小佐治(甲賀市甲賀町)でお話を伺いました。

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▪️今日は、午前中、ゼミ生のTくんと一緒に、甲賀市甲賀町小佐治に聞き取り調査に出かけました。Tくんは小佐治から車で10数分のところに暮らしているのですが、私は自宅からだと車で名神と新名神を走って1時間ほど走ることになりました。普段、車にあまり乗らない私からすると、ちょっとしたドライブのような感じでした。

▪️小佐治がどこにあるのかを確認していただくために、Googleの画像を貼り付けてみました。上段左の画像の白い四角の線で囲ったあたりが、小佐治です。上段右の画像は、その白い線で囲ったあたりを拡大したものです。

▪️この画像からもわかるように小佐治は、野洲川とJR草津線の間にある丘陵地の中にあります。丘陵地に降った雨水が大地を削ったことにより生まれたたくさんの谷筋が確認できると思います。この谷に順番に水田が並んでいます(関東や東北地方では、谷津田と呼ばれています)。それから、もうひとつ。小佐治のあたりには、今から約230万年前、古い時代の琵琶湖がありました。古琵琶湖といいます。小佐治は、古琵琶湖の底に溜まった大変きめの細かな粘土が隆起してできた丘陵地なのです。ですから、貝の化石などが見つかります。

▪️大変きめの細かな粘土のことを重粘土といいますが、この小佐治のあたりではズリンコと呼んでいます。重粘土の水田での農作業は非常に大変になります。水捌けが悪いからです。この地域は、稲刈りをするときも、水田に水が残っているので小さな船に刈り取った稲を乗せて運んでいました。小佐治は、丘陵地にある条件不利地域ということになります。しかし、小佐治では、そのような通常であれば不利な条件を逆手にとって特産品を生産してきました。餅米です。

▪️ズリンコにはたくさんのマグネシウムが含まれており、食味をよくするのだそうです。しかも、栽培しているのは、滋賀羽二重糯(しがはぶたえもち)。戦前の昭和14年に滋賀県で開発された品種で、最高級ブランド糯米といわれています。そのような糯米で作った糯が、美味しくないわけがありません。ただし、その栽培には苦労が伴いなす。背丈が高いので台風などで倒れやすいのです。穂もこぼれやすく、収穫量も他の品種に比べて少ないようです。苦労が多い割には、それに見合うだけの収益がない…。ということで、一般には栽培が敬遠されがちなようですが、小佐治の皆さんは、頑張って糯米による6次産業に取り組み、集落内に「甲賀もちふる里館」を設立し、コミュニティビジネスを展開されてきたのです。

▪️私は、以前、京都にある総合地球環境学研究所の「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会-生態システムの健全性」というプロジェクトに参加していました。私たちのプロジェクでは、この小佐治の皆さんと一緒にアクションリサーチのような取り組み行ったのですが、その時、大変お世話になりました。プロジェクトの成果をまとめた『流域ガバナンス - 地域の「しあわせ」と流域の「健全性」』(京都大学学術出版会)の第2章の中で、小佐治のことを報告しているのですが、今日は、そのプロジェクトとは別の問題関心から訪問させていただき、お話を伺いました。

▪️今日は、「甲賀もちふる里館」を設立してコミュニティビジネスを展開されてきた、これまでのプロセスを丁寧にお聞きしました。Tくんの卒業論文とも関係しています。とても勉強になりました。Tくんと共に(あるいは個人でも)、少しずつお話を伺い続けようと思います。写真は、今日お話くださった皆さんです。上段左の写真、前列は小佐治環境保全部会代表の橋下勉さんとゼミ生のTくん。後列右は甲賀もち工房代表の河合春信さん。右は環境保全部会広報の増山義博さん。お世話になりました。ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします

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