金才賢先生(韓国・建国大学)の来日
■金曜日、土曜日と、韓国の建国大学の金才賢先生と、先生が指導されている2人の大学院生が滋賀県内の団体に関して聞き取り調査をされました。私は、今回の聞き取り調査のアレンジをするとともに、同行させていただくことにしました。
■もっとも、聞取り調査の対象の1つは、ゼミでおこなっている「龍谷大学・北船路米づくり研究会」でした。農村(生産者)と都市(消費者)の「顔のみえる関係」づくりを課題として活動している研究会が、どのように社会的なネットワークを拡大していったのかという点に関して、関係者や研究会とつながっている方たちからお話しをうかがいました。もちろん、私も、いろいろお話しをさせていただきました。純米吟醸酒「北船路」でお世話になっている「平井商店」の平井弘子さん、「大津の町家を考える会」の野口登代子さん、鮒寿司の「阪本屋」の内田健一郎さん、これから滋賀の農産物を活かした石釜ピザの店を開店される「Ishigama」の堀昭一さん、 「北比良グループ」の山川君枝さん、北船路の「農事組合法人福谷の郷」の音島良治組合長、研究会の顧問でもある吹野藤代次さん。皆様いろいろお世話になりました。ありがとうございました。
■ひとつのゼミの小さな小さな活動ですが、農村(生産者)と都市(消費者)の「顔のみえる関係」づくりを忘れずに活動をしてきました。カリキュラム外での取り組みです。評価も単位もありません。あくまで学生の自主性だけで運営されています。大学からの財政的な支援もわずかです。ですから、なんらかの助成金が必要になります。その申請書類の作成、プレゼンテーション、中間発表、最終報告…。私が知る学生の地域連携活動としては、かなり高いレベルを求められているのではないかと思います。学生たちの苦労は多いと思いますが、やりとげたときには深い達成感もあるでしょう。しかし、研究会の活動がとまってしまうのではないか…と危惧するような状況が何度もありました。
■この研究会の活動に関して、金先生の質問で私がとても印象的だったことは、「農村の方は、学生たちにどのように『夢』を与えることができていますか?」という質問でした。学生たちは、なんらかのスキルが身に付くとか、コミュニケーション能力が高められるとか、そのような小さな個人的な利益との「交換」で研究会の活動をしているわけではありません。もし、そういう学生がいたとしても、そのような学生は長続きしません。研究会の活動の発展に貢献できません。そのような学生が多くなれば、研究会の活動も持続しなくなります。すぐに息切れをしてしまいます。研究会のひとつひとつの活動が、社会的にどのような意味をもっているのか、その点に関して常に学生自身が確認し続けることも必要なわけですが、同時にそれらの意味は「他者」から「贈与」され続ける必要もあると思うのです。そのことが金先生の質問の根っこにあったと思われます。「交換」の原理にもとづくネットワークは持続性が弱い。「モノ」や「サービス」が動く事業系の地域づくり活動であっても、表面的な「交換」とは別に、その底には「贈与」の原理が動いている必要があります。
■土曜日は、東近江市と多賀町を中心に、森林とともに豊かに暮らしていける未来をめざし、人の営みと森林が結びつくカタチをていねいに育てるプロジェクトに取り組む「 一般社団法人 kikito」の、山口美知子さん、大林恵子さん、平居晋さん、 伴政憲さん、田中一則さん、5名のみなさんからお話しを伺いました。「kikito」に関しても、どのように社会的なネットワークを拡大していったのかという点に関してお話しを伺わせていただきました。私自身もとても勉強になりました。ありがとうございました。今後とも、どうかよろしくお願いいたします。
■「kikito」に関しては、パソコンをひろげて真剣にメモをとっていました。ところが、そのファイルが消えてしまった…ショックです。「kikito」のことは、『地域再生滋賀の挑戦 : エコな暮らし・コミュニティ再生・人材育成』(近江環人地域再生学座 編 ; 森川稔 責任編集)のなかに、山口美知子さんが「湖東地域材循環システム協議会(kikito)の挑戦」を書かれていますが、特に印象に残っていることを少し書いておきたいと思います。「kikito」の活動は、異業種の人たちによる研究会から始まっています。特定の業種の人たちだけではなく、森林を所有している人、林業の仕事をする人、行政、建築家…。通常は、みなさん自分の立場から木材のことを考えているわけですが、研究会でコミュニケーションを継続するうちに、それまでの自分のものの見方・考え方が相対化されるようになったのだそうです。自分の利益や自分の都合ばかりを主張する、そのような自己のあり方を相対化されたのです。別の言い方をすれば、この研究会の活動を通じて、森林の諸課題を、「私も含めた私たちの課題」として、あるいはより高い公共性を伴ったこれまでとは少しズラした視点をから捉えられるようになった…といってもよいかと思います。それまでは、地域社会で働き、森林や森林資源について考えながらも、出会うことがなかった人たちがつながることで、原木の調達からストックまで、地域材を無駄なく、無理なく有効利用するための仕組みづくりを行うことができるようになったのです。そのような仕組みのなかで「地域“財”を活かした商品開発」、「森林整備に貢献する紙製品の開発」、「びわ湖の森CO2」対策、「森林を活かせる人材の育成」等に取り組んでおられます。このような取り組みのなかで、「kikito」は、「行政」にも「市場」にもできないことをやろうとしておられます。お話しを伺うなかで、いろんな意見を聞かせていただきました。ひとつは、今は補助金や助成金も使ってこのような仕組みを動かしているけれど、もっと経営的にも自立度を高めていくべきというものです。それに対して、行政にも市場にもできない隙間の課題を一般社団法人として取り組んでいるのだから、そこに社会的な費用が投入されていもよいのではという意見も聞かせていただきました…。う〜ん、メモが消えてしまったので、ずいぶんズレたことを書いてしまっているかもしれません。ああ、それにしても、メモのファイルが消えてしまったことはショックです。
■「kikito」での聞き取り調査を終えたあと、金先生たちと一緒に彦根城の見学をして、いつもの大津駅前の居酒屋「利やん」に移動して夕食をとりました。打ち上げです。土曜日ですが、たくさんの知り合いの方達がお店におられました。びっくりです。「利やん」は、私にとって人との「つながり」=ネットワークを生み出していくうえで、とても重要な場所であるです。金先生にも、そのことを理解していただけたのではないかと思います。ところで、金先生はお酒をお飲みになりません。そのかわり、大学院生の女性お2人が酒をつきあってくださいました。日本の若い女性だと、甘目のお酒…ということになるのですが、このお2人はそれは嫌いなのだそうです。ということで、芋焼酎を、ストレートやロックで楽しんでおられました。お強い。すごいですね〜。酒飲みのおじさんとしては、とても嬉しくなりました。
■大学院生のJumi Kimさんが、facebookで楽しい動画を作成してプレゼントしてくれました。
【追記1】■「kikito」の聞き取り調査を終えたあと、facebookで「kikito」のメンバーの方達とメッセージのやり取りをしました。そのなかで、金先生がかかわっておられる韓国のコミュニティビジネスセンターに関心があるという話しから、それなら有志で韓国に視察と聞き取り調査にいってみようという話しになりました。金先生とは、日韓でお互いに交流しながら学びあっていこうという約束をしたので、きっとおもしろい展開になるのではないかと思います。
【追記2】■金先生や院生の方達には、仁川にあるピザ店のことを教えてもらいました。まだ、よくわかっていませんが、面白いお店なのだそうです。ちょっと調べてみます。
「龍大芋」のから揚げ
研究会が北船路の棚田で生産した里芋、「龍大芋」として、京都や大津の飲食店のお料理でお使いいただいています。本日ご紹介するのは、大津駅前の居酒屋「利やん」(としやん)さんです。写真をご覧ください。里芋の唐揚げです。あらかじめ、出汁につけて薄味をつけた里芋の表面に粉をつけて揚げたものです。表面はカリッとしていますが、中身は里芋特有のねばりがあります。「龍大芋」の美味しさをこういう形で引き出していただきました。ありがとうございました。
■上記の写真と文章は、facebookに投稿したものです。ブログでは、裏話をさせていただこうかと思います。大津駅前の居酒屋「利やん」、私にとって、人と会うときには「異業種交流の場」や「応接間」となり、個人的には「憩いの場」ということになります。マスターや常連のお客さんの皆さんとも気楽に気安くおつきあいをさせいただけます。そういう「場所」がきちんとあることを、私自身は大変幸せなことだと思っています。
■その「利やん」で、マスターからちょっと言われました。「他所のお店で『龍大芋』を使った料理は紹介しても、うちの料理は紹介してれないの…」。ちょっと、まあ、そういったご指摘をいただきました。良い写真がなかったので、慌てて学生から一枚LINEで送ってもらいました。本当に申し訳ありませんでした。
■昨日は、料亭「大津魚忠」さんに、懐石料理のコースの一品として研究会で生産したて「龍大米」のご飯を出していただいている話題をエントリーしました。いろんなお店が「北船路米づくり研究会」のことを応援してくださっています。本当にありがとうございます。これからも、「農・商・学」連携のネットワークが拡大していくように頑張ってまいります。
【追記】■以下は、関連エントリーです。私と居酒屋「利やん」との関係について述べています。こちらもぜひお読みください。
料亭「大津魚忠」さんと「龍大米」
■今日、通勤中、facebookを眺めていると、大津の中心市街地にある料亭「大津魚忠」さんのページに、ご飯の写真がアップされ、次のような文章がそえられていました。
龍谷大学「北船路米づくり研究会」の学生さん達が作られた「龍大米」。〆のご飯ではなく、懐石コース料理のメインの1品として食べて頂きました。石釜で炊きたての龍大米と、焼いた鰻を少し山椒風味にふんわり炊きお気に入りの器に贅沢に並べおすすめしました。
皆様おかわりで完食!元気なお米です。大津魚忠
TEL077-522-4428
大津市京町2-4-10
http://uochuu.jp/
■ゼミでおこなっている「北船路米づくり研究会」では、京都市の四条にある「串かつ おばんざい とんとん」さんと「みます屋DELI」さん、大津市の中心市街地にある居酒屋「利やん」さん、以上の3軒のお店に、学生たちが生産した米と里芋を、それぞれ「龍大米」そして「龍大芋」としてご購入いただき、お店の料理に使っていただいてきました。関係者の皆様、本当にいつもありがとうございます。
■今年の秋からは、以上の3軒のお店に加えて、料亭「大津魚忠」さんにも「龍大米」と「龍大芋」を使っていただけることになりました。今年の春だったと思いますが、「大津魚忠」の社長さんと街中で偶然にお会いしました。以前からも、「大津エンパワねっと」等で学生たちがお世話になっていたこともあり、少しだけ立ち話しをさせていただきました。そのさい、「龍大米はまだ残っていますか?地元の食材を使いたいのです」とおっしゃられたのです。「龍大米」は、北船路の棚田の一番てっぺんの田んぼで生産されています。比良山系(蓬莱山)のきれいな山水が一番最初に入る田んぼです。しかも棚田ですから、寒暖の差が大きく、小粒ですが味の濃い米に仕上がります。なおかつ、私たちは、それを天日干しにして精米しています。甘みがますように思います。社長さんは、そのことを人づてにお聞きになっておられました。
■その時は、残念ながら「龍大米」はすでに売り切れていました。生産量が少ないので、新米の段階ですぐに売り切れてしまうのです。「申し訳ないですが、次の収穫のときには、お知らせいたします」とお約束させていただき、今月、お店のほうにお届けすることになったのです。今回は、facebookの文章にもお書きいただきましたように、「〆のご飯ではなく、懐石コース料理のメインの1品として」出していただきました。これは、本当に嬉しいことです。
■「北船路米づくり研究会」では、上記の「串かつ おばんざい とんとん」さん、「みまつ屋DELI」さん、「利やん」さん、「大津魚忠」さんに加えて、地酒のプロデュースでは、酒造会社「平井商店」さんにもお世話になっています。さらに、鮒寿司の老舗「阪本屋」さんや、市内で滋賀の食材を使った石釜ピザのお店を開店される「ishigama」さんとのコラボも進みつつあります。一般の消費者の皆さんを対象とした月1回の「北船路野菜市」や、9月に開催する農村・都市交流イベント「かかし祭」の他に、このような「農・商・学」連携も積極的に進めていきたいと思っています。
大津市パワーアップ・市民活動応援事業「中間報告会」
■本日、大津市パワーアップ・市民活動応援事業「中間報告会」が、大津市役所で開催されました。「北船路米づくり研究会」からは、4年生2人(鶴井志帆さんと冨田幸代さん)と3年生1人(小林風花さん)が報告しました。また、報告の応援にも2人(小西 悠介くんと渡邊悠椰くん)の3年生が駆けつけました。事前に準備をきちんとして「中間報告」にのぞんだこともあって、無事に報告を終えることができました。審査委員の皆さんからも、好意的な質問や評価をたくさんいただくことができました。今年度の後半も、予定とおり事業を実施していければと思います。
■委員会の質問は記憶する限り、以下のようなものでした。
・学生が、生産者から地域へのフローをつくってこられた。どういう経験をスキルを獲得したのか?
・おもしろい事業だ。「龍大米」、「龍大芋」、商標登録をしてブランディングしていく予定は?
・学生が生産者と消費者の媒体役になっている。非常におもしろいことだ。パワーポイントの画像のかなで、日本酒にかかわっている県内の他大学と交流していた。他大学の取り組みで、参考になったことはなにか?
・非常に楽しい事業だ。特に、北船路の皆さんが学生をむかえて、どのように反応をされているのか?
■報告会のあとは、別室に移動し、意見交換会が開催されました。別室に移動するときに、1人の学生と一緒に話しをしましたが、審査委員の皆さんからの鋭い質問に「緊張感がありますね…」と驚いていました。申請書を書いて、プレゼンテーションをして、審査を受けて、助成金をいただき、中間報告をして…という一連の活動に参加すること自体が、学生にとっては大きく成長していくチャンスになるのではないかと思います。もちろん、地域のなかで、地域の人びと一緒に課題を共有し、その課題解決のための活動に取り組み、その取り組みから生まれた成果を共有していく等、活動のプロセスや実質性が大切なのですが、こういう助成に応募することは、活動資金の獲得ということを超えて、そのような活動の実質性を担保するうえでも重要ことなのかなと思っています。
■意見交換会の様子です。「北船路米づくり研究会」のメンバーたちは、「お野菜大学」という取組をされているFくん(理工学部4年生、「お野菜大学」学長)と一緒のテーブルでした。両グループとも、「パワーアップ・市民活動応援事業」の「学生部門」でエントリーしたからです。左上の写真。中間報告をおこなった7団体は、お互いに他の団体の報告を聞いたうえで、「ここがこの活動のすてきなたころだ」と評価できる点や、「こうしたらもっと素晴らしくなるよ」ということに関して短いコメントをポストイットカードに書込み、それぞれのグループのテーブルの上の模造紙に貼付けていきました。そのコメントを読んだ上で、それぞれのテーブルでディスカッションが始まりました。「学生部門」のテーブルでは、審査委員の方や、市役所の自治協働課の職員の方たちの「まちづくり」への熱い思いに、やや圧倒され気味ではありましたが、良い刺激を受けることができたのではないかと思います。最後は、そのディスカッションの結果を報告しました。こういった他団体との交流や意見交換は、お互いにとって良い刺激になりますね。私はあくまでオブザーバーですが、拝見していて、そのように思いました。
■報告会や意見交換会が終了したあと、学生たちに、「お疲れさま〜。みんなを慰労したいと思うけど、くる?」と聞いたところ、全員が飛びついてきました。ということで、大津駅前の居酒屋「利やん」に移動しました。そこでも、ちょっとびっくりすることが。浜大津駅から「利やん」まで、歩きながら学生と雑談をしていました。そのさい、前日に「大阪マラソン」を完走された原田先生のことを話題にしていました。なんと、「利やん」にいくとその原田先生がおられたのです。びっくりですね〜。フルマラソンを完走されて、お酒を解禁にされたようです。しかも、もうひとつ、びっくりすることが。
■原田先生が帰宅されたあと、入ってこられたグループが、中間報告をした4年生Tさんの内定先の企業の方たちでした。これには、Tさん本人もびっくりです。じつは、この会社には、龍谷大学を卒業された先輩Nさんが入社されています。しかも、この先輩は大津エンパワねっと1期生(内定をいただいているTさんは5期生)。Nさんは、時々、職場の皆さんと「利やん」に来られているので、Tさんには「入社したら、君もきっとこの店にたびたび来ることになるで〜」といっていたのです。するとそのすぐあとに、Tさんの内定先の方たちがお店に入ってこられた…というわけです。いろいろありますね〜。写真は、瀬田方面に帰宅する3年生のKさんです。ちょっと寒そうです。
【追記】■Tさんが内定をいただいた企業の皆さんと名刺交換をしました。Tさんをよろしくお願いいたしますというゼミ教員としての気持ちも込めて、皆様に御礼のメールを送らせていただいたところ、お返事をいただけました。そのお返事のなかには、「地域との連携に注力されておられ、Tさんには今の活動を通じて、色んな経験をされて入社されて来られるんだなとうらやましい気持ちになりました」と書いておられました。「北船路米づくり研究会」に関わらず、「大津エンパワねっと」においても、「私たちの学生時代は、このような活動なんてなかった。今の学生さんたちが羨ましい」ということを、しばしば言っていただきます。いずれも社会人の皆さんからのコメントですが、学生時代に、地域連携のなかでいろんな経験をしておくことが大切だ、将来その経験がきっと役に立つ…と皆さん思っておられるのです。学生の皆さんには、そのことをぜひ知ってほしいと思います。
脇田ゼミ8期生・米研2期生の同窓会
■少し前のことになりますが、「北船路米づくり研究会」2期生、脇田ゼミ8期生の学年が、指導農家である吹野さんのお宅に集まって同窓会をもちました。出張や出勤のため、集まったのは6名。社会人になって2年目の皆さんです。私自身は別用があり、残念ながら参加できませんでしたが、こうやって写真を送ってくれました。
■日本の農村地域には、「親子関係でない者が,命名・成人・結婚などの機会に仮の親子関係を取り結ぶこと」があり、それを「親子成り」と呼びます(擬制的親子関係)。実の親とは別に、社会的に若者を支えていく年長者が後見人になっていく仕組みですが、学生たちと吹野さんとの関係は、そのような伝統的な「親子成り」の関係に少し似ているような気がしました。吹野さん、いつもありがとうございます。
■2期生は、現在、「北船路米づくり研究会」の活動の基盤となっている「北船路野菜市」と「かかし祭」を立ち上げた学年です。後輩たちは、2期生の成果を発展させていっています。
第31 回「北船路野菜市」
■本日は、第31回「北船路米づくり研究会」でした。2011年の9月に始まった「北船路野菜市」ですが、夏野菜と秋・冬野菜の生産の端境期である4月と9月や、特別な事情があって休んだときを除いて、先輩から後輩へと引き継ぎながら毎月1回、第3土曜日に開催してきました。今年の6月からは、「(株)まちづくり大津」さんや「中心市街地活性化協議会」さんのお誘いで、第4土曜日に開催される「大津百町市」のなかで開催させていただけるようになりました。31回続けてくることができたのも、じつに多くの皆さんのおかげです。本当にありがとうございます。
■今年の6月には、「北船路野菜市」はリニューアルしました。野菜については、北船路の協力農家の皆さんに出荷していただいていますが、リニューアルにともない、それぞれの農家の方専用のカゴを用意し、そこに「農家さんカード」を取り付け、どのような思いで生産されているのかをより消費者の皆さんに伝えられるようにしました。「生産者と消費者の顔の見える関係」をより太くしていくための学生たちのアイデアです。また、北船路での農作業の様子をお伝えすることや、美味しい料理の仕方などの情報についても提供できるようにしました。これも学生たちのアイデアです。少し、店先が洗練された感じになってきました。
■今回は、研究会で生産した「龍大米」(コシヒカリ)と「龍大芋」(サトイモ)も販売させていただきました。「龍大米」については、京都や大津の飲食店で使っていただいていますが、今日は、そのようなお店に「龍大芋」も配達させていただきました。大津の中心市街地にある居酒屋「利やん」さんと、懐石料理「魚忠」さんに、「龍大芋」をお届けしました。実際に、お店に出す料理に使っていただきます。北船路の棚田は、里芋の生産に適しているようで、ねばりがあり、煮崩れのしない、美味しい里芋ができます。そのことを評価してただきました。少しずつですが、研究会の活動の成果が生まれてきました。
■今日は、素敵なコラボもおこなわれました。滋賀の食材をつかった石釜ピザを販売される「Ishigama」さんが、「北船路野菜市」の横のスペースで、焼きたてのピザの出張販売をされました。大津百町館のなかに臨時の石釜を設営されてピザを焼く作業をされていました。こちらは、今年中に、「地域食財(特産)」×「石窯ピザ」により、大津の商店街の裏道にある隠れ家的な石窯ピザ屋を開店させようと頑張っておられる方達です。今回は、北船路の野菜(ジャガイモとタマネギ)を使っていただきました。ありがとうございます。今後とも、「ishigama」さんとは、良い連携ができればと思っています。写真の最後ですが、「北船路米づくり研究会」の活動のためにスペースを提供してくださっている「大津百町館」(大津の町家を考える会)の雨森さんです。焼きたてのピザ、そして同時に発売されたスパークリングワインで上機嫌にされているところです。美味しそうだ。
赤松学長に活動報告
■今年も、赤松学長に、「北船路米づくり研究会」の活動報告をさせていただきました。赤松学長には、3年生の代表である小西くんと副代表の小林さんから、龍大米と龍大芋が届けられました。小西くんも小林さんも学長にお会いするということで、大変緊張していましたが、無事に報告を終えることができました。いろいろ、個人的に「予行演習」をしてきたのかもしれませんが、うまくいったのかな。
■今日の活動報告については、龍谷大学のホームページの「大学紹介」>「学長の動き」で紹介されるかもしれません。
【追記】■「学長の動き」の10月23日に、予想とおり掲載していただきました。
お米が届きました!!
■ゼミで行っている「北船路米づくり研究会」関連。指導農家である吹野藤代次さんから、研究会のメンバーであるゼミ生に「お米」が届きました。配達の予定がなくなったお米を、学生のためにと送ってくださったのです。吹野さん、ありがとうございます。いただいたお米を、郵便用の秤ではかり、二重にしたナイロン袋に入れていきました。この作業を、3年生のゼミ生たちがやってくれました。ご苦労様。テープルの上のものは、4年生に渡されるお米です。
■今回は、指導農家さんからのプレゼントでしたが、「学生とお米」というキーワードから、私は「奨学米」のことを連想しました。「奨学金を”お米”に置き換えて、農家が学生を食生活の面でサポートする」という趣旨の取り組みです。「奨学米」については、ちゃんとサイトがあります。株式会社奨学米という会社組織で運営されています。イベントの企画、運営、インターネットを利用した食品等の販売をされている会社ですが、「内閣府認定農村六起第一回ビジネスコンテスト」でも、支援対象事業に認定されているようです。さて、「奨学米」の取り組み、この会社では次のように説明しています。
奨学米とは奨学金を“お米“に置き換えて 農家が学生にお米を無償で提供し 食生活の面でサポートする仕組み。その代わりに 学生はお米をご提供いただいた農家の農業のお手伝いや地域のイベントに参加することで還元していきます。奨学米で学生・農家のつながりを創り互いの未来を育てて行きます。
VISION〝もう一つの実家をツクル”
自分は何を食べているのか、自分が食べているものはどこで作られているのか若者は自分の食事に責任を持ち始めている。真摯にお米作りに取り組む農家とこれからをつくる学生を繋ぎ、 相互理解の信頼関係を築くことで長期的に食材を購入したり、農家に遊びに行けるような、もう一つの実家を奨学米を通じて創っていきます。MISSION
-農家がお米を提供し、食生活の面で学生を支え、学生の夢や目標を支援する
-農家と学生を結びつけ、農家が真摯に作ってきた日本人のソウルフードである〝お米”の大切さを伝える
-互いの顔が見える新たなコメ文化を構築し、長期に渡り交流でき、食材を購入できる信頼関係を築く事で、〝もう一つの実家をツクル”
■「モノ」(米)と「労働」(若者の力)の「交換」をベースにしながらも、そこにあたかも「擬制的親子」の関係をつくっていくような取り組みに思えました。「擬制的親子」とは堅い学術用語ですが、一般には「親分子分」や「オヤコ」ともいわれます。実際の親子ではないのに、あたかも親子の関係を設定して、親(親方)になった年長者は子(子方)になったを若者を社会的に支援(庇護)します。また、逆に、子の方は、親にいろいろ奉仕する、そういう関係です。社会保障の制度が不十分であった時代、こういう擬制的親子は、ローカルな社会を安定させることができたのでしょう。地方によっては、烏帽子親と呼ばれることもあります。これは、ある北陸の農村の話しですが、役所が、都会の学生が研修に村にやってくるプログラムを進めようとしたところ、村人が不安がったので、「まあ、烏帽子親になってもらうようなことですよ」というと、深く納得された…という話しを聞いたことがあります。この「奨学米」の事業のなかにも、同様の発想があるように思いました。
イベント「町家×日本酒×学生」
■昨日は、「町家×日本酒×学生」というタイトルの素敵なイベントが、彦根市の「彦根古民家 ごはん家くまくま」で開催されました。主催は、「小江戸ひこね町屋活用コンソーシアム事務局」さんです。イベントの内容は、以下の通りです。
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大津・彦根・長浜で、町家の活用、日本酒づくりに取り組んでいる滋賀県各地の大学の学生と教員がそれぞれの取り組みをご紹介。終わった後は、ざっくばらんに交流会を実施します。もちろんおいしいお酒もありますよ。
町家やお酒、学生の活動などに興味のある方は、ふるってご参加、よろしくお願いします。
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■参加したのは、龍谷大学、長浜バイオ大学、滋賀県立大学の関係者の皆さんです。龍大の活動については、私がお話しをさせていただきました。大津市内の町家キャンパス「龍龍」を拠点とした中心市街地での「大津エンバワねっと」に取り組くみについて。そして、「北船路米づくり研究会」が、農村・北船路と蔵本・平井商店とをつなぎ、吟醸純米酒「北船路」をプロデュースしたこと。以上の2点についてお話しをさせていただきました。「北船路米づくり研究会」からは、ゼミ生のIくんが参加してくれました。また、平井商店の平井弘子さんや、先日の稲刈りのときに参加してくださった堀昭一さんも参加してくだいました。長浜バイオ大学からは、松島三兒先生とバイオ大学の学生の皆さんが、長浜市内の町家キャンバスを拠点に活動されている様々活動について紹介されました。この冬には、長浜市の農家と長浜バイオ大学や地元のまちづくり団体の連携により、新しい地酒がプロデュースされる予定です。滋賀県立大学からは、「滋賀県立大学日本酒プロジェクト」の皆さんや、卒業生の皆さんが活躍されている「小江戸ひこね町屋活用コンソーシアム事務局」の活動が紹介されました。滋賀県立大学では喜多酒蔵さんと連携して、「湖風」という日本酒をプロデュースされています。この「湖風」、滋賀県内の大学発の日本酒として大先輩です。
■当日の様子は、京都新聞の記事になりました。「酒造で地域活性化奮闘 龍大・長浜バイオ大・滋賀県立大グループ」。各大学の取り組みの紹介が終わったあとは、いよいよ交流会です。平井商店からは、お店の方でも最後になってしまった純米吟醸無ろ過生原酒「北船路」と、純米吟醸「北船路」が卓上にならびました。喜多酒蔵さんからは「湖風」も用意されていました。それから、これから長浜バイオ大学関係者や農家と協力して日本酒を生産される冨田酒造さんからは、「七本槍」が登場しました。どの日本酒も、それぞれの味があり美味かったですね〜。このイベントを契機に、これから大学間の連携がより強化されていくとよいなと思います。
【追記】■今回は、滋賀県立大学の出身者の方達が、卒業後、地域社会のなかで活躍されていることを実感しました。地域の企業に就職したあとも、「何か地域社会で面白いことをしたい!!」というワクワクした気持ちのもとで、広い意味での地域活性化の活動に取り組んでおられるからです。その滋賀県立大学と比較したとき、我が龍谷大学社会学部はどうなんだろう…と、いろいろ思ってしまいました。おそらくは、参加したゼミ生のIくんは、たくさんの刺激を受けたのではないかと思います。長浜バイオ大学の松島先生は、「学生たちもほかの大学の学生たちとさっそく友達になっていました。さっと垣根が下がってネットワークができるのも、こうした会の醍醐味ですね。このネットワークがいつの日か、化学反応を起こすかもしれませんよ」と書いておられました。私も、そのような素敵な予感がします。