第3回「かかし祭」を終えて。

20140901wakkykakashi.jpg ■昨日の「かかし祭」、ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた皆様には、心より御礼申し上げます。

■昨日の「かかし祭」で実施された子供神輿。地元・北船路の「子供会」のお子さんと、市街地にある「みつばち保育園」の園児さんたちが主役でした。私の気持ちとしては、前者のお子さんたちには、北船路の農業後継者として成長していただきたいし、後者の園児の皆さんには食の安心・安全に配慮し農家を応援する志しのある消費者に成長してほしいと思っています。そして、大人になったときに、お互いに支えあえるような関係を築いていってほしいとも思っています。もちろん、その頃には、私は、もうこの世にいません。そのような年代の「おじさん」(子どもさんたちからしたら「おじいさん」)の希望でしかありませんが、心の底からそう思っています。ですから、昨日の子供神輿は、「象徴的な意味」において、とても大切なことだったように思います。

■このようなことを思うのにも理由があります。それは、日本の農業の未来は、けして明るいものではない…ということです。特に、北船路のような棚田の農村のような条件不利地域では、なおさらのこと農業や農地の維持していくことは大変な苦労がともないます。「かかし祭」では、北船路集落にある「農事組合法人 福谷の郷」と「北船路 中山間地域管理組合」のご協力をいただいていますが、両方とも、北船路の農家が組織されているものであり、北船路の農業や農地を守っていくために組織されています。

■「農事組合法人 福谷の郷」は、自分では耕作できない農家から農地を預かって、オペレーターの農家の方が農作業をされています。昨日の「かかし祭」に参加された「みつばち保育園」の園児の皆さんが、給食のときに食べておられるご飯、それは「農事組合法人 福谷の郷」で生産した「環境こだわり米」です(ちなみに、「みつばち保育園」は、「地産地消」や「食育」をとても大切にされています)。「みつばち保育園」では、遠足もかねて北船路に田植や芋掘りに来られますが、「農事組合法人 福谷の郷」では、その受入れも行っておられます。私たち「北船路米づくり研究会」の学生たちも、授業がなければ応援にかけつけています。

■昨日の子供神輿の行事は、国の「中山間地域直接支払制度」における「多面的機能増進活動」の一環としても行われました。この支払い制度に関係する団体が「北船路 中山間地域管理組合」です。この制度は、農業生産条件が不利な状況にある中山間地域等の農業生産の維持を図りながら、多面的機能を確保するために平成12年度から導入されている制度です。村としても国が制度的に用意した農政のメニューを積極的に活用しながら、努力されているのです。今回の子供神輿は、村の側からの提案でした。

■2012年から始まった「かかし祭」は、今年で3年目になります。また毎月1回開催している(4月と9月除く)「北船路野菜市」も、2012年から始まり、今年の8月で第30回目になりました。「北船路米づくり研究会」は、ひとつのゼミが行っている拙い活動にしかすぎませんが、少しずつ地域の「食・農」に関わる多様なステークホルダーの皆さんとの連携(地域のネットワーク)が深まってきています。

●北船路の指導農家および協力農家の皆さん。
●「農事組合法人 福谷の郷」と「北船路 中山間地域管理組合」の農家の皆さん。
●「みつばち保育園」の園児と保護者の皆さん、そして保育士の皆さん。
●月1回開催の「北船路野菜市」を応援してくださっている中心市街地の「株式会社 まちづくり大津」と「大津百町館」の皆さん。
●北船路の野菜を楽しんでいただいている中心市街地の消費者の皆さん。
●北船路の野菜や米をメニューに使っていただいている大津駅前の居酒屋「利やん」、そして京都四条の「串かつ おばんざいの店 とんとん」の関係者やご常連の皆さん。
●北船路産の酒米をつかって純米吟醸酒「北船路」を醸してくださっている大津街中の平井商店さん。

■私の個人的な思いですが、いつか研究会が、地域社会の「農」「生業」にかかわる皆さんと龍谷大学内の様々な資源とをつないでいく役割(地域づくりのハプ機能)をも、一定程度果たしていけたらなあと思っています。瀬田キャンパスにある理工学部、来春開学する農学部だけでなく、深草キャンパスの学生や教員の皆さんとも連携していければと思っています。実際、少しそのような連携のお誘いも受けています。近畿大学農学部の「近大マグロ」のようなものはありませんが、このような地道な活動のなかで形成される地域と大学間の厚い広がりをもったネットワークこそが、龍谷大学の「売り」になるのだと思うのです。もちろん、「北船路米づくり研究会」がそのようなレベルに達することは、まだまだ先のことでしかありません。

■今後も、多くの関係者の皆様からのご支援のもと、多様な連携のなかで「北船路米づくり研究会」の取り組みを展開してまいります。

管理者用