高松に出張
■高松に出張しました。四国は瀬戸内海を渡らなければなりませんが、今は、瀬戸大橋を走る「瀬戸大橋線」があるので、関西からでも全て列車で行くことができます。といってもこの橋が開通したのが1988年ですから、もう32年前のことになるんですか…。「今は…」というのはちょっとおかしい表現になりますね。
■というのも、私の中では高松に行くのには船に乗る…というイメージが強いからでしょうか。一番最初の高松は、おそらく小学生の時かと思います。たぶん、小学校6年生の頃かな…。当時は、広島に住んでいましたが、母方の従姉妹・従兄弟と一緒に、母方のルーツの地のひとつである徳島の阿南にいくことになりました。広島から岡山まで特急に乗り、岡山からは在来線で岡山県玉野市の宇野駅まで、そしてそこからは国鉄が就航させていた「宇高連絡船」に乗って高松に渡りました。高松からは在来線です。しかし、この宇高連絡船も、瀬戸大橋線ができたことから、まず国鉄の連絡線が廃止になりました。その後も、民間の連絡線は就航していましたが、最後まで残っていた四国フェリーが、昨年の12月に、とうとう運行が休止になりました。今となれば、廃止になる前に乗っておきたかったなあと思います。
■京都から新幹線で岡山駅まで移動し、岡山駅で瀬戸大橋線に乗り換えます。瀬戸大橋線のホームに移動すると、鉄道好きが喜ぶような列車が止まっていました。まず目に入ったのが、「特急南風」でした。これ、「なんぷう」と読むようです。wikipediaの解説は以下のとおり。「南風(なんぷう)は、四国旅客鉄道(JR四国)、土佐くろしお鉄道および西日本旅客鉄道(JR西日本)が岡山駅 - 高知駅・中村駅間を、宇野線・本四備讃線(瀬戸大橋線)・予讃線・土讃線・中村線経由で運行している特急列車である」。ヘッドマークは、どうも鯨のようですね。「仕事がなければ、この『特急南風』に乗って高知に行ってみたいなあ…」などと妄想したわけですが、もちろんそういうわけにもいきません(当たり前ですが…)。予定とおり、高松に向かう「快速マリンライナー」に乗車しました。するとどうでしょう、向かい側のホームに、「特急しおかぜ」がやってきました(残念ながら写真は撮れていません…)。これは松山に行く特急です。松山ならば道後温泉に浸かりたいな〜などとやはり妄想するわけですが、そういうわけにも行きません。残念ですが、またの機会に。
■高松に到着しました。高松駅は、 頭端式ホームの駅です。頭端式ホームとは、始発駅であり終着駅でもあります。この先には、線路はありません。ですから、線路の向こう側は改札口があるだけです。その改札口に立つと、様々なデザインやタイプの列車が停車しているのを眺めることができます。これは鉄道好きにたまらない…。四国は電化していない路線も多く、私が見渡した時には、気動車が2台停車していました。また、車高に関しても、低いものと高いものがあります。私が乗ってきたクリンライナーは、指定席の車両が2階建になっていることから車高は高くなります。最後の緑色の車両は、気動車です。これは徳島に向かう列車でしょうか。できれば、こういったローカル線を楽しむのは、出張のついでではなくて、私的な「ローカル線の旅」であってほしいなあ思います。香川県を走る私鉄「高松琴平電鉄」=「ことでん」にも乗ってみたいのですが、市内を移動しながら車の中から市街地を走る「ことでん」を眺めるだけです。残念。
第134回定期演奏会阪神淡路大震災25周年メモリアル-阪神文化と大澤壽人-
【今日は定期演奏会!①】
今日は関学オケ全員です!半年間続けてきた練習の成果を発揮できるように頑張ります!
また、団員一人一人が改めて震災のことを見つめ直す機会にすることができ、震災を知らない私たちもほんの少し学ぶことができました。
最高の仲間と今日、最高の音楽を作り上げます! pic.twitter.com/fK3Y4lXEc3— 【公式】関西学院交響楽団 (@kwanorche) February 7, 2020
■昨日は、ひとつ前の投稿の通り、第32回地球研地域連携セミナー(滋賀)「びわ湖の水草 市民がはじめる環境自治」に参加しました。参加したのですが、当初は、学生時代に所属していた関西学院交響楽団の「第134回定期演奏会 阪神淡路大震災25周年メモリアル」に行く予定でした。指揮は、世界的に活躍されている佐渡裕さんです。私も当初は「絶対にいくぞ!!」と意気込んでいたのですが、地域連携セミナーの仕事と重なり、OB会のお世話になって確保したチケットも他の方にお譲りすることになりました。ただ、昨日の定期演奏会の様子を、後輩のTさんのfacebookへの投稿で知ることができました。
■母校である関西学院大学は、兵庫県の西宮市にあります。25年前の阪神淡路大震災の際には、被災地の中にある大学のひとつになりました。在学生は15名が犠牲になりました。ただ25年前のことですから、今回の定期演奏会で演奏している後輩の皆さんは、まだ生まれていません。その後輩の皆さんが、あえて阪神淡路大震災25周年メモリアルと位置付けられたことは、震災の記憶を風化させないようにしたいという、被災地の大学の学生としての気持ちの表れのように思いました。Tさんのfacebookでの投稿を読みながら、Tさんもご指摘のように、「阪神」、そして「阪神文化」というキーワードが頭にしっかり浮かんできました。
■今回の定期演奏会では、ブラームスの「大学祝典序曲」、ムソルグスキー(リムスキー・コルサコフ編)の「交響詩 禿山の一夜」、大澤壽人の「交響組曲 路地よりの断章」、チャイコフスキーの「交響曲第5番」の4曲でした。この4曲のうち、クラシックファンの方達でも、大澤壽人という作曲家の名前や「交響組曲 路地よりの断章」という作品をご存知ない方がたくさんいらっしゃるでしょう。私もそうです。大澤壽人(おおさわ ひさと1906年-1953年)さんは、神戸生まれ、母校・関西学院大学の同窓生です。1930年に関西学院高等商業学部を卒業されました。学生時代は関西学院交響楽団に所属されていました。大先輩になるわけです。卒業後は、アメリカに留学し、ボストン大学やニューイングランド音楽院で、そしてフランスのエコールノルマル音楽院で学ばれました。多くの作品を作曲されていますが、今回の「交響組曲 路地よりの断章」は、1936年の作品です。組曲ということで、7曲から構成されています。
■後輩のTさんのfacebookの投稿には、大澤壽人という大先輩の作品を、後輩たちの演奏で聞くことができたことをとても喜んでおられました。実際の演奏では、曲の途中で、3度ほど指揮者の佐渡裕さんが解説を入れられたそうです。なかなか贅沢です。佐渡さんは「題名のない音楽会」の司会者をされていたことがありますが、まるでその時の番組のようです。そのような経験は、なかなかできません。Tさんの感想ですが、佐渡さんは、「神戸という街が育てた大澤壽人」という視点から見ておられた…と感じられたようです。素敵ですね。メインの曲は、チャイコフスキーの交響曲第5番ですが、そのあとのアンコールは、なんと宝塚歌劇団の「すみれの花咲く頃」だったそうです。宝塚歌劇団のある宝塚も阪神淡路大震災の被災地であるとともに、歌劇は「阪神文化」を代表するもののひとつです。しかも、大澤壽人さんは、戦後、神戸女学院大学で教鞭をとりながら、宝塚歌劇団に音楽を提供されていたことも知られています。なかなか考えられたアンコールです。アンコールでは、佐渡さんも鍵盤ハーモニカで演奏に参加され、周りからは一緒に歌う方たちの歌声が聞こえてきたとTさん書いておられました。しかも佐渡さんご自身、西宮北口にある兵庫県立芸術文化センターで芸術監督をされています。このホールは阪神・淡路大震災からの「心の復興、文化の復興」のシンボルとして開館しました。「阪神文化」、大澤壽人、阪神淡路大震災、宝塚歌劇団…、本当にいろいろ考えられた、「阪神淡路大震災25周年メモリアル」に相応しい構成だと思います。
■少し前のことになりますが、ブログに「OB交響楽団での練習を見学」にも書きましたが、33年前、関西学院交響楽団は、若き日の佐渡さんに指揮をしていただきました。その時の部長(学生の代表)のT君が、佐渡さんのロンドン公演後の楽屋の出口で待って再会したことが、ひとつのきっかけになっています。33年前、佐渡さんは急遽留学することになったため、予定されていた客演指揮ができなくなりました。今回の演奏は、その時の約束を今回はきちんと守ってくださったのだと思います。これも、素敵なエピソードですね。
地域連携セミナーと「びわぽいんと」のお披露目
■今日は、大津市の「コラボしが21」で、第32回地球研地域連携セミナー(滋賀)「びわ湖の水草 市民がはじめる環境自治」が開催されました。どれだけの方が参加されるかなと思っていましたが、会場がいっぱいになりました。NPO、学生団体、地域住民、そして大学・研究機関の皆さんが参加されました。大学生からご高齢の方たちまで、みんなで盛り上がることができました。まあ、関係者もけっこう多いわけですが。私は、全体の総括という役割だったのですが、テーブルごとの多様な議論をまとめることなどできるはずもなく、今、思っていることをお話させていただきました。きちんと気持ちと想いが伝わったかな。
■何か、あらかじめ話すことを用意してきたわけでもありません。その場で、頭に浮かんできたことをお話しました。どんなことを話したのかな…と考えてもきちんと思い出せませんが、お越しいただいた皆さんの、何というか強い反応を感じました。たぶん、きちんと伝わったのではないかと思います。総合地球環境学研究所が動画を撮影しているので、そのうにこちらにもリンクをアップできるのではないかと思います。
■今日の第32回地球研地域連携セミナーでは、特定非営利活動法人「琵琶故知新」が運営する「びわぽいんと」に関しても、紹介が行われました。先日、完成したばかりのチラシも配布されました。ということで、こちらでもお披露目。セミナーの後は、「滋賀SDGs×イノべーションハブ」の方から、「ぜひ、応援させてもらいたい!!」とのお言葉をいただきました。ありがたいことです。この「滋賀SDGs×イノべーションハブ」は、滋賀県と経済界が協力し、官民連携の組織として創設された団体です。いろいろご相談をさせていただこうと思います。県内企業の皆様、環境保全団体の皆さん、どうかよろしくお願いいたします。これから、県内各地、説明の行脚をさせていただきます。ご要望があれば、可能な限り、ご説明に上がります。
大学ジョイントコンサートの会議
■昨晩は、梅田茶屋町のビルの中にある、関西学院大学の大阪梅田キャンパスで19時から開催された、「大学ジョイントコンサート2020 」の会議に出席しました。関学のキャンパスなので、母校を訪問する…ことにもなりました。さて、この「大学ジョイントコンサート2020 」ですが、3月に、東京と大阪で、あわせて15大学が集い、コンサートを開催します。私も部長として吹奏楽部の皆さんと同行させていただきます。東京の公演では、金沢大学、創価大学、玉川大学、東海大学、東北福祉大学、富山大学、明星大学、そして龍谷大学が、大阪の公演では、大阪工業大学、関西大学、関西学院大学、京都橘大学、近畿大学、滋賀県立大学、立命館大学が演奏を行います。合同演奏では、上記の大学以外にも、個人で参加される方達もおられます。他大学の吹奏楽部と一緒に演奏ができるって、なかなかできない経験ですね。昨年は、個人参加の大学生を含めると30大学近くの団体が集まったそうです。演奏会当日は多くのお客様にご来場いただき、大きな反響を得ることができました。ありがとうございました。
■「ジョイントコンサート」を開催するためには、非常にたくさんのことを決めて、様々な業務をこなさなければなりません。会議の司会進行は、龍谷大学吹奏楽部副部長・水野哲也さんでした。水野さんのおかげで、会議はサクサクと進んで行きました。吹奏楽の世界にことをよくわかっていない私には、良い勉強になりました。多くの大学の皆さんが同じ方向を向いて、自ら進ん取組んでおられるので、とても気持ち良い会議でした。会議の後は、他大学の皆さんと懇親会。大学吹奏楽に関して、いろいろ意見交換できました。こういうことって、とても大切なことだなと改めて思いました。これは、学生の皆さんにとっても同様でしょうね。他大学の学生と、いろいろ運営上の課題について意見交換することは、視野を広げることにつながります。コンクールを通してはライバル関係にあるわけですが、同時に、大学の吹奏楽の世界を盛り上げていく仲間でもあります。個人的な意見ですが、いつか、全国の様々な大学から選ばれた学生の皆さんで、夢の共演が実現すれば良いなとも思っています。
夜間保育
■「お迎え時間は午前2時。あなたの知らない『夜の子』たちの保育園の話」という記事を読みました。福岡市の中洲にある夜間保育園に3年半に渡り密着し、『真夜中の陽だまり ルポ・夜間保育園 』を上梓した三宅玲子さんにインタビューした記事です。この記事を読んで、実際にこのルポも読んでみようと思いました。
■そう思いながら、以前、このブログに投稿した「人間の進化と共同養育」のことをすぐに思い出しました。人類進化の観点から、「人間は、周りの人びとが『よってたかって赤ちゃんをあやす』ような、『共同養育』の仕組みを進化の過程で作り上げてきた」という説を紹介しました。ところが、現代社会には、「よってたかって赤ちゃんをあやす」=「共同保育」の仕組みやそれを可能にする条件がなかなか見当たりません。3年ほど前にネット上で「保育園落ちた日本死ね」が話題になりましたが、その後、十分に保育園が開設されたわけではありません。生きていくために働きながら、同時に子どもも育てていくこと、特に、夜に働かねばならない人たち、夜も働かねばならない人たちにとって、このような夜間保育園がどれだけ有難い存在であるのか。
■以下は、この三宅さんのルポとは関係ありませんが、やはり夜間保育を暑かったドキュメンタリー映画のです。
南部鉄器の鉄瓶で煎茶をいただきました。
■今日は自宅で事務仕事をして、夕方から梅田で他大学吹奏楽部の皆さんと会議です。会議の場所は、母校・関西学院大学の梅田キャンパス。なんとなく、「ホームカミングディ」みたいで嬉しい気持ちもどこかにありますね。それはともかく、昼間は自宅で仕事なので、少し気持ちにゆとりがあります。頂き物の上等な煎茶を楽しむことにしました。南部鉄器の鉄瓶は、以前勤務していた岩手県立大学から龍谷大学に異動する際、講座の先生たちから贈っていただいたものです。温度計も用意して、お湯が70度まで下がったことを確認をして煎茶に注ぎました(温度計、お酒の燗のためにも使うことがあります)。美味しい。時間はかかるけれど、心にはとても良いと思います。
介護付き住宅「はっぴーの家ろっけん」
■神戸にある介護付きシェアハウス「はっぴーの家ろっけん」について、facebookを通して知りました。NHKの番組のページです。とても興味深く調べてみると、以下の記事がありました。詳しいことは、この記事の中に丁寧に説明されています。
多世代が集まる「大家族」の新しいカタチ。介護付き住宅「はっぴーの家ろっけん」
■私が興味深く思ったことは、1階が地域の皆さんに開放されていることです。入居している高齢者の方達がおられる横で、地域の子供たちが遊んでいる。パソコンに向かって仕事をしている女性の横にベビーサークルがあり、赤ちゃんを、地域の子どもたちや入居されている高齢者の方達が面倒を見ている。高齢者の方たちの夕御飯を、地域の子どもたちが配膳している。時には、地域の子どもたちが仲の良い高齢者の居室に遊びに行く。辛い過去を持つ青年がボランティアとして働いている…。ここは介護施設ではありません。地域の人がつながる「場所」なんですね。
卒業論文の口述試問が終わりました。
■昨日は、卒業論文の口述試問でした。うちのゼミでは、全員が出席する卒業論文発表会という形で口述試問を行うことにしています。全員で17人ですが、朝から初めて先ほど終えることができました(全員で18人ですが、1人はオーストラリアに留学中です)。私のゼミでは、全員が質的調査を行って、その調査データに基づいて卒業論文を執筆するルールになっています。学部の理念である「現場主義」を私なりに大切に思うが故に、あえてこのようなルールを設定しています。このルールを理解した上でゼミに所属してもらっています。優秀だと判断できるレベルから、中にはう〜んと唸るレベルまで…。まあ、いろいろなんですが、今年も一生懸命指導をしてよかったなと思いました。
■ご自身の何か得になるわけでもないのに、学生のインタビューに時間をとって対応していただいた皆様、ありがとうございました。ゼミ生の皆さんには、心から感謝していただきたいと思います。「どうして、自分のような学生にきちんと向き合って対応してくださったのだろう…」、その辺りのことを深く考えてもらいたいと思います。また、地域活性化・地域再生等のゼミのテーマとも関係あるのかも知れませんが、多くのゼミ生の卒業論文の中に登場する方達は、あえて言えば、通常の「自分事」の範囲を超えて、「他人事」までも「自分事」として捉えて、それぞれの方の立ち位置で活動されている方たちです。そうやって公共の課題を少しずつ解決ないしは緩和するために頑張っておられる方たちです。そのような方達を中心としたネットワークが地域社会の中に拡がっているからこそ、社会はなんとか底が抜けずに済んでいるようにも思うわけです。そのことを口述試問の際に話ましたが、きちんと伝わったかな。
■卒業論文の提出は、学士(社会学)の学位を授与されるために必要なわけですが、単なる通過点ではありません。大学4年間の学びで蓄積した力を全力で出し切る必要があります。ピラミッドの一番テッペンに置かれるキャップストーンのようなものです。全力を出し切ってレベルのある卒論を執筆できた皆さんは、そのことを自分の自信にしてください。たくさんの反省が残ってしまう人は、これから社会人として生きていくための糧にしてください。同じことを仕事で繰り返してはいけないと(でも、繰り返してしまうんですよね…)。そういうわけでして。今年度も指導が終わりました。私も全力を出して指導しました。
第32回地球研地域連携セミナー(滋賀)「びわ湖の水草 市民がはじめる環境自治」
■以下のセミナーに参加します。今回は、特定非営利活動法人「琵琶故知新」の立場から参加します。みなさんのお話をお聞かせいただいた上で、最後の総括のところで少し私自身もお話をさせていただきます。これまで市民グループ「水草は宝の山」(水宝山)の活動を中心に、ネットワークづくりに取り組んできましたが、今回は、総合地球環境学研究所のご支援のもとで、このようなセミナーが開催できることになりました。
■このセミナーの【事例5】では、本学農学部の玉井鉄宗(たまい・てっしゅう)先生が、「水草堆肥の農学的評価」というタイトルで報告をしてくださいます。現在、私は、玉井先生をはじめとする農学部の先生方と一緒に、この「水草堆肥」の課題に取り組む研究プロジェクト(龍谷大学 食と農の総合研究所)を始めようとしています。また、いつかそのことを報告できるかと思います。
———————————
2020年2月8日(土)13:30-16:30(開場 12:30)
[会場]コラボしが21 中会議室2(3F)(滋賀県大津市打出浜2-1)
[主催]総合地球環境学研究所
[共催]特定非営利活動法人 琵琶故知新
[後援]滋賀県、大津市、たねやグループ、NPO法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)、滋賀SDGs×イノベーションハブ、水宝山、近江ディアイ株式会社、三井物産環境基金、その他
[概要]
びわ湖は長い時間をかけて独自の生態系と文化をはぐくんできました。その豊かな自然は、私たちの生活にたくさんの恵みをもたらしています。一方で、経済発展に伴う人間活動の影響もあり、水質をはじめ湖の環境は大きく変わりました。
近年では、南湖における水草の大量繁茂により、湖岸の景観の悪化や悪臭の発生などの問題が起こっています。自治体が水草の除去を行う一方で、急激な水草の大量繁茂の原因は完全には解明されていません。
しかしながら、このような状況の中で、市民が主体となり漂着した水草の清掃活動や堆肥化(循環利用)を進めるための仕組みづくりが始まっています。
本セミナーでは、このような地域ではじまった「小さな循環」を地域全体の「大きな循環」に広げていくことを目指して、市民・企業・行政の活動事例を報告していただくとともに、ワークショップを行います。一人ひとりが主体的かつ持続的に取り組めるような、望ましい環境自治のあり方を共に考えましょう。
[参加]
入場無料・要事前申込(定員40名※先着)
[申込方法]
お名前(フリガナ)・電話番号をご記入の上、メール・FAXのいずれかにてお申し込みください。
申込・問い合わせ先
総合地球環境学研究所 広報室
メールE-mail
Tel:075-707-2128 FAX:075-707-2106
2020年2月3日(月)までにお申し込みください。
琵琶湖の全層循環
■琵琶湖の湖水は、冬になると表層が冷えて水温が下がっていきます。湖岸近くの浅いところの湖水も水温が下がります。低温・高密度になるのです。低温・高密度になると、琵琶湖の真ん中の湖水は湖底に向かって沈んでいきます。冬以外の季節では、深度の変化とともに水温が変化する層が生まれますが、冬になるとその水温躍層が次第に深くなっていきます。湖岸近くの浅いところの湖水も低温・高密度になり、湖底の斜面沿いに沈んでいきます。そのようになると、酸素を含んだ水が底の方に沈むことにもなります。そして琵琶湖全体で湖水が混じり合い、水温と酸素の濃度が同じになります。これを、全循環、全層循環と呼びます。一般には、「琵琶湖の深呼吸」と言われる現象です。
■冬になると、多くの滋賀県民の皆さんが、この全層循環「琵琶湖の深呼吸」に注目されます。ところが、昨年は、観測史上初めて全層循環が起こりませんでした。全層循環が起こらないと、琵琶湖の底の方に酸素が行き渡らないことになります。結果として、水質や生態系に影響を与えることにもなります。そのようなこともあり、例年以上に「琵琶湖の深呼吸」のことを心配されているのではないかと思います。この全層循環のついては、「琵琶湖の全循環と『低酸素化』」という専門家の解説をお読みくいただければと思います。
■さて、先日のことになりますが、NHKの夕方のローカルニュース番組で、「全層循環が起きる条件を指標化」(01月30日18時08分)というニュースが報道されました。そのニュースの中では、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの建物の中にある国立環境科学研究センターの中田聡史さんが次のような説明をされていました。
びわ湖では通常、1月から3月の間に湖面近くの水が沈んで湖底の水と混ざり合う「全層循環」と呼ばれる現象が毎年起きていますが、去年、観測史上初めて確認されませんでした。
このため全層循環が起きる条件を解明しようと、大津市にある国立環境研究所はスーパーコンピューターを用いて、過去6年分のびわ湖の気温や風速などのデータを解析しました。
その結果、びわ湖全体にたまった熱のエネルギー量が指標となることが分かりました。
数値が1000PJ(ペタジュール)という単位を下回ると、全層循環は起きていましたが、去年は一度も下回っていなかったということです。
また、去年の気象条件を分析すると、9月から3月までの7か月間の気温がこれまでより高く、さらに湖面を吹く風速が秒速4メートルほど弱かったことがわかったということです。
■この解説を読むと、琵琶湖の全層循環が起きるかどうかは、気象条件や温暖化の問題とつながっていることがわかります。毎年のように大規模な台風が列島に襲いかかり、甚大な被害が発生しています。感覚的にも、地球温暖化の問題を日常生活から遠く離れたところの問題ではなく、身近な問題として捉えるようなってきているように思います。琵琶湖もそのような温暖化の影響を強く受けつつあるのです。今から43年前、琵琶湖の富栄養化の進行とともに赤潮が発生し、大きな社会問題となりました。その時、富栄養化を促進させるリンを含んだ合成洗剤を条例によって規制し、「合成洗剤を使用せず石鹸を使おう」という県民運動=石けん運動が展開しました。もちろん、その後の下水道の急速な普及が富栄養化を抑制していくことになるわけですが、条例や県民運動のような取り組みも、社会の意識、政策の方向性を変えていくとともに、一定の効果を生み出しました。あの時は、温暖化と比較するとローカルな環境問題であるわけですが、この「琵琶湖の深呼吸」に関しては、私たちは何ができるのでしょうか。滋賀県では、温暖化につながる二酸化炭素の排出を抑える低炭素社会づくりに取り組んでいます。環境と経済の両立を目指して2011年3月に「滋賀県低炭素社会づくりの推進に関する条例」が制定されました。そのことに伴い、「事業者行動計画書制度」も定められています。このあたりのことは、私はあまりよくよかっていません。きちんと勉強しないといけないといけませんね。
■ところで、知り合いに老舗の鮒寿司屋さんの若主人がおられます。私がfacebookでこのNHKのニュースを取り上げたとろ、「自然相手のことだから…と言ってしまえば終わりですが、びわ湖の環境が死活問題の自分からすると不安で仕方ないです」とのコメントをいただきました。とても切実に感じておられます。