第32回「北船路野菜市」

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20141124kitafunaji5.jpg ■先週の土曜日、第32回「北船路野菜市」が開催されました。月1回開催しているこの野菜市も、これだけ回数を重ねてくると、少し迫力が出てきました。4月と9月を除く月ですから、特別の困った事情がないかぎり年に10回開催することになります。かりに、あと7年継続すると100回を超えます。そこまで継続できるのかどうか、今のところよくわかりませんが、とにかく成果が生まれる限り継続していきます。また、参加したい学生が次々とやってきてくれる限り継続します。

■今回も、近くにお住まいの一般の消費者の皆さんや、大津駅前の居酒屋「利やん」さんにご購入いただきました。さらに、これまた近くにある料亭「魚忠」さんにも里芋や赤ズイキ、そして季節の野菜をご購入いただきました。ありがとうございました。今回の赤ズイキは、芋付きでした。ズイキの芋は、きめの細かいねっとりとした食感があるそうで、サトイモとはまた異なった美味しさがあるといいます。「…あるそうで、」とか「…といいます。」と書きましたが、私自身がきちんと食べたことがないからです(おそらく…)。芋の上側、茎の方は、皮をむいて茹でて酢の物や漬け物にします。また、乾燥させた干しずいきにしてこれまた酢の物にして食べることが多いのだそうです。

■昨日は、たまたま、協力農家さんからこの赤ズイキの出荷がありました。一般のお客さんは、どうやって食べたらいいのなかわからないらしく、なかなか手が出ません。それに対して、さすがに料亭の板長さん(社長さん)は、反応が違います。あらかじめ注文のあった龍大芋(里芋)の配達と一緒に試しに見ていただいたのです。そうすると大変関心を示され、指導農家の吹野さんにいろいろお尋ねになったうえで、その他の野菜とともに購入されました。「いろいろ市内でも、珍しい、地元の野菜をつくっておられるのでしょうが、その野菜をどのように購入したらよいのか、私たちはよくわかりません。こうやって、農家とつないでいただけるとありがたいです」とおっしゃっておられました。板長さんの思いは、できるだけ地元の農家が生産された地元の農産物を使いたいということです。そのような思いから、私たちが生産した「龍大米」(コシヒカリ)もご購入いただき、懐石コースの中の一品としてお客様に提供していただきました

■こういうやり取りをしていたとき、板長さんと私たちのあいだに眼に見えないけれど、とても熱いものが流れているように感じました。「農産『物』」と「お金」を単に交換するという単純な関係ではありません。単なるウイン・ウインの関係…というものでもありません。料亭と私たちとの間に、「農産『物』」と「お金」の交換の根底のところで「贈与」の精神のよなうものが流れていると思いました。単に地元の野菜が入手できるということを超えて、学生が地域のために様々な挑戦をしていることを評価し応援していただいているのです。このことに対して、私たちは応えていかねばなりません。贈与とはいっても、同時に私たちは、「目に見えない何か重いもの」を背負うことになります。今回は、「北船路米づくり研究会」の活動目的である「農村(生産者)と街(消費者)の顔の見える関係づくり」を、また一歩進めることができたように思いました。いろんな方達に信頼していただくとともにご支援いただいくことによって初めて可能になる、このような関係を、これからも「感謝」の気持ちとともに大切にしていきたいと思います。

■さて、写真の説明をしておきます。【上段左】朝礼風景。指導農家の吹野さんから、この日、協力農家から出荷された農産物について説明が行われました。【上段右】これも朝礼風景。声出しの練習。大きな声で挨拶ができるようにと、兼業農家でビジネスマンでもある吹野さんの提案で、学生たちがこんなことを始めたようです。ちょっと照れくさそうですが、この日一日、笑顔で大きな声を出すことができました。笑顔と声…「地域づくり」の現場においては、とても大切なことです。【中段・下段】この日、出荷された野菜です。白・赤カブ出荷されました。人気がありますね〜。中断・右のカゴに入っている赤い長い農産物、これが赤ズイキです。上の説明にも書きましたように、料亭の「魚忠」さんにたくさんご購入いただきました。下段は、ミズナ、ホウレンソウ、コマツナ、ダイコン、サトイモといった野菜です。出荷農家ごとにカゴに入れて分けて販売しています。

■来月の第33回「北船路野菜市」、12月27日に開催します。

福岡の醤油メーカーのCM


■「1月9日に行われた第一回「福岡マラソン2014」の中継内で、1日限定で放映された『ニビシ醤油』のCMがネットなどで話題となってい」るそうです。この「福岡のニュース」の記事によると、以下の通り。

このCMを手がけたのは、JR九州の九州新幹線全線開業「祝!九州縦断ウェーブ」の田中嗣久氏で、撮影は、映画「桐島、部活やめるってよ」や「私の男」の近藤龍人氏。
ドイツにサッカー留学して半年の息子。世界の壁、自分の無力さを感じはじめた頃。それでも、自分のために生活を切りつめ、留学費用を捻出してくれている母に弱音なんか吐けない。
だけど、離れていても、何も聞かなくても、母は、なんとなくそんな息子の様子を感じとる。そして、母がとった行動とは…

可視化された地球上の「二酸化炭素の動き」


■アメリカのNASAが、地球上の二酸化炭素の動きを可視化できるようにした動画を公開しています。これは「Nature Run」という「視覚化ツール」で、気候モデリング・プログラム「GEOS-5」によって作成されたとのことです。詳しい紹介を、こちらのページで読むことができます。その一部を引用します。

冬の間は、北半球の大陸全体が二酸化炭素に覆い隠されるが、春になると、光合成をする植物に吸収されて濃度が減る。南半球も周期的に濃度が高くなるが、これは、季節的に発生する森林火災などのせいだ。

Nature Runは、既存の気候視覚化ツールよりもはるかに正確だ。従来のモデルは1画素当たり最高約50kmの解像度だったが、Nature Runは1画素当たり約6.9kmを表示する。しかし、データが多いことは、処理に時間がかかることも意味する。GEOS-5は、75日にわたって低い音を立てながら4ペタバイト近くのデータを処理した後、この視覚化を完成させた。

■こういう可視化された画像をみたとき、「おお、すごい…」というため息をつくとともに、どのように社会的に活用されていくのかが気になります。このような画像が、世界の国々や国を超えた地域の未来の社会設計にどのように利活用されていくのか…ということです。

■このような地球スケールではありませんが、琵琶湖の流域管理に関して、個別地域の流域管理に関連する「社会的努力」(たとえば、集落レベルの溝掃除等)が、モデルやシミュレーションを通して可視化されるような方法はないのか…と、いろいろ考えたことがあります。過去に取り組んだ総合地球環境学研究所の研究プロジェクトのなかでのことです。もちろん、社会学専攻の私は基本のアイデアのところだけで、実際の仕事については、生態学のモデルの専門家や情報工学の専門家にやっていただいたのですが、そのような可視化ツールを実際の環境保全活動に利活用していくところまでにはいきませんでした。

■個別地域の小さな活動の成果が、すぐに流域環境の改善に結びつく訳ではありません。しかし、その「社会的努力」が横につながったとき(個別地域の点をつなぎ、点から線に、線から面にしていく)、また将来にわたって継続的に蓄積されていったときのことを、「えいやっ!」というところはありますが、モデルとシミュレーション技術で、一定程度可視化することができます。そのような可視化は、地域の人びと自身が自分たちの「社会的努力」に納得し(ばあいによってはそれを誇りにし)、周囲社会はそのことを社会的に評価することにつながります。

■地域の森林の適切に管理・育成することにより二酸化炭素がどれだけ吸収されたか、また森林を木材として利用することでどれだけ二酸化炭素が固定されたか…そういったことを認証する仕組みがあります。同様に、森林を適切に管理・育成することにより、下流の流域環境にどれだけのプラスの効果があったのか…生態学や林学の専門家に聞いても簡単にはいかないのですが、それが一定程度可視化されると森林の経営にあたる関係者をエンパワーメントすることにつながらないでしょうか。また、下流からの様々なタイプの支援を調達するための科学的な根拠にもならないでしょうか。地球上の「二酸化炭素の動き」の話しから、流域の話しへと脱線してしまいました。脱線とはいえ、こういう可視化ツールが、どのように社会的に活用されていくべきなのか、いろんな方達と可能性を議論できればと常に思っています。

第50回環境社会学会大会(龍谷大学)

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■職場で、環境社会学会が開催されます。今回は、龍谷大学で開催されます。といっても、会場は京都の大宮キャンバス、担当は政策学部の先生です。私はといいますと、学会誌の編集委員会が企画した書評セッションでコメンテーターをつとめます。書評の対象となるのは、茅野恒秀さん(信州大学)が今年出版された『環境政策と環境運動の社会学―自然保護問題における解決過程および政策課題設定メカ ニズムの中範囲理論』(ハーベスト社)です。著者である茅野さん自身が解題をおこない、そこにコメントをしてディスカッションをすることになっています。初めての企画らしく、はたしてどれだけの人たちが来てくださるのか不明です。同時に、複数の自由報告の部会が開催されていますし…。当日、環境社会学会に参加される皆さんには、ぜひお越しいただければと思います。よろしくお願いいたします。

コアメンバー会議

20141121okudapro.jpg ■昨日は、京都大学生態学研究センターで、研究プロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」のコアメンバー会議が開催されました。生態学研究センターから総合地球環境学研究所に異動したリーダーの奥田さん、センターの谷内さん大薗さん、滋賀県立大学の伴さんと、プロジェクトの進捗状況を相互に確認し、これからの研究先駆略等について議論を行いました。いろいろ難題が山積なのですが、とにかく前進しなくてはいけません。

■総合地球環境学研究所の研究プロジェクトのシステムは、以下のようになっています。地球研のサイトからの引用です

地球研では、既存の学問分野で区分せず、「研究プロジェクト方式」によって総合的な研究を展開しています。

研究プロジェクトはIS(インキュベーション研究 Incubation Study/個別連携プロジェクトのみに設定)、FS(予備研究 Feasibility Study)、PR(プレリサーチ Pre-Research)、FR(フルリサーチ Full Research)という段階を経て、研究内容を練り上げていきます。

国内外の研究者などで構成される「研究プロジェクト評価委員会(PEC)」による評価を各対象年度に実施し、評価結果を研究内容の改善につなげています。研究の進捗状況や今後の計画について発表し、相互の批評とコメントを受け研究内容を深める「研究プロジェクト発表会」を年に1回開催しています。
CR(終了プロジェクト Completed Research)は、社会への成果発信や次世代の研究プロジェクト立ち上げなど、さらなる展開を図っています。

■もうじき、上記の説明にある「研究プロジェクト発表会」が開催されます。この「研究プロジェクト発表会」の評価により、「FS(予備研究 Feasibility Study)」の段階から「PR(プレリサーチ Pre-Research)」に進むことができます。関門があるのです。私たちの研究プロジェクトは、昨年、この関門をなんとか突破することができました。来年からは「FR(フルリサーチ Full Research)」に進みます。関門を突破できなかった「FS(予備研究 Feasibility Study)」の段階にある研究プロジェクトはやり直し、または中止になります。最後まで到達するのはなかなか厳しいのです。今年は、この関門がさらに厳しくなっているようです。ただし、「PR(プレリサーチ Pre-Research)」に進んだからといっても「研究プロジェクト発表会」や「研究プロジェクト評価委員会(PEC)」の厳しい評価を受けなければなりません。11月26日から28日にかけて、今年の「研究プロジェクト発表会」が開催されます。

晩秋の瀬田

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■昨日は、瀬田キャンパスから歩いて30分程のところにある京都大学生態学研究センターに行く用事がありました。会議です。時間は16時頃。日が傾き、終りかけの瀬田丘陵の紅葉を赤く染め始めていました。鞄のなかから最近入手した「OLYMPUS TG-3 Tough」を取り出しました。

■このカメラ、接写が特異なのです。トップの写真。植物の名前については大変疎いこともあり、樹種な何なのかわかりませんが、来春にそなえてすでに芽ができあがっていました。産毛がかわいらしい。「OLYMPUS TG-3 Tough」で接写をしたのは初めてですが、それなりにきれいに撮れました。もっと練習をします。

■2枚目の写真ですが、これは瀬田キャンパスの横にある文化ゾーンの公園を撮ったものです。こういうところを散歩するぐらいの余裕が欲しいのですが、この日は、生態学研究センターでの会議に向かっていたため、ゆっくり撮っている時間はありませんでした。残念です。もっと「OLYMPUS TG-3 Tough」の性能を確かめてみたかったのですが。3枚目の写真は、瀬田キャンパスの正門横にある茂みです。といいますか、終りかけの紅葉の茂みよりも、晩秋の空の方を写したいと思ったのです。

「もいきや」(「大津まち歩記」・【120-まち歩記】)

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■昔、むかし、そのムカシ…大津百町の界隈を歩き回り、写真を撮り、ブログにしていた時代がありました。仕事が非常に忙しなり、そのような趣味のブログもできなくなりました。ということで、完全に永久凍土のなかに埋まってしまっています。悲しい…。なんとか、この過去の遺産を復活させたいと思ってはいるのですが。

■ひとつの投稿の一部をフェイスブックに転載してみます。 2007年3月8日の投稿です。「大津まち歩記」というブログなのですが、このブログでは、エントリに1つずつ番号をつけていきました。このエントリーは【120-まち歩記】です。もう、あまり記憶がはっきりしないのですが、この2007年3月8日の時点で、かなりブログの更新が大変になっていたようです。大変ななか、まち歩きをして、興味深い風景をみつけ、なんとか更新を再開した…ということなのでしょう。

冬眠から目覚めました。今年は暖冬ですので。【74-まち歩記】(2006/03/07)では、「啓蟄」なんてタイトルで、「こんなサボりまくりのブログですが、お休みしていた2ヶ月間、『そろそろ更新かな』と期待して時々ご覧になってくださった方もいらっしゃったようです。もう、本当に、感謝・感謝です。」と反省したようなことを書きつつ、その後、秋になると更新が途絶え、あげくのはてに冬眠に突入してしまいました。お知り合いの方からは、「生きてますか~」と携帯で問い合わせがあるし、東京にいっても、ご近所ブログのある方に、「『町家の灯りが』からぜんぜん更新されないじゃないですか・・・」とクレームをいただく始末。本当に申し訳ありません。仕事の忙しさ&もうひとつ運営しているブログさえ更新できていない・・・という状況が続きまして(と、まだ言い訳をしている)。

「もいきや」です。どうです!!これは文句無しの一級品ですね。すばらしい。左から書かれた「もいきや」、いやいや正しくは右から「やきいも」と読まなくては。「大津一番やきいも」の紙の看板があり、そこに描かれているイラストは、まさしく焼き芋です。坂道につくられた店舗が作り出すライン。トタン屋根の錆のぐあい。時代を感じさせるショーケースとコカコーラの冷蔵ケース(ショーケースのなかには、“とりあえず”という感じでジュースとお菓子が置かれている・・・)。そしてお店の前には、2台のオレンジ色のシルバーカー。お店のなかからは、おばあちゃんたちのおしゃべりが聞こえてきます。なんだか、とっても楽しそうです。
今回は、お腹が減っていなかったので買わなかったのですが、こんどやはオヤツにぜひこの「もいきや」をいただこうと思っています。

■このような場所こそが、「まちの縁側」なのかなと思います。たとえば、「あそこにいけば、知り合いや友達の誰かがいるかも…」と、人びとが集まってくるような場所です。こういう場所が町中にたくさんあったらいいのにね…と思いますが、このお店、すでにありません。とても残念。

ウナギの未来をつなげよう~うまいもんが結ぶ人の縁、水のつながり、生きもののくらし~

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■以下のような催しがあります。ちょっと気になっています。12月23日…行けるかな…。 「兵庫県立人と自然の博物館」のサイトから引用します。生物多様性協働フォーラム事務局の主催です。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社、兵庫県立人と自然の博物館、特定非営利活動法人西日本自然史系博物館ネットワークが事務局を構成しています。

■基調講演のお1人は、大阪歴史博物館の学芸員をされている伊藤廣之さんです。ずいぶん前のことなりますが、『試みとしての環境民俗学』(鳥越晧之編、雄山閣)という本の執筆でご一緒させていただきました。この本では、伊藤さんは淀川の漁師のことを、私は琵琶湖の漁師のことを書きました。ずいぶんお会いしていません。懐かしいな〜。

「第8回生物多様性協働フォーラム」開催のお知らせ

8th_forum.jpg生物多様性協働フォーラム事務局(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社、兵庫県立人と自然の博物館、特定非営利活動法人西日本自然史系博物館ネットワーク)は、「第8回生物多様性協働フォーラム ウナギの未来をつなげよう ~うまいもんが結ぶ人の縁、水のつながり、生きもののくらし~」を以下の通り開催します。
当日は、和歌山県立自然博物館の揖かじ 善よし継つぐ氏、大阪歴史博物館の伊藤廣之氏による基調講演や、ウナギの保全に関わる事例紹介の他、ウナギの保全を足がかりに関西各地の河川環境保全と私たちのくらしをつなぎ直すことをテーマとするパネルディスカッションを行います。
また、会場内において、市民団体、企業、博物館、大学等の30以上の団体がブース等を出展し、水辺の生物多様性・文化保全の取組を紹介するサイドイベント「水でつながる生物多様性縁日」を開催します。

1 開催目的
本フォーラムは2011年度より関西各地で計7回開催されており、生物多様性と社会のかかわりについて、様々な角度から議論を重ねてきました。第8回を迎える今回は「ウナギの目から見た淀川流域全体のつながり」に注目し、河川環境の保全と食文化に関わる川の生物多様性の価値を発信し、既存の枠組みを超えた新たな連携や、市民や企業の参画のあり方を意見交換します。
ウナギ(ニホンウナギ:Anguilla japonica)は、里山を流れる小川から平野部の大河川、湾岸の湿地まで、私たちの生活のそばにある様々な水辺に暮らす、日本の代表的な川魚の一つです。そのウナギは絶滅が心配され、今年、国際自然保護連合に絶滅危惧種として指定されるに至りました。ウナギの気配が私たちの身近な河川から薄れていった時期は、ウナギ一種にとどまらない川魚全体の衰退時期、あるいは、川魚と私たちとの関わりが薄れていった時期とも重なります。かつては関西でも身近に見られたウナギが、いつのまに激減してしまったのでしょうか。
また、ウナギは私たちの食文化を支える重要な食べ物でもあります。この食文化を後世に伝えていくには、ウナギを保全し持続可能なかたちで利用する知恵が求められます。今年11月から養殖に使用する稚魚(シラスウナギ)の量を前年比で2割削減するなど、国際的な取り組みも始まりました。
そこで今回のフォーラムでは、謎の多いウナギの生態の最新知見と大阪の川魚文化について紹介します。また、淀川を例として、ウナギの目を通して、川と私たちの暮らしのあり方を見直し、豊かな川と暮らしの価値を取り戻すための協働について議論します。さらに、会場内では水辺における生物多様性・文化保全や持続的な利用に関わる団体がその取り組みを紹介するブースを出展し、交流を図ります。

超・早起き

■こんな投稿をfacebookにしました。

朝早くからの出勤が続き、昨晩は早く帰宅したこともあって、なんと21時半に眠ってしまった。そして、自然に目が覚めてしまったのが3時半。まあ、6時間ほど眠っている計算にはなるが、これでよいのか…。

仕方がないのでメールをチェック。メールで研究仲間の教えてくれた論文を、ネットで探して読み、日記のような身辺雑記のようなブログを書き、熱いシャワー浴び、新聞を読み、朝飯を作って食べ…7時前に家を出る。

研究仲間は、私の「階層化された流域管理」、それから「Future Earth」や「IPBES(intergovernmental science-policy platform on biodiversity and ecosystem services)」にも関係する論文だよと興奮した感じのメールで教えてくれた。私も早朝からちょっと興奮する。

ここに、さらに、ランニングが追加されれるような暮らしになれば良いのだが。

■昨日は、学部の教授会と研究科長の選挙でした。早く仕事が終りました。ということで、いつもよりも早めの帰宅となりました。ウイークデーにはめったにないことなのですが、妻と一緒に夕食をとることができました。また、ここ最近、朝早くに出かけることが多いものですから、身体がだんだん「朝方」になってしまっています。ということで、超・早朝の起床となったわけです。

■facebookの投稿のなかにある論文とはCashという研究者の論文です。以前、総合地球環境学研究所の研究プロジェクト(「琵琶湖-淀川水系における流域管理モデルの構築」)で出版した『流域環境学』(京大学術出版会)のなかで(514頁)、研究仲間である谷内さん(京都大学生態学研究センター)が、Cashたち(2006)による” Scale and cross-scale dynamics : governance and information in a multilevel world. Ecology and Society. 11(8)(online)”を引用しています。彼らの考え方が、私がプジェクトのなかで提案した「階層化された流域管理」の考え方にかなり似ているからです。今日、谷内さんからメールでいただいた情報は、この論文よりももう少し前の Cashたち(2003)の論文 “Knowledge systems for sustainable development. PNAS.100(14) (online)” についてです。谷内さんは、丁寧に重要なポイントまで整理して私にメールを送ってくれました。この2003年の論文は、「階層化された流域管理」とかなり共通する考えたをもっているだけでなく、私たちがこれから本格的に取り組む総合地球環境学研究所のプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」、さらにはIPBES (intergovernmental science-policy platform on biodiversity and ecosystem services=生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム、谷内さんはこのIPBESのなかにあるひとつのワーキンググループのメンバーです)、総合地球環境学研究所が関わっているFuture Earth(持続可能な地球環境についての国際協働研究イニシアティブ)とも大いに関係しているというのです。谷内さんのおかけで、朝から頭の中が興奮し、気持ちがたかぶってきました。

■以下に、『流域環境学』(514頁)の谷内さんの記述を引用します(「階層化された流域管理」の考え方そのものは、『流域環境学』の「『階層化された流域管理』とは何か」(47-68)をご覧ください)。

Resilience Alliance の機関誌(online journal)でもある Ecology and Society は、20006年に”Scale and Cross-scale Dynamics” という特集を組み、重層的な資源管理・環境ガバナンスを今後の大きな課題として取り上げた。この中で Cash らは、資源管理・環境ガバナンスを今後の大きな課題として取り上げた。この中で Cash らは、資源管理・環境ガバナンスにおいて生涯となる、スケールに関わる3つの課題(scale challenge)として、無知(ignorance)不適合(mismatch)多元性(plurality)を挙げる。無知とは、重要なスケールやスケール間の相互作用を認識できないこと、不適合とは、例えば、人間による生物資源管理の制度のスケールと資源の生物地理的な分布・移動のスケールが一致せず、ずれていること、多元性とは、関係主体の問題認識が異なること、あるいは、関係主体すべてに最適な唯一の管理スケールがあると仮定すること(による失敗)を意味する。本書の事例に即していえば、かつての環境保全における、びわ湖とその内湖や流入河川との間の連続性の認識の欠如が、無知に相当する。琵琶湖流域の河川管理の主体が、国と県、さらにその中で、異なる行政担当ごとに分割されていることや、流域の現象を総体として対象とする学問がないことが不適合に相当する。また流域の階層性による農業濁水問題に対する問題認識の違い、「状況の定義のズレ」が、多元性に相当する。

Cash らは、これらのスケールに関する諸問題を克服する制度的仕組みとして、異なる階層の制度間の調整(institutional interplay)、異なる階層間の協働マネジメント(co-managemanet)、階層間調整期間の設置(boundary or bridging organization) を検討し、多層にわたる資源管理・環境管理問題には、協働的な多層感マネジメントの構築が有効であるとする。

20141120haruki.jpeg■さて、投稿のなかで、私はランニングのことにもふれています。以前から、小説家の村上春樹さんの長編小説の執筆とランニングとの関係が気になっています。早く起きて仕事をして、走って、9時には眠るというライフスタイル。村上さんは、『走ることについて語るときに僕の語ること』のなかで「『基礎体力』の強化は、より大柄な創造に向かうためには欠くことのできないものごとのひとつ」と書いています。そうなのです。研究を進めるためには、同時に、ランニングが必要なのだ…ということです(^^;;。そのランニングですが、春のフルマラソン後の故障を理由に、中断してからずいぶん時間が経過してしまいました。今年の春の「篠山ABCマラソン」の後、脛の痛み、肋骨のヒビ…いった故障からの回復を待っているあいだに季節は夏に突入し、仕事もさらに忙しくなり、とうとう「ランニングしたい/しなくちゃ」モードが身体のなかから消えてしまいました。これではいけません。2つ前のエントリー「来年度の仕事」にも書いたように、仕事のベクトルが研究に強く向かっていることを強く感じる今だからこそ、また走らねばなりません。頭と身体が分離してしまっていては、良い仕事はできません。そういう例(人)を見てきましたので、自分自身は、このあたりでもう一度ランニングのモードをきちんと復活させて頭と身体の関係をチューニングしておこうと思います。

赦しと癒し

20141120yurushi.png■朝の通勤時にiPhoneでニュースを読んでいました。こういう記事に出会いました。「イスラム国「許したい」、米援助活動家の殺害に両親が心情吐露」(2014年11月18日 10:44 発信地:ワシントンD.C./米国)。「シリアで拉致されイスラム教スンニ派(Sunni)過激派組織『イスラム国(Islamic State、IS)』に殺害された米国人援助活動家、ピーター・カッシグ(Peter Kassig)さん(26)の両親が17日、記者会見し、わが子の命を奪ったイスラム国の戦闘員たちを『許す』努力をしたいと表明した」という記事です。記事中では、「許す」となっていますが、個人的なは「赦す」という文字かなとも思っています。それはともかく、この記事を読んで、通勤途中ではありますが、涙が流れました。

「私たち家族に(息子の死を)悼み、涙を流し、そして許し、癒やされていくための時間とプライバシーを下さい」
「息子のために、この夕日に祈って下さい。また、シリアで、イラクで、そして世界中で自らの意思に反して捕らわれの身となっている人たちのためにも祈って下さい」
「息子は、暗闇に打ちのめされるよりも、善良さを、自分自身を、他人を信じることを選びました。1人の人間が違いを生み出すこともできるのです」
「私たちの心はたたきのめされましたが、傷はいずれ癒えるでしょう。世界は破壊されましたが、いつか修復されるでしょう」

■記事は、こちらです。イスラム国「許したい」、米援助活動家の殺害に両親が心情吐露

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