甲賀市の大原財産区を訪ねる

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20150218ohhara5.jpg■総合地球環境学研究所のプロジェクトで、甲賀市にある大原財産区の事務所を訪問しました。いろいろお話しをお聞かせいただいたあとは、大原ダムを見学しました。農業用のダムです。下流には、私たちのプロジェクトで調査を進めている小佐治という集落があります。古琵琶湖の湖底だったところが隆起してできた丘陵地帯に、降雨によりいくつもの谷筋が生まれました。いつの時代かはわかりませんが、小佐治の皆さんは、この谷筋に水田を作り農業をしてきました。いわゆる八津田です。そして、後背地の丘陵の森林の中にため池を作り、そのため池の水から灌漑していました。大きなため池が5つ、小さなため池は無数にあったと言います。水不足の時のために、小さな無数のため池に水を貯めてリスクを分散させていたのです。しかし、大原ダムができてからは、そのような灌漑に伴う苦労は無くなりました。無数にあった小さなため池は放棄されることになりました。生物多様性の観点からは、そのような無数にある小さなため池には意味があったと思うのですが…。このことについては、またこのブログの中で書くことにしたいと思います。

Türk Hava Yolları | Hayal Edince (Dream)


▪︎トルコ航空のCM宣伝のようです。子役の演技がとても素晴らしく、何度も、この動画をみてしまいました。最後、旅客機が着陸した先に見える高い山はなんという山なんでしょうね。おそらくは、アララット山(アウリ・ダウ山)ではないでしょうか。「旧約聖書」に出てくるノアの方舟伝説の山として有名らしいですね。この動画の山、実際のところ、どうなんだろう…。

「鳥越晧之先生を囲む会」

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▪︎昨日は、早稲田大学の横にある東京リーガロイヤルホテルで、恩師である鳥越皓之先生の退職記念パーティーが開催されました。鳥越先生は、仏教大学、桃山学院大学、関西学院大学、筑波大学、早稲田大学と、5つの大学に勤務されましが、この日は、大学院での教育をご担当された関西学院大学以降の教え子たちが集まりました。また、鳥越先生といえば「生活環境主義」ということになりますが、その最初の著書である『水と人の環境史』(御茶の水書房)が出版された頃の研究仲間の皆さん、そして筑波大学や早稲田大学の親しい同僚の方たちが集まりました。

▪︎「生活環境主義」のお仲間のお1人は、昨年まで滋賀県知事であった嘉田由紀子さんです。個人的な考えですが、30数年前、嘉田さんが鳥越先生に琵琶湖の環境問題に関して相談をして一緒に研究を始めることがなければ、「生活環境主義」は生まれていなかったのではないかと思います。この日集まった多くの教え子の皆さんも、鳥越先生のもとで環境社会学を学ぶことはなかったでしょう。そうなると、それぞれの人生は、もっと別のものになっていただろうと思います。さらに、日本の環境社会学ももっと違う展開になっていたかもしれません。私自身も、おそらくは環境の研究をしていなかっただろうと思います。私は、この日集まった教え子のなかでは最初の頃の教え子になります。一番若い方は、早稲田大学のFさんです。最近、修士論文を提出して学位を取得できることになった方です。教え子とはいっても、私とは一世代ほどのひらきがあります。

▪︎この日の様子を、嘉田さんがfacebookに記事をアップされているのでご本人の承諾を得て、写真と文章を転載させていただくことにいたします。嘉田さん、ありがとうございました。以下が、嘉田さんの投稿です。最後に私の名前が出てきますが、この日の私の役割は司会でした。この会の準備にあたってきたしっかり者の後輩からは、「会の準備を何も手伝っていないのだから、脇田さんはご飯を食べずに司会をしてください」と言われたのです。

「鳥越晧之先生を囲む会」、2月15日午後、東京で開催。

いわゆる「退官記念祝賀会」ですが、形式ばった会にはして欲しくないというご本人の強い希望で、関西学院大学、筑波大学、早稲田大学という、3つの大学の大学院の「環境社会学」や「社会学」の教え子を中心に、集まりました。

全員が一言ずつ「鳥越先生からの心に残った言葉」として、それぞれの学生の苦しいとき、迷った時に、ふわっと「それはたいしたことないよ」と軽く支え、また時には「私を信用しなさい」と重く支え、時として、体力が落ちていそうな学生の下宿に食べ物を差し入れしたり、時として、見込みのありそうな学生には崖っぷちまで追い込んで実力を引っ張り出したり、というようなやりとりを披露下さいました。

私自身、かなり深く鳥越イズムにはまった人間ですが、今日の教え子さんたちの言葉をきいて、見事な指導というにはもったいないほどの人間味あふれるやりとりに感動しました。これも、柳田國男以来の日本民俗学、本居宣長にたどる国学や、有賀喜左エ門などから広がる日本社会学の長い、深い系譜に根ざし、かつ沖縄、ハワイ、モンゴルなど海外の現地研究も取り込みながらの学識ゆえ、と感じ入りました。

振り返ってみれば、琵琶湖研究所が滋賀県立で開所されて直後の1982年の「湖畔集落研究会」からはじまった鳥越さんをリーダーとする地道な環境社会学研究があったからこそ、「生活環境主義」という領域をひらき環境政策にも応用できました。環境研究に「居住者の視点・住民の視点」を明示化できた琵琶湖政策にとっての恩人でもあります。

でも鳥越イズムの根っこは「それおもろいか?」「遊べるか?」という知的好奇心だ、というも今日のみなさんの共通理解だったようです。
鳥越さん、この4月からは、関西の大学でまた次世代育てに関わって下さいます。ますますお元気でご活躍ください。
脇田さん、全体進行、ご苦労さまでした!

▪︎先月、鳥越先生の最終講義が早稲田大学で開催されました。先生の話しぶりは、いつものように笑顔と柔らかな雰囲気ではありましたが、私自身はその背後にある重いメッセージを受け取りました。そして、嘉田さんの投稿にもありますが、昨日、若い教え子の皆さんのスピーチをお聞きしたとき、かつて鳥越先生から厳しく指導された当時のことを改めて省みることになり、身が引き締まる思いがしました。

▪︎32年前、関西学院大学の社会学部の校舎2階にある「合同研究室」のコピー機の前で、鳥越先生から言われたことを今でも思い出します。「脇田くん、今のままではダメだから、私のところにいらっしゃい」と声をかけてくださいました。先生はまだお若く(41歳)、大学院は担当されていませんでしたが、京大大学院の農業経済を学ぶ院生なども関学に呼んで、農村社会学に関して、個人的にゼミをされていたのです。また、『水と人の環境史』を出版されたばかりの頃でした。現在、先生は日本社会学会の会長であり、様々な学会の役職をつとめてこられましたが、当時は新進気鋭の若々しい環境社会学者だったように思います。日本の社会学のなかに、環境社会学会が誕生する少し前のことでもありました。そのような研究者として勢いのある先生から指導を受けることができたこと、私にとってはとても幸せなことでもありました。いつか、修行時代のことをもう少し詳しく書くことになるかもしれません。

▪︎「鳥越先生を囲む会」のことに戻りましょう。昨日は、参加者の誰もが、とても良い雰囲気の会だと言っていました。いわゆる「学閥的」なものがなかったからです。先生と教え子や仲間の皆さんとの、純粋に学問を通した関係と先生への感謝の気持ちが基盤になっているからです。鳥越先生は70歳になられました。早稲田を退職されたあとは、ご自身の研究に専念されるのかなと思っていましたが、どうもそうではないようです。これも嘉田さんの投稿のなかに書いてありますが、関西のある大学に異動されます。こんどは、学生を直接的に教育されるのではなく、大学経営という重責を担われるようです。

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20150216torigoe4.jpg▪︎写真についても、少し説明をしておきましょう。トップの集合写真。鳥越先生の教え子以外の方たちについて少しご紹介しておきましょう。中央の鳥越先生の向かって右側。嘉田由紀子さん、桜井厚さん、松田素二さん、秋津元輝さん。向かって左側は、古川彰さん、好井裕明さん、柏雅之さん、ひとりおいて松村和則さん。

▪︎すぐ上左の写真。鳥越先生、嘉田由紀子さん、松田素二さん、古川彰さん。上右の写真、スピーチをされる鳥越先生。左の写真は、会場のホテルから見えた庭園。大隈庭園です。大隈重信の邸宅があった場所です。

記録映画「鳥の道を越えて」


▪︎朝日新聞には「ひと」という欄があります。15日は、「ふるさとの鳥猟文化を記録する映画を撮った」今井友樹さんが紹介されていました。今井さんの故郷は、岐阜県の東白川村です。東白川村のある東濃地域(岐阜県の東の地域)では、鳥の群れをおとりで呼び寄せる「カスミ網猟」が古くから伝わっています。もちろん、現在では違法です。今井さんは、消えてしまった「カスミ網猟」に関する記録映画「鳥の道を超えて」を撮りました。その作品が、昨年のキネマ旬報ベストテンの文化映画作品賞に選ばれたようです。

▪︎私も、年に数回、岐阜県の東濃地方に行きます。私のばあいは、中津川市です。この土地の人たちからは、しばしば鳥猟の事を聞いてきました。そういうこともあって、今日の「ひと」の記事を読んでちょっと興奮しました。記事のなかに、「風土に根付いた庶民の生活文化を記録することが、日本の未来につながると確信した」とありました。その通りだとおもいます。この記録映画「鳥の道を超えて」、どこかで観ることができればいいなと思います。

長編ドキュメンタリー「鳥の道を超えて」

【追記】関連情報です。
北陸地方における鳥猟文化の変遷に関する研究
農、漁、猟- 生活者にとっての本業とは何か? 水田漁撈とカモ猟からみる生業と自然の関係

Sony、ラニング用ヘッドホン「Smart B-Trainer」


▪︎これは、気になりますね。

ソニー、ランニングのログ計測と音楽再生が可能なヘッドホン型端末「Smart B-Trainer」

『SSE-BTR1』は、6種類のセンサー (心拍、加速度、GPS、コンパス、ジャイロ、気圧)を内蔵し、11種類のランニングログ
(心拍数、消費カロリー、距離、時間、スピード、ペース、ピッチ、歩数、ストライド、走行ルート、高度)を計測・記録する。
 
 内蔵メモリーには最大約3,900曲の楽曲を転送でき、スマートフォンなど複数のデバイスを身に着けずに、これ1台で
「シンプルでスタイリッシュ」にランニングログの計測とトレーニングに適した音楽再生を実現する。

 心拍数をリアルタイムに計測するため、事前に設定したユーザープロファイルと目標心拍数をもとに、その時のランナーの
状況に応じた最適なテンポの楽曲を自動選曲、再生することで「楽しく効率的」にトレーニングをサポートするという。

 また、アプリ『Smart B-Trainer for running』で、ダイエットや体力づくり、レースへの参加など目的やレベルに応じた
トレーニングメニューを設定し、最適なプランを簡単に立てることができる。トレーニングメニュー選択後、デバイスに
Bluetoothで転送して、すぐにトレーニングを開始できるという。

【追記】▪︎「iPhone6 plus」に変更し、大きくなったため、これまで走るさいに使用していたランニング用にウエストポーチでは入らなくなってしまいました。ということで探したところ、mont-bellというメーカーが素敵なものを販売されていました。以下のブログ記事に丁寧に紹介されています。
iPhone 6 Plus が入るモンベルのクロスランナーポーチ M

Know your food, change the world. | Hiroyuki Takahashi | TEDxTohoku


▪︎「都会人に欠けている”共感力”とは? 食べ物付きの月刊誌『東北食べる通信』が伝えたいこと」。高橋博之さん。彼の強い思いが伝わってきます。

私たちが毎日食べているお米。これを作っている生産者が困っているんですから、決して他人事ではいられないはずです。だけれども、どうしてこうも他人事になってしまうのでしょうか。

それは、困っている農家の具体的な顔が思い浮かばないからだと思います。もしも顔が思い浮かぶ農家が知り合いにいたら、決して他人事ではいられないのではないでしょうか。その相手との関係性が「共感力」を育むのです。

消費者と生産者が大きな流通システムで分断されてしまったこの国で、私たち消費者が得られる食べ物の情報は、値段、見た目、食味、カロリーなど、全て消費領域の話です。もちろん食べ物を選ぶ上でこれらの情報も大事なわけですが、決定的に欠けている情報があります。それが食べ物の裏側にいる、血の通った人間の存在です。……

都会人に欠けている”共感力”とは? 食べ物付きの月刊誌『東北食べる通信』が伝えたいこと

甲賀市の小佐治を訪問

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▪︎先週の水曜日(2月11日)、総合地球環境学研究所の奥田昇さんと一緒に、滋賀県甲賀市の小佐治集落にある「甲賀もちふる里館」を訪れました。奥田さんがリーダー、私がコアメンバーの1人として取り組んでいるプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」について相談をするためです。小佐治集落からは、環境保全部会の皆さん、小佐治集落の区長さんがご出席くださいました。小佐治集落は、滋賀県庁や滋賀県立琵琶湖博物館の支援のもと、「世代をつなぐ農村まるごと保全向上対策」のための事業に取り組んでいます。そのような関係もあり、この日は、滋賀県庁農林水産部農村振興課の職員や琵琶湖博物館の学芸員の方たちもご参加くださいました。

20150213kosaji2.jpg ▪︎小佐治では、水田の内部に水田内水路を設けて、年間を通じて生き物が生息できる場所を提供しています。生き物が生息できるということは、安心・安全な農産物を生産している水田でもあるということの証明にもなります。現在、そのような水田では、メダカが繁殖して藻のなかで越冬していることが確認されています。小佐治も含めた甲賀市の農村地域の水田は、「ズリンコ」と土地の人びとが呼ぶ古琵琶湖層群の粘土でできています。きめが細かいため、水田から水を抜くことが難しい土質なのです。この湿田に苦労されてきました。小佐治では、そのような性質をもつ水田の内側に水路をつくり、塩ビのパイプ等を設置し、生き物の生息場所をつくってきたのです。その効果は生き物だけでなく、作付け面積が減るものの水田内の水位調整が容易になり湿田が解消することにもなりました。右の写真は、そのズリンコです。ズリンコのなかにあるのは、淡水貝の化石です。ここがかつて琵琶湖の底であったことがご理解いただけるとおもいます。

20150214kosaji3.jpg▪︎このような小佐治の生き物を賑わいを育む取り組みは、村の活性化にもつながっています。メダカが繁殖した水田で生産した米は、「めだかのいる田んぼの米」(メダカ米)として販売されています。販売されているのは、集落のなかに設けられた農村レストラン&直売所の「甲賀もちふる里館」です。さきほど「ズリンコ」について説明しました。たしかに「ズリンコ」は農作業が大変です。しかし、この粘土のなかにはケイ酸カリやマグネシウムが豊富に含まれており、稲やもち米が強く育つのです。小佐治では、そのような地域の環境特性を活かして、村づくりの活動にも取り組んでおられるのです。

▪︎さて、私たちの総合地球環境学研究所のプロジェクトでは、この小佐治の生き物のにぎわいづくりを通した村づくりの活動を、プロジェクトの研究調査を進めることのなかで応援させていただければと思っています。少しずつ相談を進めてきました。具体的な計画の詰めはこれからということになりますが、いよいよこの春から「超学際(トランスディシプリナリティ) 」的取り組みが始まります。

しばらく更新できませんでした…


▪︎ブログの更新、しばらくお休みしていました。いろいろ、盛りだくさんで、精神的にも疲れてしまい、更新する気力が湧いてきませんでした。毎日、覗いてくでさっている皆様、申し訳ありませんでした。ちょっと気持ちをハイにするために、「Stand By Me」をアップします。

▪︎今後のエントリーの予定ですが、2月7日・8日に、中津川市にまちづくりのお手伝いに行きました。その時のことも、アップしたいと思います。まだ、完成させていない「本文続きます」のエントリーもありますね…。なかなか厳しいですが、頑張ります。

「北船路米づくり研究会」の研修

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20150205komeken2.jpg20150205komeken3.jpg
20150205komeken4.jpg▪︎2月1日に、「北船路米づくり研究会」の研修会が開催されました。場所は、私たちの活動している集落・北船路のお隣り、南船路にある「BSCウォータースポーツセンセター」です。研修会では、「BSCウォータースポーツセンター」の 井上校長から、今年の夏に開設される和邇の道の駅「妹子の郷」についてご説明いただくとともに、この道の駅を拠点として、この地域を活性化していくための課題について、いろいろご教示いただきました。井上校長は、「妹子の郷」の指定管理者である志賀観光協会の会員で、夏の開業に向けて準備にあたっておられるのです。井上校長の講義のあとは、研究会の顧問である吹野藤代次さんからも、丁寧にご説明いただきました。

▪︎お2人からの講義と説明のあとは、「妹子の郷」をどう盛り上げていくのか…ということをテーマにワークショップを開催しました。また、ワークショップのあとは、それぞれのグループの議論の成果を発表しました。井上校長からは、講評をいただきました。研修にあとは、お世話になっている「農事組合法人北船路福谷の郷」の組合長にもご参加いただき、交流会を行いました。この研修会を境に、4年生は「北船路米づくり研究会」から引退することになります。3年生の皆さん、4月から新しく配属になる後輩のゼミ生をうまく指導して、研究会の活動を盛り上げていってください。
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2014年度脇田ゼミ「卒論発表会」

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▪︎恒例の「卒論発表会」、2月3日に無事終了しました。今年は、例年と比較して、卒論指導に苦労しました。例年も苦労していますが、さらに大変だったという気がします。信じていただけるかどうかわかりませんが、卒論指導は体力勝負のところがあります。

▪︎私のゼミは、一人一人がフィールドワークをする約束になっています。ところが、就職活動が長引いたり、知らない人に会いにいくことがかなりブレッシャーになるのか、なかなかフィールドワークにいけないのです。困りました。フィールドワークの結果を、一人一人面談をして報告してもらうことも丁寧にやってきました。そこで、いろいろ質問をしたり、アドバイスをしたりするのです。そして、またフィールドワークにむかわせるわけです。しかし、私自身が歳をとってきたこともあり、大学のいわゆる学内行政の仕事も多く、以前のように学生の指導にたくさんの時間を割くこともできません。面談の設定にも、とても苦労しました。

▪︎さらに、書き上げた原稿を添削することにも、かなり体力を使いました。もっと早く提出してくれれば、私も余裕をもって添削することができますが、年末から正月にかけて集中されると…非常に辛いものがありました(これは、例年のことではありますが…)。本当は、11月末に第一次草稿を提出する約束になっていたのに…。学外の方からは、「どうしてそんなに甘やかすのですか。そういう学生は自分が悪いのだから、留年させるべきです」というご意見もいただきますが、11月末に第一次草稿提出というのはゼミ内の約束事であり、学部で決められた締め切りには間に合っているわけですから、そういうわけにもいきません。私自身はきちんと卒業させることが、私の仕事ですから。まあ、とにかく、次のゼミ生からは、またやり方を変えなければなりません。

▪︎以下が、脇田ゼミ10期生の卒業論文の題目です。

磯部大輔:「『株式会社黒壁』のまちづくりにみるネットワーク構築-『長浜人の地の酒プロジェクト』の事例をもとに-」
上田麻央:「地域活性化事業におけるネットワーク課題-京都府向日市の『京都激辛商店街』を事例に-」
梅村実:「地方鉄道と沿線コミュニティの相互アプローチ-京阪大津線の事例をもとに-」
河野佑城:「体験型観光における地域住民の役割-『南紀州ほんまもん体験』の事例をもとに-」
齊藤翔太:「高齢者を支える地域コミュニティの取組見-滋賀県-東近江市永源寺地区『生活支援サポート絆』の事例をもとに」
坂上寛至:「総合地域スポーツクラブが果たす役割-『くさつ健・交クラブ』をもとに-」
坪井佑馬:「企業による地域貢献のあり方」
竹内健治:「平成の大合併と地域スポーツイベント-『琵琶湖ジョギングコンサート』の事例をもとに-」
靍井志帆:「大阪市旭区千林商店街『1000ピースプロジェクト』にみる商店街活性化-まちのファンを増やし、商店街の賑わいづくりへつなげる取組み-」
寺瀬誠晃:「世界農業遺産が地域の将来にもたらす可能性-世界農業遺産『能登の里山里海』を事例に-」
冨田祥代:「生活改善グループ・直売所での活動に見る農家女性のエンバワーメント-大阪府茨木市見山地区の事例をもとに-」
鳥居俊克:「草津市中心市街地における活性化への取組み」
光定大輔:「『北之庄沢を守る会』による環境保全活動について-滋賀県近江八幡市北之庄町の活動を事例に-」
柳原亮一:「農産物直売所のコミュニケーションについて」
山科成矢:「阪神尼崎駅前商店街の振興と新たな事業戦略-「株式会社TMO尼崎」の活動をもとに-」
吉永涼:「子どもの活動団体がもたらす地域への効果-滋賀県高島市の事例をもとに-」

▪︎昨年の卒論発表会のエントリーに、こういうことを書きました。

私はゼミ運営の最終的な目標を、「ここまでやったぞ!」と自分で納得のいく卒業論文を執筆し、自信をもって卒業していくことにおいています。ですから、卒論指導は時間をかけて丁寧におこないます。個別面談を重視します。また、どのようなテーマであるにしろ、フィールドワークにもとづく実証的な事例研究(ケーススタディ)により卒業論文を執筆してもらうことにしています。もちろん、個別面談を通して指導・支援しますが、基本的には、自分自身の力で調査をしなくてはいけません。必然的に、ゼミ生にとっては、卒論は「大きな壁」になります。この「大きな壁」を乗り越えてもらうことで、各自に成長してもらうことが私の卒論指導のねらいのひとつでもあります。

▪︎今年の4年生は、卒論の調査と執筆で、どこまで頑張ることができたかな…と一人一人の顔を思い浮かべています。卒論の評価は、あらかじめ提示してある基準にもとづき粛々と行いますが、成長のプロセスは人それぞれです。そつなく要領よく卒論を書き上げたとしても、本気になって取り組み「ここまでやったぞ!」という確信をもつことができていないのであれば、私としてはとても残念としか言いようがありません。学生の指導って難しいですね。

▪︎卒論の題目の多くが、地域再生、地域活性化に関するものです。全員、フィールドワークのさいには、何人もの方達に丁寧にお話しを伺わせていただています。卒論のためにやってくる学生を一人一人に対して、地域の皆さんは、どうしてそこまで丁寧に話しをしてくださるのか。丁寧に対応してくださるのか。もう一度、しっかり考えてみてほしいと思います。卒論発表会の最初と最後には、このようなことも含めて、私からの「最後の話し」をしました。次に4年生と会うのは、卒業室の日になります。卒業式の日には、ほとんど話しをしている時間がないからです。はたして、教員である私の思いが伝わったでしょうか。

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