通崎睦美コンサート「今、甦る!木琴デイズ」 20回記念
▪️若い頃、学生オーケストラでバイオリンを弾いていたこともあり、弦楽器やオーケストラのコンサートにたまに出かけるのですが、今回は、木琴のコンサートです。龍谷大学吹奏楽部をご指導いただいている先生のご紹介で、こちらのコンサートに伺うことにしました。「古今東西木琴傑作集」というタイルが付けられています。楽しみです。
【追記1】▪️京都文化博物館別館ホールで開催されたコンサートを楽しんできました。以下の曲が演奏されました。マリンバの演奏は聞いたことはありますが、木琴=シロフォンの演奏は聞いたことがありませんでした。マリンバとは異なり硬質な音がするわけですが、新鮮な気持ちで楽しむことができました。様々なジャンルの曲が演奏されましたが、木琴という楽器は、とても幅広い表現力を持っていることに気がつきました。もちろん、通崎さんが木琴からそれらの音を引き出しておられるのですから、通崎さんの演奏技術や音楽性が素晴らしいことは言うまでもありません。
木琴:通崎睦美
フルート:森本英希
ピアノ:松園洋二<木琴+ピアノ>
チャールダシュ(V.モンティ)
金春マーチ(奥山貞吉/松園洋二編)
アリオーソ(J.S.バッハ)
愛の悲しみ(F.クライスラー)
平城山(平井康三郎)
木琴協奏曲(紙恭輔/西邑由記子・松園洋二 ピアノ・パート編)<フルート/ピッコロ+木琴>
ソートゥーズ(J.C.ノード)
音楽時計のための小品(ハイドン)
フルート・ソナタ ロ短調 367bより(ヘンデル)<木琴独奏>
木霊 〜Kodama for xylophone solo(鷹羽弘晃)<フルート独奏>
シリンクス(C.ドビュッシー)<木琴+ピアノ>
ラ・クンパルシータ(G.M.ロドリゲス/野田雅巳編)
煙が目に染みる(J.D.カーン/松園洋二編)
月光値千金(L.シェイ/松園洋二編)
夜来香幻想曲(服部良一/松園洋二編)
ルーマニア狂詩曲 第1番(G.エネスク/平岡養一版、松園洋二編)ディーガン・アーティスト・スペシャル・ザイロフォン No.266
(1935年アメリカ製。1962年4oct.のNo.264に7つの鍵盤を加えNo.266型に改造)
ディーガン・スーパー・ライト・ウエイト・ザイロフォン No.834
(1920年代、アメリカ製)
【追記2】▪️龍谷大学吹奏楽部をご指導いただいている早坂雅子先生からも教えていただきましたが、早坂先生がお若い頃、通崎さんをご指導されたことがあるそうです。「最初に教えた一番弟子ですが、一番活躍している出世頭」なのだそうです。通崎さんは、もともとマリンバ奏者だったようですが、今では木琴にシフトされているようですね。wikipediaにはこのような説明があります。
デビュー以来、セルフプロデュースのもとマリンバ演奏のコンサートを続けてきたが、2005年2月、東京フィルハーモニー交響楽団定期演奏会(井上道義指揮)にて、1944年に木琴奏者の平岡養一が初演した「木琴協奏曲」(紙恭輔作曲)を平岡本人の木琴で演奏。それがきっかけで、その木琴と500曲以上もの楽譜やマレットを遺族から譲り受けることとなり、以降、木琴奏者としても活動を本格化させている。
▪️通崎さんは、戦前・戦後にかけて日本とアメリカで活躍した木琴演奏の巨匠、平岡養一さんの評伝も書いておられます。『木琴デイズ 平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』です。第36回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)を受賞された作品です。Amazoにこの評伝の紹介が行われています。
1907年(明治40年)生まれの平岡養一は独学で木琴を学び、慶應義塾大学卒業後わずか22歳で「木琴王国」のアメリカへ渡る。NBCの専属となり、まだテレビのない時代、毎朝15分のラジオレギュラー番組をもつようになる。やがて、「全米の少年少女はヒラオカの木琴で目を覚ます」と言われるほどの人気を得て、日米開戦の朝まで10年9ヵ月もの間、放送を続けた。ラガーディア・ニューヨーク市長、ニューヨーク・フィルの友人たちに引き留められるが、日米交換船で帰国。戦中は、音楽挺身隊の一員として日本全国をめぐり、多くの人の心を慰めた。戦後も『紅白音楽試合』(NHK『紅白歌合戦』の前身)に出場するなど、クラッシックだけでなく、ポップスなど幅広いレパートリーを演奏した。そして、その踊るような独特なスタイルで日本人の心を捉え、国民的音楽家となっていく。
マリンバ奏者の著者は、「この木琴でしか弾けない」という曲の演奏依頼を受け、一世を風靡した木琴奏者・平岡養一の愛器と出会う。1935年製木琴の音色に魅せられた著者は、演奏会を縁に遺族と交流を始め、その木琴とバチ一式を譲り受けた。10歳の時、平岡と共演した経験をもつことから、平岡という人物に興味を抱くようになり、戦前に録音されたSP盤を含む音源や資料を集め、平岡養一の人生を描いていくこと考える。そのなかで、一時は日本の老若男女の心に響いた木琴が、自らが演奏するマリンバの「日本上陸」により、その時代を終焉させられたことも知る。
音楽家ならではの視線から書く、日米両国で大活躍した痛快な「音楽家の物語」。
▪️下線は私が引いたものです。マリンバの普及によりその時代を終焉させられた…。とっても気になりますね。ちなみに、通崎さんは10歳の時に平岡養一さんと共演をされているそうです。そういう平岡さんとご縁もお持ちなのですね。この平岡養一さんの評伝を読んでみようと思います。通崎さんは、音楽家なのですが、文筆家であり、アンティーク着物の収集家としても知られている方のようです。昨日のコンサートには、長年のファンの皆様が多数お越しになっているような気がしました。
▪️以下の動画をご覧いただくと、通崎睦美さんと平岡養一さんとの関係がよく理解できます。