忘れられたカニ缶

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■ここしばらく、毎週妻と一緒に老母宅に通っています。施設に入っている母の家の中のものを整理・処分するためです。いろんな方達から、「親の後始末」についてお聞きするのですが、当事者になって初めてその大変さがわかりました。こういうのを一気に処分してくれる業者さんもおられるようですね。しかし、我が家では、とりあえず身内で整理できるものは整理することにしました。

■「大量生産大量消費」の時代に家庭を持ち主婦として生きてきた母ですが、同時に、「もったいない」「まだ使える」「いつか役に立つのかも」という精神が生活習慣にまで染み込んでいたのだろうと思います。その結果、「時代」と「精神」との間に大きなギャッブが生まれ、そのギャップが大量のモノとなって母の家に詰まっているわけなのです。

■まずは衣服の整理から取り組みました。処分するものと、リサイクルに出すものとに分けました。その分類だけでも、結構時間がかかります。これでもかというぐらい、押入れや箪笥の中に衣服が詰め込まれていましたて。ビニール袋で何十袋にもなりました。びっくりする量です。そのうち、20袋はリサイクルショップに持ち込みました。査定価格は、なんと701円。滋賀県から兵庫県にある母の家まで高速に乗って通っているわけですが、高速代金、ガソリン代等を考えると「やってられん」という話しになります。しかし、そのままにしておくわけにもいきません。

■母は、洋裁と毛糸の手芸が趣味でした。素人目には、それなりに高い技術を持っていたように思います。作った作品はもちろんですが、買ったまま使われないままの毛糸が山のようにあるのです。これは、段ボール箱に入れて整理。有効利用していただけるどこかの団体に寄付しようと思う。問題は布や端切れ。これは有効利用することが可能なのでしょうか。縁側沿いの小さな物置に入っているのですが、まだ未着手のままです。これはどうしたものかな…。

■昨日は台所にも「突入」しました。いわゆるタッパーウェアの類が山のようにありました。これも全部処分。何かに使う予定のないまま、台所の棚に大量にしまわれていました。それから食器。食器については、使えるもの、使ってもいいな〜と思えるものがたくさんあるのですが、我が家の食器棚もかなりいっぱいなので、自宅に持ち帰ることに連れ合いは相当抵抗を感じているようです。一部、選択して使うとして、残りも全部処分することになりそうです。

■台所には保存食の類もたくさんありました。もちろん、全部処分の予定。写真のようなカニ缶もありました。おそらくは、お歳暮か何かでいただいたものなのだろう。ただし、「もったいない」としまっておくと、食料品は本当に「もったいない」ことになってしまいます。ちなみに、この缶詰の賞味期限は2010年でした。

■衣類、毛糸・端切れ、食器…それなりに目処が立ってきた。書籍の類も山ほどあります。古本を買い取り、その買い取り価格をNPOや自治体に寄付できる仕組み「チャリボン」という仕組みを持っている古書店に送る予定です。電化製品や家具の類についても、いろいろ考えないといけません。貼り替えたソファとか、がっしりしたダイニングテーブルとか…。まだまだ使えるのですが、これはどうしたものかな〜。こうやって老母宅を整理していると、大学時代の友人も同じような状況であることをfacebookを通して知りました。友人のご両親はすでに老人ホームに入所されているとのこと。そのため、家の中の整理を済ませて、住宅も売却する予定なのだそうだ。いろいろ相談に乗ってもらおうと思います。

■「母のおかげで、老いについて学ばせていただいている…」と思うようにしています。はい、無理やりに思うようにしています。「こうならないように、早めに、元気なうちに、できることはやっておこう」とは思っていますが、実際はどうなってしまうのかな…。学んだことを自分の人生の終わりに役立てることができるのか…あまり自信がありません。

【追記】■このエントリーとほぼ同様の内容をfacebookに投稿したところ、多くの皆さんから反応がありました。それぞれに、ご苦労されている様子が伝わってきました。また、調べているうちに、毛糸、端切れ、布、食器といったものも、いろいろ再利用してくださる団体があることもわかりました。あまり中身を見ずに、業者さんに頼んで一気に廃棄してしまうということも考えましたが、丁寧に整理していくことにします。

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