柴静/『穹頂之下』 中国のPM2.5問題ドキュメンタリー【日本語字幕】


(画面右下の「字幕」アイコンをクリックすると、日本語字幕が出ます)
▪︎中国でものすごい注目をあびた「PM2.5問題を告発する」ドキュメンタリーです。中国国内で2月28日にネットにアップされましたが、3月7日に視聴が禁止されました。現在は、YouTubeで視ることができます。以下のブログ記事もあわせてご覧いただければよいかと思います。

PM2.5問題を告発する中国発のドキュメンタリー『穹頂之下』中国1.6億人が見たプレゼンとは?

ミツバチの本

20150326mitubachi.jpg ▪︎先日、妻の知人Uさんが、自家製の蜜(ニホンミツバチによる百花蜜)をプレゼントしてくださいました。そのことについては、少し前にエントリーしました(「蜂蜜」)。毎日、一匙ずつ、この貴重な蜂蜜を楽しんでいます。前回のエントリーの【追記】にも書きましたが、「そんなに関心があるのならば、遊びに来てもよいよ」という話しになりました。もう少し暖かくなった、時間を調整させていただき訪問しようと思っています。

▪︎そのUさんから、関心があれば読んでみてと、写真のような本を妻を通して貸していただきました。ありがとうございます。ミツバチの本です。農文協から出版されている「現代農業 特選シリーズ8 飼うぞ 増やすぞ ミツバチ」という本です。DVDもついています。以下が、その内容です。入門書のようですが、私のようなまったくの素人には、かなり詳しい内容に思えます。私自身は、ニホンミツバチや、養蜂・採蜜される方達の活動を通して、地域の自然環境のことがいろいろ見えてくるのではないのかなあと、ぼやっとそういったこと考えています。これまで、魚と地域の自然環境との関係については考えたことがありましたが、昆虫についてはあまりありませんので。

日本ミツバチと暮らし始めた福島県の小さなむら
図解 ミツバチってどんな虫?

●ミツバチを飼う
・捕まえる
本当は教えたくない 日本ミツバチの野生群を捕まえるコツ
分蜂群を呼び寄せる花 キンリョウヘン
日本ミツバチの分蜂を見た!
分蜂群の捕獲のとき便利な道具

・巣箱と飼い方
日本ミツバチ用 自慢の巣箱いろいろ
山ちゃん巣箱 スムシ・暑さ対策が簡単
か式巣箱 巣礎を使わないで巣枠でハチがなじむ
飼育届を出そう/住宅地では「糞害」にご用心
ハチを飼うときの道具
蜜源・花粉源になる花を探せ

・外敵・病気対策
ダニ・スムシ・スズメバチ・ガマガエル・チョーク病
西洋ミツバチと日本ミツバチ 混合飼育で外敵対策

●畑で働く交配バチ
さすが、ハチ飼い40年のイチゴ農家 冬場でもハウスのハチは弱らせないよ
交配バチが減る原因とその対策
交配バチを弱らせない農薬選び
果樹の受粉に日本ミツバチ リンゴ・サクランボ・カキ
ネオニコ系農薬はミツバチにこれほど影響する

●ハチのパワーで健康・美容
寝酒にどうぞ、夫婦円満間違いなし!ハチミツでミード
図解 ミツバチの健康・美容パワー
あこがれの天然化粧品 巣クズから蜜ロウクリーム
幼虫入りの巣から蜂児酒
ハチの針で膝痛を治す
外敵スズメバチで健康ドリンク

【追記】▪︎この4月に開学する農学部の教員であるFさんが、facebookで「瀬田でもやろうと思っています」と伝えてくれました。また、農学部のYさんは、「薫製機を使えるので、一緒にベーコンを作りましょう」と誘ってくれました。瀬田キャンパスは、なんだか急に「美味しいキャンパス」になってきたな〜。

“Collaborative Governance of Forests Towards Sustainable Forest Resource Utilization”

20150303inoue.jpg ▪︎Facebookで、知人の井上真さんが、ご自身の研究チームの成果をまとめられました。“Collaborative Governance of Forests Towards Sustainable Forest Resource Utilization”です。ちょっと高目の値段の専門書ですが、さっそく予約しました。東京大学出版会から出ます。この本の出版に関しては、Columbia University Press と Singapore University Press も協力しているとのことです。私たちの総合地球環境学研究所の研究プロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」は、生物多様性・栄養循環と流域の環境ガバナンスのあたりをテーマにしており、森林の井上さんたちの研究とは異なる部分があるとは思いますが、基本的な考え方のところでいろいろ学ばせていただけるのではないかと思っています。

▪︎以下は、東京大学出版会での紹介文と目次です

在地と外来の利害がせめぎ合う熱帯社会において,自然資源と社会の持続的発展を支える森林ガバナンスのために必要な条件とは何か.資源や権利を共に活用し,多様な利害を分かち合うことで,複数のアクターを取り込む包摂的アプローチとしての「協治」の可能性を探る.

主要目次
Introduction (Motomu Tanaka)

Part I: Policies, Institutions and Rights to Share:Prerequisites for Collaborative Governance
Chapter 1 Historical Typology of Collaborative Governance: Modern Forest Policy in Japan (Hiroaki Kakizawa)
Chapter 2 Endogenous Development and Collaborative Governance in Japanese Mountain Villages (Hironori Okuda/Makoto Inoue)
Chapter 3 Collaborative Forest Governance in Mass Private Tree Plantation Management: Company-Community Forestry Partnership System in Java, Indonesia (PHBM) (Yasuhiro Yokota/Kazuhiro Harada/ Rohman/Oktalina Nur Silvi/Wiyono)
Chapter 4 Legitimacy for “Great Happiness”: The Communal Resource Utilization in Biche Village, Marovo Lagoon in the Solomon Islands (Motomu Tanaka)

Part II: Sharing Interests, Roles and Risks: The Process of Collaborative Governance

Chapter 5 Task-sharing, to the Degree Possible: Collaboration between Out-migrants and Remaining Residents of a Mountain Community Experiencing Rural depopulation (Mika Okubo)
Chapter 6 Collaborative Governance for Planted Forest Resources: Japanese Experiences (Noriko Sato/Takahiro Fujiwara/Vinh Quang Nguyen)
Chapter 7 Forest Resources and Actor Relationships: A Study of Changes Caused by Plantations in Lao PDR (Kimihiko Hyakumura)
Chapter 8 Whom to Share With? Dynamics of the Food Sharing System of the Shipibo in Peruvian Amazon (Mariko Ohashi)

Part III: Sharing Information: Extending Collaborative Governance
Chapter 9 Providing Regional Information for Collaborative Governance: Case Study regarding Green Tourism at Kaneyama Town, Yamagata, Japan (Nobuhiko Tanaka)
Chapter 10 Simulating Future Land-cover Change (Arief Darmawan/Satoshi Tsuyuki)
Chapter 11 Potential of the Effective Utilization of New Woody Biomass Resources in the Melak City area of West Kutai Regency in the Province of East Kalimantan (Masatoshi Sato)

Final Chapter (Makoto Inoue)

▪︎編者は井上真さん東京大学農学部に勤務されていますが、もうお一人は田中求さんで、ご所属は九州大学の「持続可能な社会のための決断科学センター」です。このような研究機関が九州大学に設置されているとは知りませんでした。様々な学問分野を統合する形で組織されています。メンバーのなかには知っている方もおられますね。詳しくは、こちらをご覧ください。少し公式サイトから引用します。

「決断科学」とは,さまざまな不確実性の下で,価値観の多様性を考慮しながら最善の決断を行い,その決断を成功に導く方法論に関する科学である. この新たな科学は,複合的で不確実性を持つ現象についての洞察と俯瞰的理解,不合理性を伴う人間行動・心理の体系的理解, および地球環境と人類社会が直面する諸課題についての統域的理解によって成り立つ. 科学を基盤としてこれからの時代を牽引するグローバルリーダーには,専門分野における世界でトップレベルの研究業績に加え, 自然科学・社会科学を統合した問題解決型の新しい科学(統域科学 Trans-disciplinary Science)を開拓し, 適確な決断を通じて人類社会の持続可能性達成に大きく貢献する能力が求められる. 「持続可能な社会を拓く決断科学大学院プログラム」ではこの要請に応えるために,地球環境と人類社会の持続可能性に向けてのオールラウンド型科学として, 「決断科学」(Decision Science)を開拓するとともにその人材を育てることを本プログラムの目標とする.

▪︎これを読んだだけでは、具体的な内容についてはわかりませんが、新しい学問地の形成を目指していることは間違いありません。このような言い方をすると叱られるかもしれませんが、欲張った内容になっていますね。私が共同研究員をしている総合地球環境学研究所もそうですが、多くの大学や研究機関で、実際の複雑な問題をどのように解決していくのか、多くのステークホルダーとともに問題をどのように解決していくのかという課題に取り組んでいます。超領域、あるいは超学際的と呼ばれる新たな学問の構築が目指されているのです。単なる「理念」や「はったり」ではなく、実質的に成果を生み出していくために、多くの人びとが懸命になって研究に取り組んでいます。しかし、そのような新たなパラダイムにもとづく学問の構築には、まだ時間と努力が必要だと思います。

『リスクの社会学』( Niklas Luhmann ・著、 小松 丈晃 ・訳)

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▪︎今日は12日(月)、成人式で祝日です。しかし、大学は授業をやっている…と思って大学にいくと、今日は休みでした。法科大学院だけが授業で、他はすべて祝日で休みです。授業の15回確保という文科省からの指示があり、月曜日は祝日でも授業実施日になることがほとんどだったのです。しかし、今日は、違っていました…。

▪︎キャンパスに到着してから、愕然としました。ちょっとだけですけど(^^;;。休日、誰もいないキャンパスに来て研究室にこもることが、嫌いではないのです。卒論の添削やその他諸々で、年末の研究室の大掃除ができていなかったので、今日は、少し整理整頓を行いました。もう、これから残りの人生、かなりの確率で読む事はない書籍・報告書・雑誌の類を選び出しました。研究室のスペースは限られており、これ以上、書籍を書架に置くことができないのです。こういう単純な作業でも、残すのか捨てるのか考え始めるとけっこう時間がかかりました。ふと外をみると、すっかり暗くなっていました。

▪︎さあて帰宅しようと、建物の外に出たとき、私の研究室のある2号館のお隣り、理工学部がはいっている1号館の入り口あたりに照明がつけられていました。なんとなく、エエ感じやな〜ということで、iPhone6plusで撮ってみました。こういう暗い時間帯でも、iPhone6plusはけっこう思うように撮ってくれます。ありがたいですね〜。

20150112luhmann.jpg ▪︎まあ、そんな1日であったわけですが、1日の最後に、ニコラス・ルーマンの『リスクの社会学』の翻訳が出版されていることを知りました。翻訳者は、『リスク論のルーマン』の著者である小松丈晃さんです。私は、少しだけ小松さんと面識があります(東北社会学会)。ルーマンの『リスクの社会学』をベースに東北大学で学位を取得されたときに、小松さんの学位論文を送っていただき拝読していました。小松さんが、学位論文のなかで紹介されているルーマンのリスク論と、当時、私が執筆したばかりの論文、「地域環境問題をめぐる“状況の定義のズレ”と“社会的コンテクスト”-滋賀県における石けん運動をもとに」(『講座 環境社会学第2巻 加害・被害と解決過程』,有斐閣)とが、リスクに対する考え方で交錯するところがあり、そのことで小松さんと少しお話しをさせていただいたのです。その後、小松さんは、学位論文を『リスク論のルーマン』にまとめられました。この小松さんの著書は、大変評価の高いものになりました(日本の環境社会学者は引用しませんが、すぐれた研究書です)。私としては、はやく小松さんに『リスクの社会学』を翻訳していただきたいと思っていましたが、とうとうそれが実現しました。これまでは、英訳されたものを読んでいましたが、はやく小松さんにと、ずっと思っていたのです。

▪︎私の論文は、今でも時々引用されますが、引用の仕方がいつも「状況の定義のズレ」という概念に特化したものになっています。一度、ひとつのパターンで引用されると、そのパターンで繰り返されるわけです。今時の学会のよくないところかもしれません。きちんと個々の論文を読み込んでいないのです。本当にしっかり読んでいただきたいところは、もっと別のところにあります。リスクという概念で捉える問題が登場した時代状況や、リスクそのものに対する考え方でした。小松さんはさすがといいますか、そのあたりきちんと理解していただけたように思います。さっそく、小松さんの翻訳を読んでみようと思います。かつて取り組んでいた「石けん運動」の研究は、中途半端に中断していますので、刺激をいただき「再起動」したいと思います。

ビワマスのこと

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■「つながり再生モデル構築事業」(滋賀県琵琶湖環境部環境政策課)の関係で、野洲市にある家棟川の支流に調査にいってきました。先日、地元の「NPO法人家棟川流域観光船」の方たちとの協議のなかで、この支流にビワマスが産卵をするために遡上しているというお話しを、写真とともに伺っていたからです(写真下段右)。地元の皆さんの観察によれば、琵琶湖からやってきたビワマスたちは、家棟川の支流に入り上流に昇ろうとするのですが、河川の構造物が邪魔をして遡上できないようだというのです。また、大きな礫が河床にあって、産卵に適した砂利がないということもご指摘されていました。ということで、ビワマスが遡上し産卵できるようにするために、関係者が集まって現地を調査することになりました。

■この日の調査は、地元からは、「NPO法人家棟川流域観光船」の代表である北出さんと、野洲市環境基本計画の策定に市民として参加された方達3名の皆さんがご参加くださいました。研究者では、「つながり再生モデル構築事業」のモデル地域選定委員会でご一緒した、滋賀県立琵琶湖環境科学研究センターの佐藤さんが、今回の調査をアレンジしてくださいました。佐藤さん、ありがとうございました。そして、河川に魚道をどのように設置すればよいのかという技術的な点から、同じく選定委員会でご一緒した徳島大学の浜野龍夫先生(生物資源増殖学、地域生物応用学)もご参加くださいました。浜野さんは、ご自身で「私は、便利な水辺のおっちゃんなんですわ」とおっしゃいます。全国各地の河川の魚道設置に積極的にアドバイスし、それぞれの河川にあった魚道を提案をされてきたたくさんの実績をお持ちなのです。その他、行政からは、滋賀県琵琶湖政策課・流域政策局・南部土木事務所から4名の職員の皆さんが、野洲市からは環境課の皆さんが2名、そしてなんと驚いたことに、野洲市長の山仲さんもお忙しいなかご参加くださいました。

■調査は、冷たい雨が降るなかで実施されました。写真をご覧ください。地元の皆さんが困っておられるのは、トップの写真にあるような仮設の「落差工*」をビワマスが超えることができない…ということです。この落差工の手前までは、河川がすでに整備済みで、矢板をうってあるところから上流は未整備のままになっており、その整備の時期も未定なのだそうです。数十年間は整備される予定がない(必要性がない)とのことでした。ということで、現在の「落差工」の状況を確認し計測するために、浜野先生と佐藤さん、そして地元の市民のお1人が川のなかに胴長を着用して入っていかれました。あまり役に立たない環境社会学者の私は、橋の上から見学…。浜野先生からは、写真の中断左のような支流のさらに支流については、ビワマスが遡上しないような工夫をして、落差工に魚道を設置すれば、ビワマスは遡上させることができるというご意見をお聞かせいただけました。工事費もおそらくは600万円程度で済むとのことでした。浜野先生の言われる魚道とは、私たちが通常考える魚道とは異なります。河川の横に階段状の魚道がよく設置してありますが、日本の河川の魚達に不向きなものなのだそうです。こちらをご覧いただくと、浜野先生がご指導されている魚道がどのようなものであるのか、わかります。また、工事費が安く済むのかもわかります。

■こうやって、冷たい雨のなかで立場の異なる人たちが一緒に行動すること、言い換えれば、身体を使って「場を共有することは」とても大切なことだと思います。私たちは、調査のあとは、野洲市の図書館の一室を借りて協議を継続しました。異なる視点から、どうやって魚道を設置していくのか、知恵を出し合いました。生息調査を継続していく。工事費をどうやって捻出するのか。魚道の設置工事には市民参加で行う必要があること。野洲市全体の市民活動・まちづくりの文脈(環境再生型地域づくり)を背景にして、ビワマスの遡上・産卵や魚道設置を位置づける必要があることなど…いろいろ意見が出ました。意見を出すだけでなく、目標に向かってロードマップを作成していくことなども、全員で共有することになりました。

▪︎ところで、ビワマスってご存知でしょうか。ビワマスは、琵琶湖の固有種です。琵琶湖にしか生息していません。ビワマスは、琵琶湖の周囲の河川で生まれた仔魚は、琵琶湖の深いとろこにいって4〜5年かけて40〜50cm前後まで成長します。そして産卵期になると、生まれた河川に遡上していくのです。この産卵期のビワマス、大雨のときに黒く群れをなして河川を遡上することから、アメノウオともよばれています。しかし、そのような群れをなして遡上することは、この野洲市のあたりではあまり見られなくなってきました。河川改修などによる生息環境の悪化などで、生息数が年々減少しているからです。現在は環境省のレッドリストに準絶滅危惧種(NT)として指定されています。 今回、家棟川支流でこの準絶滅危惧種のビワマスの産卵が確認されたことから、家棟川をはじめとする身近な河川にもっと多くの皆さんの関心が向かっていけばよいなあと思っています。そして、流域管理を柱にした、環境再生型のまちづくりが展開していけばよいなと思っています。

*落差工:洪水防止や農業用水確保のために、急勾配の河川の勾配を緩やかにする構造物のことです。落差を河川のなかに設置して、階段状の段差をつけて流れを緩やかにします。そのことで流速を調整するのです。

【追記】▪︎12月18日の京都新聞に、この日の調査の記事が掲載されました。
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第50回 環境社会学会大会(於:龍谷大学大宮キャンパス)

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(本文、長くなりそうなので、後ほど。時間がかかりそうです。)

可視化された地球上の「二酸化炭素の動き」


■アメリカのNASAが、地球上の二酸化炭素の動きを可視化できるようにした動画を公開しています。これは「Nature Run」という「視覚化ツール」で、気候モデリング・プログラム「GEOS-5」によって作成されたとのことです。詳しい紹介を、こちらのページで読むことができます。その一部を引用します。

冬の間は、北半球の大陸全体が二酸化炭素に覆い隠されるが、春になると、光合成をする植物に吸収されて濃度が減る。南半球も周期的に濃度が高くなるが、これは、季節的に発生する森林火災などのせいだ。

Nature Runは、既存の気候視覚化ツールよりもはるかに正確だ。従来のモデルは1画素当たり最高約50kmの解像度だったが、Nature Runは1画素当たり約6.9kmを表示する。しかし、データが多いことは、処理に時間がかかることも意味する。GEOS-5は、75日にわたって低い音を立てながら4ペタバイト近くのデータを処理した後、この視覚化を完成させた。

■こういう可視化された画像をみたとき、「おお、すごい…」というため息をつくとともに、どのように社会的に活用されていくのかが気になります。このような画像が、世界の国々や国を超えた地域の未来の社会設計にどのように利活用されていくのか…ということです。

■このような地球スケールではありませんが、琵琶湖の流域管理に関して、個別地域の流域管理に関連する「社会的努力」(たとえば、集落レベルの溝掃除等)が、モデルやシミュレーションを通して可視化されるような方法はないのか…と、いろいろ考えたことがあります。過去に取り組んだ総合地球環境学研究所の研究プロジェクトのなかでのことです。もちろん、社会学専攻の私は基本のアイデアのところだけで、実際の仕事については、生態学のモデルの専門家や情報工学の専門家にやっていただいたのですが、そのような可視化ツールを実際の環境保全活動に利活用していくところまでにはいきませんでした。

■個別地域の小さな活動の成果が、すぐに流域環境の改善に結びつく訳ではありません。しかし、その「社会的努力」が横につながったとき(個別地域の点をつなぎ、点から線に、線から面にしていく)、また将来にわたって継続的に蓄積されていったときのことを、「えいやっ!」というところはありますが、モデルとシミュレーション技術で、一定程度可視化することができます。そのような可視化は、地域の人びと自身が自分たちの「社会的努力」に納得し(ばあいによってはそれを誇りにし)、周囲社会はそのことを社会的に評価することにつながります。

■地域の森林の適切に管理・育成することにより二酸化炭素がどれだけ吸収されたか、また森林を木材として利用することでどれだけ二酸化炭素が固定されたか…そういったことを認証する仕組みがあります。同様に、森林を適切に管理・育成することにより、下流の流域環境にどれだけのプラスの効果があったのか…生態学や林学の専門家に聞いても簡単にはいかないのですが、それが一定程度可視化されると森林の経営にあたる関係者をエンパワーメントすることにつながらないでしょうか。また、下流からの様々なタイプの支援を調達するための科学的な根拠にもならないでしょうか。地球上の「二酸化炭素の動き」の話しから、流域の話しへと脱線してしまいました。脱線とはいえ、こういう可視化ツールが、どのように社会的に活用されていくべきなのか、いろんな方達と可能性を議論できればと常に思っています。

ウナギの未来をつなげよう~うまいもんが結ぶ人の縁、水のつながり、生きもののくらし~

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■以下のような催しがあります。ちょっと気になっています。12月23日…行けるかな…。 「兵庫県立人と自然の博物館」のサイトから引用します。生物多様性協働フォーラム事務局の主催です。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社、兵庫県立人と自然の博物館、特定非営利活動法人西日本自然史系博物館ネットワークが事務局を構成しています。

■基調講演のお1人は、大阪歴史博物館の学芸員をされている伊藤廣之さんです。ずいぶん前のことなりますが、『試みとしての環境民俗学』(鳥越晧之編、雄山閣)という本の執筆でご一緒させていただきました。この本では、伊藤さんは淀川の漁師のことを、私は琵琶湖の漁師のことを書きました。ずいぶんお会いしていません。懐かしいな〜。

「第8回生物多様性協働フォーラム」開催のお知らせ

8th_forum.jpg生物多様性協働フォーラム事務局(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社、兵庫県立人と自然の博物館、特定非営利活動法人西日本自然史系博物館ネットワーク)は、「第8回生物多様性協働フォーラム ウナギの未来をつなげよう ~うまいもんが結ぶ人の縁、水のつながり、生きもののくらし~」を以下の通り開催します。
当日は、和歌山県立自然博物館の揖かじ 善よし継つぐ氏、大阪歴史博物館の伊藤廣之氏による基調講演や、ウナギの保全に関わる事例紹介の他、ウナギの保全を足がかりに関西各地の河川環境保全と私たちのくらしをつなぎ直すことをテーマとするパネルディスカッションを行います。
また、会場内において、市民団体、企業、博物館、大学等の30以上の団体がブース等を出展し、水辺の生物多様性・文化保全の取組を紹介するサイドイベント「水でつながる生物多様性縁日」を開催します。

1 開催目的
本フォーラムは2011年度より関西各地で計7回開催されており、生物多様性と社会のかかわりについて、様々な角度から議論を重ねてきました。第8回を迎える今回は「ウナギの目から見た淀川流域全体のつながり」に注目し、河川環境の保全と食文化に関わる川の生物多様性の価値を発信し、既存の枠組みを超えた新たな連携や、市民や企業の参画のあり方を意見交換します。
ウナギ(ニホンウナギ:Anguilla japonica)は、里山を流れる小川から平野部の大河川、湾岸の湿地まで、私たちの生活のそばにある様々な水辺に暮らす、日本の代表的な川魚の一つです。そのウナギは絶滅が心配され、今年、国際自然保護連合に絶滅危惧種として指定されるに至りました。ウナギの気配が私たちの身近な河川から薄れていった時期は、ウナギ一種にとどまらない川魚全体の衰退時期、あるいは、川魚と私たちとの関わりが薄れていった時期とも重なります。かつては関西でも身近に見られたウナギが、いつのまに激減してしまったのでしょうか。
また、ウナギは私たちの食文化を支える重要な食べ物でもあります。この食文化を後世に伝えていくには、ウナギを保全し持続可能なかたちで利用する知恵が求められます。今年11月から養殖に使用する稚魚(シラスウナギ)の量を前年比で2割削減するなど、国際的な取り組みも始まりました。
そこで今回のフォーラムでは、謎の多いウナギの生態の最新知見と大阪の川魚文化について紹介します。また、淀川を例として、ウナギの目を通して、川と私たちの暮らしのあり方を見直し、豊かな川と暮らしの価値を取り戻すための協働について議論します。さらに、会場内では水辺における生物多様性・文化保全や持続的な利用に関わる団体がその取り組みを紹介するブースを出展し、交流を図ります。

「生物多様性タウンミーティング」

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■昨晩は、「滋賀県生物多様性地域戦略」の策定作業の一環で、大津での「生物多様性タウンミーティング」が開催されました。ぶっつけ本番でファシリテーターをさせていただくことになりました。皆さん、素敵な人たちばかりで、ファシリテーターとしてとても楽しく仕事をさせていただくことができました。いろいろ勉強にもなりました。特に、企業と生物多様生との関わり、生物多様生とその社会的費用について、個別の地域ごとの生物多様生…大切な課題について、いろいろ勉強させていただくことになりました。ありがとうございました。

■ファシリテーターの立場からちょっと残念だったことをいえば、ジェンダーバランスが悪かったことと、あとは年齢構成でしょうか。参加者の皆さんは、年齢40歳代〜50歳代の男性に集中していました。男女の違いや年齢にそれこそ多様生があったほうが、より多様なご意見がお聞きすることができたのかなと思います。このタウンミーティングはどなたでも参加自由ということになっていましたので、当日になるまでどんな方達が参加されるのかはわかりませんでした。とはいえ、こんなことがありました。

■同じ中学の先輩・後輩の関係にあたる方たちがいらっしゃったのです。それがわかったとき「おお、まさにタウンミーテイングや」と思いました。昭和50年代の前半、同じ中学に通っておられたのです。そのことが、みんなで話しをしているあいだにわかってきたのです。しかし、同じ中学に通っておられても、住んでいる地域が違うと琵琶湖に対する印象もぜんぜん違っておられました。面白いな〜と思いました。そのうちのお1人は、魚釣りが好きで、よく魚を釣って食べていたというのです。「学校にいくときに、釣りの道具をもって出かけて、土管のなかに釣り道具をかくしておいて、帰りは道草してその釣り道具で釣りをして帰って、魚臭いので魚釣りをしてきたのがばれて、親に怒られました」とか、「近所に川魚屋さんが何軒かあってのですが、自分で釣ればいくらでもおるのに、なんで魚を買わんとあかんねんと思って釣っていました」とか。こういう過去の経験っておもしろいし、すごく大切だと思います。また、そのような川魚屋さんは、当時、中学生が釣ってきたウナギを500円で買ってくれたというのです。お小遣いかせぎにもなったわけですね。

生物多様性タウンミーティングの開催

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■生物多様性に関するタウンミーティングが滋賀県の6箇所で開催されます。滋賀県庁・琵琶湖環境部・自然保護課の「滋賀生物多様性地域戦略策定に係る専門家会議委員」のメンバーというこもあり、滋賀県立琵琶湖博物館の中井さんのお手伝いのような感じで、ファシリテーターをやります。中井さんは、昔の同僚、そして生物多様性の専門家です。「生き物の賑わい」にご関心のある皆様、ぜひご参加ください。
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滋賀県では、自然のめぐみを守り、将来にわたってりようできるよう、(仮称)滋賀県生物多様性地域戦略の策定を進めているところです。
今回、県内にお住まいのみなさまから、地域の自然の特徴や、暮らしとの関わり等について、具体的なお話を伺うため、県内6地域においてタウンミーティングを開催することとしましたのでお知らせします。
1.開催日時および開催場所:
①大津 …平成26年10月23日(木曜日)18時30分-20時30分 @コラボしが21
②甲賀 …平成26年10月21日(火曜日)19時-21時 @碧水ホール
③東近江…平成26年10月15日(水曜日)19時-21時 @八日市商工会議所
④彦根 …平成26年10月16日(木曜日)19時-21時 @彦根勤労福祉会館
⑤長浜 …平成26年10月22日(水曜日)18時-20時 @長浜文化芸術会館
⑥高島 …平成26年10月26日(日曜日)15時-17時 @高島市観光物産プラザ
2.内容:
○生物多様性とは何かについてご説明します
○生物多様性地域戦略の概要について御説明します
○みなさんの地域の生物多様性に関する御意見を伺います
申し込み不要、どなたでもご参加いただけます!

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