「阪急少年音楽隊」のこと

◼︎今日は突然、脳味噌の古い記憶の中から、「阪急少年音楽隊」という言葉が浮び上ってきました。ずいぶん昔、私がまだ十代の頃ですから40数年前だと思いますが、当時、どこの放送局かは忘れたが、「阪急少年音楽隊」の演奏を聴かせる短い番組があったような気がします。また、私が通学していた大学は西宮にあり、阪急電鉄を使って通学していましたが、時々、阪急西宮北口のあたりで、「阪急少年音楽隊」の生徒さんらしき方たちをお見かけしました。

◼︎この「阪急少年音楽隊」についてはwikipediaですが、「阪急西宮スタジアム」の項目のなかで次のように解説されています。

かつて、阪急百貨店が経営していた企業内教育施設。1957年、将来の優秀な社員を育成する目的で設立された。入学者は全員、阪急少年音楽隊として吹奏楽活動を行い、学園を卒業後は阪急百貨店に就職することになっていた。

クリスマスの阪急グランドドームでのコンサート等の阪急百貨店の行事のほか、各種イベント、ラジオ、コンサートに出演し吹奏楽ファンのみならず、一般客からも人気を博した。

当初から長らく男子校だったが、1997年度から女子のみの入学となり最晩年は女子校となった。それに伴い、愛称も、阪急少年音楽隊から阪急商業学園ウィンドバンドに変更になった。

その後、阪急百貨店が学園運営から撤退し、2004年度からは高卒資格取得のための連携校だった向陽台高等学校が吹奏楽コースを新設し、向陽台高等学校ウィンドバンドとして継承され、2009年度からは、同法人の早稲田摂陵高等学校に移管され、早稲田摂陵高等学校ウィンドバンドとして再出発した。阪急西宮スタジアムの5、6階部分が校舎であり、よくスタジアム内で練習をしていた。

阪急商業学園時代は音楽を主体にしていた学校であった為、規定により全日本吹奏楽コンクールに出場する事ができなかった。(阪急百貨店に就職してから職場・一般部門として全日本吹奏楽コンクールに出場する事になっていた。)2004年に向陽台高等学校へ継承されてからは高等学校部門として全日本吹奏楽コンクールに出場できるようになった。

◼︎この解説を読んで納得しました。1996年までは「阪急少年音楽隊」は存続していたのですね。23年前ということになります。その後紆余曲折があって、今は早稲田摂陵高校に音楽活動が継承されています。知らなかったなあ。早稲田摂陵高校が吹奏楽に熱心に取り組まれていることは聞いていましたが、なるほどと合点がいきました。もう少し知りたくなり調べていると、以下のような記事を見つけました。勉強になります。「専門教育の音楽の外に商業教育として英語、商業、珠算、国語、数学、理科、社会、習字、美術まで学び、三年の教育を終ったときは、社員に採用、新制高校卒業生と同じ待遇を受けることになる」と書かれています。記憶の中にあったラジオ放送のことも書かれています。

◼︎このことをfacebookに投稿したところ、この西宮市の中学を卒業した方で、成人してからは中学教員として勤務されていた方からコメントをいただきました。その方のコメントをもとに、いろいろ調べていくと、興味深い記事に出会いました

戦後の新憲法の下、義務教育が小学校6年と(新制)中学校3年の合わせて9年になったのが昭和22年。私たちの住む西宮市今津地区は、戦後の混乱の中、一説に「文化果つるところ」と言われるほど、教育環境の悪い下町で、生活保護を受けている生徒数が西宮市で最も多い中学校でした。街は荒廃し、子供達は不良グループを形成して、近隣の人達からはガラの悪さで恐れられているような状態でした。

その今津中学校で、情操教育の一環として音楽で子供達に夢と希望を与えられないものかと吹奏楽部を創部したのが鈴木竹男先生です。鈴木先生は、これも偶然の為せる業でしょうか、我が母・洋子が今津中学校第一期生で入学した時の担任でありました。後に、鈴木竹男先生は私のことを教え子をもじって「教え孫」と呼び、とても親身になって可愛がって下さいました。

この今津中学校に昭和31年、西宮で最も上品な地区にある夙川小学校から、今津中学校に転勤してきたのが、我が師・得津武史先生です。得津先生が赴任すると同時に、先任の鈴木先生は、阪急少年音楽隊に指揮者として招聘され、そこで関西を代表する素晴らしい楽団に育てられました。

◼︎私は吹奏楽の経験は全くありませんが、今津中学の得津先生のお名前は聞いたことがありました。スパルタ教育の練習で生徒たちを鍛えて、吹奏楽コンクールでも今津中学は活躍していました。そのような話題は、吹奏楽とはなんの関係もなかった私の耳にも入ってきていました。さて、今津中学で吹奏楽部を創部したのが、その後「阪急少年音楽隊」の隊長となる鈴木竹男先生、今津中学の2代目の顧問が得津武史先生。何かとても興味深いものを感じます。というのも、最近、独特の文化を形成してきた日本の吹奏楽界の歴史に強い関心を持っているからです。個々の地域の歴史や出来事に加えて、現在のような吹奏楽コンクールを中心とした日本の吹奏楽界が、どのように制度化されてきたのかということに関心を持っているのです。

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