生物の研究に関するニュース

■昨日、たまたまですが、2つの生物の研究に関するニュースをネット上で読みました。ひとつは、「体内で10年超!精子貯蔵する女王アリ ヒトへ応用も」。もうひとつは、「レジ袋食べるガの幼虫、プラスチックごみ問題に有用か 研究」

■前者の記事は、甲南大学の研究者の成果についてです。記事の冒頭ですが、こう書いてあります。「アリの巣に“君臨”する女王アリ。その最大の仕事は、長生きをし、卵を産み続けることにある。ところが、交尾をするのは、女王の運命を背負って巣立つ時期の一瞬だけ。そのときの精子を生涯、大事に使っているという。本来、寿命が短い精子を常温で長期間生かしておくためのメカニズム」が、明らかになってきたようです。一瞬の交尾で獲得した精子を、受精嚢という袋にためて生かしておくらしいのです。どうも受精嚢の中の酸素濃度を低くして、精子が動けないようにしているらしいのです。また、受精嚢のなかだけで働く12個の遺伝子が存在しており、精子の長期貯蔵にかかわっている可能性があるとも記事の中で説明されていました。

■個人的な感想なのですが、女王アリの「女王」という言い方は、私のような生物学に詳しくない者の「偏見」を強化してしまっているのかも…と思いました。記事によれば、卵を産めなくなれば、同じ巣にすむ働きアリに殺されることもあり、その場合、代わりの女王が育てられたり、その巣は滅びたりするらしいからです。実態として、女王アリとは、働きアリに管理されている卵の製造工場のような感じですからね。

■後者の記事は、イギリスの研究者の成果です。ハチノスツヅリガという幼虫の時代に、ミツバチの巣を食べる蛾がいます。これは、養蜂家からすると害虫ということになります。で、このハチノスツヅリガの幼虫なのでが、偶然に、スーパーのレジ袋を食べて、「幼虫がプラスチックを完全に消化したことを確認。化学成分を分解していたことが分かった」というのです。

■このニュースを読んでふと思ったことは、どうして、その応用可能性がオチになるのか不思議に思いました。例えば、女王アリの記事については、次のように説明しています。

精子貯蔵のメカニズムが分かれば、ヒトや家畜などの精子の保管に応用できる可能性もある。現在は、液体窒素で極低温にして凍結させる手法が用いられているが、「常温で貯蔵することで細胞へのダメージが少なく、コストが低い、新たな精子の保管方法の開発につながるのでは」と話す。

■まったく根拠はありませんが、何か取材する側があえてその研究の応用可能性を確認しようとしているのではないか…と思ってしまったのです。サイエンスとしての、生物学上の新しい発見も、それそのものとして評価できない。それが何の役に立つのかという文脈に位置付けなければ…という「脅迫観念」のようなものを感じるのです。そういう内容を記事な書かなければ、世の中が納得してくれない。そんな事さえ想像してしまいます。プラスチックを分解する研究の方はどうでしょうか。

多数の幼虫を使ってプラスチック袋を分解させることは現実的でないとした上で、プラスチック分解物質を環境に害を与えない液体として開発し、プラスチック処理施設で使用するという方法が考えられると説明した。

■いかがでしょうか。これも根拠がありませんが、「それではたくさん幼虫を生み出して、そいつらにプラスチックを食べさせれば」というすぐに役立つ話しにつなげてしまう傾向を、この研究者は警戒しているようでもあります。その上で、あえてその応用可能性について(渋々?!)言及している(させられている…)。まあ、そういうことを考えてしまうわけですね。

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