プラスチック汚染
▪️昨日のNHKクローズアップ現代は、「プラスチック粒子が体内に?」でした。何年前でしたか、琵琶湖の中にあるプラスチックが問題視されたとき、騒ぎすぎだという意見を聞きました。口から入っても排泄されるのだから…、そういうご意見だったように思います。しかし、目に見えないほどのマイクロプラスチック/ナノプラスチックが体内に入って、血管の内壁にコレステロールや中性脂肪などの脂質が蓄積してできたプラークの中にもあることがわかってきたというのです。このような内容です。
河川や海洋で劣化するなどして粒子状となったプラスチック。いま人体に取り込むことによる健康リスクが世界の研究者から指摘されている。イタリアの研究者は去年3月、プラスチックを体内に取り込んだ動脈硬化症の患者の死亡率が4.5倍にも高まっていた可能性を報告。さらに去年初めて日本国内でも人の血液中からプラスチック粒子が発見された。便利さの一方で様々なリスクを突きつけるプラスチックとどう向き合うのか考える。
▪️これって、自覚できませんよね。かりにそうだとして、それを証明することも難しいわけです。プラスチックは、生活の隅々までに入り込んでいます。ペットボトルからも、ティーバックからも。最近は、このような報道を見ました。CNNの記事「ペットボトル飲料水のプラスチック片、1リットルに平均24万個も 米研究」です。科学的に誰しもが納得できる以前から、警戒をしておくことは必要だと思いますが、この記事の中でもペットボトルの飲料水を扱う業界団体IBWAは、「現時点では標準的な研究方法も、健康への影響についての科学的合意もない」、「プラスチック混入の報道はいたずらに消費者の恐怖をあおるばかり」と主張しています。昔から、「グレーゾーン」の環境問題、特に消費者の身体に影響を与える消費者問題に関しては、このような主張の対立が生まれてきました。
▪️NHKの動画「[地球のミライ] 小さく砕けたプラスチックの脅威 | NHKスペシャル「2030 未来への分岐点」プラスチック汚染の脅威 大量消費社会の限界 | SDGs | NHK」を視聴しました。5分ほどの動画です。細菌に近いサイズまで細かくなったナノプラスチックが、妊婦さんの胎盤の組織の中にあることで、胎児に悪影響を与える可能性があるとの研究が紹介されていました。以下は、動画の内容です。
深海から北極まで至る所に広がるプラスチック。中でも波や紫外線の影響で5ミリメートル以下に砕けた小さなマイクロプラスチックは、生態系への影響が懸念されている。
すでに魚介類に悪影響が出る恐れのある濃度に達している可能性のある海域も。海だけではなく、大気中にも拡散、人間も吸い込んでいるとみられる。
プラスチックの中には、「添加剤」と呼ばれる化学物質が含まれているが、マイクロプラスチックが「運び屋」になって食物連鎖に取り込まれると生物を中から攻撃する可能性がある。さらには、プラスチックが排せつされず、人体に吸収されてしまうリスクも浮かび上がっている。1マイクロメートルを切るようなナノプラスチックは、細菌並のサイズになると、小腸などを通じて血液の中に入ると考えられている。研究者が行った胎盤への影響を調べる実験でも人体への悪影響が出る可能性が心配されている。
自然界で分解されるまで長い歳月がかかり、世代を越えて人と環境に影響を与えるプラスチック。使い捨て大量消費社会からの脱却が求められている。
▪️使い捨て大量消費社会からの脱却。プラスチックを使わないような暮らしとは、どういうふうにすれば可能なのでしょうか。冒頭で紹介したNHK「クローズアップ現代」では、個人としてできることに加えて、プラスチックを大量生産・大量消費する社会自体をどう変えていくのかが大切だとの指摘が行われていました。この記事「任せっぱなしでは解決できないプラスチック問題。容器包装を扱う企業の約束に、私たちはどう向き合うべきか」は、そのことと関連したものです。環境保護団体のWWFジャパンが、2022年2月、プラスチックの削減とともにサーキュラー・エコノミー(循環型経済)が実現することを目標にした「プラスチック・サーキュラー・チャレンジ2025」を発足させ、その呼びかけに対して複数の容器包装を扱う企業が参画しました。記事をお読みいただければと思います。
【関連情報】▪️滋賀県庁が公表している「プラスチックごみの課題」です。ここでは、5つの課題が整理されていますが、最後の「マイクロプラスチックに吸着する化学物質による生態系・人体への影響懸念」の部分が、この投稿と直接関連しています。マイクロプラスチックですが、洗顔料や歯磨き粉にスクラブ剤として使われてきたプラスチックの粒子や合成繊維の衣料の洗濯、人工芝の摩耗によっても発生します。なにげなく使用している消耗品や衣服からマイクロプラスチックが生まれているのです。これは環境省の資料です。マイクロプラスチックの流出源のひとつは、服から落ちた繊維くずです。化繊の繊維クズは下水処理場でも取り除くことができません。 そこで、より細かい網目(0.05㎜)の洗濯ネットに入れることで、繊維クズが出にくくなるようです。また、洗濯機のフィルターのこまめな掃除が大切との指摘も行われていました。