気候変動関連死

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▪️先日のNHKの「クローズアップ現代」という番組で、「気候変動関連死」という言葉を知りました。過去最高の暑さの中で、熱中症で亡くなる方のことがニュースになりますが、この「気候変動関連死」はそれだけではないのです。番組では、「WHO=世界保健機構は、『熱中症など暑さによる死、マラリア、デング熱、下痢、栄養失調』の5つの原因により、2030年から2050年で世界で毎年25万人が気候変動関連死すると推計」しているようです。また、IPCC=気候変動に関する政府間パネルが2022年に出した報告書では、「気候変動関連死に繋がるような健康へのリスクのあるものとして、『暑さによる死・循環器疾患・呼吸器疾患・糖尿病・マラリア・デング熱・メンタルヘルス・下痢・栄養失調』などを、多岐に渡る影響が指摘されている」というのです。鬱病等のメンタルヘルスにまで暑さが影響を及ぼすとは考えてもみませんでした。暑さで自殺率が高まるのだそうです。

▪️気候変動による大規模な災害、たとえば巨大な台風により想定以上の大水害が発生すると、食糧生産にダメージを与えてしまいます。その被害の規模が大きければ、特に食料供給が十分でない国では栄養失調に陥る人たちが増えることになります。しかし、これは途上国だけの話ではありません。食糧安全保障が脆弱な日本でも、供給が不足し加えて物価も上昇すれば、経済的に弱い立場の人たちは栄養失調になるリスクが高まります。水害の後には下痢の患者が多発するようです。このことについて、番組では詳しく説明していませんでしたが、このような記事でそのことを確認できました。「大雨災害後に注意すべき感染症」というウェザーニュースの記事です。この記事では、注意すべき感染症として「レジオネラ症」、「レプトスピラ症」、「破傷風」、「急性呼吸器感染症」、「急性胃腸炎・急性下痢」の5つを挙げています。

▪️番組では、将来の話ではなく、高齢できちんと栄養が取れていないことによって、暑さの中、循環器に異常が発生し突然死してしまった例が紹介されていました。暑さの中で高齢者の方が食欲をなくすと、栄養不足になり、低アルブミン血症を発症し、それが原因で心不全を起こしてしまうようです(低アルブミン血症について知識がないので説明できませんが…)。糖尿病の人は血糖管理がきちんとできていないと体調不良に陥りやすいようです。医学的な理屈は分かりませんが、こういう記事がありました。暑さが、身体の中に隠れていた病気のリスクを潜在化させるようですね。

▪️デング熱は、感染した蚊に刺されることで人に感染するウイルス性感染症です。 ネッタイシマカやヒトスジシマカAedes albopictus が媒介するようです。フィリピンに出張した時は、デング熱のこともあり、長袖のシャツを着ていました。日本も熱帯地域のような気候になれば、デング熱だけでなく、マラリアなどにも注意しなくてはいけなくなります。「日本でもマラリアやデング熱は流行するのか 気候変動と感染症の関係を知ろう」という記事を読んでみました。

▪️番組では、以下のように説明していました。

実は熱中症による死は、暑さが影響した死のごく一部であることが分かってきました。去年12月に発表された日本の研究では、2015年から5年間の気温と死亡者数の関係を解析。すると暑さの影響による死が、熱中症死亡者数のおよそ7倍にのぼっていたのです。

▪️番組と連動しているこちらの「クローズアップ現代 取材ノート」には、「気候変動による”命のリスク“は? あなたの地域のリスクは?」という項目がありました。そこでは、①現状のペースで気候変動対策を行った場合(21世紀末に気温は2.74度上昇※)と、②対策のペースを速めパリ協定の目標達成を目指す(21世紀末に気温は1.95度上昇※)、③何も気候変動対策をしない場合(21世紀末に気温は4.77度上昇※)、これらの気候変動の将来予測の3つのパターン沿った「暑さで亡くなる人の増加率」を地図上に示してあります。①②③には、それぞれ「21世紀半ば」と「21世紀末」の予測が示されています。「21世紀半ば」とは、仮に私が長生きしたとしても死ぬ時期になります。「21世紀末」は孫たちが高齢者になる時期です。

▪️もし、①の場合だと、「21世紀半ばの2031年~2050年には、日本各地の多くで、暑さの影響で亡くなる人が現在の2~3倍になります。特に、鹿児島県では6倍となっています。2081年~2100年と21世紀末になると、中国・四国地方を中心に増加し、5~6倍、鹿児島県では、10倍以上に」になると予測しています。しかし、「2015年の気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定の目標」、すなわち2度に抑えることができると、今以上に気候変動対策のペースを早めるると、「①のパターンよりも全国的に死亡者の増加率は下がり、21世紀末でも全国的に2~3倍に抑えられ」ると予測ています。しかし、③の場合だと、すなわち気候変動対策をすることをやめると、「21世紀半ばでも全国的に他のパターンよりも死亡者の増加率は高くなり、21世紀末には、全国的に少なくとも5~6倍、中国・四国地方では、9~10倍になり、鹿児島県では20倍以上になると予測」されています

▪️気候変動に対応した社会システムを構築していくことと、気候変動を可能な限り抑える社会的な努力等を、同時に進める必要があります。番組では、そのめ進め方に関しても情報提供が行われていましたが、そのことについては、別途投稿したいと思います。

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