2022年度「社会学入門演習」の現地実習

20220621eco-tourism1.jpg 20220621eco-tourism2.jpg
20220621eco-tourism3.jpg 20220621eco-tourism4.jpg
20220621eco-tourism5.jpg■19日(日)は学生を引率して、高島市マキノ町に現地実習。マキノ町でエコツーリズムに取り組まれている谷口良一さんに講義をしていただきました。学生の皆さんとは、あらかじめ谷口さんから講義で使用されるパワーポイントのPDFファイルを頂戴して、事前学習を行なっていました。また、グループワークで、谷口さんへの質問についても用意していました。そのようなこともあり、谷口さんからは、帰宅後「講義では皆さんたくさん質問をしていただき、エコツーリズムを通じた地域振興について色々考えてくれてくれていることをとても嬉しく思いました」とのメッセージをSNSを通していただきました。

■講義の後は森林セラピーを体験しました。メタセコイアの北端の辺りにある民宿からマキノ高原やキャンプ場を抜けて山道に入っていくと、「しんどい、早く帰りたい」という女子学生の小さなな呟きが聞こえてきたけれど、なんとかゴールの調子ケ滝に到着できました。滝に近づく際に水に足を突っ込んでしまった学生が何人かいましたが、最後まで頑張ることができました。谷口さんには、とてもお世話になりました。

■道中では、道端に生えている草花のことを学生たちは色々教えてもらいました。高級和菓子の爪楊枝のような香り…とか、醤油のような香り…とか、教えてくださいました。おじいさんの先生(私)は、その和名をもう忘れています。面白かったのは、谷口さんが「これ、醤油の香りがするでしょう」と学生に手渡すと、「ああ、これ黄金糖の匂いや」と興奮したことです。黄金糖というキャンディを今の学生も食べるんだ(私は未経験ですが)。なんでも、おばあちゃんにもらうんだそうです。また、キイチゴを「これ食べられるんだよ、美味しいよ」と教えてもらっても疑っていた?学生が、勇気を持って食べてみると「美味しい!!」と喜んだことも面白かったなあ。

■この日は、マキノ駅からマイクロバスでマキノ町の風景を眺めながら、そして麓から調子ヶ滝まで登って、谷口さんがガイドをされているエコツーリズムの「雰囲気」だけは体感してもらえたのではないかと思います。コロナ禍で日帰りしかできなかったけれど、本当は宿泊もして、エコツーリズムの本格的な経験ができたらよかったんですけどね。これも谷口さんから頂いたメッセージですが、「今回は叶いませんでしたが、カヤックや投網、ホタルの観察なども体験していただけるとありがたいです。また、私の体験民宿四季の森もご覧いただきたいです」とのことでした。秋には「キノコ刈り」ができるそうです。谷口さんは、どのキノコが食べられるのかキノコの同定もされるので、有志の学生や仲間と一緒に伺い、秋の森を散策しながらキノコ汁を楽しめたらいいなあと思っています。
体験民宿「四季の森」

■私もいろいろ勉強になりました。たとえば、…。マキノ高原は、以前はスキー場だったけど、さらに歴史を遡れば、地元の集落が肥料(緑肥)にするための草を刈る採草地でした。樹木を切り倒して、そういう場所を確保していたのです。昔は化学肥料がありませんからね。その場所が昭和の初期にスキー場になりました。なだらかな傾斜がちょうどスキー場にあっていたのです。開発したのは京阪。京阪電車とスキー船とバス、あるいは京阪電車と江若鉄道とバスを使って、大阪や京都からたくさんの若者がこのスキー場までやってきました。そのような歴史もあるからでしょう、マキノ町は、同じ高島市内の他の地域と比較して観光に対する姿勢がかなり前向きなようです。

■もうひとつ。マキノ町は、ものすごくたくさんの古墳があります。しかも、製鉄が盛んに行われていたらしく、製鉄から生まれるスラグ(金屎:かなくそ)がたくさん捨てられている場所があり、製鉄に必要な炭焼窯の後も訪ねました。驚くことに、私たちが知っている炭焼窯ではなく、岩をくり抜いて作った窯です。高さが1m、奥行きが9mの大きな窯です。先進的な技術を持っていた渡来人の皆さんが、この地域で製鉄を行ったのでしょうね。谷口さんに、駐車場のようなところに埋まっている石について、「昔はここに古墳があって、この石は石室の後です」と説明いただきました。調子ケ谷に向かいながら、古墳時代の歴史についても学ぶことになりました。エコツーリズムは、自然や風景だけでなく、地域の歴史・文化もその対象になります。さらには、農林水産業や生産物、さらには地域のことを語ることのできる人に至るまで。
20220621eco-tourism6.jpg

管理者用