龍谷大学ヨサコイサークル「華舞龍」の練習

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■龍谷大学のヨサコイサークルは「華舞龍」です。「かぶりゅう」といいます。夏休み中ではありますが、おそらくは何かのイベントに向けて懸命に練習されています。こういうダンス系のことは何もわかりませんが、素人目に、すごくレベルが高いなあといつも感心しています。自分たちの目標に到達できたらいいですね。頑張って。

夏も終わり…

20140912semi.jpg ■週に1回、老母の世話に通っています。生活介護です。買い物とか、庭の草刈りとか、生協の宅配の注文表を作成するとか…、その他諸々。介護保険でお願いできない部分を、週1回ではありますが、頑張ってフォローしています。私がいけないときは妹が、妹も無理なときは妻が、世話にいってくれます。さらにさらに、みんな都合がつかず、いろいろ大変なときは、娘・息子も、とりあえず行って世話をしてくれることにはなっています。

■今日も、いろいろ雑用を処理しながら、母親のところに行きました。いつものように、庭の草刈りをして、買い物をして、生協の注目をして…その他諸々、世話を終えて帰宅しようとしたとき、動きののろいセミが眼に入りました。普通だと、そばに寄ると飛んで逃げていきますが、このセミはほとんど動きません。おそらくは、土の中からこの世に生まれて子孫を残し、生きるエネルギーをほとんど使いきっているのかなと思います。

■夏も、そろそろ終わりですね…。このセミを見て、そう思いました。セミの姿に、老母や、還暦が近づいてきた自分を重ね合わせました。

気になるこの「OLYMPUS STYLUS TG-3 Tough」!


■これまで、重いデジタル一眼レフ「CANON EOS 40D」と、「iPhone5」のカメラを使ってきました。その中間にあたるカメラを使っていませんでした。一眼レフはきれいに撮れるのですが重い。iPhone5は軽いけれど思うようには撮れない。ということで、ある方の勧めで「OLYMPUS STYLUS TG-3 Tough」を購入するとに決めました。

■すでにこのブログで報告していますが、先週の火曜日(8月26日)に、昨日の「豊かな生き物を育む水田プロジェクト」の「生き物調査」に参加してきました。そこでは、私が参加してるい研究プロジェクトのリーダーと、その方の職場の同僚、2人の生態学者と一緒でした。その2人の生態学者がもっていたのは、リコーのデジタルカメラ「WG-4」でした。防水であるのに加えて、電子コンパスが搭載されていて、撮影場所の情報(気圧・高度/水深・方位)をカメラで確認できる優れものです。GPSもついています。これは、フィールドワークで活躍しそうなデジカメだと思いました。あまり深く考えずに、このリコーのデジカメを買おうかな…と思っていたのですが、知人が「OLYMPUS STYLUS TG-3 Tough」のことを教えてくれたのです。いろいろ比較するうちに、こちらの方が、自分に向いているかも…と思うようになったのでした。マクロ撮影は、LEDライトガイド LG-1を使うとTG-3のほうが上かなと思いました。また、テレコンバーターやフィッシュアイコンバーターと呼ばれるレンズをつけると望遠や広角も可能になります。GPS機能の性能も、他社と比較して高そうですし。楽しみですね〜。

龍谷大シーホースvs京都大ギャングスターズ(関西学生アメリカンフットボール)

20140901ryukokuseahorse.png ■昨日は、「北船路米づくり研究会」による第3回「かかし祭」が開催されました。この活動はゼミ活動の一環として実施されています。学生の自主性で運営されています。今回は約2/3のゼミ生が参加しました。自分自身で、取り組むべき活動があるゼミ生、このような農業に関心のないゼミ生、また他のゼミ生と一緒に活動することが苦手な学生は、この研究会の活動には参加しません。それでかまわないと思っています。たとえば、体育局(体育会)の運動部に参加している学生は、参加しません。厳しい練習があり、参加すること自体もなかなか困難です。そのような1人に、アメリカンフットボール部で活躍しているTくんがいます。

■昨晩、「かかし祭」を終えて帰宅してfacebookをみたとき、ビッグニュースが眼にはいりました。関西学生アメリカンフットボールの秋季第1節(秋から始まるシーズンの第1試合目)「龍谷大シーホースvs京都大ギャングスターズ」の試合結果です。「龍谷大14―9京大」で、龍谷大学シーホースが勝利したというのです。これは画期的なことです。私は12月に開催される「甲子園ボウル」の観戦にでかけることがあります。大学アメリカンフットボールが好きです。しかし、試合の内容について専門的に解説する能力はないので、以下の記事をお読みください。

【アメフト】龍谷大、大金星!7度目対決で日本一4度の京大を撃破 2014年9月1日6時0分 スポーツ報知

■「かかし祭」があったため、私は実際の試合をもちろん観戦することはできませんでした。しかし今の世の中、とても便利になっています。「USTREAM」で試合を観戦することができるのです。「rtvチャンネル1」です。試合結果はわかっていましたが、インターネットでこの録画を確認しました。Tくん、頑張っていました。活躍していました。ゼミのなかであれば、他の男子学生と比較としてガッチリとした大きな身体をしているわけですが、試合の様子をみていると、そのようなTくんでも細く見えます。それだけ、他の選手の身体が大きいということですね。

秋季第1節 龍谷大シーホースvs京都大ギャングスターズ(関西学生アメフト)

■昨年、一昨年と、龍大は惜しいところで京大に敗れてきました。昨年は、1部リーグ(ディビジョン1)で、京大が4位、龍大が5位でした。さきほどのスポーツ報知の記事によれば、「2004年に1部昇格して以来7度目の対戦で京大を初めて下した」ということのようです(私が学生の頃は、京大には圧倒的な強さがありました)。次の試合は、関大戦(9月13日)です。昨年3位のチームです。その試合でさらに自信をつけ、経験知を積んでほしいと思います。そして、その上にいる立命館パンサーズと関西学院ファイターズと勝負する足がかりをつかんでほしいと思います(一方的に負けることがないような…)。今回の試合、素人目ですが、ターンノーバー( インターセプトやファンブルでオフェンス側が攻撃権を失い、ディフェンス側へ攻撃権が変わること)が多かったように思います。ミスを減らし、練習で蓄積した力を存分に発揮して、少しでも上位陣に食らいついてほしいと思います。次の関大戦、Tくんの活躍に注目したいと思います。

第3回「かかし祭」を終えて。

20140901wakkykakashi.jpg ■昨日の「かかし祭」、ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた皆様には、心より御礼申し上げます。

■昨日の「かかし祭」で実施された子供神輿。地元・北船路の「子供会」のお子さんと、市街地にある「みつばち保育園」の園児さんたちが主役でした。私の気持ちとしては、前者のお子さんたちには、北船路の農業後継者として成長していただきたいし、後者の園児の皆さんには食の安心・安全に配慮し農家を応援する志しのある消費者に成長してほしいと思っています。そして、大人になったときに、お互いに支えあえるような関係を築いていってほしいとも思っています。もちろん、その頃には、私は、もうこの世にいません。そのような年代の「おじさん」(子どもさんたちからしたら「おじいさん」)の希望でしかありませんが、心の底からそう思っています。ですから、昨日の子供神輿は、「象徴的な意味」において、とても大切なことだったように思います。

■このようなことを思うのにも理由があります。それは、日本の農業の未来は、けして明るいものではない…ということです。特に、北船路のような棚田の農村のような条件不利地域では、なおさらのこと農業や農地の維持していくことは大変な苦労がともないます。「かかし祭」では、北船路集落にある「農事組合法人 福谷の郷」と「北船路 中山間地域管理組合」のご協力をいただいていますが、両方とも、北船路の農家が組織されているものであり、北船路の農業や農地を守っていくために組織されています。

■「農事組合法人 福谷の郷」は、自分では耕作できない農家から農地を預かって、オペレーターの農家の方が農作業をされています。昨日の「かかし祭」に参加された「みつばち保育園」の園児の皆さんが、給食のときに食べておられるご飯、それは「農事組合法人 福谷の郷」で生産した「環境こだわり米」です(ちなみに、「みつばち保育園」は、「地産地消」や「食育」をとても大切にされています)。「みつばち保育園」では、遠足もかねて北船路に田植や芋掘りに来られますが、「農事組合法人 福谷の郷」では、その受入れも行っておられます。私たち「北船路米づくり研究会」の学生たちも、授業がなければ応援にかけつけています。

■昨日の子供神輿の行事は、国の「中山間地域直接支払制度」における「多面的機能増進活動」の一環としても行われました。この支払い制度に関係する団体が「北船路 中山間地域管理組合」です。この制度は、農業生産条件が不利な状況にある中山間地域等の農業生産の維持を図りながら、多面的機能を確保するために平成12年度から導入されている制度です。村としても国が制度的に用意した農政のメニューを積極的に活用しながら、努力されているのです。今回の子供神輿は、村の側からの提案でした。

■2012年から始まった「かかし祭」は、今年で3年目になります。また毎月1回開催している(4月と9月除く)「北船路野菜市」も、2012年から始まり、今年の8月で第30回目になりました。「北船路米づくり研究会」は、ひとつのゼミが行っている拙い活動にしかすぎませんが、少しずつ地域の「食・農」に関わる多様なステークホルダーの皆さんとの連携(地域のネットワーク)が深まってきています。

●北船路の指導農家および協力農家の皆さん。
●「農事組合法人 福谷の郷」と「北船路 中山間地域管理組合」の農家の皆さん。
●「みつばち保育園」の園児と保護者の皆さん、そして保育士の皆さん。
●月1回開催の「北船路野菜市」を応援してくださっている中心市街地の「株式会社 まちづくり大津」と「大津百町館」の皆さん。
●北船路の野菜を楽しんでいただいている中心市街地の消費者の皆さん。
●北船路の野菜や米をメニューに使っていただいている大津駅前の居酒屋「利やん」、そして京都四条の「串かつ おばんざいの店 とんとん」の関係者やご常連の皆さん。
●北船路産の酒米をつかって純米吟醸酒「北船路」を醸してくださっている大津街中の平井商店さん。

■私の個人的な思いですが、いつか研究会が、地域社会の「農」「生業」にかかわる皆さんと龍谷大学内の様々な資源とをつないでいく役割(地域づくりのハプ機能)をも、一定程度果たしていけたらなあと思っています。瀬田キャンパスにある理工学部、来春開学する農学部だけでなく、深草キャンパスの学生や教員の皆さんとも連携していければと思っています。実際、少しそのような連携のお誘いも受けています。近畿大学農学部の「近大マグロ」のようなものはありませんが、このような地道な活動のなかで形成される地域と大学間の厚い広がりをもったネットワークこそが、龍谷大学の「売り」になるのだと思うのです。もちろん、「北船路米づくり研究会」がそのようなレベルに達することは、まだまだ先のことでしかありません。

■今後も、多くの関係者の皆様からのご支援のもと、多様な連携のなかで「北船路米づくり研究会」の取り組みを展開してまいります。

第3回「かかし祭」開催しました!!

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■第3回「かかし祭」を、昨日8月31日に、大津市八屋戸にある北船路集落で開催しました。北船路の「農事組合法人 福谷の郷」、「北船路 中山間地域管理組合」、「北船路子供会」の関係者の皆さんには、ご協力とご支援をいただき心より感謝いたします。

■「北船路米づくり研究会」の学生たちは、前日30日から北船路に入り、「かかし祭」の準備を進めました。この「かかし祭」は、2012年から開催していますが、その究極の目的は、「都市の消費者と農村の生産者の顔の見える関係づくり」にあります。第1回目から、中心市街地にある「みつばち保育園」の園児・保護者・保育士の先生方、そして大津駅前の居酒屋「利やん」や京都四条の「串かつ おばんざい とんとん」のご常連および関係者の皆様にご参加いただいています。今年は、地元「北船路子供会」の子供神輿が、北船路の棚田をのぼりました。子供会のお子さんたちに加えて、「みつばち保育園」の園児さんたちも参加されました。また、数十年前になくなってしまった「虫送り」の行事の再現も行われました。

■はたしてどうなるのか…と心配していた学生たちの運営も、なんとか無事にうまくいきました。「北船路米づくり研究会」の活動はゼミ生による活動であり、個人の自由意志のもとで運営されています。もちろん、ゼミの活動だから…ということで、ゼミ仲間との付き合い…という感じで隅っこのほうに参加している学生もいるかもしれません。様々な動機で参加しており、活動に対する熱心さにも差があります。その一方で、地域の皆さんと連携しながら、学外で行う取り組みについては、チームとして一定の結果が求められますし、個々人の責任感も求められます。そのためには、当然のことながら集団としての能力(チーム力)が必要になります。指導する教員としては、集団の凝集性を高めていくことや、集団としての能力(チーム力)を高め、それを継承していくことの難しさをいつも感じています。とはいえ、前日のミーティンクでは、良い意味での緊張感が感じられました。それぞれが、「かかし祭」全体のなかで自分が何をすべきなのかをきちんと理解し、チーム全体で「かかし祭」を成功させようとする気持ちから生み出される緊張感です。とはいえ、北船路の関係者の皆さん、そしてご参加いただいた皆さんのご協力とご支援があったからこそ、なんとか無事に終えることができたわけです。
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■「かかし祭」では、大津から伊吹山まで広がる琵琶湖のパノラマ風景を、棚田のてっぺんから堪能したあとは、保育園グループと一般参加者グループに分かれて村内ツアーに出発します。一般参加者のグループでは、まず「龍大米」を生産している現場を訪れました。「龍大米」(天日干し)は、今年の秋の「北船路野菜市」で販売する予定になっていますが、その生育状況をご覧いただきました。そのあとは、「龍大芋」(里芋)の畑、そして純米酒「北船路」の酒米を生産している水田を見ていただきました。酒米の水田では、参加者の皆さんに純米吟醸酒「北船路」の試飲もしていただきました。そして、「北船路野菜市」に野菜を出荷していただいている協力農家の畑を訪ね、お話しを伺いました。野菜のプチ収穫体験もさせていただきました。最後は、琵琶湖畔にある指導農家である吹野さんの宅の庭で、BBQの交流会を楽しみました。保育園グループも、園児さんたちが田植を体験した水田、里芋畑を見学したあと、同じく、吹野さんのお宅の庭でお楽しみ会をもたれました。

■今回は、研究会OBも参加してくれました。昨年のリーダーで、今年の3月に卒業して姫路で働いている枡田くんです。しかも、仕事の関係で交流会には参加できず、ツアー終了後には姫路に帰宅しました。枡田くんは、第1回目の「かかし祭」から参加しています。この農村-都市交流イベントに対する強い思いがあるのでしょう。実は、第1回目のときのリーダである岩崎くんも参加したかったとのことですが、名古屋在住で仕事との調整が難しく、来ることができませんでした。岩崎くんは第1回目のリーダーですから、「新しく立ち上げる苦労」がありました。大変だったと思います。枡田くんは、岩崎くんをサポートしながら、その苦労を経験しています。だからこそ、2人は遠くから後輩たちの活動を心配してくれているのです。こういう卒業生が彼ら以外にもたくさんいます。そういう先輩たちの存在を、心の底から嬉しく思っています。卒業生の皆さん、今回は来れなくても、何かの気楽に機会にやってきてください。

【追記1】■学生にこう尋ねました。「それにしても、地域の皆さんは、私たちのような拙い活動に、よくおつきあいしてくださっているな~と思ったことはありませんか」。学生の皆さんには、「ご縁」と「感謝の気持ち」を大切にしてほしいということです。なんだか宗教っぽい感じに聞こえるかもしれません。実際、龍谷大学に勤務して、浄土真宗のことを自分なりに勉強しつつ、地域づくりや地域活性化について考えたり活動したりするうちに、そう思うようになりました。ただし、大切な「ご縁」に気がつくって、なかなか難しいことなのです。自分が活かされている、あるいは自分を励ましてくれている、支えてくれている「社会的ネットワーク」…といってもよいのかもしれません。その「ご縁」に支えられていることがわかってきたとき、自然に「感謝」の気持ちになれます。人は1人ではなにもできません。そうすると、すごくハッピーな感覚で心が満たされます。また、一方的に活かされているだけでは、済まなくなります(ある意味で、自分だけ得をしておくことはできなくなります)。このあたりが大切なことかなと思います。

■これは「贈与論」にもかかわる問題です。「贈与論」などという言い方はされませんが、地域づくりに取り組んでおられる方達がよく言われる「街のため」「村のため」にという発想も、同様の意識にもとづいておられるように思います。けっして、「街のため」「村のため」に嫌々渋々地域づくりに取り組まれているのではありません。また、単純に、個人的な充足感や達成感を求めて地域づくりに取り組まれているのでもありません。大津の中心市街地でお世話になった方がおっしゃっていましたが、「街が自分を育ててくれた。こんどは、自分が街のお世話をする番だと思って…」。ここには、世代を超えた「贈与」の論理を垣間みることができるのです。

【追記2】■「北船路米づくり研究会」は、ゼミ活動の一環としておこなわれていますが、ゼミの評価とは関係ありません。また、単位にもなりません。このような事業に取り組むためには、「この事業が将来このように発展していって、地域社会が、将来、こういうふうになっていったら素敵だなな!!」という夢やビジョンが必要です。もちろん、自分たちの学年の代でできることには限りがあるので、「今はこんな小さなことしか(小さなモデル)できないけれど、これから引きついでくれる後輩たち、さらにはまだ見ぬ遠い将来の後輩たちが、この事業をさらに発展させていってくれる」という信念や信頼が必要になります。心配して様子を見に来てくれた卒業生の枡田くんや、後輩の活動を気にかけてくれている卒業生の皆さんは、おそらく、こういう考えをもっていてくれていると思います。だから、今でも後輩たちの活動を見守ってくれているのかなと思います。

■もうひとつ。この研究会の指導をしてくださっている農家の吹野さんからは、次のような話しを聞かせてもらいました。1人の3年生(男子)が、吹野さんにこのような話しをしてくれたというのです。その3年生も、他県の農村部の出身です。その農村部も北船路と良く似たコミュニティであると言う話しから、しだいに彼は夢を語りだしたそうです。自分は、地元を離れていても、将来の地元のために頑張れるようにこの研究会で経験を積んでおきたい。そして、地元の友人知人に対しては、「必ず地元に役立ついろいろな経験と知識を持って帰るから、待っておけ!」という気持ちなのだと眼をキラキラさせて語ったそうです(これは吹野さんの表現)。吹野さんは、ご自分の若いころの気持ちと似ているところがあると、とても喜んでおられました。交流会でアルコールが入っているとはいえ、なかなか頼もしいではありませんか。ここには、地元の課題に対するビジョンはまだ曖昧であるにしろ、確かな夢はありますね。こういうパターンも、素敵だなと思っています。

八郎湖

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■これまでのエントリーでたびたび書いてまいりましたが、総合地球環境学研究所のプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会-生態システムの健全性」に人文・社会系のコアメンバーとして参加しています。この研究プロジェクトのメインのフィールドは、滋賀県の野洲川から琵琶湖にかけてになりますが、比較研究するうえで、国外ではフィリピンのラグナ湖(バエ湖)周辺の流域で、国内では八郎湖や宍道湖をはじめとするいくつかの湖沼の流域で、それぞれの流域の関係者と連携をもちながら研究プロジェクトを進めていきたいと考えています。27日(水)・28日(木)の両日、秋田県の八郎湖にいってきました。プロジェクトリーダーの奥田昇さん(京都大学生態学研究センター)と一緒です。そして、秋田県立大学の環境社会学者である谷口吉光さんにお会いしてきました。

■八郎湖は、「湖沼水質保全特別措置法」の指定湖沼になっています。滋賀県の琵琶湖はこの措置法ができた頃から指定されていますが、秋田県の八郎湖は、2007年に指定されました。ともに、琵琶湖総合開発や干拓事業等によって生態系や水質に様々な課題をかかえている湖沼です。共通するテーマは、「流域再生と環境ガバナンス」ということになります。

■私は、この地球研のプロジェクトを通して、琵琶湖や琵琶湖に流入する河川と人びとの関係、それらの水環境をめぐる人びとの間の関係、この2つの関係が交叉するところに、持続可能な社会の「幸せ」があるのだと思っています。そして交叉する地点ごとでそのような「幸せ」を確認し、多くの人びとがお互いに共有することのできる「幸せの物差し」をみつけることがでればなと思っています。そこに「環境ガバナンス」に関する課題が存在しています。そういう思いで研究プロジェクトを進めています。また、それぞれの「幸せの物差し」のあいだを、翻訳していくような仕組みも必要だなと思っています。そのような研究の進捗が、他の湖沼や流域ともお互いに共振しあっていければとも思っています。もちろん、「幸せ」とは何か…ということを社会的に求めていくことは、哲学的な側面ももっているわけですが、「幸せの物差し」づくりや、その「幸せの物差し」のあいだの翻訳という作業については、自然科学や社会科学の個々の研究蓄積が必要であり、それらの成果を、流域ごとの個々の地域社会との連携のなかで、どのように鍛え上げ、それらを繋ぎ、全体としてデザインしていくのかが問われることになります。生態系サービスと人間社会の関係に関しても、ごくポイントだけでも書いておきたいのですが、それは後日執筆する予定の論文の方に書くことにします。

■写真について、少し説明します。干拓によって大潟村が生まれました。トッブの写真は、大潟村の中央をながれる「中央幹線排水路」です。少し幻想的な雰囲気が漂っていますね。しかし、ここは干拓によって生まれた水田の排水を受け止める排水路なのです。干拓ですから、大潟村の農地は、周囲に残った八郎湖の水面よりも低いところにあります。したがって、水田の用水はサイフォンによって堤防を超えて大潟村のなかに取り込まれます。水田で使用した水は排水として、この中央幹線排水路に流されます。そして巨大なポンプでくみ上げて八郎湖に排水されることになります。このようにして、年間に何度も、八郎湖の水は大潟村の水田で使われては八郎湖に排水される…というふうに循環することになっています。

■下の写真に写ります。一段下の左側、ずっと向こうには大潟村の縁のあたりにある並木がみえます。大潟村の巨大さがご理解いただけるでしょうか。右側は、28日に、大潟村の八郎湖をはさんで東側にある三倉鼻公園から撮ったものです。「鼻」とは、三方向を海や水に囲まれた地形を指します。これが大きくなると、岬や半島と呼ばれるわけです。三倉鼻からは、かつて干拓前の八郎潟が見渡せました。ここは、景勝地でもありました。その下の左側ですが、谷口さんの研究室で、私たちの研究プロジェクトの説明をしているところです。さらにその右側は、八郎湖と日本海とのあいだにある防潮堤です。この防潮堤により、日本海から海水が入り込むことを防いでいます。急ぎ足になりました。八郎湖のこと、また報告します。

「豊かな生き物を育む水田プロジェクト」

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■先週の26日(火)、甲賀市の小佐治という集落で行われた「生き物観察会」に参加してきました。この「生き物観察会」は、滋賀県庁が始めた「豊かな生き物を育む水田プロジェクト」に関連して実施されているものです。この小佐治集落は、このプロジェクトに村づくりの一環として取り組んでおられるのです。私が参加している「総合地球環境学研究所」の研究プロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会-生態システムの健全性」では、この小佐治の取り組みと連携しながら、研究を進めていくことにしています。ということで、プロジェクト・リーダーである奥田昇さん(京都大学生態学研究センター)と一緒に、「生き物調査」に参加してきました。

■今回の「生き物観察会」には、小佐治の子供会の皆さんが参加されました。大人の企画で、むりやり連れてこられた…なんてことは微塵もありません。みなさん、自分たちの村の田んぼに生きている「生き物」を次々と網ですくっては、大変喜んでおられました。1年生から6年生まで、みんな一緒に参加する「生き物調査」、素敵だと思います。数時間かけて2箇所の田んぼで、メダカなどの魚類、ヤゴなどの水生昆虫、カエル、タニシ、アメリカザリガニ…様々な生き物を確認することができました。観察会のあとは、滋賀県立琵琶湖博物館の学芸員の方たちの指導で、「水田の生き物教室」が開催されました。じつは、ちゃんと聞いてくれるのかな…と心配していたのですが、驚いたことに、みなさん真剣に集中してお話しを聞かれていました。観察会という、五感を使う経験は、子どもたちに強い印象を与えているのです。これはすごいなと思いました。さらにいえば、子どもたちと一緒に、網をつかって生き物をすくおうとする農家の皆さんも、これまた生き生きとこの「観察会」に参加されているのです。私たちの研究プロジェクトとこの小佐治の「生き物」を通した村づくりについては、また別に詳しく報告したいと思います。

■少し、写真の説明をしましょう。トップの写真ですが、水田の端に、水路があります。これは、水田内水路と呼ばれるものです。この小佐治は、古琵琶湖層群と呼ばれる地層が隆起してできた丘陵地にあります。土質は、大変細かな粘土です。ということで、水田の水はけがあまりよくありません。通常の水田のように中干し作業をしても、十分に排水されません。稲刈りのときに、コンバインを入れると沈んでしまい作業ができなくなるのだそうです。そこで、こうやって周囲に水路を作って排水しているのです。もちろん、水田のなかにも溝が切ってあります。そうすると、水田の中の水がこの水田内水路に流れ込んでくるのです。

■この水路に、なにやら赤い塩ビのパイプが設置されています。これは、近くの塩ビパイプを製造している企業が寄付してくれたものなのだそうです。水田に水がなくなっても、水田内水路で生き物は生息することができるのですが、夏の暑い日には、この塩ビのパイプのなかであれば、水温もそれほどあがらず、生き物たちが生きていくこともできます。また、鳥のエサにならずにもすみます。すなわち、水田の生き物たちのシェルターなのです。

■下の左の写真ですが、研究プロジェクトのリーダーである奥田さんが、パイプを傾けています。反対側には、小学生の男の子が網をもってパイプのなかにいる生き物を一網打尽にしようとしています(もちろん、観察会ですから、基本的には、一部を除いてすべて水田に生き物たちを返します)。下の右の写真は、「水田の生き物教室」のときのものです。小学校低学年の女の子まで、みんなとってきた生き物たちに夢中です。

【追記】■この「生き物観察会」の翌日、「総合地球環境学研究所」の研究プロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会-生態システムの健全性」の関係で、水・木曜日と秋田県に1泊2日で出張しました。また、土・日は、「北船路米づくり研究会」の第3回「かかし祭」です。なかなか、報告が追いつきません。

『戦後日本公害史論 』(宮本憲一・著)

20140825miyamoto.jpeg■発注しました。『戦後 日本公害史論』。読者は、歴史から学ぶ…ということですね。この著書の根底のところに流れている宮本先生の「歴史観」のようなものを、きちんと理解できればなあと思います。丁寧に、真摯に読み、先生のご著書から学ばさせていただかなくてはいけないと思います。しかし、同時に、宮本先生が気になさらかったことはどういうことなのか、そういうことについても、後発の者たちは考えなくてはいけないと思っています。

■amazonでは「一時的に在庫切れ; 入荷時期は未定です」ということになっています。定価よりも、中古品の方が値段が高いということ、これも、この本への社会の注目度があらわれではないのかなと思います。

■朝日新聞の書評で、環境経済学者の諸富徹さんは、次のように書いておられます。

「著者は日本の環境政策が決してトップダウンではなく、ボトムアップ型で形成された点に特徴があると強調する。それは、世界でも類例のない公害問題を手探りで克服する中から、新しい方理論が生み出され、画期的な被害者救済制度が創出され、今では当たり前になった『原因者負担原則』が打ち立てられる創造的な過程でもあった。」

序章 戦後日本公害史論の目的と構成
  第1節 歴史的教訓
  第2節 日本公害史論の方法と構成
第1部 戦後公害問題の史的展開
 第1章 戦後復興と環境問題
  第1節 戦後復興期(1945〜59年)の経済と政治
  第2節 本源的公害問題の発生
  第3節 大都市の公害
  第4節 公害対策
  第5節 典型公害
 第2章 高度経済成長と公害問題
  第1節 国民的社会病
  第2節 公害の政治経済システム
  第3節 公害対策の始まり
  第4節 地域開発と公害
 第3章 公害対策の展開
  第1節 公害反対運動
  第2節 公害対策基本法
  第3節 革新自治体と環境権
  第4節 公害国会と環境庁の創設
 第4章 4大公害裁判
  第1節 公害裁判の創造
  第2節 イタイイタイ病裁判
  第3節 新潟水俣病裁判
  第4節 四日市公害裁判
  第5節 熊本水俣病裁判
  補論 高知パルプ生コン投入事件刑事訴訟
 第5章 公共事業公害と裁判
  第1節 公共性と環境権
  第2節 大阪空港公害裁判
  第3節 国道43号線・阪神高速道路公害裁判
  第4節 東海道新幹線公害裁判
 第6章 公害対策の成果と評価
  第1節 公害健康被害補償法
  第2節 ストック公害とPPP
  第3節 公害対策の成果と評価
  第2部 公害から環境問題へ
 第7章 戦後経済体制の変容と環境政策
  第1節 高度経済成長の終焉と政治経済の動態
  第2節 環境政策の一進一退
  第3節 環境保全運動の新局面
 第8章 環境問題の国際化
  第1節 多国籍企業と環境問題
  第2節 アジアの環境問題と日本の責任
  第3節 沖縄の環境問題
  第4節 国連環境開発会議をめぐって
 第9章 公害対策の転換と環境再生
  第1節 公害健康被害補償法全面改定
  第2節 環境基本法の意義と問題点
  第3節 「公害と闘い環境再生の夢を」
 第10章 公害は終わっていない
  第1節 水俣病問題の解決をもとめて
  第2節 終わりなきアスベスト災害
  第3節 福島第一原発事故
 終章 維持可能な社会(Sustainable Society)
  第1節 システム改革の政治経済学
  第2節 足元から維持可能な社会を

『銀の匙』12巻

20140825ginnosaji.jpg ■あの大蝦夷野農業高校を舞台とした『銀の匙』、12巻が出ました。すでに出版されてからしばらくたっていると思いますが、今日、やっと手に入れました。今日は、老母の生活介護の日でしたが、母親の自宅近くの書店で購入し、いろいろ世話をして大阪も戻ったあたりで、読了していました(漫画で読了というのかな…)。

■この『銀の匙』、よく考えて描かれていますね〜。本当に、いつも関心します。市場で「商品」として売買される農産物(畜産も含む…というか、こちらがメイン)と、「命」としての農産物。その両者のギャップから生まれる葛藤。日本の農業をめぐる厳しい状況と、そのなかで翻弄されながらも必死に経営に挑む農家。都会の若者と同じように、将来のリスク・ヘッジ(より安定した生活をしたい…)を気にしながらも、この状況を突破しようと懸命に夢に向かって挑む農業高校の若者たちの悩み。これは、一度に全部、読み通してほしいな〜と思います。

■1巻から12巻まで私の研究室にあるので、2〜3日で読破するぞという学生の皆さんには、お貸しする事もできますよ。ただし、読後の感想を聞かせてください。いろいろこの漫画に関して、話しをしてみたいものです。

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