「無理なく、楽しく、続けられる」やり方で

■最近注文している若者のお一人、土肥潤也さん。大変面白い活動をされています。その土肥さんのfacebookへの投稿です。「無理なく、楽しく、続けられる」やり方で、「自分たちが住みたいまちは自分たちでつくっていく、自分たちの生活圏を自分たちで豊かにしていくことが必要」、その通りだと思います。

■土肥さんは、ご自身のfacebookへのご投稿を公開されています。といことで、このブログに「埋め込み」しようと思ったのですが、うまくいきません。以下は、転載させていただきます。

無理なく、楽しく、続けられる。
思うに、コミュニティスペースはできる限り民間資金をベースにしながらやった方が良いんじゃないかと。
というのも、行政資金などに依存してしまうと、どうしても行政の事情に合わせないといけないし、何より予算が切れたらそこで終了になってしまいます。
首長が変わったり、行政の方針が変わったりで、運営していたコミュニティスペースを泣く泣く手放すことも経験してきました。あのときは、なんとも無念でした。
(自分は若くして行政事情で事業がスパッと切られた経験が、いまの考え方のベースになっている気がします。つまりは依存度高すぎるとやばいぞと。だからと言って完全に行政と関わらないわけではないけれど)
もちろん子どもや若者の居場所など、収益化しづらい領域もあるので、そこは社会保障として取り組んでもらうのが良いとは考えています。
だけど、全体的な流れとしては、行政予算はどんどん縮小するし、自活する方法をなんらか考えないといけません。
つまりは自分たちが住みたいまちは自分たちでつくっていく、自分たちの生活圏を自分たちで豊かにしていくことが必要です。
一方で、完全市民活動的にコミュニティスペースをつくって、運営に疲弊して無くなっていく場もいくつか目にしてきました。
運営が大変な割に儲からないし、どんどん利用者からは求められることが多くなる。それに葛藤する運営者の皆さんともたくさん出会ってきました。
さんかくをはじめて3年。
さんかくの経験をもとにいろんなコミュニティスペースづくりに伴走させてもらってきました。
めちゃくちゃ儲からないけど、ちゃんと黒字でまわる。そして、地域を豊かにしていく。そんな市民主体の場をもっと全国あちこちに増やしていきたいのです。
そこではじめるのが、「コミュニティスペースの学校」です。
https://cs-school.jp/
キャッチコピーは、無理なく、楽しく、続けられる。そんな場が今の時代だから必要です。
ちなみに、、、
行政主体の場でももちろん大歓迎です。一緒に持続可能な形を考えましょう!

■この引用の中にある、「コミュニティスペースの学校」についても、ぜひリンク先をご覧ください。こういう形での事業化ってありなんですね。

高島市役所での聞き取り調査、棚田サミットの報告書。

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■今週の火曜日、午前中は大津市役所で今年度最後の「大津市協働を進める三者委員会」でした。いったん帰宅して昼食を済ませ、午後は高島市役所へ移動しました。市役所では、総合戦略課の課長さんからお話を伺いました。まあ、聞き取り調査ですかね。高島市は、2022年の市人口が転入が転出を3人上回る「転入超過」となったことが、ニュースになりました。そのこととも関係するのですが、高島市への移住促進や関係人口の創出に関する取り組みについてお話を伺いました。また、高島市と龍谷大学との連携に関しても意見交換を行いました。楽しい聞き取り調査でした。写真は、帰りの電車の中から撮ったもの。今日は天気が良いし、気分が良いです。
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20230329tanada_summit.jpg ■高島市役所では、昨年の秋に開催された「第27回全国棚田サミット」の報告書をいただきました。事例発表、基調講演、3つの分科会、全ての記録がこの報告書の中に収められています。力が入っています。文字起こしも、業者さんに委託せず、全て市役所の職員の皆さんでされたのだそうです。そのような作業、今回の棚田サミットの成果を、改めて深く理解する上で良い経験になったとのことでした。ちなみに分科会のコーディネーターは、龍谷大学の3人の教員が担当しました。社会学部の坂本清彦先生、経済学部の西川芳昭先生、そして私です。また、この3人に加えて、社会学部の岸本文利先生、農学部の山口道利先生、金子あき子先生、田邉公一先生も一緒に、あわせて7人で高島市からの委託研究に取り組んできました。前述したように、この棚田サミットをひとつのきっかけとして、これから高島市と龍谷大学の連携がさらに深まっていけば素敵だなと思っています。

東海テレビ「保護者の98.7%が賛同…小学校で“PTA解散”決断 学校「一旦リセットと前向きに」会費等なしで活動する学校も」


■ PTAをリセットする。PTAではなくPTCA。Cはコミュニティのことです。時代の変化や価値観に合わせた新たな動きなのかなと思っています。日本のこれまでの地域社会によくあった、義務として各世帯から労働力を調達するような形の、あるいは「もやい」と呼ばれたかつての義務としての共同労働のような形のPTA活動ではなくて、それぞれの個人の意思と主体性で地域の子どもたちの成長を支えていこう…そういう新たな動きが生まれてきているのかなと思います。これは地域社会の自治に関連する問題なのかもしれません。「地域社会の子どもを、みんなで支え合って守り育てていこう」、そういう意識がこのTVニュースの中から感じ取ることができます。

■地域社会の小さな変化でしかないと思う方もおられるでしょうが、私は、このような小さな変化の中に、ゆっくりゆっくりと進む社会全体の大きな変化を垣間見るような気もします。そういあって欲しい…ここは願望。でも、私自身は、仕事のせいにしてPTAのことやった経験がありません。偉そうなことは言えません。

■この投稿とほぼ同じ内容の投稿をfacebookにもいたしました。すると、若い知人がシェアしてくださいました。その知人は、PTAの役員です。当事者でもあります。この知人の近隣の学校ではPTAが解散している地域もあるそうです。その知人は次のように考えておられます。「PTAは手段であって、組織の存続自体が目的化しているのはおかしいんです。目的は、子どもたちの健やかな育ちなどを応援することだと思っています。また、PTAは完全に自由意志の有志によるボランティアというのが、19世紀にアメリカで始まって以来の本来の姿です。自発的にやる人がいないのであれば、それはもう成り立ちません」。私もそう思います。日本において、現在のようなPTAが登場したのは第二次世界大戦後のことになります。ただ、戦前からの地域社会のあり方と、戦後、占領軍が新しく設定したアメリカ流の組織とのハイブリッドのような気がします。この辺りは、きちんと文献を確認したわけではありませんので、ご注意いただいたと思います。

■この知人の投稿には、「昔PTA活動に携わってきて、今はその他の地域活動に精を出している地域の方々」が、このような新たな動きに対して反発されていることも書かれていました。その点について気になるのは、どういう年齢層の、どういう経験を積み(地域社会での成功体験)、どういう地域社会観を持っている方達なのかという点です。おそらくは、地域社会はこうあらねばならない、あるべきだ…というようなお考えがあるのかなと思っています。そういう方達にも、意見を伺いたいですね。大切なことは、知人も述べておられるように、「子どもたちの健やかな育ちなどを応援する」ために、地域社会で何ができるのか、何をしなければならないのか…というあたりのことを共有できるかどうかなのではないかと思います。形式ではなくて、実質をどのように担保するのかです。もうひとつ、ニュースにあるPTCAと関連して、学校運営協議会(コミュニティ・スクール)に関しても述べておられました。知人の意見は「なかなか形式的なものから脱却できずに」いるというものですが、なぜ形式的なものから脱却できないのか…、おそらくは従来のPTA活動の延長線でこの「学校運営協議会」が捉えられているからではないのかなと思っています。

■私は、従来のPTAの組織のあり方を全否定するつもりはありません。ただ、子どもたちの多くの保護者の皆さんが日中は働いているような状況で、現実問題として、従来の「専業主婦」の存在を前提としたPTA活動は成り立たなくなっています。学校というものの捉え方も、私が子どもの時とはずいぶん変化しているようにも思います。乱暴なことを言いますが、多くの保護者の皆さんが、学校が必要だとは思っておられても、以前ほどは学校という存在を有難いもの、大切なものとは考えてはおられないのかなと思っています。

■この投稿に書いた内容は、社会学の課題、特に地域社会学や教育社会学の課題かなと思っています。なにか、既存の研究が存在しているかもしれません。というか、きっとあるに違いありません。専門分野ではないので、まだ調べてはいませんが。

【追記】■facebookの投稿に、大学の後輩で、長年、高校で教員と管理職を経験してきた方です。「定時制高校では、昔の勤労青年の学びを支える観点から保護者と一緒に雇用主がいまも必ず重要なメンバーとして制度化、参画している」とのことでした。facebookに投稿したときは、「PTAといえば小中学校」ということが前提になっていました。その後輩の方は、お子さんが小中学校に通学されているときはPTA役員を経験され、教員としてもPTAに関わってこられました。その経験から、「地域と密接な共生関係にある義務教育校と校区が広い高校での温度差、高校ごとの温度差に常に考えさせられました」とのことでした。高校は、地域社会=コミュニティよりもぐんと校区が広いため、私が本文で書いたような「地域の子どもたちの成長を支えていこう」という気持ちは、共有できないことはないにしろ、かなり困難であろうことは容易に想像できます。また、偏差値によって序列化された高校ごとに、家庭の経済力や文化資本も違っているかもしれません。コメントでいただいた、「高校ごと温度差」の背景には、そのようなことが存在しているのではないかとも思います。

喜多酒造さんを訪問しました。

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■今日は、野洲市須原で「魚のゆりかご水田」に取り組まれている農家の堀彰男さんと、東近江市にある喜多酒造の喜多良道社長を訪問いたしました。今、堀さんと企画中の「第1回 世界農業遺産・琵琶湖システムを味わう会」についてご相談をするためです。喜多酒造さんは、「喜楽長」という銘柄でよく知られていますが、それに加えて、堀さんの「魚のゆりかご水田米」を使って「月夜のゆりかご」という銘柄のお酒も醸しておられます。

■そのようなこともあり、「味わう会」でも「月夜のゆりかご」をお出しするのですが、喜多社長には、農家である堀さんとの連携で「月夜のゆりかご」が誕生するまでの事や、世界農業遺産を梃子に滋賀の農林水産業、食品産業、旅行業がどのように連携していくのか、そのあたりの展望についてもお話しいただくことになりそうです。今日は、今後の「味わう会」の展開についてもご質問やご意見をいただきました。また貴重なアドバイスをいただきました。ありがとうございました。喜多社長にご相談をさせていただいたことで、とても力が湧いてきました。そして、次の展開についても少しビジョンを持つことができました。

【関連投稿】「滋賀の地酒-酒学事始」

「夏原グラント」と「モバイル本棚」

20230312natsuhara_grant.jpg ■本日は、平和堂財団夏原グラント・一般助成2年目の団体の皆さんによるプレゼンテーションの日でした。地域で取り組まれている活動のお話を伺っています。いつものことながら、勉強になります。場所は、草津市立総合交流センターです。立派な施設ですね。草津市が羨ましい。大津市は…。それはともかく、掲示板に面白いグループのポスターを見つけました。

■おそらく、この団体の皆さんかと思います。「学び床」という団体です。そのようなことをfacebookに投稿すると、すぐに代表の池田次のようなコメントが入りました。「モバイル本棚、少しずつ活動を広げています!! またお話しましょう」。これは、また会いに行かないといけませんね。

20230312mobile_bookshelf.jpg ■ポスターには、こう書いてあります。

学び床って?
「社会人がまちに出る」をモットーに、学びや本をベースにした様々なコンテンツを通じて交流し、まちとつながる実践型コミュニティです。

モバイル本棚って?
その名の通り、手作りの移動式本棚。
大きさ:車に詰めるくらい
収納冊数:できるだけ
走行可能距離:未知数

活動の背景?
こんにちは、代表の池田です。
私は、まちづくりや生活の基盤に関わりたいとの思いから、鉄道会社に入社しました。
とはいえ、既存の組織や肩書きではアプローチできないことがたくさんあります。
私は同じような会社員や、またはそうでない人も、既存の枠組みから「越境」し、地域や暮らしを考えたり、人との出会いを通じそこから新たな挑戦が生まれてくる。そんな「まちの入り口」になっていけばなぁと思っています。

活動内容は?
月に2回程度、de愛ひろばなどに本棚を置き、集まった人が自由に本を読んだり、本を通じて対話したりしています。神社や畑など様々な場所でも場づくりを計画中。ゆくゆくは、地域の人と好きな本などを持ち寄り、シェア型図書館を展開したい。絶賛仲間募集中です。
その他、有志で古本市を開いたり、公共公益機関などと連携し市民参加型アクションを行っています。

■素敵じゃないですか。

世界農業遺産認定のお祝い、これはゴールではなくスタート。

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20230311giahs2.jpg ■昨年7月に、滋賀の農林水産業「森・里・湖に育まれる漁業と農業が織りなす 琵琶湖システム」が世界農業遺産に認定されました。昨晩は、その申請作業に取り組んだ滋賀県庁職員の皆さんと一緒に、時期は遅れましたがお祝いの会を持ちました。昨年の10月のことになりますが、世界農業遺産に取り組まれた4代にわたる歴代農政水産部長(滋賀県庁)の皆さんとは、この「利やん」ですでにお祝いをしたのですが、実際に申請書の作成にあった職員の皆さんとはなかなかチャンスがなかったのです。もちろん、お祝いの場所は、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」の別館(宴会場)です。facebookやこのブログに何度も投稿してきましたが、世界農業遺産に認定された「琵琶湖システム」に関する様々な出来事が、いつもこの「利やん」と深く関係しているのです。「利やん」は、「琵琶湖システム」の聖地なんです(知らんけど…ですけど)。

■それはともかく、昨日参加された皆さんとは、次のことを確認しました。「世界農業遺産の認定は、ゴールではなくてスタートだ」。ちょっと下品な表現ですが、「世界農業遺産の認定の価値を、骨の髄までしゃぶりつくさんとあかん」と思っています。国連のFAOに世界農業遺産として認定されたことを、社会的に活かしていかねば意味がないのです。そのような取り組みを、もっと民間の力で進めていきたいと考えています。写真ですが、「『世界農業遺産』認定をめざそう」になっていますが、これは認定される以前のものです。今だと、「『世界農業遺産』認定の価値をしゃぶりつくそう!!」かな。民間の関係者が、本気にならなければなりません。
■昨日は自宅で仕事をして、夕方から「利やん」のある大津の街へ出かけました。ついでに健康維持・回復のためウォーキングをやろうと、JR唐崎駅で降りて大津駅前にある「利やん」まで歩きました。疲れました。100kmウォーキングをしていたあの体力はどこにいったんだろう。コロナで引きこもっていることが多く、知らない間に体力がなくなっているのです。スマホのアプリ「キョリ測」で歩いた距離を測ると約6km。一般的なスピードだと1時間50分なんだそうですが(18.3分/km→かなりゆっくり)、私は1時間15分ほどで歩きました(12.5分/km→これも大して早くありませんね)。

■認定のお祝いの会は、18時半から始まる予定でしたが、ウォーキングを頑張ったせいか少し早めに「利やん」到着しました。ふと壁に目をやると、闘病の末2018年の10月16日に亡くなった「利やん」のマスター光山幸広くんの写真が飾ってありました。光山くんの向かって左側は、TBSの「酒場放浪記」の吉田類さんです。番組の取材があった時に写したものです。取材があったのは、2017年の11月13日です。光山くんが持っている色紙は、現在、「利やん」の本店の方に飾ってあります。

20230311giahs3.jpg ■この写真を見ながら、思い出したことがあります。世界農業遺産認定に向けて頑張っていることをアピールするために、トップの写真に写っている皆さんと一緒に「第3回びわ湖チャリティー100km歩行大会」=「びわ100」に参加した時のことです。「びわ100」は、長浜からスタートして、南郷の洗堰をまわって雄琴温泉に至るまでの100kmを徹夜で歩くチャリティーイベントです。びわ湖ホールのところに90kmの第6チェックポイントがありました。その少し前のあたりで、光山くんが私を迎えてくれたのです。その時の投稿には、次のように書いてあります。

足裏は豆で痛かったのですが、比較的スムースに第6チェックポイントに移動することができました。その移動の途中、大津プリンスホテルを過ぎたあたりで、1人の男性に呼び止められました。「チーム利やん」のオーナーで、大津駅前の居酒屋「利やん」のマスターである光山幸宏さんでした。これまた、びっくりです。一緒に歩いていた亀甲さんも、「チーム利やん」の団結力に驚かれていました。光山さんは、わざわざ用意した椅子に私を座らせて、カチコチになった肩と背中を揉んでほぐしてくださいました。また、暖かい飲み物も差し入れてくださいました。ありがたかったです。本当に。光山さんからも元気をいただき、第6チェックポイントに到着しました。5時45分頃です。

■昨日のお祝いの会には、私も含めて10名ほどの方たちが参加されましたが、本当は、もっとたくさんの方達が世界農業遺産をアピールするために「びわ100」に参加されていました。今年の秋は、「びわ100」にエントリーするかどうかは別にして、またみんなで琵琶湖の南湖を1周50kmを歩く「合同練習会」をやりたいねという話になりました。滋賀県庁を出発して、時計回りで、湖西を北上し、堅田で琵琶湖大橋を渡リ、そこから南郷の洗堰を目指して南下し、洗堰を渡って再び県庁にまで戻るというコースです。もちろん、練習会のあとは、「利やん」で打ち上げをするはずです。下の写真は、初めて「びわ100」に参加した時の集合写真です。とても懐かしいです。

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『わたしのコミュニティスペースのつくりかた』

20230307community_space.jpg ■届きました。素敵な本だな〜。本のタイトルを見て、心の中にモワモワとイメージが湧いてきて、ちょっとワクワクしてくる人は、ぜひ手に取って読んでみてください。なにより、タイトル通り「わたしのコミュニティスペースのつくりかた」が具体的に書いてあります。構成が素敵だな〜と思います。

■以下は、amazonに掲載されていた紹介文です。

イメージづくりからオープン準備、運営までの困りごとにQ&Aで答えるほか、民営図書館「みんなの図書館さんかく」、地域の文化複合拠点「ARUNŌ」の完成までのストーリー、全国のコミュニテイスペース運営者の体験談、企画や予算、契約、宣伝、取材対応、事業の継続性までのハウツウなど盛りだくさんの内容です。
場づくり・運営のかなり具体的な実践手法を紹介しておりますので、地域に溶け込むような場づくりに興味を持っていらっしゃる方にぜひ手に取っていただきた1冊です。

目次については、こちらをご覧ください。

■こちらは、この本の著者のお一人である土肥潤也さんが運営する私設図書館「みんなの図書館さんかく」に関する記事です。Twitter経由で、このブログにも貼り付けてみました。この記事もぜひ読んでみてください。

■環境問題に関連して、問題解決のための緻密な仕組みを考えて地域に押し付けてるのはやめよう、むしろ「スカスカ設計」の方がいいんだよと常々言ってきました。こんなので大丈夫なのかなという「スカスカ設計」からスタートしながらも、いろんな人が関わりながら現場の中から「こうした方がおもしろいよ」とか、「私はこんなふうに展開してみたい」とか、そう行った動きが創発的に出てくる、新しいアイデアが出てくる、そういうことの方がずっと大切なんだとも言ってきました。そういう自分の「スカスカ設計」の考え方は、土肥さんの「余白」ということと、どこがつながるような気がします。気がするだけかもしれませんが。この私設図書館「みんなの図書館さんかく」に行ってみようと思います。

「願い事ランタンで交流しよう」(龍谷大学社会学部ろ・社会共生実習「大津えんぱわねっと・大津中央」)

2023023negaigoto_lanthan.jpg■「地域エンパワねっと大津中央」(龍谷大学社会学部・地域連携型教育プログラム「社会共生実習」)の2チーム。2月11・12日に、そのうちの1チームが「中央の記憶 レトロ写真展」を地域の皆さんとの協働により開催しました。2日間で170名ほどの皆さんにお越しいただきました。

■2月24日は、いよいよもう1チームのイベントが開催されます。「願い事ランタンで交流しよう」です。大津市立中央小学校の先生方や地域の皆様と相談を重ねつつ、今回の開催に至りました。大変お世話になりました。ありがとうございました。場所は、小学校の体育館です。中央学区の皆様、どうかご参加ください。小学生や幼稚園のお子さんたちだけでなく、大人の皆様にもご参加頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

■今回のイベント開催にあたっては、たくさんの牛乳パックを再利用することになっています。牛乳パックを集めるにあたっては、龍谷大学生活協同組合様にご協力いただきました。学生チームの活動をご支援いただき、ありがとうございました。

「中央の記憶 レトロ写真展」(社会学部・社会共生実習・「地域エンパワねっと大津中央」)

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■「地域エンパワねっと大津中央」(龍谷大学社会学部・地域連携型教育プログラム「社会共生実習」)が企画した「中央の記憶 レトロ写真展」が、2月11日と12日の両日、丸屋町商店街(大津市)にある「大津百町館」で開催されました。この写真展を企画した学生さんたちの思いについて説明します。以下が、開催趣旨です。

長い歴史のある大津市中央学区には、多くの人々が住んでいます。生まれた時からこの地に住む人。働くためにこの地に来た人。故郷であるこの地に帰ってきた人。その一人ひとりに、中央学区での記憶、思い出、歴史があります。思い出の地を写真に収め、それぞれの想いを共有することで、人と人をつなぐことができないかと考え、写真展を企画するにあたりました!

■今年度のこの3人の女子学生のチームの皆さんは、なかなか優秀で、自分たちのしっかりした考えを持っておられます。特に、私が横から何か指示しているわけではありません。ただし…、だからかな、少し日本語も変ですかね…最後のところ。それはともかく、学生の皆さんの思いがしっかり伝わってきます。そのような思いは、応援してくださっている地域の皆さんにも伝わったのではないか思います。というこで、地域の皆さんのご支援をいただきながら無事に開催することができました。ありがとうございました。

■今回の写真展の準備では、「中央カメラリレー」を実施しました。まず写真を撮影するために、今だと当たり前のスマホを使用せず、昔流行った「写ルンです」というレンズ付きフィルム(使い捨てカメラ)を使いました。撮影してくださる方達を、一台の「写ルンです」を数人でレリーしていただき、それぞれの思い出のある場所の写真を撮っていただきました。「レトロ写真展」ですが、写真自体は現在のものです。なぜレトロなのか、そこに自分の昔の思い出が込められているからです。「思い出のある場所の現在の姿はどうなっているのか。記憶を振り返る良い機会になれば」という学生さんたちの思いがあるのです。

■写真展とは言っていますが、美術館等で開催される写真展とは異なっています。一つひとつの作品について、学生さんたちは撮影した方たちから丁寧にお話を伺っています。そして伺ったお話を作品の下にコンパクトにまとめて掲載しました。それをご覧になった方たちも、「ああ、そうやった」、「自分の場合はこうやった」と会場でいろいろお話をされるのです。写真が、人と人の間に、人と地域の間に眠っていた記憶を呼び起こしていくのです。素晴らしいと思います。

■もうひとつ、写真展には次のような狙いがありました。学生の皆さんは、作品として展示した写真をハガキにも印刷しました。今はスマホがあれば、いつでも人と繋がることができるわけですが、コロナでなかなか会えない人たちに、あえてこのハガキでメッセージを送ってみませんか…と来場者に呼びかけていました。私も、孫のひなちゃん と ななちゃんにハガキを書いて送ってみました。

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■今回の写真展、読売新聞、京都新聞の記者さんに初日に取材いただき、本日の新聞で記事にしていただきました。今日は、午前中に中日新聞の記者さんにも取材していただきました。そのようなこともあってか、今日は120名ほどの方達がご来場くださいました。昨日は54名ですから、倍以上の方達がご来場くださったわけですね。私もとっても嬉しいです。新聞社の皆さに感謝いたします。今回の写真展の進め方、特別難しいことではありません。また、地域の皆さんでも、気持ちさえあれば、難しくなく実施していただけるのではないかと思います。また、「エンパワねっと」の後輩たちにも、とても参考になるのではないかと思います。

■ご来場くださった方の中には、3人の女子学生のチームのうちの1人のお父様もいらっしゃいました。関心をお持ちになったようで、トレーニングのジョギングをしながら会場までお越しくださいました。ありがとうございました。社会学部の卒業生で、現在、福祉法人を経営されている先輩もお越しくださいました。学生たちのこの写真展の企画を大変評価してくださいました。2003年のご卒業ということでした。私が龍谷大学に勤務するようになったのは2004年のことですから、残念ながら教員-学生の関係はありませんが、「エンパワねっと」の取り組みを応援してくださっていたようです。ありがたいことです。さらに、私の知り合いのランナーの方も、別用で商店街にたまたまお越しになっていて、私の声をかけてくださいました。facebookのお友達なのです。こちらの方は、50歳代に突入されていますが、フルマラソンを2時間30分代で走るすごいランナーなのです。いろんな方達に起こしくださいました。ありがとうございました。

これからの自治会、まちづくり

20230203jitikai.jpg■先日、大津市役所の「大津市協働を進める三者委員会」が開催されました。 委員の皆さんから、いろいろ意見をお聞きしましたが、やはり自治会の問題が一番重かったかなと思います。市役所のほうは、昔と変わらず自治会がしっかりしてほしいと、やはりどこかで考えておられるようなのですが、委員の皆さんからは、「もうそんな考えをしている段階ではない」という厳しい意見をたくさんいただきました。大津市内でも、地域によって違っているとは思いますが、自治会の加入率は低迷しています。

■自治会は、行政にとっては「便利な仕組み」だと思います。自治会の加入率が低くなっても、この自治会という制度に、ある意味「しがみつきたい」のは理解できますが、実質的に地域を代表する組織ではなくなりつつあります。もちろん自治会はあっても良いと思いますし、今も必要とされているところもあります。そうなんでが、同時にそれとは別の仕組みも必要なのではないかと思います。地域の皆さんからは、特に若い世代の皆さんからは、少しひどい言い方になりますが、行政や公的機関の方から何か仕事を押し付けるような仕組み…としてしか理解されていないように思います。機械的に自治会の役員の順番が回ってきた時に、自治会をやめる人もおられます。役員の成り手がいないのです。これは、大津市だけでなく、全国的な傾向です。

■自治会とは別に、この地域に暮らすことの「楽しさ」を生み出すような共助の仕組み、地域の「心配事」(例えば防災)を解決/緩和するための共助の仕組み、そのような仕組みを立ち上げていく必要があるのではないかと思うのです。以前、この委員会では、そのような仕組みを立ち上げた例をお聞きしています。もちろん、そのよう仕組みは、自分たちのためのものであって、行政の「下請機関」になるための仕組みではありません。

■加えて、情報です。市役所は、オープンデータや地域カルテといった形で情報を提供しているのですが、一方的に提供しても、誰も利用してくれません。特に、地域の「心配事」、たとえば地域の防災に関する心配事に寄り添うような形で、データを地域ごとにカスタマイズできなければ…と思います。地域の災害リスクを示した地図の上に、地域の微細な高齢化率の違いを表現した地図を重ね合わせてみると(個人情報の関係で困難さが伴うのですが)、「普通だと避難できるかもしれんけど、このあたりは高齢者の方が多いから、どうやって避難しはるんかな、誰がサポートするんやろ、なんとせんとあかんやん」という「発見」(気づき)が地元の皆さんによって為される必要があると思うのです。これは、例えば…の話ですですけどね。そういう相談事、今の市役所では対応できません。そう言われました。市民の主体的な動きに対して、きちんと寄り添える仕組みがないのです。

■お一人の委員からは、お隣の草津市はもっと市民の相談事にきちんと寄り添っているのに、なんで大津市はできないのかという厳しい質問も出ました。こうなると、職員研修等の問題も考えないと…という話になってきますが、これからの地域自治を行政としてどのように支えていくのか、もう一度、しっかり考え直す必要があるのではないかと思います。

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