1人への支援が、社会のためになる・山仲善彰市長インタビュー

20151229yamanaka2.jpg ▪︎「滞納取り立てよりも支援」という山仲善彰・野洲市長のインタビュー記事(朝日)を読みました。野洲市は、全国に先駆け、「生活困窮者自立促進支援モデル事業」に取り組んきたました。山仲さんのインタビュー記事は、そのような取り組みの成果や実績に基づくものです。

▪︎山仲さんとは、滋賀県庁におられる時から少しお付き合いがあります。琵琶湖環境部長をされていた時に、琵琶湖の環境問題関連の仕事では、いろいろお世話になりました。今も、滋賀県の「ヨシ群落保全審議会」ではご一緒させていただいています。しかし、よくよく考えてみれば、山仲さんと環境以外のことでお話しをさせていただいたことはなかったように思います。私は、右の朝日の記事を読んで、多くの点でなるほどと納得しました。

▪︎この記事に刺激を受けて、さらに野洲市の政策に関してネットで関連記事を探してみました。すると、『日経ビジネス』の記事がみつかりました。『日経ビジネス』の「2000万人の貧困』というシリーズ記事の中のひとつのようです。「1人への支援が、社会のためになる『困窮者自立支援法』モデル都市の市長の提言」(2015年9月1日(火))というタイトルが付いていました。貧困に苦しむ人びと、高齢者、障害者といった社会的弱者を、行政としてどのように包摂していくのか、また、そのためにはどのような行政組織の経営が必要なのか…といった内容でした。以下は、インタビューの冒頭に山仲さんが語っていることです。基本的な考え方が示されています。続きについては、ぜひ直接お読みいただければと思います。
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行政の基本は、市民の方がそれぞれ健康で幸せで自己実現でき、人生を楽しめるための公共サービスを提供することだと思っています。

伸びようとする人がより伸びられるように、困難な状況にある人はきちっと自立できるようにということです。困窮者や弱者から発想が始まっているのではありません。弱者も、そうでない人も、それぞれの人生がいいものになることが大事だと思います。

ただ、伸びる人の場合はある程度、自分で資源調達ができたり、支援が見つけられます。けれど弱者の場合、そうはいかないことがある。ですから、どちらかと言えばそこを手厚くすることによって、全体が良くなるという視点に立っています。

もう一つは、やっぱり「1人を救えない制度は制度じゃない」ということです。役所へ行くと「この制度はあなたのためではないのでお引き取りください」とか、「いや、うまく合わないんですよ」と言われて追い返される。生活保護のいわゆる「水際作戦」(注:生活保護の受給申請者に対して、費用を抑えるなどの目的で、自治体ができるだけ受給できない理由を見つけようとすること)なんていい例ですよね。

制度というのはそれではいけません。そこにニーズがあるのだから、何とか解決するための手段でなくてはいけない。公序良俗に反することはいけませんが、その人の人生にかかわることや地域のためにというニーズなのであれば、課題を最終的にクリアできるようにするのが務めです。

20151229hinkon.jpg ▪︎なお、この山仲さんのインタビューは、日経BP社から発行されている『ニッポンの貧困 必要なのは「慈善」より「投 資」』の中にも収録されているようです。以下は、amazonに掲載された内容紹介です。

日本の相対的貧困は、およそ2000万人――。75歳以上の後期高齢者よりも多いこの国の貧困層は、この先3000万人まで増えるとも言われています。そしてこの病巣は静かに、けれども急速に、日本に暮らすあらゆる人々の生活を蝕み始めています。

ひとり親、女性、子供…。これまで貧困は、社会的弱者の課題として語られることが多かったはずです。
けれど貧困は今や「一部の弱者の問題」として片付けられる存在ではなくなっています。

困窮者の増加が消費を減退させ、人材不足を進め、ひいては国力を衰退させる――。

経済記者が正面から取り組んで見えてきたのは、貧困問題が日本経済や日本社会に及ぼす影響の大きさでした。
「かわいそう論」はもう通用しません。求められるのは、貧困を「慈善」でなく「投資」ととらえ直す視点の転換です。企業やビジネスパーソンにできることは何か。
貧困を巡る日本の現状と課題、そして解決の糸口を「経済的観点」から分析した初のルポルタージュ。

▪︎この本の紹介にある「貧困は今や「一部の弱者の問題」として片付けられる存在ではなくなっています」や、「貧困問題が日本経済や日本社会に及ぼす影響の大きさでした」という指摘は、山仲さんの「1人への支援が、社会のためになる」という考え方と、どこかで繋がり合うような気がします。現在、貧困ではない人でも(貧困は自分には関係ないと思っている人でも)、より大きな視点に立てば、貧困問題は自分自身の問題でもあるわけです。自己責任という言葉は、時として、このような現実を隠蔽することになります。また、社会が成立するために必要な共同性をも蝕んでしまうことになります。

中津川市の付知

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▪︎この写真は、岐阜県中津川市付知の風景です。付知には、これまで4回ほど訪問しました。4回のうちの3回は中津川市市役所が取り組む事業のお手伝いで訪問しましたが、残りの1回は、個人的にといいますか、ちょっとした旅行気分で訪問しました。仕事のことについては、「こちら」をクリックしていただければ岐阜県関係のエントリーをお読みいただくことができます。しかし、個人的に訪問したときの写真を、そういえばアップしていなかったなと思い出し、その雰囲気だけでも伝えられたらと、気に入った写真をアップしてみました。これは、今年の7月に訪問したときに撮りました。この付知を中津川市役所の仕事として訪問することは、これからはあまりないと思いますが、個人的にはこれからも訪問できたらと思っています。

「“移住1%戦略”は地方を救えるか」(NHKクローズアップ現代)

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■昨日のNHKの「クローズアップ現代」は、「“移住1%戦略”は地方を救えるか」でした。非常に興味深い内容です。私は、教授会と研究科委員会、そのあとは専攻委員会と会議が夜まで続き、この番組を視ることができませんでした。ということで、クローズアップ現代のサイトを確認してみました。以下は、この番組の内容を紹介したものです。

「もし毎年1%の人を呼び込めれば、町の人口減や高齢化は食い止められる」とする“理論”が注目を集めている。典型的な中山間地である島根県邑南(おおなん)町などで実践が始まっている「1%戦略」だ。年に数世帯ずつ家族が定住してくれれば、大規模な産業誘致や開発などしなくとも、数百人規模のコミュニティは存続可能という。実際、移住は地方衰退の救済策としてどこまで有効なのか?NHKでは明治大学と共同で全国の自治体に移住に関する最新状況を調査した。昨年度、県外流入者は1万人超、この5年で4倍近くに増えたことがわかった。さらに、移住支援を行うNPOの調査でも移住者の半数を40代までが占めるなど、現役世代の増加が顕著だ。地方を選択する理由は“暮らしやすさ”という。大抵、表面上は収入減となる地方移住だが、生活上の様々な要素を貨幣価値に換算し具体的に分析してみると、東京生活より「豊か」にすることも可能なことが見えてきた。田園回帰と呼ばれる最近のムーブメント、地方消滅対策としての可能性とヒントを、データジャーナリズムのアプローチから探る。

■解説は、一橋大学の小田切徳美さん。番組では、東京から鳥取県に移住した若いご夫婦の紹介からはじまります。鳥取での生活の豊かさを経済的価値に置き換えると、「利便性については東京に劣るものの、総合評価で比べると鳥取のほうが3万円以上価値が高くなりました。 鳥取の暮らしやすさは全国でもトップクラスという結果がはじき出されています」というのです。最近、よく知られるようになった徳島県の神山町も紹介されます。このような最近の地方での動きを、移住支援を行うNPOグリーンバレーの理事・大南信也さんは、「今までなかったような機能が少しずつそこに集まってきて回り始めるということですよね、地域内でいろんな(ことが)。ある面、経済が循環し始める、小さいながらも」と説明されています。小さな経済の循環。そして、そこに人のつながりが生まれてくる。興味深いですね~。

■島根県の山あいにある,自治体、邑南町も紹介されています。人口は11,000人の邑南町では、定住促進策を進め、人口減少を食い止めようとしています。この町では、「移住1%戦略」に取り組んでいます。地元のシンクタンクのシミュレーションで、 地区の人口の1%ほどの移住者を呼び込めば、企業誘致や特産品の開発に頼る必要はないということがわかってきたのです。地元の自治会の副会長さんは、「私たちが不安に感じていたことが、7人という数値を与えてもらったことで、頑張る努力目標が見えた」と述べています。ということで、就農を希望する移住者には、後継者がいない農地を提供するなど、移住してきた若者たちに地域をあげて支援をされています。番組では、小田切徳美さんが、次のように解説されています。

●移住者は、何が移住の決め手になったと語っている?

実は、移住者の方々が異口同音に、「人」だというふうに言うんですね。この「人」っていう意味は多様です。例えばお世話をしてくれた地域コーディネーターの方とか、あるいは移住者の先輩だったり、あるいは見守ってくれた集落のご老人だったり、いずれにしても、ああいう人がいるからこの地域に行くんだということで引き寄せられていく、そういうパターンがあるようですね。

●自治体は何を大事にして総合戦略を作るべき?

総合戦略は現在、市町村単位で作られています。しかし、もっと重要なのは、コミュニティー単位でのビジョン作りです。このコミュニティー単位でのビジョンを作って地域をみがいていく、そのことによって、そこに移住者が入って、そして移住者と共に地域を作り上げることが可能になると思いますね。 (地元の人たちも意識は変わっていく?)そうだと思いますね。

■私自身、実際に番組を視ることはできませんでしたが、ぜひ「NHKオンデマンド」で見てみようと思います。「幸せ」とはいったい何なのか、「豊かさ」とはどういうことなのか、人とのつながり、身近な環境とのかかわりのなかでゆっくり・じっくり、それらの「幸せ」や「豊かさ」を実感することの大切さを、若い年代の人たちも感じ始めているのです。

第7回「大津ジャズフェスティバル」

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▪︎今年も、「大津ジャズフェスティバル」が開催されます。もう、すっかり大津の秋のイベントとして定着しています。第1回目と2回目に末席の実行委員としてお手伝いさせていただきました。実行委員会は週末に開催されますが、老母の世話や自分の地域連携の仕事等で忙しくなったため、ずっとお休みの状態です。でも、実行委員会の皆さんにはさらに頑張っていただき、このイベントを有名にしていただきたいです。第1回から、「大津ジャズフェスティバル」が目指しているのは、「世界一美しいジャズフェスティバル」ですから。

第4回「北船路・かかし祭」前日(準備)

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▪︎昨日は、第4回「北船路・かかし祭」の前日でした。学生たちが翌日の本番に向けて、準備に取り組みました。昨年までは、「かかし祭」と呼んでいましたが、今年からは地元との関係をより明確に示すことができるように「北船路・かかし祭」と一部名称を変更しています。本番は、まず、北船路の棚田のいちぱんてっぺんから棚田と一望できる琵琶湖とが一体となった風景を堪能しつつ、参加してくださる「みつばち保育園」の園児さんたちが製作した案山子をご覧いただきます。そのあとは、一般参加の皆さんと、保育園とに分かれて、「村内ツアー」に出発します。昨日は、追加の案山子の製作と設置、「村内ツアー」のコース確認と、ご協力いただく農家へのご挨拶に伺いました。トップの写真は、研究会が栽培している「龍大米」(コシヒカリ)の水田です。他の水田はそろそろ稲刈りの作業に入る時期ですが、「龍大米」は9月の下旬頃になる予定です。これから熟成していきます。

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▪︎左は、大津市内の酒造会社・平井商店さんに出荷される予定の酒米です。こちらもこれから熟成させていきます。酒米は背丈が高く、稲穂が熟成しすぎると倒れてしまいます。かといって、米粒のなかにある心白(しんぱく)が熟成しなければ良い酒ができません。栽培が難しいのです。今年の出来はどうでしょうか。栽培は、農事組合法人がされていますが、すごく気になっています。右は、「みつばち保育園」の園児さんが田植えをされた水田です。三角形の小さな水田です。こちらも稲刈りは、もう少し先になります。現在は、10月1日に稲刈りをする予定になっています。可能であれば、研究会の学生がサポートします。
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▪︎「北船路・かかし祭」の会場。北船路の棚田の一番てっぺんで記念写真。ここまで徒歩で登ってくると滝のように汗がでます。しかし、景色は最高です。あいにくの曇天ですが、天気が良くて空気が澄んでいると、南(右手)は大津と草津との境あたり、北(左手)は伊吹山まで見渡すことができます。てっぺんまで登った棚田からは、こんどは「村内ツアー」のコースを確認しながら下っていきます。まずは、研究会が里芋を栽培している畑に。それなりに順調に里芋も成長しているようです。こちらの里芋の収穫は、10月末から11月にかけてかと思います。

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20150830kakashi10.jpg▪︎午後からは、「北船路・かかし祭」の会場にかざる案山子を学生たちも作りました。今回の「北船路・かかし祭」には、新規就農を目指す方達を支援するNPO法人「スモールファーマーズ」からもご参加いただきますが、準備作業からいろいろお手伝いくだいました。学生たちと一緒に、案山子づくりもしていただきました。

▪︎できあがった後は、毎回、「北船路・かかし祭」にご協力いただいている、「みつばち保育園」の園児さんたちが製作した案山子15体に加えて、学生たちが製作した案山子も棚田のてっぺんまでかついであがり、棚田の端に立てていきました。「スモールファーマーズ」の皆さんたちには、草刈機で棚田の法面や道沿いの草を刈ってくださいました。本当に助かりました。

▪︎夕方には、この「北船路・かかし祭」を立ち上げた学年のリーダーである岩崎智紀くんも車で駆けつけてくれました。岩崎くんは、この日、学生たちや「スモールファーマーズ」の皆さんと一緒に北船路に宿泊してくれました。翌日も、そのまま参加してくれます。来月のシルバーウイークには、岩崎くんたちの学年の有志が集まる予定とのことでした。岩崎くんは、現在、名古屋で働いていますが、卒業後も後輩たちの活動を気にかけて応援してくれています。なかなかできないことです。岩崎くん、ありがとうございます。

「限界集落株式会社」

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▪︎黒野伸一さんの『限界集落株式会社』が、NHKのドラマになるようです。主演は、反町隆史さん。カッコいいですね〜。このドラマのホームページで、制作統括をされた落合将さんが、次のように語っておられます。

NHKの現代ドラマ、久しぶりの農業ものです。農業を撮影するのは困難を極めます。作物の状態が、限られたスケジュールに合うのか、台風などの襲来によっては撮影用の畑が壊滅します。それでも、その困難な素材に正面から取り組んだのは、いま劇的に日本の農業をめぐる世界が変わってきているからです。ドラマをつくるにあたって、いろいろ取材をされていることがわかります。

日本の農村はいまや「限界集落」どころではなく「地方消滅」の危機を迎えています。そのなかで、地方唯一の産業「農業」を通じて、一矢を報いていく小さなチームを描くときに、バブルの時代に描かれたのんびりした空気の流れる「村おこし」を描くことはもはやできませんでした。シビアな時代に、どういまある力を使って、仲間たちと立ち向かっていくのか、難しい題材を描く際に、あとおししてくれたのは、実際に農業法人をたちあげて、新しい農業の形を模索する若者たちの姿でした。農業未経験者の彼らは、都会ではなく、農村に夢を求めて、アイターンしてきます。旧来の世襲制度が崩れ始め、地方の農村が変わり行く中で、私たちの目には彼らが「開拓者」のように見えました。そういったたくさんの取材先の方々たちの力を借りながら、この挑戦的な企画はなりたちました。出来上がったドラマもまた、素晴らしい出演者の皆さんの力を借りた、現代の「開拓者たち」のドラマに仕上がったと思います。

▪︎黒野さんの本自体は、研究室に置いてあるのですが(本のタイトルに惹かれて…)、まだ読めていません。原作とドラマは少し違っているようですが、まずは明日31日(土)から始まるドラマを視ることにしたいと思います。小説自体の評価は様々なようですが、大切なことは、ここからどういうメッセージを受け取るかでしょうかね。このような限界集落のようなテーマと関連する新書を紹介したことがあります。1月7日のエントリー「『農山村は消滅しない』(小田切徳美・岩波新書)」です。こちらの方、ぜひご覧いただければと思います。新書の著者である小田切徳美さんの講演の動画も貼り付けてあります。

【追記】▪︎さきほど、ゼミ生が研究室に相談にやってきました。ゼミでおこなっている「北船路米づくり研究会」の活動に関して、ある財団に活動助成を申請するのですが、その申請書類をチェックしてほしいとやってきたのです。ちょっと雑談もしました。お父様が、時々、このブログを読んでくださっているとのこと。ありがとうございます。お父さん、娘さんは頑張って大学で勉強してはりますよ!!

ishigama と kikito と 地域づくり

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▪︎昨晩は、今年の1月4日にオープンした「ishigama」さんを訪問しました。ピザやアヒージョ等、石窯を使った料理を売りにしているお店です。しかも、お店で使う材料、たとえばピザの上にのる具材は、県内の農産物や加工品であったりします。農産物も、できるだけ直接生産者から購入されいるようです。指市場にのらない農産物を有効利用しつつ、「食」や「農」を支える地域づくりのネットワークが生まれていったらいいなあと思います。写真の石窯のなかでは薪が燃えていますが、この薪は、東近江市の「kikito」の関係者から仕入れたものです。「kikito」とは、森林とともに豊かに暮らしていける未来をめざし、人の営みと森林が結びつくカタチをていねいに育てるプロジェクトを展開されている一般社団法人です。「kikito」には、森林の所有者、植林や育林をされる方達、伐採された樹を製材加工する方達、製材された木材を利用する建築家、その他木材を様々な商品に加工される企業…等々、様々な方達が参加されています。たまたま、私が東近江の「kikito」の方達と知り合いになり、その一方で燃料の薪の確保に苦労されていた大津の「ishigama」さんとも知り合いになり…ということで、両者を結ばせていただいたのです。

▪︎写真をご覧ください。石窯のなかでは、滋賀で生産された野菜をのせたピザが焼かれています。入り口の方には、器にもられた料理が見えますね。これから、石窯のなかに入ります。中身は、スナズリとキノコのアヒージョ。アヒージョとは、オリーブオイルとニンニクで煮込む料理のことです。これは一例ですが、「ishigama」さんでは、石窯の能力をふるに活用した料理が提供されます。現在、さらにメニューを増やすべく、いろいろ開発努力もされています。たとえば、リンゴ。石窯のなかに入れると、焼きリンゴになります。私は、丸のまま1個のリンゴを入れていただきました。当然、リンゴは真っ黒になりますが、なかはホカホカ、焼かれるとリンゴの甘さがさらに引き立ちます。私はいただいていませんが、玉ねぎひとつ、石窯のなかに入れる。真っ黒に焼きます。真っ黒のこげた外側は食べずになかの蒸し焼きにされた部分をいただきます。玉ねぎって、こんなに甘かったのかと思うほどの美味しさになります。

▪︎昨日は、私の方からのお願いもあり「ishigama」さんに伺いました。滋賀県内のある農村のイベントを手伝ってほしいというお願いをしに伺ったのです。そのイベントの企画会議の場で、かつて当たり前のように食べていた湖魚を、若い世代の人たちにも食べてもらうことが提案されました。そのためには伝統的な湖魚料理だけでなく、様々な現代風の料理のやり方も取り込んで、敬遠されがちな湖魚を、若い世代にも食べてもらうことが必要になるという意見も出ました。そのようなこともあり、「ishigama」さんにもご協力いただき、イベントを盛り上げていただこうということになったのです(もちろん、「ishigama」さんだけでなく、他の調理人の方のご協力もいただきます)。

▪︎自分だけではできないことも、こうやっていろんな方達が横につながって支え合うことで(相補的な関係を構築していくことで)、相乗効果も生まれます。そうやって相互に協力しあうことで、地域社会のなかに信頼と協働、そして「お互いに助け合わねばという意識」(自分だけ得をしようとしない…)の醸成により、持続する社会関係、あえて言い換えれば社会関係資本を蓄積していくことにもつながるのです。「お互いにお願いをしたり、お願いをされたりする関係」が、網の目のように地域社会に広がったらいいなと思います。昨日は、地元の商店街の皆さんも多数お店に来られていました。商店街活性化のために立ち上がった皆さんの集まりのようでした。その商店街の皆さんにも「ishigama」さんのオープンは大変歓迎されています。「ishigama」さんのように、新規参入の若い方たちが、さらに街中で商売できるようになったらいいなとも思いました。

『地域の魅力を伝えるデザイン』

20141231local.jpg ■まだ、この本を実際には手に取っていませんが、解説を読むと欲しくなります。

本書は、地域広報誌、フリーペーパー、ミニコミ誌、観光情報誌、フライヤー、マップなど、地域の魅力を伝えるために制作された紙メディアを紹介するデザイン事例集です。

人口の流出、地域高齢化、文化の衰退、伝統ある街並の画一的な開発…各地域にて抱える問題はさまざまですが、残すべきものを残し、大切なものを未来へと繋げていくために、企業、デザイナー、行政、地元の有志などが働きかけ、その土地の魅力を伝えようとする活動が全国的に盛んになっています。本書では、そうした全国的な活動のなかでも、特に紙のメディアに着目しました。優れたデザインを用い、確実に“伝わる力”を持ったグラフィック事例を約60点紹介しています。
またデザインのポイントのみを解説するのではなく、プロジェクトの背景やそれがもたらした効果についても触れており、デザイナー問わず、地域をPRしたいと考えている多くの方々にヒントになる内容となっています。

掲載媒体(順不同)
naranara(奈良)
小豆島と茨木(香川/大阪)
飛騨(岐阜)
板木(福島)
飛騨のかざりもの(岐阜)
ラ・コリーナ(滋賀)
TOYOOKA 67DAYS(兵庫)
和食(日本)
シリエトク ノート(北海道)
鶴と亀(長野)
TOTTORI CRAFT(鳥取)
おきなわいちば(沖縄)
雲のうえ(福岡)
半島のじかん2014「半島の台所」(半島地域)
燕三条 工場の祭典(新潟)
Gozzo山形〔ゴッツォ山形〕(山形)
太宰府自慢(福岡)
Journal NAMO. (愛知)
あば村宣言(岡山)
キラリ☆ぎの座(沖縄)
コンダフル(兵庫)
やまがた旅手帖、やまがた旅図鑑(岐阜)
ミチカケ(栃木)
旅手帖beppu(大分)
桜みちくさマップ(栃木)
暖暖松山(愛媛)
アリタノヒビキ(佐賀)
泣ける!広島県\(T▽T)/(広島)
てくり(岩手)
KAMAKURA(神奈川)
Mi amas TOHOKU 東北が好き kvina×SHOE PRESsの観光案内(東北6県)
スミファ(東京)
せとうち暮らし(香川)
守谷さとやまマップ(茨城)
季刊ritokei(有人離島)
Judd.(鹿児島)
とくしまふるさとごはん(徳島)
野生復帰通信(京都)
まちなみデザイン逗子(神奈川)
ぶらり港まち新聞(愛知)
とさぶし(高知)
あおあお(徳島)
ののわ(東京)
12class(東京)
cococu おうみの暮らしかたろぐ(滋賀)
0470-(千葉)
SOCIAL TOWER PAPER(愛知)
意外と熱海ブランドブック(静岡)
ミライのフツーを目指そう Toyota City Message(愛知)
天使の寒天(秋田)
ナガサキリンネ(長崎)
パラ人(京都)
HAMArt!(神奈川)
.DOCK(兵庫)
KIITO NEWSLETTER(兵庫)
Found MUJI 神戸 リサーチ編(兵庫)
えのこじまん(大阪)
東北食べる通信(岩手)

「MUSUBU SHIGA」

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■滋賀県が情報発信しています。facebookで知りました。

滋賀県が、デザイナーやアーティストとともに、琵琶湖やその周囲で暮らしてきた人々が培ってきた滋賀の魅力を、新たな視点から調査・発見し、発信するプロジェクト「滋賀・びわ湖+DESIGN」プロジェクトを開始しました!!

11月4日にはその公式サイト「MUSUBU SHIGA」を立ち上げ、滋賀の魅力を発信するムービーを公開しました。今後も、新たなムービーを公開する予定ですので、ぜひご覧ください!!

■滋賀県の琵琶湖に浮かぶ沖島(近江八幡市)を題材にした動画をご覧いただけます。以下のようなメッセージが添えられています。これは、なかなか素敵な作品(動画)です。

滋賀県と向き合うために、
私たちはブランディングディレクターの服部滋樹氏と共に、
まずはじめに”沖島”を訪れました。

淡水の湖に浮かぶ島として
日本で唯一、人が住んでいるという
この島の営みをじっくりと眺めることで
滋賀県全体がみえてくるのではないか
滋賀の個性がここにはあるのではないか

湖とともに行う漁
自らのための野菜畑
島というひとつの世界で暮らすということ
全てのことがここに詰まっていると感じました。

これからはじまる滋賀への調査のはじまりとして
湖と暮らす
陸と暮らす
人と暮らす
神々の恵みをいただきながら、長く生きる
その姿をここから見つめます。

■動画の中には、この動画を制作したgrafというデザインの会社だと思いますが、そこの服部滋樹さんのメッセージも流れます。以下の通りです。「デザインの視点」という言葉が良いですね。デザインは、関係をつくる媒体だと思っているので、共感します。特に、最後の「出会ったヒトと何かを初めてみよう」というのも、素敵なメッセージですね。

滋賀

沖島。

People、滋賀の人々
Landscape、滋賀の風景
Workers、滋賀で働く人々
Customs、滋賀の風習
Foods、滋賀の食

デザインの視点は、今まで見えなかったモノを見えるようにしてくれる。
育っているモノを集めてみよう。
見えてきたコトを繋げてみよう。
出会ったヒトと何かを初めてみよう。

湖と、
陸と、
人々と。

湖、陸、ひして暮らしている人々の向き合ってきたことの土地、滋賀県。
“これまで”培ってきた魅力を新しい視点をもったデザイナーやアーティストと
ともに調査・再発見し、出会ったモノを繋ぎ合わせながら、滋賀県の
“これから”を伝えていきます。

服部滋樹graf

第2回大津市都市計画マスタープラン案策定専門部会

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■本日の午前中、第2回大津市都市計画マスタープラン案策定専門部会が市役所で開催されました。人口減少社会、超高齢社会、インフラの劣化、深刻な財源不足。様々な厳しい条件の中で、この大津に暮らすことの「希望」をデザインしていく仕事かなと思っています。それも「コ・デザイン」により、多くの人びとと共に、「希望」を少しずつ紡ぎ出していく仕事でもあるように思います。それが、私のスタンスです。

■私が初めて都市計画マスタープラン=都市マスに関わったのは、岩手県立大学総合政策学部に勤務しているときですから、もう14年程前のことになります。たしか、「盛岡市・都市計画マスタープラン策定懇話会委員」だったかな…。盛岡市の都市マスは、2001年に策定されました。大津市の現在の都市マスに、私は関ってはいません。大津市の都市マスは2007年に策定されているようです。

大津市都市計画マスタープラン

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