仰木の棚田
■昨日は、プライベートな用事があり、妻とともに滋賀に出かけました。たまたま、昨日は自家用車で向かいました。大津市の仰木の近くを通ったとき、「そうだ、全国的にも有名な『仰木の棚田』を見学してみよう」と思い立ちました。「仰木の棚田」を見学するのはひさしぶりでした。龍谷大学に赴任した頃ですから10年程前のことでしょうか、山に戻ってしまった山奥の棚田を復元する作業のボランティアだったかと思います。現在、仰木ではボランティアを受け入れた棚田の保全活動が行われているようですが、当時は、まだ模索段階だったかたと思います。
■その前にも「仰木の棚田」を訪問したことがあります。それは、今から20数年程前のことになろうかと思います。当時、私は滋賀県立琵琶湖博物館の開設準備室に勤務していました。仕事の関係でお知り合いになった、昆虫写真家の今森光彦さんとご一緒させていただきました。仰木には今森さんのアトリエがあるのですが、そこにもお邪魔しました。おそらく、仰木の棚田と人びとの暮らしを写した写真集『里山物語』(木村伊兵衛賞受賞)が出版された頃だったかと思います。今森さんとは、仰木のお隣の伊香立の方にもでかけました。懐かしい思い出です。そのようなことも思い出しながら、おぼろげな記憶を頼りに棚田の狭い道を走りました。
■「仰木の棚田」は、琵琶湖の湖岸からの傾斜地をあがったところの丘陵地にあります。丘陵地の高低差によりそうようにひろがっています。棚田の境目には樹や樹の茂みもみられて、独特の美しさを感じさせます。遠くには、かすかに琵琶湖を望むこともできます。昨日は、台風のせいで雲が垂れ込めていました。青空のときとはまた異なる、棚田の風景は不思議な魅力を放っていました。今森さんの写真集で全国的に有名になった「馬蹄形の棚田」も、もちろん健在でした。仰木の棚田は、丘陵部だけでなく、山の谷筋のかなり奥の方までも続いています。かなり奥の棚田でも、きちんと耕作がなされ、稲が成長していました。同行してくれた妻が、そのような棚田を眺めながら「こんな奥までどういう人が耕しているんやろね」とつぶやくようにいっていました。こんな山奥の棚田だと作業が非常に大変だろうな…という思いから出たつぶやきなのでしょう。私自身も、立派に手入れをされていることに驚きました。