第43回「北船路野菜市」

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▪︎昨日は、第43回「北船路野菜市」でした。2011年から始まったこの「北船路野菜市」、現在では5期生が中心となって取り組んでいます。月に1回開催と開催頻度も少なく、規模的にも拡大することはありませんでした。といいますか、これ以上の事業展開は無理なのです。ということで、とにくかく継続することを一番に考えて、学生たちはそれなりの工夫を凝らしてきました。

▪︎昨日、出品されたものです。キャベツ、白菜、水菜、ネギ、下仁田ネギ、にんじん、大根、里芋、安納芋、海老芋、ジャガイモ、薩摩芋、白カブ、赤カブ、もち、もち米と小豆のセット、黒豆、大豆…。年末ということを見据えて、協力農家の皆さんから、いつも以上の品数と量の出品がありました。ありがとうございました。この「北船路野菜市」、学生が行っている取り組みということもあり、その運営はやや不安定なものがありますが、今後もできるかぎりの範囲内になりますが、継続してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

第42回「北船路野菜市」の開催

▪︎明日、第42回「北船路野菜市」を開催します。大津市丸屋町商店街・「大津百町館」前で、10時から開店です。明日、協力農家の皆さんから、以下の野菜が出品される予定です。

安納芋、海老芋、里芋、大根、水菜、ほうれん草、小松菜、大根、白菜、人参、キャベツ、白蕪、赤蕪、それから餅や柿も出品されます。

▪︎海老芋は、今年から北船路の農家グループの皆さんが特産品づくりを目指して一生懸命生産されてきたものです。ぜひ、お買い求めいただければと思います。冬野菜の美味しい季節に突入しました。今回は、品揃えも豊富です。ぜひ、お越しください。

カヤネズミの巣

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▪︎一つ前のエントリーで、カヤネズミの巣のことを書きました。このカヤネズミの巣は、総合地球環境学研究所のPD研究員である浅野悟史くんが、8月末に開催された「北船路・かかし祭」のさいに確認していたものです。写真は、そのカヤネズミの巣を撮ったものです。発見してくれたのは、この「かかし祭」に参加してくれた農学部の古本先生の息子さんでした。観察眼が鋭い!! その知らせを聞いて、浅野くんが写真に撮ってみたというわけです。

▪︎このカヤネズミの巣ですが、浅野くんからの報告によれば、一昨日の稲刈りのさいに、最終的には5つも確認されたようです。小さな田んぼですので、これはすごいなと単純に思いました。浅野くんからの情報によれば、まわりのススキの多い草原にも巣を作っていないか探索しても見つけられなかったといいます。カヤネズミにとって、私たちが「龍大米」を生産している小さな田んぼの方が居心地が良かったのかもしれません。餌が豊富にある…、敵に襲われにくい…といった理由があるのかもしれません。浅野くんは、私たちの田んぼ以外の、村の農家の田んぼの稲刈りも手伝ったようですが、そこではみつからなかったようです。ちなみに、私たちの田んぼは、通称「限界田」と呼ばれています。といいますか、指導農家の吹野さんが、そのように呼んでおられます。なにが限界かというと、北船路集落の棚田の一番てっぺんにあるためです。これ以上は田んぼをつくれない…から限界なのです。田んぼの山側は草原や森林になっています。つまり、人間の手が少し加わった自然のすぐそばにある田んぼということになります。

▪︎カヤネズミは、その名前からもわかるように、茅場やススキの原っぱで生きる動物です。それらは、人間の手によって刈り取られることが前提になっています。そのような人の手が加わるところに生息する動物なのです。調べてみると、今回のようにイネに営巣するさいには、米を食べるそうです。まあ、食べるといっても日本で一番小さなネズミですので、1日に食べる量はほんのわずかです。むしろ、田んぼにいるバッタやイナゴも食べてくれます。田んぼのなかの生態系は、どのようになっているのでしょうね。専門家に確認する必要があります。それはともかく、「北船路米づくり研究会」の田んぼは、カヤネズミが生きることのできる(餌になる昆虫がちゃんといる)、生物多様性の高い田んぼであるといえそうです。

【追記】▪︎カヤネズミについてエントリーしたところ、カヤネズミの生態に関して研究されているアマチュア研究者の方から、このブログの「CONTACT」機能を使ってメッセージをいただきました(以前は、個々の記事にもコメントを書けるようにしていたのですが、海外から大量のスパムメールが送られてくるようになり、その処理に辟易して、現在ではコメント機能が使えないようにしています)。「農地周辺でカヤネズミがどのように暮らしているかに興味を持ち、自宅近くの農地などでも観察」されているそうです。いたただいたメッセージからは、カヤネズミが一箇所でなく季節で移動しながら暮らしていることを教えていただきました。ありがとうございました。また、カヤネズミに関して何かありましたら、このブログにエントリーしたいと思います。

2015年度の稲刈り・天日干し

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20150922kitafunaji1.jpg▪︎昨日は、2015年度の「北船路米づくり研究会」の稲刈り作業、籾の天日干しが行われました。残念ながら、今年は、老母の生活介護の日と重なり、作業に参加することはできませんでしたが、学生リーダーの小西くんがfacebookにアップしてくれた写真を転載させてもらいます。稲刈りの作業は、指導農家の吹野さんが所有されているコンバインを使って行われます。鎌で刈り取り、稲架掛けをして乾燥させ…という体験も学生たちには良いとは思いますが、それを実施するだけの技術力はもちろん、時間的余裕や資材費等もありません。しかしかながら、今年も、コンバインで収穫した籾は、筵の上で天日干しして乾燥させました。これで、仕上がりの味が良くなります。午前中が稲刈りの作業、午後は天日干しの作業でした。

▪︎この日は、私がコアメンバーとして参加している総合地球環境学研究所の栄養循環プロジェクトから、PD研究員の浅野さんも参加してくれました。私たち研究会が「龍大米」(コシヒカリ)を栽培している田んぼには、今年、カヤネズミの巣が発見されました。浅野さんの一番の目的は、その巣を採取することにありました。カヤネズミは、日本で一番小さなネズミで、胴の長さは10cmありません。イネ科の草の種子や小さな昆虫を食べていきています。もともとは、農村周囲で人が刈り取りを行う茅場、牧草地などに生息していました。しかし、そのような場所がしだいに少なくなってきたことからでしょうか、棚田の一番てっぺんにある、私たちが限界田とよぶ辺りにも巣をつくるようになった…と推測しています。私たちの限界田は、カヤネズミが巣つくるだけの条件が整っていたのかもしれません。こういう話題も、今年の「龍大米」の販売の際には、話題として提供させていただこうと思います。

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ゼミOBからの連絡

20150915ob.jpg ▪︎昨日、昨年の春に卒業したゼミのOBからLINEで近況報告がありました。じつは、そのOBからは、今年の4月に「今の会社なんですがけど、もうじき辞めようと思っています」という連絡が入っていました。原因は過労だったようです。ちょうど、私の誕生日だっかな…。こういう連絡を唐突にもらうと、ゼミの教員としては落ち込みますよね〜。

▪︎ところが、です。そのOBが、こんどは会社から成績優秀につき表彰されたというのです。その連絡が、昨日LINEに届いたのです。彼は営業職です。なにか仕事のコツを得たようです。彼自身は、「覚醒しています(笑)」といっていました。彼が言うに、社歴最短で役職クラス級の営業成績を上げたようなのです。私にはよくわかりませんが、目標の7.0ポイントを大幅に上回る15.02ポイントの営業成績をあげることができるようになったらしいのです(私には、1ポイントの持つ意味や価値がわかりませんが…)。その証拠の写真、「表彰状」を撮った写真もわざわざ送ってくれました。

▪︎今も新人にかわりはないのですが、ここ数ケ月で、仕事のどこに力を入れて、どこは抜いてもよいのか…そのあたりのコツをつかんだようですね。力をぬくというのは語弊がありますね、無駄な力が抜けるようになったという方が正しい表現かもしれません。あとは、実績を積むことで自分に自信がついてきたといっていました。こういうのって、大切なことですよね~。彼のいうところの「覚醒」ってどういう経験なんでしょうね。後輩の人たちにも説明してほしいなあと思います。

第4回「北船路・かかし祭」前日(準備)

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▪︎昨日は、第4回「北船路・かかし祭」の前日でした。学生たちが翌日の本番に向けて、準備に取り組みました。昨年までは、「かかし祭」と呼んでいましたが、今年からは地元との関係をより明確に示すことができるように「北船路・かかし祭」と一部名称を変更しています。本番は、まず、北船路の棚田のいちぱんてっぺんから棚田と一望できる琵琶湖とが一体となった風景を堪能しつつ、参加してくださる「みつばち保育園」の園児さんたちが製作した案山子をご覧いただきます。そのあとは、一般参加の皆さんと、保育園とに分かれて、「村内ツアー」に出発します。昨日は、追加の案山子の製作と設置、「村内ツアー」のコース確認と、ご協力いただく農家へのご挨拶に伺いました。トップの写真は、研究会が栽培している「龍大米」(コシヒカリ)の水田です。他の水田はそろそろ稲刈りの作業に入る時期ですが、「龍大米」は9月の下旬頃になる予定です。これから熟成していきます。

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▪︎左は、大津市内の酒造会社・平井商店さんに出荷される予定の酒米です。こちらもこれから熟成させていきます。酒米は背丈が高く、稲穂が熟成しすぎると倒れてしまいます。かといって、米粒のなかにある心白(しんぱく)が熟成しなければ良い酒ができません。栽培が難しいのです。今年の出来はどうでしょうか。栽培は、農事組合法人がされていますが、すごく気になっています。右は、「みつばち保育園」の園児さんが田植えをされた水田です。三角形の小さな水田です。こちらも稲刈りは、もう少し先になります。現在は、10月1日に稲刈りをする予定になっています。可能であれば、研究会の学生がサポートします。
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▪︎「北船路・かかし祭」の会場。北船路の棚田の一番てっぺんで記念写真。ここまで徒歩で登ってくると滝のように汗がでます。しかし、景色は最高です。あいにくの曇天ですが、天気が良くて空気が澄んでいると、南(右手)は大津と草津との境あたり、北(左手)は伊吹山まで見渡すことができます。てっぺんまで登った棚田からは、こんどは「村内ツアー」のコースを確認しながら下っていきます。まずは、研究会が里芋を栽培している畑に。それなりに順調に里芋も成長しているようです。こちらの里芋の収穫は、10月末から11月にかけてかと思います。

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20150830kakashi10.jpg▪︎午後からは、「北船路・かかし祭」の会場にかざる案山子を学生たちも作りました。今回の「北船路・かかし祭」には、新規就農を目指す方達を支援するNPO法人「スモールファーマーズ」からもご参加いただきますが、準備作業からいろいろお手伝いくだいました。学生たちと一緒に、案山子づくりもしていただきました。

▪︎できあがった後は、毎回、「北船路・かかし祭」にご協力いただいている、「みつばち保育園」の園児さんたちが製作した案山子15体に加えて、学生たちが製作した案山子も棚田のてっぺんまでかついであがり、棚田の端に立てていきました。「スモールファーマーズ」の皆さんたちには、草刈機で棚田の法面や道沿いの草を刈ってくださいました。本当に助かりました。

▪︎夕方には、この「北船路・かかし祭」を立ち上げた学年のリーダーである岩崎智紀くんも車で駆けつけてくれました。岩崎くんは、この日、学生たちや「スモールファーマーズ」の皆さんと一緒に北船路に宿泊してくれました。翌日も、そのまま参加してくれます。来月のシルバーウイークには、岩崎くんたちの学年の有志が集まる予定とのことでした。岩崎くんは、現在、名古屋で働いていますが、卒業後も後輩たちの活動を気にかけて応援してくれています。なかなかできないことです。岩崎くん、ありがとうございます。

地球研・日比国際ワークショッブ(5)

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20150329workshop9.jpg▪︎総合地球環境学研究所・奥田昇さんを代表とするプロジェクトの「日比国際ワークショップ」の1日目の最後。夕食をとるために野洲市菖蒲にある「あやめ荘」に移動しました。ここで、琵琶湖の湖魚を使った様々な料理をいただきました。フィリピンの皆さんはどうかな…と思っていましたが、皆さん大喜びでした。しかも、発酵食品である「鮒寿司」をじつに美味しそうに召し上がっておられました。実際、ここでいただいた「鮒寿司」は絶品でした。すばらしい。

▪︎写真は、南山大学の篭橋さん(4月からは京都大学に異動されます)と、フィリピンの「Laguna Lake Development Authority」のAdeline Santos BROJAさんです。急遽、湖魚料理を楽しみながら、プロジェクトの人間社会班の研究内容に関する議論が始まりました。英会話の不得手な私にかわって、篭橋さんが懸命に通訳をしてくださいました。ありがとうございました。今回は、人間社会班からこの国際ワークショップに参加したのは、篭橋さん(環境経済学)、金沢大学の大野さん(環境政策論)、秋田県立大学の谷口さん(社会学)、そして島根県から来られた平塚さん(フリーの環境コンサルタント)、4名方達と私です。皆さんとは、食事のとき、食事のあとの酒の時間、バスによる移動の時間…様々な空き時間に、非常に有益なディスカッションをすることができました。

地球研・日比国際ワークショッブ(4)

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▪︎平湖・柳平湖の視察のあとは、近江八幡市津田町にある水草堆肥をつくっている場所です。原料は、琵琶湖の南湖に繁茂する水草です。現在、南湖の水草が大変な問題になっています。この水草を刈り取る専用船で対応しています。巨額の費用がかかります。刈り取った水草ですが、現在は、乾燥させて水草堆肥にして、無料で配布しています。この水草堆肥、大変、美味しい野菜ができるらしく大変人気があります。昔は、沿岸の農村が、琵琶湖の藻取りを行っていました。もちろん、化学肥料がない時代です。藻取りは、相論といって、隣村と争いになるぐらいでした。水草が大きな経済的価値をもっていたのです。ところが、化学肥料が簡単に入手できるようになると、水草は見向きもされなくなりました。

▪︎現在、多くの湖沼では、水質の悪化にともない水草が減少しています。琵琶湖では、逆に、以上に繁茂する状況になっています。そのことが、様々な問題(湖底の低酸素化や生態系への悪 影響)を引き起こしています。詳しくは、次の文献を読んでいただければと思います。滋賀県立琵琶湖博物館の学芸員である芳賀裕樹さんが執筆されています。「南湖の水草(沈水植物)繁茂」という解説です。

▪︎写真は、その水草堆肥です。トップの写真、リーダーの奥田さんが指でつまんでいるものは、淡水の二枚貝です。下段・右側の写真は、水草にまじっている二枚貝を撮ったものです。この写真の水草は、まだ熟成させている途中段階ですので臭いがしました。しかし、最終的に水草が完全に堆肥になると、まったく無臭の状態になります。

▪︎繁茂する水草が、かつてのように経済的な価値を生み出し、琵琶湖から陸地へと再び運ばれ利用されるような「循環」の仕組みができれば良いのですが、今のところ、それはうまくできていません。社会のなかに「水草の利用」がうまく組み込まれなければならないのです。現在は、税金を買って刈り取り、県有地で堆肥にして、そのあとは無料で配布しています(一人一人への無料配布の量には上限がある)。これからの大きな課題かと思います。なにか、良い方法はないものだろうか…とても気になります。

地球研・日比国際ワークショッブ(3)

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20150329workshop6-2.jpg▪︎京都大学生態学研究センターの調査船「はす」による視察のあとは、草津市にある平湖・柳平湖に移動しました。平湖・柳平湖は琵琶湖の周辺にある内湖のひとつです。現在、淡水真珠養殖復活に向けて地元の皆さんが挑戦をされています。真珠といえば、伊勢志摩地方の海での真珠養殖を連想します。しかし、琵琶湖でも特に第二次世界対戦後、盛んにイケチョウガイによる真珠養殖が行われてきました。しかし、琵琶湖の水質悪化によりイケチョウガイが壊滅状態となり、92年にはイケチョウガイの漁獲量が統計上はなくなってしまいました。いったん壊滅状態となった淡水真珠養殖ですが、水質が改善するにしたがい、再び復活に向けての取り組みが始められたのです。

▪︎私たちが平湖・柳平湖を訪問すると、地元の集落の役員さんと、草津市の農林水産課の職員の方たちが待っておられました。淡水真珠復活への挑戦に関して、いろいろお話しを伺いました。お話しだけでなく、実際の淡水真珠も見せていただきました。フィリピンからの女性研究者たちは、この淡水真珠にとても関心をもったようです。どちらかというと、県境者というよりも女性として…でしょうか。それを見た、フィリピンの男性研究者は、「ガールズはすごいね!」と笑っておられました。

▪︎平湖・柳平湖で復活を目指しているのは淡水真珠だけではありません。魚の復活も目指しておられます。ここでは、放流したニゴロブナの稚魚がまたこの内湖に戻ってこれるように、魚道の設置が行われることになっています。かつては、琵琶湖と内湖とはつながっていましたが、国の巨大プロジェクトである琵琶湖総合開発等により、現在では琵琶湖と内湖とが分断され、水位にも落差が生まれています。このままでは、魚が琵琶湖から遡上してきません。そのため、いろいろな経緯のなかで魚道が設置されることになったのです。

▪︎私たちのプロジェクトによって、その二ゴロブナ等の魚類のモニタリング調査も行う予定になっています。プロジェクトとして(科学として)この地域の活性化を支えることにしています。この地域は、もともと水郷地帯でした。農作業に行くには、いつも田舟を漕いでいかねばなりませんでした。そのときは、必ず、平湖・柳平湖を通って行っていたといいます。また、集落内には、水路が流れており、家の2階の窓から釣りができたいといいます。そのような魚を食用にもされていました。この地域は、いわゆる「魚米の郷」だったのです。ところが、河川改修や圃場整備事業により、そして最後は琵琶湖総合開発により、かつての水郷地帯の風景はかんぺきなまでに消えてしまいました。「水」と「陸」が分断してしまいました。50歳以上の人たちは田舟の艪(ろ)をこぐことができますが、その年齢の以下の方たちはできないのだそうです。子どもの頃に、艪をこぐ経験ができなかったからです。

▪︎さて、ワークショップの話しに戻りましょう。平湖・柳平湖の現場では、魚が産卵に来ているところを撮った写真も見せていただきました。地元では、浅瀬に魚がやってきてバシャバシャと水しぶきを飛ばしながら産卵を行うことを、「魚がせる」といいます。内湖と切れてしまってからは、あたりまえのように見られた「魚がせる」こと地元の子どもたちは知らないといいます。現在、自体も地元の皆さんとは、魚を復活させて、小さなところから村づくりの活動を始めることができたらいいですねと話しあっています。水田と内湖と琵琶湖と魚がセットになった暮らし。村づくりの活動に参加しておられる皆さんは、そのような暮らしがこの地域の基本的な姿であり、そこにできるだけ戻っていくべきだと考えておられるのです。

【関連エントリー】
平湖柳平湖の「つながり再生構築事業」の協議会
「つながり再生モデル構築事業」第4回協議会」
魚の賑わい
琵琶湖岸の水郷地帯

地球研・日比国際ワークショッブ(2)

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▪︎総合地球環境学研究所・奥田昇さんを代表とするプロジェクトの「日比国際ワークショップ」の1日目です。奥田プロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」では、琵琶湖に流入する野洲川流域と、フィリピンのラグナ湖に流入するビナン川流域の2つの流域を主要なフィールドにして比較研究を進めます。また、国内の宍道湖、手賀沼、八郎湖、そして海外では台湾等の湖沼とも部分的に比較研究を進めることになっています。ということで今回のワークショップは、日本から15名、フィリピンから8名、台湾から1名の研究者が参加して開催されました。

▪︎26日の総合地球環境学研究所でのオリエンテーションを兼ねたキックオフミーティングの後、第1日目の27日には、まずは琵琶湖疎水を見学したのち、大津市の比叡山延暦寺の門前町・坂本にある「鶴喜蕎麦」で蕎麦を楽しみました。蕎麦の昼食のあと、京都大学生態学研究センターの調査船「はす」に乗せていただき、野洲川の河口や流域下水道の処理施設のある矢橋の帰帆島をめぐりました。調査船からの見学には、生態学研究センター長の中野さんも一緒に同行してくださいました。センター長としてご多忙なわけですが、調査船に乗船することについては、ご同行くださいました。ありがとうございました。
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▪︎上の写真は、調査船「はす」から比良山系を写したものです。この日は暖かく、琵琶湖には何隻ものヨットが走っていました。ただし、気温自体は高くても、早いスピードで走る船上は風も強く、私は早々に運転室に入り風をよけることになりました。皆さんは、楽しそうですね。

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