仕事とは「自分」を役立てること

20160130matuurayataro.jpg ▪︎龍谷大ミュージアム前館長である文学部の入澤崇先生のtwittwerで、雑誌『暮らしの手帳』の編集者である松浦弥太郎さんの著書、『松浦弥太郎の仕事術』(朝日文庫)のことを知りました。興味が出てきたので、さっそくKindleでダウンロードして読んでみました。入澤先生のツイートは、この松浦さんのこの著書の「1.仕事とは『自分』を役立てること」に書かれていることを引用したものでした。

「自分はなにがしたいのか?」ではなく、「自分は社会でどう役立てるのか?」を考える。最終的には、その仕事を通じて人を幸せにしていくことを目標にする。これさえ忘れなければ、よき仕事選びができます。毎日の働きかたが変わります。

▪︎これと近い松浦さんの指摘として、以下のものもみつけました。

人との関係の中で、どのように「自分」をいかしていくかを考えなければ、何をしても仕事にならない。逆にいえば、どんなささやかなことでも、自分を社会で役立てる方法が見つかれば、仕事になる。

▪︎私は、年に数回、多くても5回程度ですが、学外で講演をします。落語の大御所とは異なり、話すネタは「地域づくり」に限られているので、同じような話しが多くなるのですが、最近の講演のなでは、「人の幸せには2種類ある」ということをお話しさせていただきました。「幸せ」のひとつは、人と関係のく、「自分の中だけで完結する幸せ」です。どちらかといえば、自分さえよければ…といった幸せかもしれません。個人的な消費による多幸感・高揚感などはこちらに入るのではないかと思います。お金があれば、モノやサービスを通して買うことができる幸せです。グローバリゼーションとともに市場原理が地球の隅々まで広がる現代社会、個人化が一層進む現代社会では、煽られるようにこちらの幸せを人びとは求めます。求めるというか、そう仕向けられるのです。

▪︎もうひとつは、「人と人の間にある幸せ」です。松浦さんの指摘は、この後者の幸せと重なるのではないかと思います。後者の幸せを実感した人は、最後は、感謝の気持ちで仕事ができるようになるはずです。しかし、こちらの「人と人の間にある幸せ」の方は、気がつくのに少し時間がかかるかもしれません。それに気がつくのには、なにか心がけが必要かもしれません。松浦さんは、そのヒントを与えてくれているのです。自分は世の中に活かされている、活かしていただいていることに感謝したい…、もしそのように働くことができたら本当に幸せですよね。松浦さんは、多くの人びとが歩むキャリアとは、かなり異なるキャリアを歩んでこられました。高校を中退してアメリカに渡る…ところから始まります。かなり厳しい状況から、いろんな方たちに助けられながら、力をあわせながら生きてこられました。現在、松浦さんは、エッセイストであり、古籍商であり、「暮しの手帖」前編集長でもあります。この本に書かれていることは、そのような松浦さんのこれまでの生き方であり経験知なのでしょう。これから卒業していく4年生や就職活動を始める3年生にも、この松浦さんの本を読んでもらいたいなと思いました。

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