではありませんか。ここには、地元の課題に対するビジョンはまだ曖昧であるにしろ、確かな夢はありますね。こういうパターンも、素敵だなと思っています。

管理者用