ユヴァル・ノア・ハラリ「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結を」
■『サピエンス全史』の著者である歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリさんが、TIME誌に「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結を」と題した記事を寄稿されました。日本語で訳され、河出書房新社のオウンドメディア「Web河出」に掲載されています。ぜひ、お読みいただければと思います。以下は、気になったことの抜き書き。
「ウイルスとの戦いでは、人類は境界を厳重に警備する必要がある。だが、それは国どうしの境界ではない。そうではなくて、人間の世界とウイルスの領域との境界を守る必要があるのだ。」
「健康と言えば国家の単位で考えるのが当たり前になっているが、イラン人や中国人により良い医療を提供すれば、イスラエル人やアメリカ人も感染症から守る役に立つ。(中略)不幸なことに、世界でもとりわけ重要な地位を占めている人のうちにさえ、それに思いが至らない者がいる。」
「今や外国人嫌悪と孤立主義と不信が、ほとんどの国際システムの特徴となっている。信頼とグローバルな団結抜きでは、新型コロナウイルスの大流行は止められないし、将来、この種の大流行に繰り返し見舞われる可能性が高い。」
「今回の危機の現段階では、決定的な戦いは人類そのものの中で起こる。もしこの感染症の大流行が人間の間の不和と不信を募らせるなら、それはこのウイルスにとって最大の勝利となるだろう。人間どうしが争えば、ウイルスは倍増する。」
「対照的に、もしこの大流行からより緊密な国際協力が生じれば、それは新型コロナウイルスに対する勝利だけではなく、将来現れるあらゆる病原体に対しての勝利ともなることだろう。」