大津市長等の「ishigama」
■昨日午後は、大津市の「コラボしが21」の3階で、環びわ湖大学地域交流フェスタ2014「大学地域連携課題解決支援事業」でしたが、そのあと、大津市の長等で、石釜ピザのお店「ishigama」の開店を目指している2人の青年のところに向かいました。最初に、お2人との出会いについて書いておこうと思います。
■龍谷大学社会学部で取り組む地域連携型教育プログラム「大津エンパワねっと」、そしてゼミで取り組んでいる「北船路米づくり研究会」では、大津市の中心市街地の皆さんに大変お世話になっています。学生が地域の皆さんと一緒に活動することもあり、本当にいつも感謝の気持ちでいっぱいです。ご相談したりお願いをしたりすることの方が圧倒的に多いのですが、たまにご相談を受ける側になることもあります。このお2人のときもそうでした。「街中で、滋賀の農産物を使ったピザのお店を開店したいと考えているので、ぜひ会って話しを聞いてやってほしい」と、「エンパワ」でお世話になっている方からお願いされたのでした。私は、企業経営のことなど何もわかりませんが、学部やゼミで取り組んでいる「大津エンパワねっと」や「北船路米づくり研究会」の知り合いの方達のネットワークをうまく活かせていただけるかもしれない…との思いから、お2人には何人かの方達をご紹介させていただきました。
■市場から漏れ落ちてしまうような規格外の農産物、自給的農家が生産している少量の安心・安全な農産物、滋賀の特産品…それらをうまく活用して、地域を活性化することはできないか…お2人は、単にピザ店を経営したいということではなく、ビザ店の経営を通して地域課題を解決する活動をしたいということを目標にされているのです。そのためには、いろんな方達とのネットワークが必要になってきます。私も、少しはお役に立つことができているのかもしれません。そんなお2人とのお付き合いもあり、昨日は、オープン前のお店に招待していただきました。まだ、内装の工事もすべて終わっていませんでしたが、「知人の方達を招いて、いろいろ意見をもらいたい」ということのようでした。私も遠慮なく、自分の意見を言わせていただきました。
■滋賀の新鮮で美味しい農産物・食材と、石釜を料理に使うことで、ここにしかない料理を出してもらいたいと思っています。そこをお店の「軸」にして、コンセプトにぶれがないようにしていただきたい…、それが昨日の私の意見です。玉ねぎを、リンゴを、石釜のなかで焦げるくらいに焼くと、中身はとろけるような美味しさになります。石釜で石焼芋を作ると、めちゃくちゃ美味しいです。遠赤外線の力なのでしょうね。「滋賀の農産物や食材が、ピザの上でハーモニーを奏でる」ことに加えて「石釜が農産物の美味しさをグイッと引き出す」ということも、このお店の魅力になるはずだと思いました。また、これは以前にもお2人にお伝えしましたが、「食」「農」「環境」に関わって頑張っている人たちの情報を発信するとともに、そのような「食」「農」「環境」に関心をもっている方達が集まる「場所」にもなってほしいと思っています。いろんな方達とのネットワークで維持できるお店ですから、その方達の情報を発信してほしいし、お店が「ハブ空港」のようになって新たなつながりも生まれてもほしいのです。正式のオープンは、来年の1月4日の予定です。「ishigama」の経営がどのように発展しいくのか、とても楽しみにしています。トップの写真ですが、滋賀の赤蕪が乗っています!!
「魚忠」さんと赤ズイキ
■先々週の土曜日、11月29日は、第32回「北船路野菜市」でした。そのとき、協力農家から出荷された赤ズイキを、大津市の中心市街地にある料亭「魚忠」さんにご購入いただきました。「魚忠」さんは、市場ではなかなか手に入らない地元の野菜を使いたいと強く希望されていましたので、とても喜んでくださいました。後日、facebookでご連絡をいただきました。赤ズイキの芋は、とてもネットリして煮崩れもなく、大変美味しかったとのことでした。この赤ズイキは、協力農家のKさんが生産されたものですが、私たち「北船路米づくり研究会」としても、大変嬉しくなります。「魚忠」さんには、お店でも料理に使っていただけるようです。なお「魚忠」さんからは、茎の調理の仕方についても検討されているとのことでした。
■このことを指導農家の吹野さんに伝えたところ、すぐに反応がありました。赤ズイキを配達しよう。赤ズイキの茎を地元ではどのように調理されているのか、出荷してくださった協力農家の奥様にもサンプルの料理を作っていただき味わっていただこう。そのときに、調理方法や保存方法をお店の方にお伝えしよう。そういう提案でした。もちろん、私への提案ではなくて、学生リーダーのKくんへの提案です。写真は、そのときの様子を写したものです。「魚忠」の社長さん、とってもよろこんでいただけたようです(私は、この場にいません)。
■「北船路米づくり研究会」の活動目的は、「生産者と消費者の『顔のみえる関係づくり』」にあります。最近は、その延長線上で、「農・商・学」連携についても頑張っています。ということで、明日、「魚忠」さんの定休日なのですが、社長さんに北船路まで来ていただけることになりました。実際の生産地をご覧いただけることになりました。案内役は、学生リーダーのKクン。別の協力農家が苦心して生産されている高級食材「海老芋」についても、ご覧いただけるかと思います。明日のことは、また報告させていただきます。
第32回「北船路野菜市」
■先週の土曜日、第32回「北船路野菜市」が開催されました。月1回開催しているこの野菜市も、これだけ回数を重ねてくると、少し迫力が出てきました。4月と9月を除く月ですから、特別の困った事情がないかぎり年に10回開催することになります。かりに、あと7年継続すると100回を超えます。そこまで継続できるのかどうか、今のところよくわかりませんが、とにかく成果が生まれる限り継続していきます。また、参加したい学生が次々とやってきてくれる限り継続します。
■今回も、近くにお住まいの一般の消費者の皆さんや、大津駅前の居酒屋「利やん」さんにご購入いただきました。さらに、これまた近くにある料亭「魚忠」さんにも里芋や赤ズイキ、そして季節の野菜をご購入いただきました。ありがとうございました。今回の赤ズイキは、芋付きでした。ズイキの芋は、きめの細かいねっとりとした食感があるそうで、サトイモとはまた異なった美味しさがあるといいます。「…あるそうで、」とか「…といいます。」と書きましたが、私自身がきちんと食べたことがないからです(おそらく…)。芋の上側、茎の方は、皮をむいて茹でて酢の物や漬け物にします。また、乾燥させた干しずいきにしてこれまた酢の物にして食べることが多いのだそうです。
■昨日は、たまたま、協力農家さんからこの赤ズイキの出荷がありました。一般のお客さんは、どうやって食べたらいいのなかわからないらしく、なかなか手が出ません。それに対して、さすがに料亭の板長さん(社長さん)は、反応が違います。あらかじめ注文のあった龍大芋(里芋)の配達と一緒に試しに見ていただいたのです。そうすると大変関心を示され、指導農家の吹野さんにいろいろお尋ねになったうえで、その他の野菜とともに購入されました。「いろいろ市内でも、珍しい、地元の野菜をつくっておられるのでしょうが、その野菜をどのように購入したらよいのか、私たちはよくわかりません。こうやって、農家とつないでいただけるとありがたいです」とおっしゃっておられました。板長さんの思いは、できるだけ地元の農家が生産された地元の農産物を使いたいということです。そのような思いから、私たちが生産した「龍大米」(コシヒカリ)もご購入いただき、懐石コースの中の一品としてお客様に提供していただきました。
■こういうやり取りをしていたとき、板長さんと私たちのあいだに眼に見えないけれど、とても熱いものが流れているように感じました。「農産『物』」と「お金」を単に交換するという単純な関係ではありません。単なるウイン・ウインの関係…というものでもありません。料亭と私たちとの間に、「農産『物』」と「お金」の交換の根底のところで「贈与」の精神のよなうものが流れていると思いました。単に地元の野菜が入手できるということを超えて、学生が地域のために様々な挑戦をしていることを評価し応援していただいているのです。このことに対して、私たちは応えていかねばなりません。贈与とはいっても、同時に私たちは、「目に見えない何か重いもの」を背負うことになります。今回は、「北船路米づくり研究会」の活動目的である「農村(生産者)と街(消費者)の顔の見える関係づくり」を、また一歩進めることができたように思いました。いろんな方達に信頼していただくとともにご支援いただいくことによって初めて可能になる、このような関係を、これからも「感謝」の気持ちとともに大切にしていきたいと思います。
■さて、写真の説明をしておきます。【上段左】朝礼風景。指導農家の吹野さんから、この日、協力農家から出荷された農産物について説明が行われました。【上段右】これも朝礼風景。声出しの練習。大きな声で挨拶ができるようにと、兼業農家でビジネスマンでもある吹野さんの提案で、学生たちがこんなことを始めたようです。ちょっと照れくさそうですが、この日一日、笑顔で大きな声を出すことができました。笑顔と声…「地域づくり」の現場においては、とても大切なことです。【中段・下段】この日、出荷された野菜です。白・赤カブ出荷されました。人気がありますね〜。中断・右のカゴに入っている赤い長い農産物、これが赤ズイキです。上の説明にも書きましたように、料亭の「魚忠」さんにたくさんご購入いただきました。下段は、ミズナ、ホウレンソウ、コマツナ、ダイコン、サトイモといった野菜です。出荷農家ごとにカゴに入れて分けて販売しています。
■来月の第33回「北船路野菜市」、12月27日に開催します。
大学広報の取材
■大学の広報の一環として、来年、ある出版社から(今まところ、ある出版社にしときます…)龍谷大学を紹介するムック本が出版されるのだそうです。来年度は、農学部に国際学部が開学しますので、そのムック本の中身は、基本的にはこの2学部の内容を紹介するものになりますが、その片隅に、1ページほどらしいですが、「北船路米づくり研究会」のことが紹介されるとのことです。ということで、今日はその取材がありました。
■取材にこられたのは、ムック本の記事を書かれるライターさん、カメラマンさん、そして龍大の広報担当Sさん。取材対象は、「北船路米づくり研究会」・「地酒プロジェクト」の中心となって取り組んできたTさん。研究会が生まれた経緯については私が話しをしましたが(Tさんは研究会4期生で事の起こりを知らないものですから…)、研究会の活動の内容と「地酒プロジェクト」に関する質問についてTさんがきちんと説明してくれました。
■上の写真・左は、研究室を出た廊下で個人ポートレートを撮影中のところです。Tさん、緊張しています。写真・右は、ライターさんと職員Sさんとの打合せ風景。Sさんには、おそらく2012年の第1回「かかし祭」の時から、様々な場面でお世話になっています。Sさん、いつもありがとうございます。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
【追記】■関連ページです。「米研」が、ポスターセッションで奨励賞・環びわ湖大学地域交流フェスタ2013
金才賢先生(韓国・建国大学)の来日
■金曜日、土曜日と、韓国の建国大学の金才賢先生と、先生が指導されている2人の大学院生が滋賀県内の団体に関して聞き取り調査をされました。私は、今回の聞き取り調査のアレンジをするとともに、同行させていただくことにしました。
■もっとも、聞取り調査の対象の1つは、ゼミでおこなっている「龍谷大学・北船路米づくり研究会」でした。農村(生産者)と都市(消費者)の「顔のみえる関係」づくりを課題として活動している研究会が、どのように社会的なネットワークを拡大していったのかという点に関して、関係者や研究会とつながっている方たちからお話しをうかがいました。もちろん、私も、いろいろお話しをさせていただきました。純米吟醸酒「北船路」でお世話になっている「平井商店」の平井弘子さん、「大津の町家を考える会」の野口登代子さん、鮒寿司の「阪本屋」の内田健一郎さん、これから滋賀の農産物を活かした石釜ピザの店を開店される「Ishigama」の堀昭一さん、 「北比良グループ」の山川君枝さん、北船路の「農事組合法人福谷の郷」の音島良治組合長、研究会の顧問でもある吹野藤代次さん。皆様いろいろお世話になりました。ありがとうございました。
■ひとつのゼミの小さな小さな活動ですが、農村(生産者)と都市(消費者)の「顔のみえる関係」づくりを忘れずに活動をしてきました。カリキュラム外での取り組みです。評価も単位もありません。あくまで学生の自主性だけで運営されています。大学からの財政的な支援もわずかです。ですから、なんらかの助成金が必要になります。その申請書類の作成、プレゼンテーション、中間発表、最終報告…。私が知る学生の地域連携活動としては、かなり高いレベルを求められているのではないかと思います。学生たちの苦労は多いと思いますが、やりとげたときには深い達成感もあるでしょう。しかし、研究会の活動がとまってしまうのではないか…と危惧するような状況が何度もありました。
■この研究会の活動に関して、金先生の質問で私がとても印象的だったことは、「農村の方は、学生たちにどのように『夢』を与えることができていますか?」という質問でした。学生たちは、なんらかのスキルが身に付くとか、コミュニケーション能力が高められるとか、そのような小さな個人的な利益との「交換」で研究会の活動をしているわけではありません。もし、そういう学生がいたとしても、そのような学生は長続きしません。研究会の活動の発展に貢献できません。そのような学生が多くなれば、研究会の活動も持続しなくなります。すぐに息切れをしてしまいます。研究会のひとつひとつの活動が、社会的にどのような意味をもっているのか、その点に関して常に学生自身が確認し続けることも必要なわけですが、同時にそれらの意味は「他者」から「贈与」され続ける必要もあると思うのです。そのことが金先生の質問の根っこにあったと思われます。「交換」の原理にもとづくネットワークは持続性が弱い。「モノ」や「サービス」が動く事業系の地域づくり活動であっても、表面的な「交換」とは別に、その底には「贈与」の原理が動いている必要があります。
■土曜日は、東近江市と多賀町を中心に、森林とともに豊かに暮らしていける未来をめざし、人の営みと森林が結びつくカタチをていねいに育てるプロジェクトに取り組む「 一般社団法人 kikito」の、山口美知子さん、大林恵子さん、平居晋さん、 伴政憲さん、田中一則さん、5名のみなさんからお話しを伺いました。「kikito」に関しても、どのように社会的なネットワークを拡大していったのかという点に関してお話しを伺わせていただきました。私自身もとても勉強になりました。ありがとうございました。今後とも、どうかよろしくお願いいたします。
■「kikito」に関しては、パソコンをひろげて真剣にメモをとっていました。ところが、そのファイルが消えてしまった…ショックです。「kikito」のことは、『地域再生滋賀の挑戦 : エコな暮らし・コミュニティ再生・人材育成』(近江環人地域再生学座 編 ; 森川稔 責任編集)のなかに、山口美知子さんが「湖東地域材循環システム協議会(kikito)の挑戦」を書かれていますが、特に印象に残っていることを少し書いておきたいと思います。「kikito」の活動は、異業種の人たちによる研究会から始まっています。特定の業種の人たちだけではなく、森林を所有している人、林業の仕事をする人、行政、建築家…。通常は、みなさん自分の立場から木材のことを考えているわけですが、研究会でコミュニケーションを継続するうちに、それまでの自分のものの見方・考え方が相対化されるようになったのだそうです。自分の利益や自分の都合ばかりを主張する、そのような自己のあり方を相対化されたのです。別の言い方をすれば、この研究会の活動を通じて、森林の諸課題を、「私も含めた私たちの課題」として、あるいはより高い公共性を伴ったこれまでとは少しズラした視点をから捉えられるようになった…といってもよいかと思います。それまでは、地域社会で働き、森林や森林資源について考えながらも、出会うことがなかった人たちがつながることで、原木の調達からストックまで、地域材を無駄なく、無理なく有効利用するための仕組みづくりを行うことができるようになったのです。そのような仕組みのなかで「地域“財”を活かした商品開発」、「森林整備に貢献する紙製品の開発」、「びわ湖の森CO2」対策、「森林を活かせる人材の育成」等に取り組んでおられます。このような取り組みのなかで、「kikito」は、「行政」にも「市場」にもできないことをやろうとしておられます。お話しを伺うなかで、いろんな意見を聞かせていただきました。ひとつは、今は補助金や助成金も使ってこのような仕組みを動かしているけれど、もっと経営的にも自立度を高めていくべきというものです。それに対して、行政にも市場にもできない隙間の課題を一般社団法人として取り組んでいるのだから、そこに社会的な費用が投入されていもよいのではという意見も聞かせていただきました…。う〜ん、メモが消えてしまったので、ずいぶんズレたことを書いてしまっているかもしれません。ああ、それにしても、メモのファイルが消えてしまったことはショックです。
■「kikito」での聞き取り調査を終えたあと、金先生たちと一緒に彦根城の見学をして、いつもの大津駅前の居酒屋「利やん」に移動して夕食をとりました。打ち上げです。土曜日ですが、たくさんの知り合いの方達がお店におられました。びっくりです。「利やん」は、私にとって人との「つながり」=ネットワークを生み出していくうえで、とても重要な場所であるです。金先生にも、そのことを理解していただけたのではないかと思います。ところで、金先生はお酒をお飲みになりません。そのかわり、大学院生の女性お2人が酒をつきあってくださいました。日本の若い女性だと、甘目のお酒…ということになるのですが、このお2人はそれは嫌いなのだそうです。ということで、芋焼酎を、ストレートやロックで楽しんでおられました。お強い。すごいですね〜。酒飲みのおじさんとしては、とても嬉しくなりました。
■大学院生のJumi Kimさんが、facebookで楽しい動画を作成してプレゼントしてくれました。
【追記1】■「kikito」の聞き取り調査を終えたあと、facebookで「kikito」のメンバーの方達とメッセージのやり取りをしました。そのなかで、金先生がかかわっておられる韓国のコミュニティビジネスセンターに関心があるという話しから、それなら有志で韓国に視察と聞き取り調査にいってみようという話しになりました。金先生とは、日韓でお互いに交流しながら学びあっていこうという約束をしたので、きっとおもしろい展開になるのではないかと思います。
【追記2】■金先生や院生の方達には、仁川にあるピザ店のことを教えてもらいました。まだ、よくわかっていませんが、面白いお店なのだそうです。ちょっと調べてみます。
「龍大芋」のから揚げ
研究会が北船路の棚田で生産した里芋、「龍大芋」として、京都や大津の飲食店のお料理でお使いいただいています。本日ご紹介するのは、大津駅前の居酒屋「利やん」(としやん)さんです。写真をご覧ください。里芋の唐揚げです。あらかじめ、出汁につけて薄味をつけた里芋の表面に粉をつけて揚げたものです。表面はカリッとしていますが、中身は里芋特有のねばりがあります。「龍大芋」の美味しさをこういう形で引き出していただきました。ありがとうございました。
■上記の写真と文章は、facebookに投稿したものです。ブログでは、裏話をさせていただこうかと思います。大津駅前の居酒屋「利やん」、私にとって、人と会うときには「異業種交流の場」や「応接間」となり、個人的には「憩いの場」ということになります。マスターや常連のお客さんの皆さんとも気楽に気安くおつきあいをさせいただけます。そういう「場所」がきちんとあることを、私自身は大変幸せなことだと思っています。
■その「利やん」で、マスターからちょっと言われました。「他所のお店で『龍大芋』を使った料理は紹介しても、うちの料理は紹介してれないの…」。ちょっと、まあ、そういったご指摘をいただきました。良い写真がなかったので、慌てて学生から一枚LINEで送ってもらいました。本当に申し訳ありませんでした。
■昨日は、料亭「大津魚忠」さんに、懐石料理のコースの一品として研究会で生産したて「龍大米」のご飯を出していただいている話題をエントリーしました。いろんなお店が「北船路米づくり研究会」のことを応援してくださっています。本当にありがとうございます。これからも、「農・商・学」連携のネットワークが拡大していくように頑張ってまいります。
【追記】■以下は、関連エントリーです。私と居酒屋「利やん」との関係について述べています。こちらもぜひお読みください。
料亭「大津魚忠」さんと「龍大米」
■今日、通勤中、facebookを眺めていると、大津の中心市街地にある料亭「大津魚忠」さんのページに、ご飯の写真がアップされ、次のような文章がそえられていました。
龍谷大学「北船路米づくり研究会」の学生さん達が作られた「龍大米」。〆のご飯ではなく、懐石コース料理のメインの1品として食べて頂きました。石釜で炊きたての龍大米と、焼いた鰻を少し山椒風味にふんわり炊きお気に入りの器に贅沢に並べおすすめしました。
皆様おかわりで完食!元気なお米です。大津魚忠
TEL077-522-4428
大津市京町2-4-10
http://uochuu.jp/
■ゼミでおこなっている「北船路米づくり研究会」では、京都市の四条にある「串かつ おばんざい とんとん」さんと「みます屋DELI」さん、大津市の中心市街地にある居酒屋「利やん」さん、以上の3軒のお店に、学生たちが生産した米と里芋を、それぞれ「龍大米」そして「龍大芋」としてご購入いただき、お店の料理に使っていただいてきました。関係者の皆様、本当にいつもありがとうございます。
■今年の秋からは、以上の3軒のお店に加えて、料亭「大津魚忠」さんにも「龍大米」と「龍大芋」を使っていただけることになりました。今年の春だったと思いますが、「大津魚忠」の社長さんと街中で偶然にお会いしました。以前からも、「大津エンパワねっと」等で学生たちがお世話になっていたこともあり、少しだけ立ち話しをさせていただきました。そのさい、「龍大米はまだ残っていますか?地元の食材を使いたいのです」とおっしゃられたのです。「龍大米」は、北船路の棚田の一番てっぺんの田んぼで生産されています。比良山系(蓬莱山)のきれいな山水が一番最初に入る田んぼです。しかも棚田ですから、寒暖の差が大きく、小粒ですが味の濃い米に仕上がります。なおかつ、私たちは、それを天日干しにして精米しています。甘みがますように思います。社長さんは、そのことを人づてにお聞きになっておられました。
■その時は、残念ながら「龍大米」はすでに売り切れていました。生産量が少ないので、新米の段階ですぐに売り切れてしまうのです。「申し訳ないですが、次の収穫のときには、お知らせいたします」とお約束させていただき、今月、お店のほうにお届けすることになったのです。今回は、facebookの文章にもお書きいただきましたように、「〆のご飯ではなく、懐石コース料理のメインの1品として」出していただきました。これは、本当に嬉しいことです。
■「北船路米づくり研究会」では、上記の「串かつ おばんざい とんとん」さん、「みまつ屋DELI」さん、「利やん」さん、「大津魚忠」さんに加えて、地酒のプロデュースでは、酒造会社「平井商店」さんにもお世話になっています。さらに、鮒寿司の老舗「阪本屋」さんや、市内で滋賀の食材を使った石釜ピザのお店を開店される「ishigama」さんとのコラボも進みつつあります。一般の消費者の皆さんを対象とした月1回の「北船路野菜市」や、9月に開催する農村・都市交流イベント「かかし祭」の他に、このような「農・商・学」連携も積極的に進めていきたいと思っています。
大津市パワーアップ・市民活動応援事業「中間報告会」
■本日、大津市パワーアップ・市民活動応援事業「中間報告会」が、大津市役所で開催されました。「北船路米づくり研究会」からは、4年生2人(鶴井志帆さんと冨田幸代さん)と3年生1人(小林風花さん)が報告しました。また、報告の応援にも2人(小西 悠介くんと渡邊悠椰くん)の3年生が駆けつけました。事前に準備をきちんとして「中間報告」にのぞんだこともあって、無事に報告を終えることができました。審査委員の皆さんからも、好意的な質問や評価をたくさんいただくことができました。今年度の後半も、予定とおり事業を実施していければと思います。
■委員会の質問は記憶する限り、以下のようなものでした。
・学生が、生産者から地域へのフローをつくってこられた。どういう経験をスキルを獲得したのか?
・おもしろい事業だ。「龍大米」、「龍大芋」、商標登録をしてブランディングしていく予定は?
・学生が生産者と消費者の媒体役になっている。非常におもしろいことだ。パワーポイントの画像のかなで、日本酒にかかわっている県内の他大学と交流していた。他大学の取り組みで、参考になったことはなにか?
・非常に楽しい事業だ。特に、北船路の皆さんが学生をむかえて、どのように反応をされているのか?
■報告会のあとは、別室に移動し、意見交換会が開催されました。別室に移動するときに、1人の学生と一緒に話しをしましたが、審査委員の皆さんからの鋭い質問に「緊張感がありますね…」と驚いていました。申請書を書いて、プレゼンテーションをして、審査を受けて、助成金をいただき、中間報告をして…という一連の活動に参加すること自体が、学生にとっては大きく成長していくチャンスになるのではないかと思います。もちろん、地域のなかで、地域の人びと一緒に課題を共有し、その課題解決のための活動に取り組み、その取り組みから生まれた成果を共有していく等、活動のプロセスや実質性が大切なのですが、こういう助成に応募することは、活動資金の獲得ということを超えて、そのような活動の実質性を担保するうえでも重要ことなのかなと思っています。
■意見交換会の様子です。「北船路米づくり研究会」のメンバーたちは、「お野菜大学」という取組をされているFくん(理工学部4年生、「お野菜大学」学長)と一緒のテーブルでした。両グループとも、「パワーアップ・市民活動応援事業」の「学生部門」でエントリーしたからです。左上の写真。中間報告をおこなった7団体は、お互いに他の団体の報告を聞いたうえで、「ここがこの活動のすてきなたころだ」と評価できる点や、「こうしたらもっと素晴らしくなるよ」ということに関して短いコメントをポストイットカードに書込み、それぞれのグループのテーブルの上の模造紙に貼付けていきました。そのコメントを読んだ上で、それぞれのテーブルでディスカッションが始まりました。「学生部門」のテーブルでは、審査委員の方や、市役所の自治協働課の職員の方たちの「まちづくり」への熱い思いに、やや圧倒され気味ではありましたが、良い刺激を受けることができたのではないかと思います。最後は、そのディスカッションの結果を報告しました。こういった他団体との交流や意見交換は、お互いにとって良い刺激になりますね。私はあくまでオブザーバーですが、拝見していて、そのように思いました。
■報告会や意見交換会が終了したあと、学生たちに、「お疲れさま〜。みんなを慰労したいと思うけど、くる?」と聞いたところ、全員が飛びついてきました。ということで、大津駅前の居酒屋「利やん」に移動しました。そこでも、ちょっとびっくりすることが。浜大津駅から「利やん」まで、歩きながら学生と雑談をしていました。そのさい、前日に「大阪マラソン」を完走された原田先生のことを話題にしていました。なんと、「利やん」にいくとその原田先生がおられたのです。びっくりですね〜。フルマラソンを完走されて、お酒を解禁にされたようです。しかも、もうひとつ、びっくりすることが。
■原田先生が帰宅されたあと、入ってこられたグループが、中間報告をした4年生Tさんの内定先の企業の方たちでした。これには、Tさん本人もびっくりです。じつは、この会社には、龍谷大学を卒業された先輩Nさんが入社されています。しかも、この先輩は大津エンパワねっと1期生(内定をいただいているTさんは5期生)。Nさんは、時々、職場の皆さんと「利やん」に来られているので、Tさんには「入社したら、君もきっとこの店にたびたび来ることになるで〜」といっていたのです。するとそのすぐあとに、Tさんの内定先の方たちがお店に入ってこられた…というわけです。いろいろありますね〜。写真は、瀬田方面に帰宅する3年生のKさんです。ちょっと寒そうです。
【追記】■Tさんが内定をいただいた企業の皆さんと名刺交換をしました。Tさんをよろしくお願いいたしますというゼミ教員としての気持ちも込めて、皆様に御礼のメールを送らせていただいたところ、お返事をいただけました。そのお返事のなかには、「地域との連携に注力されておられ、Tさんには今の活動を通じて、色んな経験をされて入社されて来られるんだなとうらやましい気持ちになりました」と書いておられました。「北船路米づくり研究会」に関わらず、「大津エンパワねっと」においても、「私たちの学生時代は、このような活動なんてなかった。今の学生さんたちが羨ましい」ということを、しばしば言っていただきます。いずれも社会人の皆さんからのコメントですが、学生時代に、地域連携のなかでいろんな経験をしておくことが大切だ、将来その経験がきっと役に立つ…と皆さん思っておられるのです。学生の皆さんには、そのことをぜひ知ってほしいと思います。
脇田ゼミ8期生・米研2期生の同窓会
■少し前のことになりますが、「北船路米づくり研究会」2期生、脇田ゼミ8期生の学年が、指導農家である吹野さんのお宅に集まって同窓会をもちました。出張や出勤のため、集まったのは6名。社会人になって2年目の皆さんです。私自身は別用があり、残念ながら参加できませんでしたが、こうやって写真を送ってくれました。
■日本の農村地域には、「親子関係でない者が,命名・成人・結婚などの機会に仮の親子関係を取り結ぶこと」があり、それを「親子成り」と呼びます(擬制的親子関係)。実の親とは別に、社会的に若者を支えていく年長者が後見人になっていく仕組みですが、学生たちと吹野さんとの関係は、そのような伝統的な「親子成り」の関係に少し似ているような気がしました。吹野さん、いつもありがとうございます。
■2期生は、現在、「北船路米づくり研究会」の活動の基盤となっている「北船路野菜市」と「かかし祭」を立ち上げた学年です。後輩たちは、2期生の成果を発展させていっています。