「世界農業遺産(GIAHS)と農村地域開発に関する国際シンポジウム」(3)

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▪️今週の月曜日から水曜日まで3日連続で、国連FAO(国連食糧農業機関)主催の「世界農業遺産(GIAHS)と農村地域開発に関する国際シンポジウム」が東京のGrand Nikko Tokyo Hotelで開催されました。すでにこのブログでも報告させていただいたように、「森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」からの報告を、滋賀県庁農政水産部農政課の課長さんと一緒に行いました。その時の写真を、昨日、シンポジウムに同行してくださった県庁職員の方が送ってくださいました。このシンポジウムでの感じた少し詳しいことを以下に投稿しておこうと思います。シンポジウムの間、FAOの職員である遠藤 芳英さんには大変お世話になりました。ありがとうございました。

▪️今回のシンポジウムでは、世界農業遺産に認定された以下のサイトから報告が行われました(報告順)。リンクを貼り付けてありますが、前半がFAOによる情報、後半が個々のサイトになります。ただし、日本のサイトのみです。

①森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム / 「琵琶湖システム」(2022年認定)
②にし阿波の傾斜地農耕システム / 「にし阿波の傾斜地農耕システム」(2018年認定)
③オルタ・デ・バレンシアの歴史的灌漑システム(2019年認定)
④能登の里山里海 / 「能登の里山里海」(2011年認定)

▪️今回報告された4つのサイトのうち「琵琶湖システム」が一番最近になって認定されたサイトです。「能登の里山里海」が認定されたのは2011年ですから、昨年認定された「琵琶湖システム」よりも11年も「先輩」になります。「大先輩」です。「能登の里山里海」の活動報告は一番最後でしたが、「さすが!! 大先輩」という印象を持ちました。

▪️「能登の里山里海」は石川県にあります。活動報告をされたのは、石川県農林水産部里山振興室の室長さんでした。いろいろ質問をさせていただいてわかったことは、以下のことでした。石川県は地理的に南北に伸びています。北部の能登半島は、南部の金沢などがある地域と比較して、少子高齢化や過疎化が深刻な状況にあります。そのようなこともあり、能登半島では様々な地域の振興策が取り組まれてきました。もちろん、「世界農業遺産」に認定される以前から取り組まれています。認定後は、「世界農業遺産」をある種のフレームにして、それらの振興策をフレーム内にもう一度位置付け直されてきました。また、そのことと並行して、「世界農業遺産」に関連した様々な事業を生み出し、それらを進めていく推進体制を整備されてきました。また、事業に必要とされる資金についても、基金を整備するなどして対応されてきました。「能登半島の振興」という県民の多くが納得できる「大義」があり、その上に「世界農業遺産」が重なり、様々な振興策を進めてこられた、そのような感じかなと思います。ひとつの事業を紹介しましょう。「奥能登直行便」という事業です。奥能登では、特色ある野菜が生産されているのですが、市場出荷するには生産量が少なく、また地元にはそれらを購入する消費者が少ないという課題を抱えていました。そこで奥能登の地域にあるJAの支店から本店へ運び、今度は本店から南部の金沢地域という消費地に運ぶ仕組みを作られたのです。これなどは、「琵琶湖システム」でも学ばせていただくことのできそうなアイデアです。

▪️「琵琶湖システム」の活動報告においても、「認証・登録制度」、「付加価値向上・品質向上の取り組み」、「6次産業化の取組」、「農林水産業とツーリズム」、「都市部と農村部の交流」、「パートナーシップの構築」、「交流プログラム」、「農林水産業と教育」との説明が行われましたが、「能登の里山里海」のように「世界農業遺産」のフレームの中にうまく位置付け直されているわけではありません。考えてみれば当たり前のことなのですが、「世界農業遺産」の認定だけでは、そのこと自体が何かを生み出すわけではありません。認定されただけでは、「世界農業遺産」の持つ価値を実感することも難しいのかなと思います。その価値を、様々な農業に関連する事業、そして支援していく仕組みとうまく結びつける必要があります。また、推進体制や基金についても考えて行かねばなりません。

▪️今回の国際シンポではいろいろ考えることになりました。たとえば、「『琵琶湖システム』は大きすぎるよな〜」という思いを強くしました。メインシステムの「琵琶湖システム」の中に、サブシステムがいくつかあっても良いのかなと思いました。「琵琶湖システム」は、森・里・湖(うみ)に育まれています。であれば、森、里、湖にそれぞれサブシステムがあっても良いのかなと思うわけです。あまりご理解いただけないかもしれませんね。例えば、「地域の森林の再生」に取り組んでいる人たちは、普段、「琵琶湖システム」のことなど考えたことがないのかもしれませんが、その地域の森林再生の取り組みが、結果として、「琵琶湖システム」を育んでいると理解するのならば、「地域の森林の再生」は立派な「琵琶湖システム」の一部だし、サブシステとして理解できるのではないかと思うのです。

▪️今回の国際シンポジウムでは、他のサイトの方と交流することの大切さを実感しました。こういう交流の機会が定期的にあって欲しいなあと思いました。石川県農林水産部里山振興室の室長さんは、シンポジウムに出席されていた農林水産省の職員の方に、国の方からその交流にかかる費用を出せないかと発言されていましたが、交流大会の開催のようなところまでいかなくても、いろんなタイプの情報交換や交流ができるようになったら素敵だなと思いました。知恵やアイデアを交換し、悩みを共有すことって大切だと思うからです。そうすることで、「世界農業遺産」の眠っている価値を引き出すことができるのだと思うのです。

▪️その他には、今回はヨーロッパの状況についても少し理解を深めることができました。同じ農村、同じように家族が営む家族農業ではあっても、その実態にはかなり差異があるなと思いました。日本では、世界農業遺産の各サイトでは「都市部と農村部の交流」がよく見られることだし、事業としても取り組まれているわけですが、ヨーロッパの場合は、今回のサイトからの活動報告やディスカッションからはよく伝わってきませんでした。こういった「都市部と農村部の交流」が存在するのか、もし存在するとしても実態はどのようなものなのか、その辺りのことについてもっと知りたいと思いました。日本でうまくいっていることが、海外でうまくいくわけでもありません。おそらく、この分野の研究者の人たちが論文等で情報発信されているでしょうから、もっと勉強しなくてはいけません。そのためにも、今回のような交流を今後も重ねていくことが必要だと強く思いました。

▪️さて、3日間にわたって開催されたシンポジウムが終了しました。朝食と昼食はホテル内でしたが、夕食はホテルではなく、新橋まで出かけて滋賀県庁の皆さんとご一緒させていただきました。というのも、ホテルの食事は庶民には高すぎるからです。新橋ですが、ものすごい人でした。大阪梅田でも人の多さに圧倒されるのですが、東京だとなおのこと…という感じでした。これからの人生で東京に暮らすようなことは無いと思いますが。今は、滋賀がちょうど良いのかもしれません。

「世界農業遺産(GIAHS)と農村地域開発に関する国際シンポジウム」(2)

20231128giahs1.jpg20231128giahs2.jpg
20231128giahs3.jpg▪️国連FAO(国連食糧農業機関)主催の「世界農業遺産(GIAHS)と農村地域開発に関する国際シンポジウム」の2日目。午前中に、世界農業遺産「琵琶湖システム」に関して、滋賀県庁農政水産部農政課の課長さんと一緒に報告を行いました。

▪️私は、滋賀県で取り組まれている「魚のゆりかご水田」の取り組みを社会関係資本の概念を通して分析して明らかなったことをもとに、GIAHSサイトとして今後の展望や課題等についてお話をしました。ヨーロッパから参加されている皆さんも、強い関心を持って質問やコメントをしてくださいました。ほっとしています。今回は、同時通訳の方は、ここにはいらっしゃいません。zoomがあるので、海外で通訳してくださっているようなのです。びっくり。そういう時代になったのですね。

▪️今回のシンポジウムでは、世界農業遺産(GIAHS)に認定された国内外4つのサイトから報告が行われました。ひとつはスペインのバレンシアのサイトですが、あとの3つは国内のサイトになります(ちなみに、「能登里山里海」は3日目に行われます)。

・森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム
・にし阿波の傾斜地農耕システム
・オルタ・デ・バレンシアの歴史的灌漑システム
・能登の里山里海

▪️これらのGIAHSに認定されたサイトからの報告意外にも、国内の過疎地域の農村開発の事例、イタリアのバンテレリア島における農村開発の事例、OECDが取り組む農村開発の取り組みについても報告が行われました。3日目は、ディスカッションになります。同時通訳が入るわけですが、やはり全てが伝わるわけではないし、かなり疲れるわけですが、なんとか役割を果たせるように頑張りたいと思います。

▪️ホテルの窓からは、レインボーブリッジ がドーンと見えます。これが「あの、レインボーブリッジなんか」と思いました。マジで、私っておのぼりさんなの…という感じです。
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「世界農業遺産(GIAHS)と農村地域開発に関する国際シンポジウム」(1)

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▪️今日から台場のホテルで3日間缶詰めになって仕事です。「世界農業遺産(GIAHS)と農村地域開発に関する国際シンポジウム」(主催:国連食糧農業機関FAO)で、ディスカッションをしながら、世界農業遺産(GIAHS)に認定された「琵琶湖システム」の報告を滋賀県庁の職員の方と一緒に行います。同時通訳なので、私でもなんとかなりそうです。ホテルの部屋からは「船の科学館」や南極観測船「宗谷」が見えますが、今回は見学している余裕はありません。まあ、仕事ですから…。

堅田の内湖で清掃作業

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20231119katata8.jpg▪️今日は、大津市堅田にある内湖の清掃活動に参加させていただきました。主催は、「堅田21世紀の会」です。地元堅田の事業者や従業員の皆さん、そして地域住民の皆さんによる地域活性化の団体です。結成されて4年ほどのようです。今回、清掃活動に参加させていただいたのは、理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶湖知新」の会員であり、そして「堅田21世紀の会」の会員でもある方から、「ご縁」をちょうだいしたことによります。「琵琶故知新」からは3人の理事が個人の資格で参加させていただきました。良い経験になりました。また、「琵琶故知新」と協働事業に取り組もうと計画を進めていただいているNTT西日本滋賀支店からも5名の社員の皆様がご参加くださいました。

▪️堅田には複数の内湖があるのですが、その内湖では、以前、淡水真珠の養殖が行われていました。淡水真珠の養殖は、イケチョウガイを母貝として養殖が行なわれました。昭和40年代が全盛期かと思います。ところが、この堅田に限ったことはないのですが、水質悪化が大きな原因となり淡水真珠の養殖は急激に衰退していきました。そして堅田の内湖では、衰退した後も、淡水真珠の養殖棚が残されたままになっていました。「堅田21世紀の会」の皆さんは、この内湖を再生することで、内湖や内湖の周辺に賑わいが生まれるようにしたい、地域を活性化したいとの思いから、この内湖や養殖の関係者に了解を得た上で、養殖棚の撤去に取り組み始められたのです。今年度は、今日で5回目の作業になるようです。

▪️清掃作業に参加させていただく上で、事前に、理事会にご挨拶に伺いました。その時、「琵琶故知新」は環境問題を中心に地域課題に取り組むNPOであることから、「堅田21世紀の会」の皆さんのある方からは、「自分たちは環境問題という視点からではなく、地域活性化を目指しているのだが…」との質問が出ました。もとろん「琵琶故知新」としては何も問題はありません。地域を活性化していくことと環境問題は結びついています。内湖のあるこの堅田の街で、内湖とともに心豊に暮らしていきたい。街に賑わいが生まれてほしい。素敵なことですよね。環境問題って、ローカルな地域社会では、その地域固有の社会的な文脈の中に位置付けられることになります。大切なことだと思います。

▪️内湖での作業は、3つのグループに分かれて行われました。まずは、養殖棚やそこにぶら下げられた養殖籠を取り除くグループ(船は1艘)。次は、養殖棚を支える柱を抜くグループ(船は2艘)。最後は、内湖を取り囲む石垣に生えてくる雑草を刈り取るグループ(船は1艘)です。

▪️私は養殖棚を支える柱を抜く作業の船に乗りました。船には、ガソリンの発電機を積みこみます。船に取り付けた屋台には、小さな電動のウインチがぶら下げてありました。そのウインチを発電機の電気で動かすのです。ウインチのフックの先にはチェーンがぶら下げられています。そのチェーンを養殖の柱に絡ませて、電動ウインチで引き抜くのです。内湖のそこには分厚いヘドロが堆積しており、人力で引き抜くことはできないからです。電動ウインチで引き抜く時、船が大きく傾きます。最初は転覆するんじゃないのかと心配になりましたが、ウインチと反対側に皆さんが移動されると、ヘドロに埋まっている柱も抜けるのです。私は抜き取られた柱を受け取り、船の上に並べる仕事をさせていただきました。

▪️抜き取った養殖棚や柱は、陸に運ばれ、あらかじめ待機していたパッカー車や特殊なトラックにバケツリレー式に移されていきました。これは、清掃業者さんが用意したものです。船に取り付けられたウインチ等の仕掛けは造船会社のお仕事になります。撤去されたものは清掃業者さんが引き取り処理されます。造船会社さんも清掃業者さんも、ともに「堅田21世紀の会」のメンバーで、お仕事とはいっても会社の業務ではなく会員として(ボランティアで)活動されているのです。ある会員の方は、「造船会社さんと清掃業者さんの協力がなければ、この活動はできませんね」といっておられました。今回の養殖棚や柱の処分については、資源として再利用されるもの以外は、ボランティア活動ですので市役所が無料で引き取って処分してくださるようです。

▪️清掃作業は、朝8時から11時過ぎまで行われました。今日は天候も良く風もなく、作業日和でした。服はヘドロで汚れてしまいましたし、臭いもついてしまいましたが、気持ちはとてもすっきりしました。

▪️最後には、「琵琶故知新」の事務局長さんと副理事長さんが提案された、シールによるアンケートも実施させていただきました。私は堅田に暮らしているわけではありませんが、その近くに暮らしています。また、このようなボランティアのチャンスをいただけると嬉しいです。今日は堅田で半日お世話になりました。ありがとうございました。

全日本吹奏楽コンクールの報告と環境審議会自然環境部会

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▪️今日は、部局長会議(大学の理事等幹部の会議)の冒頭で、吹奏楽部が全日本吹奏楽コンクール・大学の部で、4回連続金賞を受賞したことを報告しました。本来だと、吹奏楽部の部長としてこの場にいないといけないのですが、滋賀県庁で環境審議会自然環境部会が開催されるため、報告は若林監督にお願いいたしました。監督、ありがとうございました。写真は学生部の職員さんが撮影してくださいました。監督の両サイドは、左が幹事長の大島さん。右が副幹事長の蔵口さん。一番左端は副部長の栗田さん、一番子右端は副部長の室矢さんです。

▪️滋賀県庁の環境審議会自然環境部会の方ですが、今日は、検討中の「(仮称)次期生物多様性しが戦略の素案」をもとに議論を行いました。年末にはパブリックコメントを行う予定のようで、非常にタイトなスケジュールの中で作業を取りまとめておられます。部会ではいろいろ意見を言わせていただきましたが、さらに頑張っていただきたいです。問題は、次期生物多様性しが戦略が策定された後、どうやって地域の具体的な活動とつなぎ、地域の活動を応援していくのか。戦略ができたからといって、自動的に活動が活発化していくわけではないですから。

▪️この辺りについては、『流域環境学 流域ガバナンスの理論と実践』(2009年,京都大学学術出版会)や『流域ガバナンス 地域の「しあわせ」と流域の「健全性」』(2020年, 京都大学学術出版会)を執筆しながら、流域ガバナンスに関して考えてきたこととも関係しますし、今、理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」の活動とも関連してきます。今日は改めて深くそう思いました。

地域コミュニティ通貨「ビワコ」、「びわぽいんと」、世界農業遺産認定「琵琶湖システム」。

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▪️今日は終日、滋賀県庁にいました。基本的に木曜日は授業や会議がないので、学外での活動を行うことができます

▪️午前中は、ゼミ生のKくんと一緒に総務部市町振興課に伺いました。Kくんの研究テーマは「地域通貨」。滋賀県で取り組まれているデジタル地域コミュニティ通貨「ビワコ」についてお話を聞かせていただくためです。今回は、滋賀県立大学の上田 洋平先生にもお世話になりました。ありがとうございました。「ビワコ」のことをそれなりに理解しているつもりではありましたが、改めてご説明いただくと、この仕組みのより深い部分が理解できたように思いました。理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」で提案している「びわぽいんと」の展開を考える上でも、今日のお話は大変勉強になりました。

▪️昼からは、「琵琶故知新」事務局長の藤沢 栄一さんと一緒に琵琶湖環境部琵琶湖保全再生課を訪問し、私どもの「びわぽいんと」に関連して様々な相談をさせていただきました。午前中のデジタル地域コミュニティ通貨「ビワコ」に続いて、午後からは「びわぽいんと」。もちろん、このようなことは偶然なのですが、連続して県職員の皆さんからお話を伺ったり、議論をさせていただきご意見を頂戴したりすると、自分のおいぼれて錆びつきつつある頭の中も少しずつ整理されていきました。午前中は、Kくんというゼミ生の指導の一環として市町振興課を訪問し、昼からは「琵琶故知新」の理事長として訪問したわけですが、結果として2つの訪問はつながっていきました。ありがたかったです(Kくんありがとう)。

▪️琵琶湖保全再生課の後は、事務局長と「琵琶故知新」が取り組もうとしているプロジェクトに関して、簡単な意見交換をしました。そして、次の訪問したのは農政水産部の農政課です。こちらは、今月末、3日間にわたって開催される世界農業遺産に関するシンポジウム「GIAHSと家族農業に関する国際シンポジウム2023」の打ち合わせをするためです。このシンポジウムで、農政課の課長さんと一緒に、世界農業遺産に認定された「琵琶湖システム」について発表を行うことになっています。課長さんと分担した際の私の役割は、主に「魚のゆりかご水田」の活動と今後の展開に関して…ということにもなります。「琵琶湖システム」や「魚のゆりかご水田」の持っているポテンシャルに関してお話をさせていただく予定です。農業セクターだけでなく、「琵琶湖システム」を媒介としたセクターの壁を超えた異業種間の連携や連帯、例えばツーリズムや社会教育との連携や連帯に関して、また農村集落のサステナビリティに関してもお話をさせていただこうと思っています。

【追記】▪️トップの2枚の写真、県庁の中で撮ったものです。左は滋賀県庁本館の階段の窓。いつも素敵だなと思っています。右は、琵琶湖環境部の廊下に掲示してあった「MLGs」の看板。

平和堂財団環境保全活動助成事業「夏原グラント」2024年度募集要項

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▪️2014年から選考委員を務めている平和堂財団環境保全活動助成事業「夏原グラント」。その事務局である特定非営利活動法人「しがNPOセンター」から連絡がありました。2024年度の募集要項を発表したそうです。下のリンクからご覧いただけます。応募の締め切りは、2024年1月31日です。

2024年度募集要項

原尻淳一さんと「知図展」

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▪️原尻 淳一さんからお誘いただき、京都で開催されている「知図展」に行って来ました。「地図」ではなくて「知図」です。いろいろ刺激をいただきました。原尻さん、お誘いいただき、ありがとうございました。じつは、原尻さんに「実際」にお会いするのは、今日が初めてでした。初めてなんですが、そのような気分ではないほど、これまでfacebookで交流させていただいてきました。そのような交流の中で、「原尻さんってすごいやん!!」といつも驚いてきました。

▪️今日は、原尻さんと一緒に活動されてきた市民の皆さん、そして学生の皆さんの作品を、原尻さんご自身に丁寧に解説していただき、深く納得することができました。ありがとうございました。自分はいったい何に関心があるのかよくわからない。そういう人が、原尻さんの授業を受けると、自分の問題関心が明確になり、最後には文章にまとめることができるのです。

(1)フォトれ・レコーディング
(2)知図による観察と写生
(3)知図曼荼羅
(4)文献収集
(5)カードワーク
(6)なりきり文体法

▪️このような方法のベースを、原尻さんは、宮本常一、南方熊楠、柳田國男、梅棹忠夫、川喜田二郎、寺田寅彦といった歴史に残る方達から方法を吸収されています。しかし、そのような学問の志向自体は、龍谷大学経済学部に原尻さんが在籍されていたときに、『バナナと日本人』で知られる鶴見良行先生、そして中村尚司先生の指導を受けられたことがペースになっているということも、今日は、よく理解できました。原尻さんたちの「知図展」をきっかけとして、全国の様々な地域で、「知図運動」ともいうべきムーブメントが生まれているそうです。多くの市民や学生の皆さんが、この「知図運動」を通して、ご自身の持っておられる眠っている能力を顕在化させ、人生を豊なものにしていかれることをさらに期待したいと思います。

特定非営利活動法人「琵琶故知新」の会員の皆様に

▪️今日は、午前中だけで授業は終わりました。隔週で教授会等の会議が入るのですが、今日はありませんでした。その代わり、教員の研修会がありしまた。なのですが、誠に申し訳ないのですが、今日は休ませてもらいました。いつもは、こういうのは必ず参加しているんですけどね。

▪️今日の午後は、理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」の会員の皆様に、事務局長の藤澤栄一さん理事の山田英二さんと共に、法人の活動状況に関してご説明にあがりました。雄琴温泉の「滋賀おごと温泉 びわ湖花街道」社長の佐藤祐子さんと、「株式会社大津衛生社」社長の伊藤竜成さんです。お二人とも、「琵琶故知新」が準備している「びわぽいんと」に共感してくだり、本法人の会員になってくださっています。

▪️今日は、佐藤さんと伊藤さんから、大切なお話、元気が出てくるお話を伺うことができました。本当にありがたいことだと思っています。今日いただいたアドバイスやご意見、法人の事業に活かしていけるように頑張ります。今日は、社会へのビジョンをお持ちのお2人の経営者にお話を伺うことがてきて、本当に幸せでした。ありがとうございました。もっと頑張らねば、ですね。個人の利益を煽るこの資本主義の社会の中で、自分以外の「他者」のために頑張ること、他者に「贈与」すること(利他)が、どのような形で可能なのか、そのような仕組みを社会の中に実現したいのです。龍谷大学が定めた行動原理、「自省利他」とも大いに関係していると思います。

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いつもの「利やん」で懇親会、世界農業遺産/びわ100

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▪️昨日は、博士課程の院生の中間発表会でした。全員が、中国からの留学生。1人は、来年度、学位請求論文を提出するようです。じっくり時間をかけて分厚い博士論文を提出するようです。来年の春は、副査としてそれを読まなくてはいけません。「満州における日本人経営中国語新聞と関東軍との関係に関する研究―『盛京時報』の経営を中心に」という研究です。歴史的な資料が相当量入っているので、気合を入れないと読めません。これから、懇談会(お疲れさん会)。

▪️そのあとは、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」で滋賀県庁で世界農業遺産に関わった職員の皆さんと懇親会でした。写真は、最後の集合写真。この日、県庁の皆さんは、南湖一周40kmを歩かれました。本当は、皆さんと一緒に歩きたかったのですが、博士課程の中間発表会があったものですから、その代わりに私は1週間前、南郷洗堰で折り返す南湖1周55kmを1人で歩きました。私も含めて、この写真の中の5人が「びわ100」(びわ湖チャリティー100km歩行大会)に挑戦します。私は、今回5回目の挑戦になります。過去4回、なんとか完歩しているので、今回もうまく行くように、努力します。最後は、痛みや苦しみに耐える精神力の問題になってきます。

世界農業遺産
世界農業遺産(GIAHS:Globally Important Agricultural Heritage Systems)とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域(農林水産業システム)であり、国際連合食糧農業機関(FAO)により認定されます。

▪️そもそものことの始まりは、私がこの写真の中のメンバー2人、藤江学さんと伊崎直人さんに声をかけて、「『びわ湖システム』が『日本農業遺産』そして『世界農業遺産』に認定されるように、『びわ100』では横断幕を持って歩こう、アピールしよう‼︎」と提案したことに始まります。そのような提案をしたのは、facebookの友達である永田咲雄さんが、ご自身で経営されている会社の社員さんたちとの団結を高めるために、会社で「びわ100」に出場されることをfacebookの投稿で知ったからです。世界農業遺産を目指すチームも、「頭を捏ね繰り返してばかりではなく、まずは琵琶湖を体感しつつ、チームとしての団結力を高めよう」と昭和のおじさんのノリで提案したのです。ひとつ失敗したのは、チームのリーダーであった青田 朋恵さんにも「歩こう!!」と声をかけなかったことですか。我々と一緒に歩かれるとは思っていなかったもので…。

▪️さて、このことを知った、当時農政水産部長であった高橋滝治郎さんは、部の職員全体に声をかけて参加者を募るようにと指示を出されました。その結果、大勢の方々が参加されることになったのです。さすがに、今は「世界農業遺産」に認定されたので、あの苦しみに耐える「びわ100」に出場される方は私も含めて5人に減りましたが、「びわ100」に出場しなくても、当時のことを懐かしみ、今もこうやって南湖1周に挑戦される方たちが集まられたわけです。素晴らしいです‼︎

▪️「びわ100」、10月の14日・15日です。14日10時過ぎに長浜をスタートして、彦根、東近江、近江八幡、野洲、守山、栗東、草津、瀬田、南郷洗堰と歩き、最後はゴールの雄琴を目指します。徹夜で歩きます。制限時間は28時間です。15日の14時までにゴールする必要があります。

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