卒業論文の口述試問
▪️他大学(私立大学)もそうだとは思いますが、龍谷大学では卒論が必修になっている学部とそうでない学部があります。私が勤務している社会学部社会学科は卒論(16,000字~20,000字以内)が必修です。社会学部でも他の学科であれば、卒業研究(12,000字以上)と制作・副論文(6,000字程度)のどちらかが必修のコミュニティマネジメント学科や、卒業研究(上限が12,000字)が必修の現代福祉学科もあります。このような卒業論文・制作・卒業研究等が必修になっているのは、1989年(平成元年)に瀬田キャンパスに社会学部として開学するまでは、文学部の1学科だったというルーツにあるのかもしれません。2004年から社会学部に勤務するようになりましたが、その段階では、卒論の口述試験は2人の教員が担当していました。ゼミの担当教員と、別のゼミの教員が2人で審査していたのです。厳しいですね。
▪️さて、今日は、私のゼミのその口述試問の日でした。諸々のことがあり、今年はzoomで口述試問をすることにしました。卒論を提出するまでに、何度も面談をしたり添削をしたりしているので、提出前から論文の内容はわかっています。しかし、きちんとした水準に到達している人もいれば、提出前の面談の回数が少なかったり、締め切り間際で丁寧な添削をしている時間がなかった、そのようなちょっと残念な人もいます。まあ、これは毎年のことではありますが…。
▪️私のゼミでは、原則、自分1人でインタビューによる調査を実施することになっています。その調査データにもとづいて論文を執筆することになっています。知らない人のところに話を聞きに行くのは勇気がいりますが、その勇気がなくてなかなか卒論のスイッチが入らない人は(あるいはなんとかなると舐めてかかっている人は)、調査自体が薄くなってしまいます。実際にフィールドワークに出かけてみれば、ほとんどの方達は親切にお話をしてくださるのです(もちろん全員ではありませんが…)。これだったら、もっと早くからインタビューを始めていればよかった…と思う人が毎年必ずいます。私からは早く調査を始めなさいと、口を酸っぱくして言い続けているのですが、なかなか…です。その方が、卒論の取り組みが充実してくるのに…です。
▪️今年は、このままだと卒業が危ういなという人もいたので、仕方なく調査のアレンジを行い、私も同行するなど、サポートすることになりました。とはいえ、とりあえず全員が無事に卒論を提出し、本日、口述試問を終えることができたので少し安心しています。次、ゼミの皆さんに会うのは、卒業式の日になります。卒論がうまくいった人も、そうでない人も、卒論に取り組んだ経験を大切にして社会人として成長して欲しいと思います。
【追記1】▪️社会学部は2025年に京都の深草キャンパスに移転します。移転後は、現在の3学科体制から、総合社会学科1学科になります。カリキュラムも大きく変わります。私は、新社会学部では2年しか勤務しないので、2025年度に入学してきた皆さんの卒業論文を指導することはありません。2026年度に4回生になる皆さんになる皆さん(2023年度入学生)の卒論を指導して定年退職することになります。2004年から龍谷大学社会学部に勤務していますが、退職までにおそらく通算250~260名の学生さんの卒論を指導したことになりそうです。来年度は、特別研究員として研究に専念する年になりますので、次にゼミ生を担当するのは2025年度から、その学生の皆さんの卒論が最後の指導になります。
【追記2】▪️これまで提出された卒業論文のデータ。以下の通りです。
脇田ゼミ卒業論文
【追記3】▪️2年前、2022年2月2日にfacebookに投稿したものです。
卒業論文の口述試問が終わりました。対面式はやらないでと大学から要請がありましたが、オミクロンの感染が大変な状況になることを見越して、私は最初からzoomでやることにしていました。zoomを通してですが、いろいろ思うところがありました。
これまで何度かfbにも書いてきたわけですが、ゼミの基本方針として、自らのフィールドワークに基づいて卒業論文を執筆してもらうことを前提にしています。龍谷大学社会学部の理念「現場主義」に、真正面から愚直に取り組もうとしているからです。ただし、「現場主義」も解釈次第なので、ゼミごとに多様な「現場主義」の捉え方があろうかと思いますが、私のゼミでは「頑張って1人でフィールドワークに取り組む」ことをお願いしています。学生の皆さんにも、そのことをわかった上でゼミに所属してもらっています。もっとも、ここ2年は新型コロナウイルスの問題もあり、フィールドワークには状況に応じて、各自の判断で取り組んでもらっています。
それでも、今年度は、19名のゼミ生のうち13名が頑張ってフィールドワークに取り組みました。フィールドワークに取り組んだ人たちは、口述試問で、判で押したように「もっと早くフィールドワークに取り組めばよかった」と同じようなことを言うのです。これは毎年のことなのですが…。なぜこのような反省を言うのかといえば、「アポイントメントを取って、知らない人のところに出かけて話を聞くことに、相当の心理的抵抗感がある」からなのだそうです。アポイントメントを取るためにメールを書くことになりますが、その添削、そしてフィールドワークでどのような質問をするのか…面談で相談しながらさまざまなサポートをします。学生の皆さんに、サポートをしますよと言っても、なかなか前に進めないのです。まあ、その気持ちも理解できますが…。
でも、一度フィールドワークに行くと、あんなに心配していたのは、いったい何だったのかなと思うのだそうです。ちょっと、逞しくなります。全員ではありませんが、何度もフィールドに通ううちに、さらに逞しくなります。私の方も、フィールドワークに行くたびに、面談で指導を行います。そこまでできる人の卒論は、それなりに充実してきます。
まあ、そんなこんなで、今年も卒論の指導が終わりました。