Sony、ラニング用ヘッドホン「Smart B-Trainer」
▪︎これは、気になりますね。
ソニー、ランニングのログ計測と音楽再生が可能なヘッドホン型端末「Smart B-Trainer」
『SSE-BTR1』は、6種類のセンサー (心拍、加速度、GPS、コンパス、ジャイロ、気圧)を内蔵し、11種類のランニングログ
(心拍数、消費カロリー、距離、時間、スピード、ペース、ピッチ、歩数、ストライド、走行ルート、高度)を計測・記録する。
内蔵メモリーには最大約3,900曲の楽曲を転送でき、スマートフォンなど複数のデバイスを身に着けずに、これ1台で
「シンプルでスタイリッシュ」にランニングログの計測とトレーニングに適した音楽再生を実現する。心拍数をリアルタイムに計測するため、事前に設定したユーザープロファイルと目標心拍数をもとに、その時のランナーの
状況に応じた最適なテンポの楽曲を自動選曲、再生することで「楽しく効率的」にトレーニングをサポートするという。また、アプリ『Smart B-Trainer for running』で、ダイエットや体力づくり、レースへの参加など目的やレベルに応じた
トレーニングメニューを設定し、最適なプランを簡単に立てることができる。トレーニングメニュー選択後、デバイスに
Bluetoothで転送して、すぐにトレーニングを開始できるという。
【追記】▪︎「iPhone6 plus」に変更し、大きくなったため、これまで走るさいに使用していたランニング用にウエストポーチでは入らなくなってしまいました。ということで探したところ、mont-bellというメーカーが素敵なものを販売されていました。以下のブログ記事に丁寧に紹介されています。
iPhone 6 Plus が入るモンベルのクロスランナーポーチ M
Know your food, change the world. | Hiroyuki Takahashi | TEDxTohoku
▪︎「都会人に欠けている”共感力”とは? 食べ物付きの月刊誌『東北食べる通信』が伝えたいこと」。高橋博之さん。彼の強い思いが伝わってきます。
私たちが毎日食べているお米。これを作っている生産者が困っているんですから、決して他人事ではいられないはずです。だけれども、どうしてこうも他人事になってしまうのでしょうか。
それは、困っている農家の具体的な顔が思い浮かばないからだと思います。もしも顔が思い浮かぶ農家が知り合いにいたら、決して他人事ではいられないのではないでしょうか。その相手との関係性が「共感力」を育むのです。
消費者と生産者が大きな流通システムで分断されてしまったこの国で、私たち消費者が得られる食べ物の情報は、値段、見た目、食味、カロリーなど、全て消費領域の話です。もちろん食べ物を選ぶ上でこれらの情報も大事なわけですが、決定的に欠けている情報があります。それが食べ物の裏側にいる、血の通った人間の存在です。……
甲賀市の小佐治を訪問
▪︎先週の水曜日(2月11日)、総合地球環境学研究所の奥田昇さんと一緒に、滋賀県甲賀市の小佐治集落にある「甲賀もちふる里館」を訪れました。奥田さんがリーダー、私がコアメンバーの1人として取り組んでいるプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」について相談をするためです。小佐治集落からは、環境保全部会の皆さん、小佐治集落の区長さんがご出席くださいました。小佐治集落は、滋賀県庁や滋賀県立琵琶湖博物館の支援のもと、「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」のための事業に取り組んでいます。そのような関係もあり、この日は、滋賀県庁農林水産部農村振興課の職員や琵琶湖博物館の学芸員の方たちもご参加くださいました。
▪︎小佐治では、水田の内部に水田内水路を設けて、年間を通じて生き物が生息できる場所を提供しています。生き物が生息できるということは、安心・安全な農産物を生産している水田でもあるということの証明にもなります。現在、そのような水田では、メダカが繁殖して藻のなかで越冬していることが確認されています。小佐治も含めた甲賀市の農村地域の水田は、「ズリンコ」と土地の人びとが呼ぶ古琵琶湖層群の粘土でできています。きめが細かいため、水田から水を抜くことが難しい土質なのです。この湿田に苦労されてきました。小佐治では、そのような性質をもつ水田の内側に水路をつくり、塩ビのパイプ等を設置し、生き物の生息場所をつくってきたのです。その効果は生き物だけでなく、作付け面積が減るものの水田内の水位調整が容易になり湿田が解消することにもなりました。右の写真は、そのズリンコです。ズリンコのなかにあるのは、淡水貝の化石です。ここがかつて琵琶湖の底であったことがご理解いただけるとおもいます。
▪︎このような小佐治の生き物を賑わいを育む取り組みは、村の活性化にもつながっています。メダカが繁殖した水田で生産した米は、「めだかのいる田んぼの米」(メダカ米)として販売されています。販売されているのは、集落のなかに設けられた農村レストラン&直売所の「甲賀もちふる里館」です。さきほど「ズリンコ」について説明しました。たしかに「ズリンコ」は農作業が大変です。しかし、この粘土のなかにはケイ酸カリやマグネシウムが豊富に含まれており、稲やもち米が強く育つのです。小佐治では、そのような地域の環境特性を活かして、村づくりの活動にも取り組んでおられるのです。
▪︎さて、私たちの総合地球環境学研究所のプロジェクトでは、この小佐治の生き物のにぎわいづくりを通した村づくりの活動を、プロジェクトの研究調査を進めることのなかで応援させていただければと思っています。少しずつ相談を進めてきました。具体的な計画の詰めはこれからということになりますが、いよいよこの春から「超学際(トランスディシプリナリティ) 」的取り組みが始まります。
しばらく更新できませんでした…
▪︎ブログの更新、しばらくお休みしていました。いろいろ、盛りだくさんで、精神的にも疲れてしまい、更新する気力が湧いてきませんでした。毎日、覗いてくでさっている皆様、申し訳ありませんでした。ちょっと気持ちをハイにするために、「Stand By Me」をアップします。
▪︎今後のエントリーの予定ですが、2月7日・8日に、中津川市にまちづくりのお手伝いに行きました。その時のことも、アップしたいと思います。まだ、完成させていない「本文続きます」のエントリーもありますね…。なかなか厳しいですが、頑張ります。
「北船路米づくり研究会」の研修
▪︎2月1日に、「北船路米づくり研究会」の研修会が開催されました。場所は、私たちの活動している集落・北船路のお隣り、南船路にある「BSCウォータースポーツセンセター」です。研修会では、「BSCウォータースポーツセンター」の 井上校長から、今年の夏に開設される和邇の道の駅「妹子の郷」についてご説明いただくとともに、この道の駅を拠点として、この地域を活性化していくための課題について、いろいろご教示いただきました。井上校長は、「妹子の郷」の指定管理者である志賀観光協会の会員で、夏の開業に向けて準備にあたっておられるのです。井上校長の講義のあとは、研究会の顧問である吹野藤代次さんからも、丁寧にご説明いただきました。
▪︎お2人からの講義と説明のあとは、「妹子の郷」をどう盛り上げていくのか…ということをテーマにワークショップを開催しました。また、ワークショップのあとは、それぞれのグループの議論の成果を発表しました。井上校長からは、講評をいただきました。研修にあとは、お世話になっている「農事組合法人北船路福谷の郷」の組合長にもご参加いただき、交流会を行いました。この研修会を境に、4年生は「北船路米づくり研究会」から引退することになります。3年生の皆さん、4月から新しく配属になる後輩のゼミ生をうまく指導して、研究会の活動を盛り上げていってください。
2014年度脇田ゼミ「卒論発表会」
▪︎恒例の「卒論発表会」、2月3日に無事終了しました。今年は、例年と比較して、卒論指導に苦労しました。例年も苦労していますが、さらに大変だったという気がします。信じていただけるかどうかわかりませんが、卒論指導は体力勝負のところがあります。
▪︎私のゼミは、一人一人がフィールドワークをする約束になっています。ところが、就職活動が長引いたり、知らない人に会いにいくことがかなりブレッシャーになるのか、なかなかフィールドワークにいけないのです。困りました。フィールドワークの結果を、一人一人面談をして報告してもらうことも丁寧にやってきました。そこで、いろいろ質問をしたり、アドバイスをしたりするのです。そして、またフィールドワークにむかわせるわけです。しかし、私自身が歳をとってきたこともあり、大学のいわゆる学内行政の仕事も多く、以前のように学生の指導にたくさんの時間を割くこともできません。面談の設定にも、とても苦労しました。
▪︎さらに、書き上げた原稿を添削することにも、かなり体力を使いました。もっと早く提出してくれれば、私も余裕をもって添削することができますが、年末から正月にかけて集中されると…非常に辛いものがありました(これは、例年のことではありますが…)。本当は、11月末に第一次草稿を提出する約束になっていたのに…。学外の方からは、「どうしてそんなに甘やかすのですか。そういう学生は自分が悪いのだから、留年させるべきです」というご意見もいただきますが、11月末に第一次草稿提出というのはゼミ内の約束事であり、学部で決められた締め切りには間に合っているわけですから、そういうわけにもいきません。私自身はきちんと卒業させることが、私の仕事ですから。まあ、とにかく、次のゼミ生からは、またやり方を変えなければなりません。
▪︎以下が、脇田ゼミ10期生の卒業論文の題目です。
磯部大輔:「『株式会社黒壁』のまちづくりにみるネットワーク構築-『長浜人の地の酒プロジェクト』の事例をもとに-」
上田麻央:「地域活性化事業におけるネットワーク課題-京都府向日市の『京都激辛商店街』を事例に-」
梅村実:「地方鉄道と沿線コミュニティの相互アプローチ-京阪大津線の事例をもとに-」
河野佑城:「体験型観光における地域住民の役割-『南紀州ほんまもん体験』の事例をもとに-」
齊藤翔太:「高齢者を支える地域コミュニティの取組見-滋賀県-東近江市永源寺地区『生活支援サポート絆』の事例をもとに」
坂上寛至:「総合地域スポーツクラブが果たす役割-『くさつ健・交クラブ』をもとに-」
坪井佑馬:「企業による地域貢献のあり方」
竹内健治:「平成の大合併と地域スポーツイベント-『琵琶湖ジョギングコンサート』の事例をもとに-」
靍井志帆:「大阪市旭区千林商店街『1000ピースプロジェクト』にみる商店街活性化-まちのファンを増やし、商店街の賑わいづくりへつなげる取組み-」
寺瀬誠晃:「世界農業遺産が地域の将来にもたらす可能性-世界農業遺産『能登の里山里海』を事例に-」
冨田祥代:「生活改善グループ・直売所での活動に見る農家女性のエンバワーメント-大阪府茨木市見山地区の事例をもとに-」
鳥居俊克:「草津市中心市街地における活性化への取組み」
光定大輔:「『北之庄沢を守る会』による環境保全活動について-滋賀県近江八幡市北之庄町の活動を事例に-」
柳原亮一:「農産物直売所のコミュニケーションについて」
山科成矢:「阪神尼崎駅前商店街の振興と新たな事業戦略-「株式会社TMO尼崎」の活動をもとに-」
吉永涼:「子どもの活動団体がもたらす地域への効果-滋賀県高島市の事例をもとに-」
▪︎昨年の卒論発表会のエントリーに、こういうことを書きました。
私はゼミ運営の最終的な目標を、「ここまでやったぞ!」と自分で納得のいく卒業論文を執筆し、自信をもって卒業していくことにおいています。ですから、卒論指導は時間をかけて丁寧におこないます。個別面談を重視します。また、どのようなテーマであるにしろ、フィールドワークにもとづく実証的な事例研究(ケーススタディ)により卒業論文を執筆してもらうことにしています。もちろん、個別面談を通して指導・支援しますが、基本的には、自分自身の力で調査をしなくてはいけません。必然的に、ゼミ生にとっては、卒論は「大きな壁」になります。この「大きな壁」を乗り越えてもらうことで、各自に成長してもらうことが私の卒論指導のねらいのひとつでもあります。
▪︎今年の4年生は、卒論の調査と執筆で、どこまで頑張ることができたかな…と一人一人の顔を思い浮かべています。卒論の評価は、あらかじめ提示してある基準にもとづき粛々と行いますが、成長のプロセスは人それぞれです。そつなく要領よく卒論を書き上げたとしても、本気になって取り組み「ここまでやったぞ!」という確信をもつことができていないのであれば、私としてはとても残念としか言いようがありません。学生の指導って難しいですね。
▪︎卒論の題目の多くが、地域再生、地域活性化に関するものです。全員、フィールドワークのさいには、何人もの方達に丁寧にお話しを伺わせていただています。卒論のためにやってくる学生を一人一人に対して、地域の皆さんは、どうしてそこまで丁寧に話しをしてくださるのか。丁寧に対応してくださるのか。もう一度、しっかり考えてみてほしいと思います。卒論発表会の最初と最後には、このようなことも含めて、私からの「最後の話し」をしました。次に4年生と会うのは、卒業室の日になります。卒業式の日には、ほとんど話しをしている時間がないからです。はたして、教員である私の思いが伝わったでしょうか。
「個人主義的な『新しい学問』の姿 - 自立と連携でつくる」(井上真・『SEEDer』No.11, 2014,昭和堂)
▪︎何度も、このブログで紹介させていただきましだ、私は、総合地球環境学研究所の流域管理に関するプロジェクトに参加しています。その総合地球環境学研究所=地球研に関連する雑誌が、京都の昭和堂から出版されています。『SEEDer』という雑誌です。「全国共同利用機関としての地球研と全国の国公私立大学との共同利用・共同研究の連携をとおして「地域」と「環境」の「情報」を統合した<知>を共有する拠点形成の研究連絡誌です」。その最新号である11号に、交流のある井上真さんのエッセイが掲載されています。「個人主義的な『新しい学問』の姿 - 自立と連携でつくる」というエッセイです。このエッセイのことを、仕事上のやりとりをしているさいに、井上さんご自身から教えていただきました。私自身、30歳代のころから、既存の社会学の枠組みからはみ出て仕事をしてきたということもあり、井上さんのこのエッセイに共感しました。(本文、続きます)
「限界集落株式会社」
▪︎黒野伸一さんの『限界集落株式会社』が、NHKのドラマになるようです。主演は、反町隆史さん。カッコいいですね〜。このドラマのホームページで、制作統括をされた落合将さんが、次のように語っておられます。
NHKの現代ドラマ、久しぶりの農業ものです。農業を撮影するのは困難を極めます。作物の状態が、限られたスケジュールに合うのか、台風などの襲来によっては撮影用の畑が壊滅します。それでも、その困難な素材に正面から取り組んだのは、いま劇的に日本の農業をめぐる世界が変わってきているからです。ドラマをつくるにあたって、いろいろ取材をされていることがわかります。
日本の農村はいまや「限界集落」どころではなく「地方消滅」の危機を迎えています。そのなかで、地方唯一の産業「農業」を通じて、一矢を報いていく小さなチームを描くときに、バブルの時代に描かれたのんびりした空気の流れる「村おこし」を描くことはもはやできませんでした。シビアな時代に、どういまある力を使って、仲間たちと立ち向かっていくのか、難しい題材を描く際に、あとおししてくれたのは、実際に農業法人をたちあげて、新しい農業の形を模索する若者たちの姿でした。農業未経験者の彼らは、都会ではなく、農村に夢を求めて、アイターンしてきます。旧来の世襲制度が崩れ始め、地方の農村が変わり行く中で、私たちの目には彼らが「開拓者」のように見えました。そういったたくさんの取材先の方々たちの力を借りながら、この挑戦的な企画はなりたちました。出来上がったドラマもまた、素晴らしい出演者の皆さんの力を借りた、現代の「開拓者たち」のドラマに仕上がったと思います。
▪︎黒野さんの本自体は、研究室に置いてあるのですが(本のタイトルに惹かれて…)、まだ読めていません。原作とドラマは少し違っているようですが、まずは明日31日(土)から始まるドラマを視ることにしたいと思います。小説自体の評価は様々なようですが、大切なことは、ここからどういうメッセージを受け取るかでしょうかね。このような限界集落のようなテーマと関連する新書を紹介したことがあります。1月7日のエントリー「『農山村は消滅しない』(小田切徳美・岩波新書)」です。こちらの方、ぜひご覧いただければと思います。新書の著者である小田切徳美さんの講演の動画も貼り付けてあります。
【追記】▪︎さきほど、ゼミ生が研究室に相談にやってきました。ゼミでおこなっている「北船路米づくり研究会」の活動に関して、ある財団に活動助成を申請するのですが、その申請書類をチェックしてほしいとやってきたのです。ちょっと雑談もしました。お父様が、時々、このブログを読んでくださっているとのこと。ありがとうございます。お父さん、娘さんは頑張って大学で勉強してはりますよ!!
小さな発見、わたしの知床『シリエトク ノート』第9号 2014年文月
▪︎「青山ブックセンター」の「青山ブックスクール」で企画主任されている作田祥介くんが、雑誌を送ってくれました。雑誌というか、小冊子かな…。まあ、それはともかくです。作田くんが、北海道の斜里町の方から、エゾジカ猟特集の雑誌をもらったのでと、私にも1冊わけてくださいました。『シリエトクノート』第9号です。「シリエトク」とは、知床のことです。アイヌの言葉で、地の果て…という意味なのだそうです。この雑誌の特集は、「エゾシカ猟」。冒頭で、猟師さんたちとエゾジカ猟を撮り続けているホンマタカシさんが座談会をされています。作田くんは、ここから何か環境社会学に通じるものを感じたらしく、私に送ってくれたのでした。
▪︎エゾジカ猟は、増えすぎて森林を破壊するエゾジカを駆除するために行われているものです。これについては、いろいろ意見の対立がこれまであったようです。この知床では自然保護運動が取り組まれてきたからです。このあたりの問題については、ネット上にあるNHKのニュースをご覧いただくことができます。
エゾシカ駆除へ 知床の決断 NHKニュースおはよう日本 2010年12月14日 放送
▪︎『シリエトクノート』の座談会では、このあたりのことが詳しくは説明されていません。駆除するハンターの皆さんは猟友会に入っておられますが、その猟友会の皆さん自身が、「我々が絶滅危惧種なんだよ」と揶揄しておっしゃるのです。ハンターが高齢化し減少していく一方で、近年は、あちこちで獣害の問題が深刻化しています。獣害は北海道だけではありません。このあたりの問題については、出版されてだいぶたちますが、鬼頭秀一さんの『自然保護を問い直す』のことが頭に浮かんできます。
▪︎鬼頭さんは、「生身」と「切り身」という独特の概念を使います。いずれも人間と自然との関係を表現するための概念です。そして、人間が社会/経済的にも、文化/宗教的にも、多様なネットワークのなかで総体としての自然と不可分なかたちでかかわりつつ生業を営み生活している一種の理念型の状態を「かかわりの全体性」と呼んでいます。それに対して、この「生身」の関係が、人間の都合で部分的な関係を取り結ぶようになったとき、それは「かかわりの部分性」ということになり、「生身」ではなく「切り身」ということになります。鬼頭さんは、「環境問題の本質は人間から離れて存在している自然の破壊にあるのではなく、人間と「生身」のかかわりあいがあった自然が「切り身」化していくことにある」と捉えます。そのうえで、「近代が、自然破壊と同時に自然保護という概念も生み出したと言ったのは、まさに、両極の二種類の『切り身』の関係が、近代という時代に出現したことを意味している」と述べています。
▪︎最近では、専門書ですが、『野生動物管理システム』(梶光一/土屋俊幸 編)という本も出版されています。これについては、2014年10月7日のエントリーで少しだけ紹介していますので、そちらをご覧いただければと思います。
▪︎『シリクトク ノート』第9号の最後の「編集後記」では、編集・制作作業にあたった中山芳子さんが、次のように書いておられます。素敵な文章だなと思いました。
雪のエゾジカ猟は、自分の生まれ育った斜里にいながらにして、映画の中の出来事のようだった。解体作業では、まだ若いシカの体にナイフが入り、鮮血とともに白い湯気がフワーッと立ち上がった時、あー確かに今の今まで、生きていたのだと感じ、自然に涙が出た。「カワイソウ」などというあいまい感情とは違う心の揺れ。解体に格闘する若いハンターを見守るベテランの視線の温かさ。そうして、内臓を抜いたシカを車まで引っ張って運ばせてもらうと、思いがけない重みに汗が吹き出た。いのちの重み。野生動物や、雄大な風景がクローズアップされがちな知床だけど、こうして人間が常に自然に携わり、いのちに対峙し続けている。良くも悪くも、人間が居てこそ知床なのだと思う。
2016年4月に社会学部を改組、社会学部福祉系2学科を「現代福祉学科」に改組
▪︎私が勤務する龍谷大学社会学部が改組を行うことになりました。詳しくは、龍谷大学のホームページの記事をご覧ください。