『流域ガバナンス-地域の「しあわせ」と流域の「健全性」-』の書評

20210901ringyoukeizai.png ■昨年末に、参加していた総合地球環境学研究所のプロジェクトの成果が、『流域ガバナンス-地域の「しあわせ」と流域の「健全性」-』(京都大学学術出版会)として出版されました。最近、この書籍の書評が出ました。『林業経済』(vol.74-No.5号)で、岐阜県職員の中村幹広さんに書評いただきました。

■『林業経済』は、林学や林業の専門家のための専門的な学術雑誌です。どうしてそのような学術雑誌が、なぜ私たちの流域ガバナンスに関する書籍を書評してくださったのか、そのあたりの事情については、私たちはよくわかっていません。本当に、なぜなんだろう…。この学術雑誌を出している林業経済研究所の所長である土屋俊幸さんにもお尋ねしてみましたが、よくわかりませんでした。土屋さんが所長に就任されたのは今年の4月からで、この書籍が選ばれた事情についてはよくわからないとのことでした(土屋さんとは、長年に渡り親しくさせていただいています)。あえて理由をお尋ねすること自体、イレギュラーな(あるいは失礼…)ことなのかもしれませんが、素朴に知りたいなと思ったのです。その理由はわかりませんが、わざわざ書評すべき書籍として選んでくださった編集委員会の皆様には、心より感謝申しあげます。

流域ガバナンス_装丁_1203入稿ol ■もちろんのことですが、書評してくださった中村さんにも心より感謝申し上げます。すでに中村さんには、ご執筆いただいた書評の原稿を読ませていただきました。非常に丁寧にお読みいただいたことがわかりました。私たちの研究の特徴や強みについてだけでなく、弱点についても丁寧にご指摘いただいています。いろんなタイプの書評がありますが、中村さんの書評は、編者である私にとって大変ありがたいものでした。中村さんが、特定の狭い個別・学術的な土俵からではなく、様々な要因の錯綜する現場で活躍し思考されている実務家の立場から適切な書評をお書きいただいたことに心よりお礼を申し上げます。

■『林業経済』を出版している林業経済研究所の所長である土屋さんからは、編集後記にこんなことを書きましたよと、写真を送っていただきました。その一部を紹介いたします。

大津の友人は、社会学、特に環境社会学を専門とする研究者であり地域活動の実践者なのだが、私は彼のこの感想を聞いて大変誇らしかった。常識的に言えば、「林業」「経済」を関する専門学術雑誌が、森林よりも広い空間概念である「流域」を対象にし、自然科学系の議論も多く含み、超学際的研究を標榜するこの本を書評の対象として選ぶことはほとんど考えなれないだろうし、細分化された研究領域内の固有のルールに基づいて書かれる学術書とは異なり、おそらく真面目な若手の研究者たちには手も足も出ないような、非常に難しい書評を、現場の行政を担当する方に依頼する編集委員会も太っ腹であるし、それに応えて堂々と、現場の視点と客観的な視点を併わせ持った論稿をものにする評者もすごいのではなかろうか。

■私たちの『流域ガバナンス』、学術書であることからけっこうな価格になっています。なかなか購入して読もうという気になれないかもしれませんが、大学の図書館や公立図書館で手にとっていただければ幸いです。ちなみに、龍谷大学の瀬田キャンパス図書館本館2階の開架に配架されています。滋賀県立図書館にもあります。滋賀資料コーナーと水資料コーナーに配架されています。どうぞ、よろしくお願いいたします。

龍谷ミュージアム秋季特別展「アジアの女神たち」

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20210829ryukokumuseum2.png■龍谷ミュージアムでは、秋季特別展として「アジアの女神たち」を開催するとのことです。期間は、9月18日〜11月23日まで。以下は、公式サイトからの引用です。

ミュージアムの語源である古代ギリシャの「ムセイオン」は、もともとは芸術を司る女神(ムーサ、ミューズ)たちを祀る神殿でした。
本展では、女神たちを祀る神殿というミュージアムの当初の役割に立ち返り、アジア各地で深く信仰された女神たちを紹介します。
豊饒・多産のシンボルとして、あるいは音楽・文芸・吉祥などを司る存在として、さらには残虐な戦闘のシンボルとして、多様な願いを託された女神たちの姿をご覧ください。

■私は、この特別展の最後、「第5章 第5章 観音になった女神」に一番関心を持っています。この展示は、「男性であった観音が、女性的な変容を遂げる流れを見ていきます」と解説されています。思い起こせば、世界史の教科書等に登場するガンダーラの観音は男性なのですが、中国に伝わるとどういうわけか女性っぽく変化していきます。なぜなんだろうな〜とずっと思っていました。絶対に行きたいんですけど、コロナ感染はどうなっていくのか…、行けるのかな…。心配です。

地域が閉店したスーパーを再生させた

■今朝、facebookをみていると、東近江市役所の職員で、公益財団法人東近江三方よし基金の常務理事をされている山口美知子さんの投稿が目に飛び込んできました。本当に、そんな感じでした。

■閉店した地区唯一のスーパーを、地域有志の方達が寄付を集め合同会社を設立して再生させたというお話しです。地区唯一のスーパー、こういうスーパーって、ある意味、地域の重要なインフラだと思います。都会に暮らしていると、この辺りのこと、よくわからないかも知れませんが、地方で車の運転が難しくなってきた高齢者にとっては、特に身近なスーパーの存在は生活していく上で不可欠の存在です。山口さんの投稿を読んで、そういう地域のインフラを「自分たちの力で守らなくちゃ」と思われた方達が複数居られたというところがとても重要だなと思うのです。なんというか、希望を感じます。人口減少・高齢化の中でも、「共助の知恵と力」で地域社会を守っていくこうとする大変素晴らしい取り組みだと思います。以下は、京都新聞と中日新聞の記事です。
閉店した地区唯一のスーパー再生の試み 寄付集め合同会社を設立した住民らの思い
スーパー再生、住民の力で 東近江・哀東に「i・mart」開店

■両方の記事の中に、地域おこし協力隊の中村泰己さんという方のお名前が出てきます。京都新聞では、「東京都内の高齢化が進む団地でまちづくりに関わり、6月から地域おこし協力隊として愛東地区に着任した中村泰己さん(25)も運営に携わる」とあります。私自身は、まだ、中村さんにはお会いしたことがありませんが、私のゼミの卒業生も、この都内の団地でまちづくりに関わっていて、中村さんとも知り合いでした。中村さんが滋賀に赴任される前に「こういう人が滋賀に行きますよ」と教えてもらっていたのでした。だから、記事を見てちょっとびっくりです。

■さて、facebookのコメント欄で、山口さんに以下のようなコメントを書きました。

このような事例が、他の地域の皆さんにも元気を与えてくれると良いですね。「やれば、できる」って有効性感覚を醸成することになれば。出来上がった仕組みだけではなくて、プロセスが大切ですね。志を持ったキーパーソンとなる人たちによるネットワークがどのように生まれて、そのネットワークを基盤に、どのような組織を作り、資金を調達するためのアイデアがどこから生まれ…そういうプロセスを知りたいなと思いました。

■すると、山口さんからは以下のような返信をいただきました。

脇田 健一 さま、ありがとうございます。愛東の場合は、既にその成功体験を持つ方々が複数おられ、その方々が中心になって、すぐに行動に移されました。当初から資金が必要なことはわかっていたので、ずっと相談に乗っておりました。また、店として成功させるには「みんなの店」にすることを提案しました(当初よりそのつもりをされていました)。当基金以外の助成申請は通らず、三度目の正直が当基金への申請でした。ただ、それだけでは足りないこともわかっていたので、融資や寄付、社会的投資(今回はまだ投資はないですが)の組み合わせも提案してきました。湖東信金さんが協力してくださったのは大きいです。ほんとにプロセス大事ですし、強い動機を持った人が複数いることとつながっていることが地域づくりでは最も重要ですね。

■さまざまなまちづくり活動で成功体験を持つ複数のキーパーソン(まちづくり活動への強い動機、知識やノウハウを持っている人びと)が、「スーパーの再生」という地域課題を共有し、団体を作るとともに、寄付、融資、助成金、社会的投資等の様々な手段で事業費を捻出し、スーパーの再生という事業を成功させる…、そういうプロセスから私たちは多くのことを学ぶことができるように思うのです。成功したと言われる事例の「完成図」からではなく、そこに至るまでのプロセスにこそ大切なポイントがたくさん埋まっているはずです。山口さんが常務理事として関わっておられる公益財団法人東近江三方よし基金は、活動へ助成金を出すだけでなく、そのプロセスをサポートしようとされていました。このような、より専門的な立場からの支援も含めて、事業が展開していくプロセスをきちんと学ぶべきなのかなと思います。

「奈良博三昧」

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■先日の日曜日に、吹奏楽コンクール関西大会が、奈良文化会館で開催されました。コンクール当日、朝が速いので、前日から宿泊することにしました。そして、せっかく奈良に行くのだからと、奈良国立博物館の特別展「奈良博三昧」を観覧することにしました。展示品の中に、鬼をやっつける神々が描かれていました。平安末期から鎌倉初期にかけての作品のようです。

■上から順番に、「神虫」、「鍾馗」、「天刑星」です。いずれの神様も迫力があります。「神虫」の強さは半端ないですね。「鍾馗」は少しメキシコっぽいな〜。「天刑星」は鬼を酢につけてボリボリ食べています。こういう作品をみると、新型コロナ(=現代の鬼)をやっつけてくれる神様に登場してほしいという気持ちになります。平安時代の人々の気持ちがよく理解できます。今回の展覧会は、写真OKなので撮影させてもらいました。

■吹奏楽コンクールで奈良に行くついででしたが、良かったです。皆さんもぜひ…とお勧めしたいところですが、簡単に出かけるわけにいきませんね。残念だけど、不要不急と思います。
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特別展「奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―」では写真撮影が可能です

「びわ湖の日 チャレンジ100地点環境DNA調査」に参加しました。

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■今日は朝5時に起床。6時半過ぎに自宅を出発しました。龍谷大学生物多様性科学研究センターと滋賀県が実施する「びわ湖の日 チャレンジ100地点環境DNA調査」に、NPO法人「琵琶故知新」として参加するためです。私は生物多様性科学研究センターのメンバーでもあるのですが、今日は大学教員ではなくNPOとしての参加です。

■すでに琵琶湖の周囲で様々な団体が、琵琶湖の周囲100箇所を分担して採水しています。「琵琶故知新」は、理事長の私と会員(家族)の2人で、大津市内の10箇所、粟津のなぎさ公園からスタートして、堅田の手前にある衣川湖岸緑地までの10箇所で、500ccの採水を行いました。500ccの水の中に漂う非常に細かな魚のDNAの断片を分析することで、それぞれの地域にどのような種類の魚がいるのかがわかるのです。採取したサンプルは、昼前に宅配のクール便で「生物多様性科学研究センター」に送りました。宅配便を送るともう昼前でした。還暦超えのおじいさん、思った以上に時間がかかりました。
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■採水にあたっては、きちんとしたマニュアルがあります。いわゆる参加型調査であることから、特に訓練を受けた人でなくとも採水はできるのです。が、私は果たしてうまく採水できているのか、なんとなく不安です。初めての経験ですから…。とはいえ、他の団体の皆さんと一緒に集めたデータから、琵琶湖の生物多様性に関して、どのような結果が浮かび上がってくるのか、とても楽しみにしています。

■今日の採水についてもうひとつ。大津の中心市街地での採水は、湖岸の公園ですから簡単にできます。しかし、10箇所のうち半分の5箇所は、地域の方達にご協力いただき車を停車させなければなりませんでした。もちろん、琵琶湖の西側である湖西は、湖岸ギリギリまで私有地であることが多いからです。生物多様性科学センターのスタッフが事前にお願いをしてくださっていたこともあり、皆さん、快く採水を受け入れてくださいました。本当に、ありがとうございました。

「びわ湖の日 チャレンジ100地点環境DNA調査」

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20210821biwako1.jpg■昨晩、荷物が届きました。龍谷大学の生物多様性科学研究センターからでした。中身は、「びわ湖の日 チャレンジ100地点環境DNA調査」の採水キット。これは、生物多様性科学研究センターと滋賀県が主催する参加型調査なのです。琵琶湖の環境や生き物に関わる様々な団体が、琵琶湖の湖岸100地点で採水を行います(現在進行形)。この水の中に漂っている非常に微細なDNAの断片(もちろん目には見えない…)を専用の分析機器で調べると、そこにどのような魚が生息しているのかわかるのです。どうです、すごいでしょう。

■私は、生物多様性科学研究センターのメンバーでもあります。でも今回は、特定非営利活動法人「琵琶故知新」のメンバー、理事長として参加します。私が採水する地点は、大津の街中から堅田の手前までの10地点。私はただの環境社会学者なので、こういった自然科学的調査を自らの手でやったことがありません(手伝ったことはありますが…)。ちょっと緊張しますが、楽しむことにしようと思います。

■今は明日開催される「吹奏楽コンクール関西大会」のことで、頭も気持ちもいっぱいなので、明日、帰宅してから頭を切り替えてしっかり予習をします。そして確実に採水を行おうと思います。

■集まった水は生物多様性研究センターできちんと分析されます。そして、秋に開催されるイベントで報告される予定になっています。①地域の様々な環境団体が、身近な環境保全活動を促進させていくために、この環境DNA情報をうまく活用できる、また、②それぞれの地域の環境DNA情報を持ち寄ることで、個別の団体だけではできない琵琶湖の生物多様性の状況を知ることができる、この辺りに参加型調査の醍醐味があります。

■さて、最後の写真は保冷剤です。ここにはこんな注意書きが。「袋のまま冷凍庫で冷やし、発泡スチロール箱に入れる際に袋から出して使用してください(冷凍庫内でのDNA付着防止のため)」と書いたシールが貼ってあります。そうなんです。DNAの断片は、水中だけでなく、身の回りのあちこちに散らばっているのです。それが混じると正確な調査ができないのです。この辺り気を使いますね。

■「吹奏楽コンクール関西大会」、「びわ湖の日 チャレンジ100地点環境DNA調査」のあとは、琵琶湖博物館の学芸員の先生方による「びわ湖・滋賀学」のコーディネーター。そしてその次は「環境社会学の本」(シリーズ環境社会学講座)」の編集会議、地域連携型教育プログラム「地域エンパワねっと・中央」の「あつまれ!みんなで作る絵本館」のサポート、後期の講義「現場主義入門」と「環境社会学」の準備…と、老体に鞭打って頑張ります。もちろん、同時に楽しんでいますけどね。

ビワコオオナマズの産卵と琵琶湖の水位

■以下は、滋賀県立琵琶湖博物館の学芸員をされている金尾滋史さんがfacebookに投稿されたものです。ビワコオオナマズの産卵と、琵琶湖の水位に関して述べておられます。シェアさせていただきます。いつも思いますが、金尾さん、すごいですね〜。普段からフィールドを丹念に観察しているからこそ、このような写真も撮れるんでしょうね。

梅雨前線と照葉樹林帯

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■これは、先週の土曜日、14日の降雨の状況と天気図です。上は「CLIME」という天候予報アプリによる、お昼過ぎの画像です。ネパールのあたりから、帯のように日本列島まで雨が降っていることがわかります。下は、気象庁の天気図です。 太平洋とオホーツク海の高気圧に挟まれるように日本付近に前線が延びています。8月なのに梅雨のような天気が続いているのは、この梅雨の頃に現れるような前線のせいです。天気図では前線は中国で切れているようですが、実際に雨雲はずっと続いています。「CLIME」の画像でも分かるように、ヒマラヤ山脈の南側にあるネパールとブータン、それからビルマ北部、雲南省、中国内陸にある重慶や武漢、上海、台湾、そして最後は日本列島(西日本)に伸びています。

■この辺りのことを、2013年にお亡くなりになった民族学者(文化人類学者)佐々木高明さん中心とした研究グループの皆さんは、照葉樹林帯文化圏と呼んでいました。1970年代のことかなと思います。この地域には共通する文化が多く、日本で確認されるそれらの文化は共通の起源から伝播してきたのではないか…とする考え方です。今では、いろいろ批判もあり、この考え方を積極的に継承する人はいないのではないかと思いますが、学説史的にはいつまでも記憶される研究なのではないかと思います。

■私は、その佐々木高明さんに一度だけお会いしたことがあります。国立民族学博物館で開催された研究会だったかシンポジウムだったか、忘れてしまいましたが、そこでアルバイトをした時のことです。アルバイトの内容は、発言者のマイクのスイッチを入れたり切ったりする仕事だったように記憶しています。佐々木高明さん、網野善彦さん、小山修三さん、石井進さん、大林太良さん、春成秀爾さん…、民族学、考古学、歴史学の世界でよく名前の知られた著名な研究者が集まっておられました。ミーハーですが、網野善彦さんのことを「めっちゃ、かっこいい」と思いました。1980年代の中頃のことです。懐かしい。いろんなことが、どんどん懐かしい話になっていきます。すみません、ちょっと脇道にそれてしまいました。

■さて、今回の豪雨では、私の住んでいる大津でもあちこちで小さな被害が発生しました。冠水したり、道路が土砂崩れで通行止めになったりしました。まだ、国道1号線は普通だと思います。私自身は、コロナのこともあり、夏期休暇中でも他所に出かけたりせずに自宅にいる生活をしています。ですから、困ったことはないのですが、あちこちに被害が出ているとの報道に驚きました。おそらく、これからは毎年のようにこういった「これまでにない豪雨」が続くのでしょうね。大変憂鬱になります。

■琵琶湖の水位も、急激に上がりました。13日には-30cmだったわけですが、15日には30cmを超えるようになりました。3日ほどで一気に60cmも水位が上昇したわけです。というわけで、水位操作のルールに従い、琵琶湖の水位を下げるために、琵琶湖の水の唯一の出口である瀬田川洗堰を全開にしました。琵琶湖の水害は、河川が決壊したり、溢れたりすることによる水害だけでなく、琵琶湖の水位が上昇し湖岸の地域が水没する浸水被害もあります。そして、滋賀県内だけでなく、もちろん下流の地域のことも考えながら、総合的に管理を行なっています。気候変動の中で、このような仕組みだけで、どこまで通用するでしょうね。おそらく、ダムや堤防だけでなく、どこかで水を溢れさせる場所をあえて作る「流域治水」の考え方に基づき、流域単位で検討することが必要になってくるのでしょう。

滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの評議員会

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■昨日は、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの評議員会でした。毎年、夏に、この評議員会でセンターの研究プロジェクトの成果をお聞きして、評価を行います。昨日は、朝9時から始まり16時半頃まで、一日がかりの仕事でした。いずれも自然科学的な研究プロジェクトです。私自身の専門分野は環境社会学で自然科学的研究ではありませんが、同じ琵琶湖の環境問題をテーマにしていることから、非常に勉強になります。

■私は、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの評議員会を、2012年から10年間務めてきたことになります。規定では再任したとしても「8年まで」となっているようですが、どういうわけかその8年も超えて10年務めさせていただきました。評議員も昨日までとなりました。長い間ありがとうございました。もっとも、評議員会とは別に、これからも滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの研究員の皆さんとの研究交流を続けて行ければと思います。

「第37回滋賀県ヨシ群落保全審議会」

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■朝食が遅れて昼になってもお腹が減っていなかったので、昼食抜きで昼からの仕事に出かけました。仕事を終えてホッとしたら、お腹が減ってきたので、スターバックスで遅めのオヤツを。おそらく今年最初の「抹茶フラペチーノ」になります。

■今日は、「第37回滋賀県ヨシ群落保全審議会」でした。会長させていたていただいていますが、2015年9月からですから、およそ6年に渡ってこの審議会で仕事をしてきたことになります。委員の皆さんの活発な議論や、事務局の皆さんの頑張りもあって、今日は、「滋賀県ヨシ群落保全基本計画改定」の答申案をまとめることができました。皆さんのおかげです。ありがとうございました。

■思えば、審議会であるにも関わらず、それと並行して委員の皆さんとワークショップを開催したり、事務局の皆さんと一緒にヨシ刈り等の活動をされている団体にヒアリングに回ったりしました。私自身も、いろいろ勉強させていただきました。事務局の皆さんとのディスカッションも、自分の頭の中を整理するのに役立ちました。

■基本計画の改訂では、「量から質へ」、「ヨシ群落の面積を増やしていくことから、どのように健全なヨシ群落を多様な関係者と保全していくのか」という方向に大きくパラダイムシフトすることになりました。このような方向性については、すでに審議会の議事録等で公表されていますが、具体的なことは答申が出された後に、県の方から発表されることになります。ただ、計画はあくまで計画です。この計画を土台に、それぞれに個性と特徴を持ったヨシ群落を、具体的に保全していくための事業や取り組みについて検討し、取り組んでいかねばなりません。そのような取り組みにも、できることならば、微力ながら参画・参加させていただければと思います。

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