ゲノムが明かす日本人ルーツ


■日経新聞のネットニュースに、「渡来人、四国に多かった? ゲノムが明かす日本人ルーツ 日経サイエンス」という興味深い記事が掲載されていることに気が付きました。昨年の記事です。私自身の専門分野とは何の関係もないテーマなのですが、どういうわけか、人類進化とか日本人のルーツ等に強い関心があります。ということで、このゲノムによる分析も気になったのです。詳しいことについては、『日経サイエンス2021年8月号』の特集「ヤポネシア」を読めば良いのかもしれません。以下は、ネット記事からの引用です。

道府県あたり50人のデータを解析したところ、沖縄県で縄文人由来のゲノム成分比率が非常に高く、逆に渡来人由来のゲノム成分が最も高かったのは滋賀県だった。沖縄県の次に縄文人由来のゲノム成分が高かったのは九州や東北だ。一方、渡来人由来のゲノム成分が高かったのは近畿と北陸、四国だった。特に四国は島全体で渡来人由来の比率が高い。なお、北海道は今回のデータにアイヌの人々が含まれておらず、関東の各県と近い比率だった。

近年の遺伝学や考古学の成果から、縄文人の子孫と渡来人の混血は数百~1000年ほどかけてゆっくりと進んだとみられている。弥生時代を通じて縄文人と渡来人が長い期間共存していたことが愛知県の遺跡の調査などで判明している。どのような過程で混血が進んだのかはまだ不明で、弥生時代の謎は深まる一方だ。今回の解析で見えた現代の日本列島に残る都道府県ごとの違いは、弥生時代の混血の過程で起こったまだ誰も知らない出来事を反映している可能性がある。

■「私たち日本人は、縄文人の子孫が大陸から来た渡来人と混血することで生まれた」。この記事はこの文章から始まります。渡来人はわかるのですが、この「縄文人の子孫」とはどのような人たちのことをいうのでしょうか。時間があれば、もうは少し詳しく勉強してみたいです。また、「渡来人由来のゲノム成分が最も高かったのは滋賀県だった」という点、これはすごく納得できるような気がします。渡来人にルーツを持つと言われる複数の豪族がいたからです。滋賀県の湖西、大津市の北部には小野というJR駅があります。この小野という場所は、遣隋使の小野妹子の出身地です。小野氏は渡来系の人たちです。小野の近くには、和邇(わに)、蓬莱という地名がありますが、それも渡来人が名付けた地名だと聞いたことがあります。その他にも、近江地方は、多くの渡来人が住み着いた場所だと言われています。そのようなわけですごく納得できたのです。

■ただし、気になることもあります。高度経済成長期以降、多くの人々の移動が大きくなると東京圏や大阪圏といった都市部に全国から多くの人びとが就労の機会を求めて集まるようになります。高度経済成長期は「民族移動」と言われるほどの人の移動がありました。こういった移動があると、ゲノム成分による分析はどうなるのでしょうね。ゲノムのサンプル等はご本人の許可をえているようですが、上の世代の方達はどの地域から移動してきたのか…ということも確認されているのでしょうか。素朴な素人考えなのですが、少しその辺りが気になります。

■文部科学省の新学術領域研究で「ヤポネシアゲノム」と名付けられたプロジェクトが進んでいるようです。まだ読んでいないのでよくわかりませんが、そのあたりのことは、前述した『日経サイエンス』で説明されているのかもしれません。取り寄せて読んでみたいと思います。この「ヤポネシアゲノム」についてですが、福井新聞の記事で紹介されています。「日本人の起源DNAで探る 縄文人はどこから来た?独自に進化した集団か 文部科学省の最新研究プロジェクト」という記事です。記事の中にプロジェクトの説明があります。記事の中にある「三段階渡来説」、とても興味深いです。お読みいただければと思います。

ヤポネシア人(日本列島人)の起源と成立を、現代人と古代人のゲノム配列の比較解析から解明する研究。ヒトに伴った動植物の歴史や日本語・琉球語についても解析する。文部科学省の新学術領域研究として、大学や博物館、研究機関に属する約50人が参加し、2018年度から5カ年計画で進められている。

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