『よんひゃくまんさいのびわこさん』

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■土屋 俊幸さんの本業は、森林と人や経済との関係についての研究(林政学がご専門で、林野庁の林政審議会会長)ですが、そのような本業とは別に、絵本に大変お詳しい方でもあります。その土屋さんに、『よんひゃくまんさいのびわこさん』という大人の絵本をご紹介いただき購入しました。衝動買い。梨木香歩・作、小沢さかえ・絵。私は、ずっと琵琶湖や滋賀と関わって研究をしてきたので、なにかじわーっと心にくるものがあります。

■琵琶湖は、現在の三重県の伊賀上野あたりに400万年前に誕生して、40万年前に現在の琵琶湖のある場所あたりまで移動してきました。40万年間閉じた湖になると、ここにしか生息しない固有種が生まれます。でも、ルーツを辿れば、海と繋がっている場所にいた生き物たちの末裔です。絵本では、ハマヒルガオとハマゴウが登場します。妖精のように描かれています。この植物は固有種ではなく、元々は海の砂浜で咲く植物です。なのに、どうして湖の砂浜で花を咲かすのだろう…不思議です。

■絵本の解説には、「若く、娘さんのような琵琶湖が、大地の記憶にある、ちゃぽんちゃぽんと遊んでいた頃の海に帰りたい一心で、ハマヒルガオたちを連れ、移動を続ける。そして、いつか疲れて移動する気力がなくなった頃、自分自身が皆の帰りたいと願う「海」になっている…」と書いてありました。なるほど。自分自身が海になっていた。読んだ後に、じわーっときますね(実際、滋賀県の人びとは、琵琶湖のことを海と言います)。琵琶湖に関する知識があると、余計にじわーっとくるかな。絵本を作られたお2人は、琵琶湖博物館に関わってお仕事をされたことがあるようです(ちなみに、私、昔、琵琶湖博物館の学芸員をしていました)。梨木さんは現在は関東圏にお住まいですが、以前は、琵琶湖の湖畔に仕事場を持っておられました。

■この絵本が出来上がる上で、琵琶湖博物館の学芸員の皆さんの研究が大切な役割を果たしています。そのお一人、里口保文さんが、琵琶湖について詳しく解説されています。みなさんも、どうぞお読みください。

■追記
絵本とは関係ありませんが、この書見台、なかなかええ感じです。

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