鰻重、ウナギの進化、琵琶湖のウナギ

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■老母の介護をしにいった帰り、大阪の梅田で妹にあいました。正月以来でしょうか。というのも、facebook上で妹が「鰻が食べたい…」とつぶやいていたものですから。それじゃ、兄貴が「喰わしてやろうか!!」となったわけです。妹が注文したのは「鰻重」です。これはかなり立派な「鰻重」です。私は自身は、鰻の白焼き、柳川をあてに、土佐は高知の酒「土佐鶴」の燗酒を楽しみました。

■こちらのお店は、関東風の鰻です。関東風というのは、一旦素焼きをしてから15分程度強火で蒸して余分な脂を落します。そのうえで、タレを付けてから再び焼き、蒲焼きにするのです。関西風は、蒸しません。そのまま焼きます。私は関西風に慣れているので、関東風はかなりあっさりした味わいに感じます。

■この鰻を食べながら、思い出した話しがあります。私はゼミの活動「北船路米づくり研究会」で、北船路の棚田に通っていますが、地元の方から、蓬莱山麓(比良山系)の棚田の真ん中を流れる川にも昔は鰻が遡上していたというお話しを伺いました。ウナギは、河川で成長します(ここからは、料理ではなく生物のウナギの話しなので鰻ではなくウナギとします)。性成熟すると河川をくだり、河口のあたりまでいって海水に体を慣らすのだそうです。そして、そこから泳いで太平洋のマリアナ海嶺までいって産卵するのだそうです。いや〜不思議ですね。そして生まれた仔魚は、再び日本の河川に帰ってきたくるのですから、グレイトジャーニーですね。

■どうして、こんなふうに進化したんでしょうね。調べてみると、こんな記事がありました。東大の大気海洋研究所のサイトにある記事です。解説部分を引用します。

ウナギは川や湖などの淡水域で成長し,そこから数千キロメートルも離れた外洋で産卵を行うことが知られています.しかしながら,ウナギがなぜこのような大規模な回遊を行うのか,長いこと謎とされてきました.今回,東京大学海洋研究所の塚本勝巳・西田睦教授と千葉県立中央博物館の宮正樹上席研究員らの研究グループがロンドン大学の井上潤研究員らと共 同で行なった詳細な遺伝子解析により,ウナギが外洋の深海に生息していた祖先から進化してきた可能性が高いことが明らかになりました.ウナギの産卵大回遊は,餌が豊富な熱帯・亜熱帯の淡水域で十分に成長する一方で,遠い昔から慣れ親み安心して産卵のできる (しかも外敵が少ない) 外洋の深海を利用するという,二つの異なる環境の特性を最大限に利用するために 進化してきたものと考えられます.この結果は英国王立協会が発行する Biology Letters のオン ライン版に 2010 年 1 月6日に発表されました.印刷出版は8月の予定です.

ウナギの進化的起源は深海に!ー 遺伝子分析で解けたウナギの産卵大回遊の謎 ー

■話しを北船路に戻します。北船路の川を遡上したウナギも、マリアナ海嶺で生まれ、淀川から琵琶湖に入り、最後は琵琶湖の西、湖西は比良山系・蓬莱山の麓の川まで遡上してきた…ということになるのでしょうか。それは、この話しがいつ頃のことなのかで異なってきます。というのも、滋賀県立琵琶湖博物館の解説によれば、1905年の南郷洗堰の完成で海からの遡上量が減少し、1964年に竣工した天ケ瀬ダムで完全に海から遡上できなくなったのだそうです。そのため、現在では、琵琶湖のウナギは放流によって維持されているとのことです。ちなみに、近年著しく減っており、2013年の環境省のレッドリストで絶滅危惧種IB類に指定されているそうです。ということで、北船路のウナギは放流によるものなのでしょうね。とはいえ、あんな高いところまで遡上するとは驚きです。

【追記】■最近よく報道されますが、世界のウナギの7割を日本人が消費しています。ウナギに限りませんが、昔は年にうまくいって1回程度(土用の丑の日)いただく程度のものでした。「飽食」の最近は、そうじゃないのでしょうね〜。世界の7割…。異常な感じがします。ウナギは完全養殖できないだけに…辛いね。

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