躍動する仏教系NGO

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■2013年度 第1回 国内シンポジウム「躍動する仏教系NGO―その活動と展望」を開催します
龍谷大学アジア仏教文化研究センター(BARC)
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2013年度国内シンポジウム「アジア仏教の現在Ⅳ」

「躍動する仏教系NGO ― その活動と展望」
開催日時:2013年6月1日(土) 13:30~17:00 <13:00会場>
会  場:龍谷大学大宮学舎 清和館3Fホール
登 壇 者:茅野 俊幸 (公益社団法人シャンティ国際ボランティア会 専務理事)
     茂田 真澄 (特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク 理事長)
     中村 尚司 (龍谷大学人間・科学・宗教総合研究センター 研究フェロー、龍谷大学アジア仏              教文化研究センター 研究員、特定非営利活動法人JIPPO専務理事)

主  催:龍谷大学 アジア仏教文化研究センター(BARC)
協  力:特定非営利活動法人JIPPO
問い合わせ先:龍谷大学 アジア仏教文化研究センター(BARC)
TEL:(075)343-3808 http://barc.ryukoku.ac.jp/
龍谷大学 人間・科学・宗教総合研究センター事務室
TEL:(075)645-2154

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プログラム:
13:30~13:45 開会の挨拶
桂 紹隆  (龍谷大学文学部教授,龍谷大学アジア仏教文化研究センター長)
13:45~15:15 第一部基調報告
       報告1.茅野 俊幸 「アジアの活動を被災地に生かす」
       報告2.茂田 真澄 「アーユス事業の特質:仏教者としてなすべきこと」
       報告3.中村 尚司 「宗門の壁を越える課題:JIPPOの経験から」
15:15~15:30 休憩
15:30~16:45 第二部 パネルディスカッション
ファシリテーター:若原 雄昭(龍谷大学文学部教授,龍谷大学アジア仏教文化研究センター ユニット1リーダー)
コメンテーター :小原 克博(同志社大学神学部教授,一神教学際研究センター長)

高橋 卓志 (神宮寺住職,NPO法人アクセス21代表,龍谷大学文学部客員教授)
16:45~17:00 閉会の挨拶
佐藤 智水  (龍谷大学文学部客員教授,龍谷大学人間・科学・宗教総合研究センター 研究フェロー,龍谷大学アジア仏教文化研究センター ユニット3リーダー)

今日の来客

■今日、金融大手(メガバンク)のコンサルティング会社の方が2人研究室におこしになりました。私は、ふだん、このような業界の方たちとお付き合いすることはめったにないので、さてどんなものかなと思っていましたが、面白いディスカッションができました。来室の目的は、農業、地域と企業の連携による地域活性化に関する事業や、生物多様性保全に繋がる地域や農林水産業振興に関する事業に関して、意見交換を行うことでした。

■意見交換させてもらったテーマは、ひとつが農業のもっている多様な価値を、もうひとつが生物多様性のもたらす生態系サービスの多様な価値を、どのように可視化させ、そのための社会的な仕組みはどうしたらよいのか、ということだったように思います。私はそのような外部経済化されている価値を、一足飛びに市場の内部に引き込むことで可視化することには賛成できませんが、可視化し人びとのコミュニケーションを促進していくことのひとつの手法としては可能だと思いました。詳しいことは書けませんが、なんといいますか、面白い視点をもって仕事をなさっておられるな〜と思いましたし、私のような者でも、こういった企業の方たちと、広い意味でのコラボレーションができるのかなと思いました。

人間・社会班で研究会議

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総合地球環境学研究所文理連携(協働)の研究プロジェクトに参加していますが、昨日は、このプロジェクトの「人間・社会班」の第1回めの会議を、龍谷大学社会学部町家キャンパス「龍龍」で開催しました。

■ご参加いただいた皆さんは、これまで、コモンズや流域の問題に取り組んでこられた方たちです。それぞれの専門領域は、経済学、政治学、地理学、社会心理学、社会統計学、生態学、そして私のような社会学と異なるわけですが、異なるからこそ、多元的な視点から、流域管理に関するこのプロジェクトの屋台骨の部分に関して、活発に議論を交わすことができました。

■文理融合(文理協働)プロジェクトのロジックをどう組み立てるのかという点については、自然科学の分野の皆さんよりも、概念操作に長けた人文・社会科学の皆さんのほうが向いているのかもしれません。このプロジェクト、FS( feasibility study)の段階にあり、十分に研究費がついているわけではありません。しかし、11月末のプロジェクトの全体会議までに、「人間・社会班」としてさらに2回ほどの研究会議をもつとともに、メーリングリスト等で、情報・意見交換やディスカッションができればと思っています。

【追記】■本日の朝、通勤途上、京都駅内のオープンカフェで、プロジェクトのサブリーダーである谷内さん(京都大学生態学研究センター)と、昨日の議論の総括とディスカッションを行いました。谷内さんとは、このプロジェクの進捗や流域管理に関する新しい論文の共同執筆に関して、毎週、勉強会をもっているのです。朝はやはり、頭がよく動きますね。

マンガ「寄生獣」

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■マンガの蔵書のなかから、『寄生獣』を職場のランニング仲間・駅伝仲間でもあるHさんにおかししていました。今日は、仕事で瀬田キャンパスに来られていたHさんから、そのマンガが戻ってきました。マンガには手紙が沿えられていました。

「脇田先生 寄生獣、長い間お借りしておりました。ありがとうございました。 本当にレベルの高い、おもしろいマンガでした。長男も甚く気に入ったようで、『人生で二番目!!』ともうしてました。→一番目は今のところ空席だそうですが…。」

■嬉しいですね〜。Hさんは私よりも一回りお若い方です。その息子さんは、まだ高校生。世代を超えて、このマンガに共感してもらえて、満足です。『寄生獣』、大変奥の深いマンガだと思います。研究室にありますから、関心のあるゼミ生や同僚の教員の皆様にはおかししますよ。

映画「エンディングノート」


■facebookの友達でもある笠井先生の投稿でしりました。映画「エンディングノート」。こんなストーリーの映画です。
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私の名前は砂田知昭。享年69歳になります。毎年欠かさず受けていた検診で癌が発見されたのは、会社を引退して二年後の2009年の事、発見時にはすでに手術が不可能な状態でした。癌告知後、私がまず最初に取り組んだのは“エンディングノート”と呼ばれるマニュアル作り。これは遺書よりはフランクで法的な効力を持たない、家族への覚え書きのようなものです。自分の人生をきちんとデッサンしておかないと、残された家族は困るでしょうから・・・。「段取り命!」で高度経済成長を駆け抜けた元熱血営業マンの私にとって、死に至るまでの段取りは、人生最後の一大プロジェクトになったのでございます。
 父が遺した“エンディングノート”が開かれる、その時まで。人間味あふれる父とその姿を見守る家族を「娘」が描いた、感動のエンターテインメント・ドキュメンタリー
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■このストーリーからもわかるように、主人公の砂田知昭さんの娘である砂田麻美監督が、自らの父の最期をドキュメンタリーという形で表現した作品です。公式サイトもあります。DVDも発売されているようです。

■「自分の人生をきちんとデッサンしておかないと、残された家族は困るでしょうから・・・。「段取り命!」で高度経済成長を駆け抜けた元熱血営業マンの私にとって、死に至るまでの段取りは、人生最後の一大プロジェクトになったのでございます。」という部分。癌で父を亡くしている私には、よくわかります。しかし残念ながら、私の父のばあいは、きちんと自分自身の段取りができなかったように思います。それが、父にとってはものすごく辛かったのです。ということで、DVDを購入して観てみたいと思います。

【追記1】■監督の砂田麻美さんのインタビューです。

【追記2】■この作品とは直接に関係しませんが、関連する動画。「葬儀の様子、エンディングノート終活「ライフヒストリー」」。

【追記3】■この「エンディングノート」に関するブログ記事を、知り合いの谷合さんが書かれています。ぜひ、あわせてご覧ください。

京都府の「共に育む『命の里』事業」

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■龍谷大学の政策学部もからんでいる事業のようですね。
一般社団法人京都府北部地域・大学連携機構の設立及び設立記念シンポジウムの開催について

【追記】■先週木曜日(5月2日)の4年生ゼミは、集落営農をテーマに卒論の研究をしたいという学生が、『進化する集落営農―新しい「社会的協同経営体」と農協の役割 (シリーズ地域の再生)』のなかで紹介されていた島根県の有限会社グリーンワークを取り上げて報告しました。

■彼が取り上げたのは「地域貢献型」の集落営農の事例です。このグリーンワークという会社は、中山間・過疎地域を抱える旧佐田町(現・新出雲市)にあります。ここが大切なのですが、農業だけでなく、高齢者外出支援や灯油戸別配達サービスなど地域福祉に関連する課題にも取り組んでいます。島根県では、集落営農を進めるうえで、従来の農地維持機能や経済維持機能だけでなく、生活維持機能や人材維持機能をも重視しているのです。

■この地域では、市町村合併で福祉バスが廃止されました。困るのは、高齢者の皆さんです。高齢者の足を、行政からの補助金をうまく使いながら、この会社が確保しているわけです。農作業のオペレーターには冬場の仕事がありません。一方で、農協も灯油の配送のために人を増やせません。そこでオペレーター職員が、冬場は灯油を戸別配達して、寒い山間地のライフラインを確保しているようです。通常、集落営農といえば農事組合法人なのですが、ここでは有限会社になっています。それは、農事組合法人だと法律の関係で「農業および関連事業」しかできないため、あえて有限会社という仕組みを選択しているのです。大変興味深いですね。地域の側の関心は、「生活防衛」であり「村の防衛」なのです。社会学的に農村社会を研究するばあいも、農政そのものではなくて、農政を受け止める側の地域の論理の構造ないしは戦略に焦点をあてることになります。

■この旧佐田町が中山間地域だから、そうなのだろう…と集落営農の例外にように捉えることは間違っていると思います。平地のまとまった面積をもっている地域に集落営農の背後にも、「村」や「家」の論理が見え隠れしているからです。そのことをきちんと把握する必要があります。

■もうひとつ、この会社の取り組みで興味深かったのは、羊の飼育ということです。夏場、羊に畦畔の除草をさせるのだそうです(雑草を食べさせる)。そうすることで、人件費をうかせることができます。冬場は、その羊を地元の小中学校に貸し出すのだそうです。そして、飼育体験をしてもらうのです。春のになると、羊毛を刈り取ります。刈った羊の毛は羊毛工房で加工されて毛糸、マフラー、帽子といった製品になります。とても面白いですね。このグリーンワーク、うまく「仕事」をつくって、うまく「仕事」をみつけて、地域課題解決に貢献しています。

研究会

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■これから取り組もうとしている文理連携(協働)の研究プロジェクトのことについては、以前に少し書きました。数日前のことになりますが、この文理連携(協働)の研究プロジェクトに関して研究会を持ちました。研究会とはいっても、このプロジェクトの「人間・社会班」の谷内さん(京大生態研)と一緒に、全体の「骨格」や「土台」を考えていくような作業を行うのが目的でした。

■現在の生物多様性をめぐる文理融合(協働)の国際状況やFuture Earth等の動向を再確認したうえで、流域における生物多様性や栄養循環の問題、その問題とクロスする人間社会の様々な空間スケールでの活動、さらには流域診断や社会実践等との関係につい、議論したものを、KJ法風にホワイトボードの上に整理してみました。

■12日には、研究プロジェクトの「人間・社会班」の様々なバックボーン(環境経済学、環境社会心理学、数理統計学、政治学…)をもったメンバーが集まり、さらに詳細な部分について議論をしていく予定になっています。ところで、iPhoneで撮った写真、ボケボケのブレブレです…すみません。

公開シンポジウム「自然共生社会を拓くプロジェクトデザイン」

■私は、滋賀県立琵琶湖博物館に勤務している時代から、自然科学・工学分野の研究者との共同研究(文理連携)に参加しています。その代表的なものは、京都大学生態学研究センターを中心とした自然科学・工学分野の研究者との流域管理に関する共同研究です。その成果は、『流域管理のための総合調査マニュアル』(京都大学生態学研究センター)にまとめられました。また、この共同研究は、総合地球環境学研究所の琵琶湖-淀川水系の流域管理に関する共同研究に継承されました。この共同研究は、琵琶湖の面源負荷(ノン・ポイントソース)の代表例である「農業濁水問題」に焦点をあわせた文理融合(文理連携)の研究です。私は、研究全体を貫く基本的な考え方として「階層化された流域管理」というアイデアを提示しました。そして、その成果は『流域環境学-流域ガバナンスの理論と実践-』(京都大学学術出版会)として出版されました。最近では、総合地球環境学研究所のプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会ー生態システムの健全性」 に参加しています。

■ということで、明日は東京で以下のシンポジウムに行きます。いよいよ、文理融合の研究も本格化してきました。
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公開シンポジウム「自然共生社会を拓くプロジェクトデザイン:文理協働による統域科学のキックオフ」

主催:生物多様性・生態系分野における社会科学と自然科学の連携に関する研究会
後援:日本生態学会、環境経済・政策学会、環境社会学会、グローバルCOEプログラム「自然共生社会を拓くアジア保全生態学」、リスク共生型環境リーダー育成プログラム(SLER)、ほか

日時:2013年4月23日(火) 午後1時~5時
会場:東京大学農学部キャンパス中島記念ホール(フードサイエンス棟)

プログラム(案)
矢原徹一(九州大学、アジア保全生態GCOEリーダー):自然共生社会に向けての統域的研究の課題(問題提起)

第一部(1時間15分、各自20分+質疑5分):自然科学者からの提案
中静透(東北大学、生態適応GCOEリーダー):生態系サービスの持続的利用を可能にする条件について
松田裕之(日本生態学会会長、横浜国立大学、生態リスクGCOEリーダー):自然資本の劣化と人口減少時代の持続可能性科学の創生
島谷幸宏(九州大学):人口減少下の国土構築

第二部(1時間15分、各自20分+質疑5分):人文社会科学者からの提案
大沼あゆみ(環境経済・政策学会会長、慶応大学):利用と非利用にもとづく自然資本保全戦略?持続可能な社会の形成に向けて
宮内泰介(環境社会学会会長、北海道大学):ローカルな知と順応的なガバナンス
栗山浩一(京都大学):生物多様性の総合評価-自然共生社会の実現に向けて

パネルディスカッション:統域的研究の推進計画のあり方を討論し、具体化をはかる。
司会:矢原徹一
パネリスト:上記6名・文部科学省(研究開発局環境エネルギー課)・環境省・日立製作所

開催趣旨
わが国は、環境立国戦略において、持続可能な社会に向けての3つの社会目標(低炭素社会、循環型社会、自然共生社会)を設定し、その実現に向けてさまざまな行政施策を展開している。これらの社会目標(とくに自然共生社会という目標)を達成するためには、自然科学と社会科学の協働が欠かせない。自然共生社会に関連する文理協働(あるいは融合)研究は、JST異分野交流事業(2004-2005)、総合地球環境研「日本列島における人間-自然相互関係の歴史的・文化的検討」プロジェクト(2005-2010)、3つのグローバルCOE(生態リスク、生態適応*、保全生態*)などを通じて発展してきた。その結果、生態学分野と社会科学諸分野の接点が拡大し、本格的な文理協働研究を展開する機会が熟した。このシンポジウムでは、自然共生社会という目標を実現するための文理協働による研究プロジェクトの雛型を持ちより、分野をこえた議論を行うことによって、本格的な文理協働プロジェクトの計画を具体化したい。
 このシンポジウムは、Future Earthという新たな国際プログラムの推進にも貢献することを意図して企画された。Future Earthは、DIVERSITAS(生物多様性国際研究プログラム)、IGBP、IHDP, WCRPという4つの地球観測プログラムを統合し、人文社会科学を加えた統域的研究(trans-disciplinary research)を推進することによって、人類が直面する持続可能性に関わる課題の解決をめざす、10年間の科学プログラムである。このプログラムがめざす統域的研究とは、単なる学際的研究(multi-disciplinary research)ではなく、多分野の知識を統合し、さらに新たな科学の創生をはかるものである。しかし、Future Earthがめざす統域的研究は、現状では概念にとどまっており、具体性に乏しい。
 このシンポジウムでは、生物多様性・生態系を題材として、Future Earthがめざす統域的研究の具体化をはかる。生物多様性・生態系分野では、自然再生・生態系管理など地域の具体的諸問題をめぐって、文理協働が進んでおり、統域的研究の具体化をはかる準備が整ってきた。この状況を背景に、2012年度には3回の研究会を持ち、自然科学者と社会科学者の対話を積み上げてきた。今回のシンポジウムでは、これらの議論の成果をふまえて、文理協働による研究プロジェクトの提案を具体的に検討し、統域的研究の推進計画を立案したい。

【追記1】2013年4月25日
■このシンポジウムに参加しての印象を記しておこうと思います。私は10年以上前に、日本学術振興会の「未来開拓学術研究推進事業」(複合領域6:『アジア地域の環境保全』)の研究プロジェクトに参加していました。そのプロジェクトで行ったのと同様の議論が、今回、Future Earth という世界的な取り組みの新たな装いのもとで繰り返されている…というのが第一印象でした。こういうと傲慢に聞こえるかもしれませんが、がっかりしたようなびっくりしたような。10年たってもかわっていませんから。

■しかし、その一方で、自分たちがやっていたことが間違っていなかったという思いも強く持ちました。まるで、研究費確保のための方便のように言われていた「文理融合」に、私たちは真剣に取り組んで様々な分野の人たちとかなり深い議論を行いました。もちろん、当時の時代状況ではそのような議論はなかなか理解しにくかったのかもしれません(ある意味、時代を先取りしていた)。その成果は、『流域管理のための総合調査マニュアル』としてまとめました。また、そのプロジェクトに続いた総合地球環境学研究所でのプロジェクトでは、「階層化された流域管理」、「階層間のコミュニケーション」、「階層間の状況の定義のズレ」…といった考え方を柱とした『流域環境学』にまとめ出版しました。だから、今回のシンポジウムはデジャビュ…という感じなのです。
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■シンポジウムでは、生態学と環境経済学との連携、すなわち生態系サービスの経済的評価を軸とした研究フレームに対して、環境社会学からは「違和感」がある…という発言で終ってしまいました。しかし、本当にそれで良いのかなという思いもあります。もっと、前向きに積極的に、環境社会学のもっている可能性をアピールして、生態学や経済学とも「対抗的相補性」をともなった連携を構築できるはずだと考えるからです。これは、私たちがこれまでのプロジェクトで繰り返し主張してきたことでもあります。シンポで話題提供した環境経済学者の栗山さんともシンポジウムの後で話しをしました。彼は、環境経済学会を代表して自分たちの可能性をアピールしたわけで、ミクロレベルでは貨幣価値以外の価値が重要であること、そして、そこで環境社会学が大きな役割を果たすことにも同意されていました(私の考え方というか、社会学的視点からは、貨幣は、コミュニケーションのさいのメディアのひとつということになります)。

■今回は、Future Earth に乗り遅れまいとする生態学会の大御所(歴代の生態学会会長)が、リードしたシンポジウムでした。世界のトレンドから取り残されないように…。政策とも結びつかないといけないので、取り急ぎ、政策的に乗っかりやす、あるいは扱いやすい環境経済学との連携にもとづくモデルの話しに終始していた…という印象ももちました。しかし、大切なことは、実践的な関心から、文理融合・文理協働が「心の底から必要」と考えている人との生産的な関係をつくることなのだと思っています。

【追記2】2013年4月25日
■今回のシンポジウムに参加して、人との再会がありました。【追記1】にかいた日本学術振興会の「未来開拓学術研究推進事業」に参加しているときに、若い院生として一緒に勉強していた方が、シンポジウム終了後、話しかけてきてくれました。吉田丈人さん。現在は東大の駒場で教えておられます。当時は、京大の生態学研究センターの博士後期課程に在籍していたのです。しかし、再会した最初の言葉が「どうしたんですか〜、脇田さん、そんなに歳をとっちゃって」ですからね〜(^^;;。だって、実際に歳とっているんやから、仕方ありません。吉田くんとは、交流会でビールを飲みながらいろいろ話しができました。彼の研究は「動物・植物プランクトンからなる生態系の生態と進化のダイナミクス」ですが、その一方で福井県の三方五湖で、湖沼再生のための研究もされています。その研究のなかでは、小学生に両親や祖父母に湖沼の利用について話しを聞いて、それを絵に描いてもらう…なんてこともされているようです。興味深くお話しを伺いました。

地球研プロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会ー生態システムの健全性」 のその後

20130225seitaiken.jpg■昨日は、京都大学生態学研究センターにいきました。この生態研の研究者のみなさんとの研究プロジェクトを通してのお付き合いは16年程になります。それらのプロジェクトとは、以前、生態研のセンター長をされていた和田英太郎先生(安定同位体生態学)をリーダーとする日本学術振興会・未来開拓学術研究推進事業におけるプロジェクト「地球環境情報収集の方法の確立-総合調査マニュアルの作成に向けて-」)や、この生態研出身の谷内茂雄さんとの総合地球環境学研究所でのプロジェクト「琵琶湖-淀川水系における流域管理モデルの構築」の2つで、いずれも流域管理に関するものでした。

■そのような研究経過があったことから、今回、生態研の奥田昇さんがプロジェクトリーダーを務める「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会ー生態システムの健全性」という総合地球環境学研究所のプロジェクトにも参加することになりました。もっとも、まだIncubation Study(新たな研究シーズ発掘のため、総合地球環境学研究所が公募した研究)からFeasibility Study(予備研究)へと移行しようとしている段階であり、この先、研究事業として継続していけるのかどうかは、審査結果しだいということになります。

■昨日は、その審査でのプレゼンテーションに関する打ち合わせでした。締め切り最終段階で、奥田さんは、私も含めたプロジェクトメンバーのアドバイスや指摘を踏まえて、かなりプレゼンの改善に努めておられました。私にとっては久しぶりの文理融合の研究プロジェクトになります。気合いがはいります。ぜひ頑張って審査を突破していただきたいと思います。

■研究の目的は、以下のようなものになります。この研究プロジェクトでは、地球規模で進行する栄養循環の不均衡によってもたらされる環境問題を解決するために、流域圏社会-生態システムの存続基盤を形成する主要栄養元素(炭素・窒素・リンなど)の循環不全を解消し、持続可能な循環社会を構築するための流域ガバナンスの手法を確立することを最終目標としています。Feasibility Study(予備研究)では、以下の2つの目的を掲げています。1)流域生態系の健全性を栄養循環に基づいて評価する認識科学的方法論を提案する。2)「持続可能な循環社会」を流域社会の共通の関心事と捉え、住民が地域社会を再生・活性化する公共財としての価値を身近な自然に見出し、行政や科学者と一体となって内発的に自然再生に取り組む流域ガバナンスの実行可能性について検討する。上記2つのアプローチを融合し、社会と科学の「共創」を通して、地域社会のHuman-wellbeingと生態系の生物多様性・栄養循環機能が相互依存的に促進される状態を「流域圏社会-生態システムの健全性」と捉え、順応的な流域ガバナンスの社会実装を目指します。

【追記】■2013年03月02日。本日、奥田さんから、無事、Feasibility Study(予備研究)に移行できたとの連絡が入りました。さて、気持を新たに、新しい研究プロジェクトに取り組んでまいります。

地球研プロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会ー生態システムの健全性」

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■京都市北区の上賀茂に、総合地球環境学研究所(大学共同利用機関・人間文化機構)という文部科学省の研究所があります。地球環境学の総合的研究を行う研究機関です。「人間と自然系の相互作用環」の解明と「未来設計のシナリオ」の検証を通して、既存の学問分野の枠組みを超えた総合地球環境学の構築をすることを目的としています。 私は、この研究所が開設された初期の段階で、流域管理に関するプロジェクトに所外からコアメンバーとして参加していました。「琵琶湖-淀川水系における流域管理モデルの構築」というプロジェクトです。このプロジェクトの成果は、『流域環境学 流域ガバナンスの理論と実践』(和田英太郎 監修/谷内茂雄・脇田健一・原雄一・中野孝教・陀安一郎・田中拓弥 編、京都大学学術出版会)にまとめられています。これまで、文理融合の研究プロジェクトを目指す様々な分野の研究者の皆さんに読んでいただいています。

■昨日は、その総合地球環境学研究所で、新たな研究プロジェクトの研究会議がありました。奥田昇さん(京都大学生態学研究センター)が代表をつとめる「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会ー生態システムの健全性」プロジェクトです。ただしプロジェクトとはいっても、まだIncubation Study(インキュベーション研究)の段階にあるプロジェクトです。Incubation Studyとは、「新たな研究シーズ発掘のため、地球研が公募した研究」です。本格的に研究プロジェクトを展開していくFull Research(本研究)の段階に至るまでに、まだFeasibility Study(予備研究)とPre-Research(プレリサーチ)の段階を通過しなければなりません。それぞれの段階では、厳しい審査がまっています。昨日の会議は、Incubation Study(インキュベーション研究)からFeasibility Study(予備研究)へ移行するための作戦会議のようなものでした。

■私は、この奥田さんプロジェクトのなかの「人間社会班」のメンバーです。以前に地球研で取り組んだプロジェクト「琵琶湖-淀川水系における流域管理モデルの構築」の時代からの研究仲間、谷内茂雄さん(京都大学生態学研究センター)とともに報告を行いました。とはいっても、今回、パワーポイントのスライドを作成し報告を担当してくださったのは、谷内さんです。谷内さん、ご苦労様でした。以下が、人間社会班からみたプロジェクト全体の基本戦略ということになります。以前に取り組んだプロジェクト「琵琶湖-淀川水系における流域管理モデルの構築」の成果を活用しながら、様々な先端的研究の成果がもつ社会的なポテンシャルを引き出し、それらをつないで、プロジェクト全体としてどのようにデザインしていくのか…、ということでもあります。

■プロジェクトの目的

流域生態系の存続基盤を形成する主要因として、特に生物多様性と栄養素のバランス(収支)に着目し、流域ガバナンスによって生態系の再生と地域社会の活性化を実現する方法を、国内外の実践的な事例研究をもとに実証的に検討する。
1)科学的視点(流域動脈仮説):流域内の生物多様性と栄養循環を調査し、流域生態系の現状を科学的に特徴づけ、生態系の保全・再生の視点から評価する方法を検討。
2)地域社会活性化の視点:地域関係者といっしょに、各地域の歴史(生業など)、課題(過疎・高齢化など)、地域活性化(農業・観光振興など)のポテンシャル等を前提に、地域の潜在的な生態系サービス、特に食・健康の安全・安心に関わる需要を掘り起して地域活性化に活かす方法を検討。
3)研究者と地域関係者が、1)、2)のプロセスを琵琶湖流域などで事例として実践し、生態系再生と地域課題の解決が流域ガバナンスにより内発的に促進される条件とその方法を検討。

■プロジェクトの最終成果

流域生態系における栄養循環の新たな定量評価法の確立。
・地域活性化の文脈における生態系サービスの可視化手法の構築。
・流域ガバナンスが生態系再生と地域再生を共に促進しうるための基本仮説の検証と実践的な合同調査法の提示。
認識科学と設計科学の両面から、地球環境問題と地域課題の解決に貢献する。

20130214okudapro4.jpg■昨日の研究会議は、13時から18時過ぎまでと、かなり長時間にわたるものでしたが、ISとは思えないほど充実した報告が続きました。これからが楽しみです。研究会議のあとは、京都の北山まで移動し、プロジェクト参加者との懇親会という流れになりました。写真は、その途中、地下鉄の国際会議場にあった電照広告です。 「地球研って何をするところ?」と書いてあります。そうです、総合地球環境学研究所の宣伝です。地球研は国の研究機関であり、学生を募集する大学とは異なり、このような宣伝はしない…と思っていましたが、最近はどうも違うようですね。このような宣伝も、納税者である国民へのアカウンタビリティの一環ということなのでしょうね。

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