「びわ100ファイナル」の記録

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▪️「びわ100」ファイナルからだいぶ時間が経過しましたが、記憶が曖昧になる前に、記憶していることをこのプログに残しておきます。とても長くなりますが、どうかご容赦ください。

▪️10月19日(土)・20日(日)の両日で、「第10回 びわ湖チャリティー100km歩行大会」=「びわ100 ファイナル」が開催されました。私は、第3回・4回・5回・6回・9回と過去5回出場し、ありがたいことに、なんとか全ての回で完歩することができました。とはいえ、毎回、本当に自信がなく、完歩できるのかどうか心配していました。今回はファイナルということで、悔いの無いものにしたいと、これまでの中で一番練習をしてきたように思います。とはいえ、普段からウォーキングにきちんと取り組んでいるのかといえば…けしてそのようなことはありません。7月に入り、そろそろ練習をしなくてはと思っていましたが、ものすごい酷暑のために、ウォーキングに取り組むことを躊躇していました。また、7月の下旬はコロナウイルスに感染してしまい、体調が回復した8月に入ってから真面目に練習のウォーキングで距離を積み重ねてきました。

▪️真面目にと書きましたが、全国のあちこちで開催されるウルトラウォーキングに参加されているようなベテランの皆さんと比較すれば、たいしたことはないのです。5kmあたりから始めて、10km、20km、30kmと歩く距離を少しずつ伸ばし、最後は、44km、そして最終的には55kmまで練習で歩きました。過去5回完歩して、練習時に50kmを超える距離が歩けたら、本番でもなんとか100kmを完歩できるという根拠のない思い込みのようなものがあるのです。30kmまでは1人で練習しましたが、44kmでは滋賀県庁の20名ほどの職員の皆さんと一緒に歩きました。そこには、親しくさせていただいている龍谷大学吹奏楽部OBの上道郁夫さんも一緒に参加されました。そして、その上道さんとは55kmの練習も2人で一緒に取り組みました。その55kmの長い道中では、足に塗る靴擦れ防止のクリームのことやシューズの情報を教えていただきました。そして本番も上道さんと一緒に歩くことになりました。これはとてもありがたいことでした。

▪️当日のことについて書きます。前日は、あまりしっかり睡眠を取ることができませんでした。4~5時間ほどです。緊張しているから、興奮しているからでしょうか。これは良くないですね。徹夜で歩かねばならないのに、睡眠時間が短いというのは問題です。でも、仕方がありません。大津市内の自宅からスタート地点の長浜市まで、JRで向かいました。まずエントリーをして、スタートの準備を始めました。スタートは、3グループに分かれてのスタートになりました。私は、一番最初にスタートするグループでした。スタートするまでに、上道さんとも合流しました。上道さんは、2番目のグループです。スタートは3分程私よりも遅くなります。でも、そのうちに追いついていただく約束をしました。スタート地点では、facebookを通して知り合った香東秀孝さんとも、今回実際にお会いしてご挨拶をすることができました。香東さんは、毎朝、10kmを歩かれるプラチナの脚の持ち主です。東京からお越しくださいました。もう1人、娘が勤務している企業の上司の方ともお会いすることができました。

▪️そうやってスタートを待っていると、雨が降り出してきました。これはまずいです。天気予報で雨が降ることはわかっていましたが、スタート時点からとは思ってもいませんでした。過去の大会で2回雨で辛い思いをしました。第4回と第9回です。足の裏が真っ白になり、ふやけて肉刺ができて、それが潰れて、その後は歩くたびに痛みを感じることになりました。その時の辛さが強く記憶に残っているので、今回は、上道さんの情報をもとに、万全の対策をして臨みました。GORE-TEXのシューズ、GORE-TEXのソックス、そしてGORE-TEXのレインウェア。足裏には少々高価なクリームも塗りました。結局、雨に悩まされることはなく、ソックスも履き替えることなく、ゴールすることができました。これらのことは、「びわ100ファイナル 準備編」として投稿しましたので、そちらをご覧ください。

▪️さて、スタート後のことを書きます。これまでは、多くの参加者の皆さんと団子になって歩くのが嫌で、けっこう飛ばし気味に歩いていたように思いますが、今回の目標は、最後までイーブンのペースで歩くということでした。ですから、追い抜かれても気にせず、ただひたすらペースを守る努力をしました。前に人がいると、ついつい追い抜きたいという気持ちになってしまうのですが、そうなるとペースが乱れてしまいます。その時は追い抜く余力があったとしても、後半戦ではそのことの積み重ねがマイナスに作用するからです。

▪️上道さんとは、彦根市内で合流できました。上道さんは、GARMIN社のスポーツウォッチをされています。私も息子から以前プレゼントされた同社のスポーツウォッチを腕につけていたのですが、事前の設定が不十分で、自分のスピードを「1kmあたり何分何十秒」という形式で表示できるようにはしていなかったのです。ということで、上道さんが前を歩かれる時は、スポーツウォッチでスピードを確認しながら歩いている上道さんに合わせて歩き、私が前の時は、上道さんから時々スピードを教えてもらっていました。そうやってペースをおよそ一定にキープできるように努力しました。「びわ100」ではIBUKIというGPSをリュックに装着して歩きます。スマホでも私たちがどのあたりを歩いているのかわかるのです。少し調子に乗りすぎでペースが早いと、上道さんのスマホに奥様から「早すぎる」と注意のメッセージがLINEで届いたりしました。まあ、そのようなこともあったのですが、最初からだいたい同じようなスピードで歩くことができました。これは、大きかったと思います。



▪️もうひとつ、今回はウォーキングの途中での栄養の摂り方に注意を払いました。私は糖尿病の持病があり(最近は、「糖尿病」という病名に伴う偏見やスティグマを排除するために「ダイアベティス」と言い換えるようになっているそうですが)、血糖を尿とともに排出する薬を飲み、食事にもかなり気を使っています。糖質をできるだけ摂取しないようにしているのです。問題は、普段の生活では血糖値を下げるように努力しているのですが、ウルトラウォーキング中は歩き続けるために、そのエネルギーとして血糖が必要になるのです。今回は、この問題を可視化するために、スポーツ栄養学の専門家のアドバイスをもとに、「FreeStyle LibreLink」という血糖値を測定するセンサーを左の二の腕に貼り付けて歩きました。過去に「びわ100」を完歩していても、途中で悪寒が生じてしまったり、歩くスピードが極端に遅くなることがありました。それは、低血糖によるものと思われます。

▪️今回の私の目標は、できるだけ血糖値を上げず、しかも低血糖にならないように歩くということでした。スポーツ栄養学の専門家からは、最後まで食べ続けるようにアドバイスをいただいていました。センサーの数値を見ながら、アンパン、アップルデニッシュ、おにぎり等をこまめに食べながら歩きました。「できるだけ血糖値を上げず、しかも低血糖にならないように」と矛盾するようなことを書きましたが、そのように上手い具合にはいきませんでした。エイドステーションでは、味噌汁とご飯が出ました。ご飯を食べると、血糖値がぐーんと上がりました。その数値を見て焦りました。普段は白米は食べないようにしているので、数値を見て驚いたのです。歩くと血糖値は下がります。食べると血糖値は上がります。血糖値が乱高下しました。ただ、今回は低血糖にならずに最後まで歩き続けることはできました。途中で、疲れて座り込んでおられる方達を拝見しました。ひょっとすると、栄養補給がうまくできていないのかもしれません。

▪️第1チェックポイント(近江八幡市)には、6時間40分で到着しました。時刻でいうと16時40分頃、夕方ですね。天気予報では、雨が止んでくるはずだったのですが、ところがどっこい、この第1チェックポイントで強風を伴う強い雨が降り出したのでした。参加者の皆さんはテントの下に避難されていましたが、それでも雨から逃れられません。私と上道さんは、この第1チェックポイントでゆっくり休むことをせず、土砂降りの雨の中をスタートしました。同じ頃に第1チェックポイントに到着された方の中には、半袖のTシャツに短パン、その上から簡易なレインコートを着用、そのようなスタイルの方がおられました。その後、どうされたのかわかりませんが、あの雨の中では歩くことは大変だったと思います。

▪️上道さんと私は、GORE-TEXの上下を着ていましたので、その辺りの心配はありませんでした。むしろ、短い休憩だけで、雨の中をスタートしたのです。

第2チェックポイントに向かう途中、これは嵐かなと思う瞬間もありました。途中、エイドステーションで前述のご飯と味噌汁をいただき、ここでもあまり休まずに、歩きました。ゆっくり休んでしまうと、脚の筋肉が固まってしまい、再スタートしてエンジンがかかるのに時間がかかってしまうからです。そうならないように、短い休憩でスタートしました。今回、上道さんと一緒に歩きました。もし、1人で歩いていたらどうなっていたでしょうか。おそらく、疲労のため、脚の痛みのため、休憩時間が長引いてしまったと思います。お尻から根が伸びてしっかり椅子に絡まっていくのです。そうなると、脚はますます固まっていきます。これは、まずいわけです。

▪️でも2人でバディを組んで歩いていると、お互いへの配慮が働き、「そろそろ行きますか」とどちらからともなく声を掛け合うのです。これは大きな気づきになりました。健脚、剛脚の方達は、関係のない話になりますが、普通の脚力の人たちは、同じような力の方とバディを組まれることをお勧めします。上道さんと私は、事前に、44kmと55kmを一緒に歩いていたので、ほぼ同じような力量で歩かれることがわかっていました。だからこそ、バディを組むことができたのです。

▪️嵐かなと思う瞬間もあったわけですが、途中からはその風が追い風になりました。野洲川にかかっている橋を渡るときは、両手をひげると後ろから風が押してくれる感じがしました。それほど風が強かったのです。第2チェックポイントには、21時39分頃に到着しました。ここでは、足の裏の状態をチェックしました。上道さんのシューズやソックスはGORE-TEXではなかったので、水たまりに片足をつけてしまい、足裏が白くふやけておられました。私が持っていた大判のバンドエイドを差し上げてそれで応急の対応をしていただきました。そのケアのためにしっかり休憩しましたが、休憩時間をできるだけ短くしてスタートしました。

▪️第2チェックポイントのあたりまで来ると、「脚が棒のようになっている」感じがします。でも、ここまでくると、55.6km歩いたことになります。「びわ100」は102.1kmですから、残りは46.5kmになります。でも、そういうふうには考えないようにしています。あえて、頭の中では「次の第3チェックポイントまで、たった15.2kmだ」と考えるようにしています。第3チェックポイント以降のことは、考えないようにしています。「びわ100」は今回がファイナルなので、もうこのような情報は役に立たないと思いますが、第2チェックポイントから第3チェックポイントまでは、歩道が整備されていて、とても歩きやすい道なんです。

▪️話はずれますが、歩きやすいということで言えば、すべての歩道ではありませんが、ずいぶん改善されていることを実感しました。これは、私の推測でしかありませんが、「びわ1」のために道が整備されているのではないかと思っています。「びわ1」は自転車で琵琶湖を1周するアクティビティですが、とても人気があります。滋賀県も力を入れています。滋賀県の関係人口を増やそうというわけです。結果としてですが、「びわ1」のおこぼれを「びわ100」もいただいているのではないかと思います。あくまで、私の推測でしかありませんが。

▪️第3チェックポイントまで来ると、「脚が棒のようになっている」のを通り越して「脚は完全に棒」になります。しんどいです。残りは、31.3kmです。でも、そのようには考えません。繰り返しになりますが、第4チェックポイントまで「たった12.2kmだ」と考えるようにしています。特に、第4チェックポイントまでは、瀬田川沿いを歩かないといけません。「びわ100」のコースの中では、個人的な印象ですが、歩きにくいのです。暗くて、しかも眠いのです。川に落ちないように気をつけて歩かねばなりません。今回は睡眠不足でした。不安がありました。フラフラして瀬田川で溺れるなんてとんでもない話です。ということで、コンビニに立ち寄り、眠気覚ましのカフェイン飲料を買って飲みました。「強眠眠打破」です。

▪️個人的な事情ですが、私には、なんとしても第4チェックポイントまで歩かねばならない理由がありました。この第4チェックポイントをベースに、瀬田川沿いを「びわ100」のボランティアスタッフとして巡回していた方が、私がやってくることを待っていてくださったのです。龍谷大学職員の竹之内正臣さんです。竹之内さんとは、第4チェックポイントでお会いすることができました。でも、気が付いていませんでしたが、それ以前にすれ違っていたのです。昨年の第9回の「びわ100」では、第4チェックポイントの直前では相当ばてていました。竹之内さんによれば、その時の様子とは今回は全然違っていたようです。上道さんと一緒にしっかり歩いていたので、それがまさか私だとは気がつかなったようです。

▪️第4チェックポイント。ここで83kmです。昨年は、雨で足がふやけて肉刺ができたため、ここでボランティアの方に足のケアをしていただきました。本当に、ありがたかったです。でも、今回は違っていました。GORE-TEXのシューズ、ソックスのおかげて足裏には何も問題が発生していませんでした。短時間の休憩とエイドのサービスを受けた後、再び、上道さんとスタートしました。ここからは、ゴールまであと19.1kmです。1kmを散歩のようにゆっくり15分で歩いても、残り5時間あればゴールできます。

▪️第4チェックポイントを出発する頃には、すでに明るくなっていました。瀬田川を遡り、プリンスホテルのあたりを歩いていると、朝日が登ってきました。なんというか、感動的な雰囲気でした。一緒に歩いた上道さんは、朝日に向かって手を合わせて拝んでおられました。ご来光ですね。もし1人で歩いていると、頑張りが足らずに、足はなかなか前には進まなかったと思います。上道さんと一緒に歩いているからこそ、頑張ることができたのだと思います。この辺りで、さらに頑張る気持ちにもなりました。応援してくださる方たちが現れたからです。

▪️まず、私の指導をしてくださったスポーツ栄養学の専門家=石原健吾先生(龍谷大学農学部)が、自転車(競技用のバイク)に乗って、私たちのところに応援に来てくださったのです。とても嬉しかったです。IBUKIで確認すると、石原先生の予想よりも先に進んでいたので、慌てて自転車で追いついてくださいました。石原先生は、昨年もボランティアとして第4チェックポイントの近くでお世話になりました。石原先生によれば、その時の私の様子と、今年とではかなり違っていたようです。昨年は、ふらふらの状態だったのですね。

▪️その後、毎週にのように通っている大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」のご常連、中川俊典さんが、IBUKIをタブレットで確認しながら、私がどのあたりを歩いているのか探しておられました。目の前にいたのに。私の方からお声をかけさせていただきました。まさか、朝早く、わざわざ応援に来てくださるとは思ってもいませんでした。とても感動しました。

▪️石原先生や中川さんの応援を受けた後、いよいよ最後になります。残り12kmです。浜大津のあたりで、疲れ切って歩けなくなっている方もおられました。私はといえば、もう、脚が棒になる…を通り越して、大変なことになっていました。ちょっとかがむと倒れそうになります。でも、バディの上道さんが良いペースでリードしてくださいました。上道さんの足取りは、私とは違って最後までしっかりされていました。私は、脚を前に進めるだけで精一杯。上道さんにリードしていただきながら、坂本の街を抜けて雄琴温泉のゴールに向けて進んでいきました。

▪️スタートしてから22時間37分10秒。ゴールすることができました。20日の朝8時37分です。毎回のことですが、余裕を持ってのゴールではありません。やり遂げたという気持ちもありますが、それと同じだけ、「もう、これ以上、歩かなくて良いのだ」という安心した気持ちが湧いてくるからです。毎回のことですが、もう最後は大変でした。第2チェックポイントからはストックを使っていましたが、最後は杖のような感じでした。上道さんがリードとてくださったから、なんとかなりました。結果、自己記録が出ました。上道さんのお陰です。本当にありがとうございました。心より感謝いたします。

▪️ゴールの際には、運営スタッフの小林幹雄さんに出迎えていただきました。小林さんには、「びわ100」で毎回お世話になってきました。ありがとうございました。でも、今回が「ファイナル」なのですね。多くの皆さんは、ゴール後、雄琴温泉のどこかで疲れを癒してから帰宅されるのでしょうが、私は自宅がゴールの近くということもあり、家族に車で迎えにきてもらい、そのまま帰宅しました。家族から見ても、昨年とは違い、足取りがしっかりしているとのことでした。昨年は、玄関前にある階段を登るのも大変だったようで。今回は、脚が棒を通り越してもっと大変な状況になっていましたが、それでも体力を維持したままゴールできたようです。バディを組んでくださった上道さんをはじめとして、多くの皆様に支えていただいたおかげです。

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