一息
■滋賀県立琵琶湖博物館の学芸員の先生方に講義をお願いしてきた「びわ湖・滋賀学」、昨日、3日間のオンライン講義(1日3コマ×3日間)が終了しました。残りは、来週の月曜日に、琵琶湖博物館の5つの展示室(A、B、C、そして水族、企画展示)で、展示を使った講義を動画に撮影し、manbaというクラウド型教育支援サービスを通して学生の皆さんに配信する予定です。これまで、何度か投稿の中で書いて来ましたが、本当は…というか、コロナ感染がなければ、オンライン講義の後には展示室で対面式の講義を行う予定だったのですが…、非常に残念です。
■この「びわ湖・滋賀学」を履修しているのは龍谷大学社会学部、そして他大学の社会科学系学部の学生の皆さんです。普段、あまり聞くことのない自然科学的な内容の講義がけっこうあり、少し戸惑うこともあったかも知れませんが、通学時に電車の車窓から見える琵琶湖の奥深い世界を、その存在の重さを実感してくれたのではないかと思います。コロナ禍が収束したら、ぜひ実際に琵琶湖博物館に足を運んでほしいと思います。また、滋賀県内、琵琶湖や琵琶湖の周囲をフィールドワークしてほしいと思います。
■この授業を琵琶湖博物館の学芸員の先生方にお願いすることになったのは、前・琵琶湖博物館館長の篠原徹さんと少しお話をさせていただいたことがきっかけでした。また、私としても、この授業の狙いからすれば、琵琶湖博物館の先生方に講義をお願いすることが一番良いのではと考えていました。そういうことで、この授業が実現するように、コーディネーターとして努力してきました。ただ、琵琶湖博物館の学芸員の先生方は、地方公務員であることから、通常の非常勤講師とは別の方法でお願いしなければなりませんでした。この辺り、社会学部の事務職員の皆さんには、大変ご苦労いただきました。ありがとうございました。
■「びわ湖・滋賀学」は、現在のところ社会学部の科目になっています。他学部の方達が履修するためには、少しコンソーシアムの制度を使って履修しなければなりません。これはあくまで個人的な意見ですが、いつか瀬田キャンパスの他の学部の学生の皆さんも自由に履修できる科目になればと思いますし、コンソーシアムを通して他大学の皆さんも履修しやすい科目になればと思っています。
■ 3 日間のオンライン授業で、コーディネーターの私は、全体の進行を務めるだけで、自分自身は講義をしていません。自分自身もたくさんの講義からいろいろ勉強することができました。ただ、自宅の書斎でずっと座っているだけなんですが…それでも、何か疲れています。気疲れかな。少し休憩します。
指標で見る びわ湖と暮らしの過去・現在「びわ湖なう2021」
■びわ湖なう~指標で見るびわ湖と暮らしの過去・現在~2021年8月31日
■サイトからの引用です。
琵琶湖は単に水をたたえる「水瓶」としてそこにあるのではなく、数多くの生き物が生息し、また私たちも日々その恩恵を受けて生活をしています。琵琶湖の水、生き物、私たちの暮らしは密接につながり、影響し合いながら存在しており、どれか一つの側面だけをもって琵琶湖の状態を評価することはできません。しかしこれまで、琵琶湖の水質はどうか、魚はどうか、森林はどうかといったように、個別に評価されることが普通で、全体を見て一体どこに根本的な問題があるのか、どこから手を付ければよいのかなどを話し合う機会やそのための資料はほとんどありませんでした。
本レポート「びわ湖なう~指標で見るびわ湖と暮らしの過去・現在~(State of the Lake Biwa and Our Life)」は、このうちアウトカム指標に着目し、「いま、琵琶湖とそれを取り巻く私たちの暮らしがどのような状態にあるのか?これまでどのような経緯をたどってきたのか?」を端的に理解するための資料として、可能な限り直近のデータを取り入れ作成しています。
『流域ガバナンス-地域の「しあわせ」と流域の「健全性」-』の書評
■昨年末に、参加していた総合地球環境学研究所のプロジェクトの成果が、『流域ガバナンス-地域の「しあわせ」と流域の「健全性」-』(京都大学学術出版会)として出版されました。最近、この書籍の書評が出ました。『林業経済』(vol.74-No.5号)で、岐阜県職員の中村幹広さんに書評いただきました。
■『林業経済』は、林学や林業の専門家のための専門的な学術雑誌です。どうしてそのような学術雑誌が、なぜ私たちの流域ガバナンスに関する書籍を書評してくださったのか、そのあたりの事情については、私たちはよくわかっていません。本当に、なぜなんだろう…。この学術雑誌を出している林業経済研究所の所長である土屋俊幸さんにもお尋ねしてみましたが、よくわかりませんでした。土屋さんが所長に就任されたのは今年の4月からで、この書籍が選ばれた事情についてはよくわからないとのことでした(土屋さんとは、長年に渡り親しくさせていただいています)。あえて理由をお尋ねすること自体、イレギュラーな(あるいは失礼…)ことなのかもしれませんが、素朴に知りたいなと思ったのです。その理由はわかりませんが、わざわざ書評すべき書籍として選んでくださった編集委員会の皆様には、心より感謝申しあげます。
■もちろんのことですが、書評してくださった中村さんにも心より感謝申し上げます。すでに中村さんには、ご執筆いただいた書評の原稿を読ませていただきました。非常に丁寧にお読みいただいたことがわかりました。私たちの研究の特徴や強みについてだけでなく、弱点についても丁寧にご指摘いただいています。いろんなタイプの書評がありますが、中村さんの書評は、編者である私にとって大変ありがたいものでした。中村さんが、特定の狭い個別・学術的な土俵からではなく、様々な要因の錯綜する現場で活躍し思考されている実務家の立場から適切な書評をお書きいただいたことに心よりお礼を申し上げます。
■『林業経済』を出版している林業経済研究所の所長である土屋さんからは、編集後記にこんなことを書きましたよと、写真を送っていただきました。その一部を紹介いたします。
大津の友人は、社会学、特に環境社会学を専門とする研究者であり地域活動の実践者なのだが、私は彼のこの感想を聞いて大変誇らしかった。常識的に言えば、「林業」「経済」を関する専門学術雑誌が、森林よりも広い空間概念である「流域」を対象にし、自然科学系の議論も多く含み、超学際的研究を標榜するこの本を書評の対象として選ぶことはほとんど考えなれないだろうし、細分化された研究領域内の固有のルールに基づいて書かれる学術書とは異なり、おそらく真面目な若手の研究者たちには手も足も出ないような、非常に難しい書評を、現場の行政を担当する方に依頼する編集委員会も太っ腹であるし、それに応えて堂々と、現場の視点と客観的な視点を併わせ持った論稿をものにする評者もすごいのではなかろうか。
■私たちの『流域ガバナンス』、学術書であることからけっこうな価格になっています。なかなか購入して読もうという気になれないかもしれませんが、大学の図書館や公立図書館で手にとっていただければ幸いです。ちなみに、龍谷大学の瀬田キャンパス図書館本館2階の開架に配架されています。滋賀県立図書館にもあります。滋賀資料コーナーと水資料コーナーに配架されています。どうぞ、よろしくお願いいたします。
2021「びわ湖・滋賀学」
■今日から「びわ湖・滋賀学」の集中講義です。これは、社会学部の授業(サマーセッション ・集中講義)ですが、コンソーシアムの授業でもあるので、他学部や他大学の学生の皆さんも履修しています。講義をされるのは、滋賀県立琵琶湖博物館の学芸員の先生方です。つまり、大学と博物館のコラボレーションによる授業になります。私は、コーディネーター、お世話役です。コーディネーターは授業の場にいますが(オンラインで)、講義を行わず進行役みたいなものですかね。だから、大切な仕事ではありますが、業務としてはカウントされません。でも、やりがいを感じてコーディネーターの仕事に取り組んでいます。
■全部で5日間にわたる集中講義ですが、1〜3日目まではzoomを使ったオンライン講義なります。予定では、4・5日目は博物館の展示室で対面授業を行う予定でしたが、コロナ感染のため、動画撮影になります。9月6日に、博物館の展示室で学芸員の先生方に講義をしていただき、私がそれを動画に録画します。その録画をGoogleドライブからクラウド型教育支援サービスを通して、動画として配信します。展示室で授業を行う…というのが、今年度のこの授業の「売り」だったのですが、とっても残念です。でも、仕方がありません。
■今日の午前中、1限(9:15〜10:45)は大塚泰介さんの「オリエンテーション」、そして2限(11:00〜12:30)は金尾滋史さんの「水と生き物と暮らし(1)」、昼休みを挟んで3限(13:00〜15:00)は米田一紀さんの「水と生き物と暮らし(2)」でした。けっこうたくさんの学生の皆さんが質問をされました。徐々に盛り上がってきました。おそらく履修学生の多くの皆さんは、龍谷大学の社会学部や本学や他大学の社会科学系の学部に所属されていると思いますが、学芸員の先生方には、自然科学的な内容についても説明をしていただいています。将来は、瀬田キャンパスの先端理工学部や農学部の学生の皆さんも履修できるようになればと思っています。オンライン講義のスケジュールは以下の通りです。
面白いTシャツ
■真夏、自宅では普段着としてTシャツを着ています。出かける時も、ちょっとお洒落なTシャツを着ることとがあります。今年は、新しいTシャツを3枚ほど書いました。2枚の普段着Tシャツと、1枚のお洒落なTシャツです。私はよくわからないのですが、Tシャツっていうのは、毎年買い換えるものなのですかね。知り合いに、一夏でちょっと首や裾のあたりが伸びてくるので、ワンシーズンでおしまいにする…という人がいました。私からすれば、もったいない…という感じです。
■それはともかく、お洒落なTシャツは、様々な古墳をデザインしたものです。普段着の方にTシャツは、縄文時代の土偶が描かれています。何も、そんな変わったTシャツを着なくても…とお思いでしょうが、変わったTシャツをきたかったのです。もう1枚は、これ。なにやら鳥羽僧正の鳥獣戯画を思い出しますね。実際、鳥獣戯画をもとにデザインされています。よく見ると、跳ぼうとしているカエルの足を、ウサギがしっかり捕まえて邪魔をしているように見えます。違います。これ、組体操です。カエルとウサギが、力を合わせて「サボテン」の型の組体操をしているところなのです。カエルの口の開き具合がいいですね〜。
龍谷ミュージアム秋季特別展「アジアの女神たち」
■龍谷ミュージアムでは、秋季特別展として「アジアの女神たち」を開催するとのことです。期間は、9月18日〜11月23日まで。以下は、公式サイトからの引用です。
ミュージアムの語源である古代ギリシャの「ムセイオン」は、もともとは芸術を司る女神(ムーサ、ミューズ)たちを祀る神殿でした。
本展では、女神たちを祀る神殿というミュージアムの当初の役割に立ち返り、アジア各地で深く信仰された女神たちを紹介します。
豊饒・多産のシンボルとして、あるいは音楽・文芸・吉祥などを司る存在として、さらには残虐な戦闘のシンボルとして、多様な願いを託された女神たちの姿をご覧ください。
■私は、この特別展の最後、「第5章 第5章 観音になった女神」に一番関心を持っています。この展示は、「男性であった観音が、女性的な変容を遂げる流れを見ていきます」と解説されています。思い起こせば、世界史の教科書等に登場するガンダーラの観音は男性なのですが、中国に伝わるとどういうわけか女性っぽく変化していきます。なぜなんだろうな〜とずっと思っていました。絶対に行きたいんですけど、コロナ感染はどうなっていくのか…、行けるのかな…。心配です。
Ryukoku University Symphonic Band “SUMMER CONCERT 2021” / 龍谷大学吹奏楽部
■ 2021年7月11日(日)に、滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール大ホールで「サマーコンサート2021」を開催しました。無観客、演奏はYouTubeライブで配信しました。このライブ配信をオンデマンド配信できる腰とになりました。「龍谷大学吹奏楽部 SUMMER CONCERT online」です。残念ですが、onlineで配信した楽曲の一部は、著作権の関係上、削除しています。
■今回の配信では、最初と最後が過去の演奏になっています。どうぞ龍谷大学吹奏楽部の演奏をお楽しみください。
0:02 An American in Paris(パリのアメリカ人) / George Gershwin(※過去の演奏会の映像)
19:42 コンサートマーチ『アルセナール』(Concert March “Arsenal”)/ Jan Van der Roost
29:15 カンタベリー・コラール(Canterbury Chorale)/ Jan Van der Roost
39:32 高度な技術への指標(A Guide to the Advanced Technique)/ Koichi Kawabe
45:45 Jazz コレクション Vol.2 ~ドラえもん組曲~(Jazz Collection Vol2 ~Doraemon suite~)/ Arr. Toru Kanayama
57:40 ボレロ・イン・ポップス(BORELO in Pops) / Arr. Naohiro Iwai1:08:23 見上げてごらん夜の星を(※過去の演奏会の映像)
地域が閉店したスーパーを再生させた
■今朝、facebookをみていると、東近江市役所の職員で、公益財団法人東近江三方よし基金の常務理事をされている山口美知子さんの投稿が目に飛び込んできました。本当に、そんな感じでした。
■閉店した地区唯一のスーパーを、地域有志の方達が寄付を集め合同会社を設立して再生させたというお話しです。地区唯一のスーパー、こういうスーパーって、ある意味、地域の重要なインフラだと思います。都会に暮らしていると、この辺りのこと、よくわからないかも知れませんが、地方で車の運転が難しくなってきた高齢者にとっては、特に身近なスーパーの存在は生活していく上で不可欠の存在です。山口さんの投稿を読んで、そういう地域のインフラを「自分たちの力で守らなくちゃ」と思われた方達が複数居られたというところがとても重要だなと思うのです。なんというか、希望を感じます。人口減少・高齢化の中でも、「共助の知恵と力」で地域社会を守っていくこうとする大変素晴らしい取り組みだと思います。以下は、京都新聞と中日新聞の記事です。
閉店した地区唯一のスーパー再生の試み 寄付集め合同会社を設立した住民らの思い
スーパー再生、住民の力で 東近江・哀東に「i・mart」開店
■両方の記事の中に、地域おこし協力隊の中村泰己さんという方のお名前が出てきます。京都新聞では、「東京都内の高齢化が進む団地でまちづくりに関わり、6月から地域おこし協力隊として愛東地区に着任した中村泰己さん(25)も運営に携わる」とあります。私自身は、まだ、中村さんにはお会いしたことがありませんが、私のゼミの卒業生も、この都内の団地でまちづくりに関わっていて、中村さんとも知り合いでした。中村さんが滋賀に赴任される前に「こういう人が滋賀に行きますよ」と教えてもらっていたのでした。だから、記事を見てちょっとびっくりです。
■さて、facebookのコメント欄で、山口さんに以下のようなコメントを書きました。
このような事例が、他の地域の皆さんにも元気を与えてくれると良いですね。「やれば、できる」って有効性感覚を醸成することになれば。出来上がった仕組みだけではなくて、プロセスが大切ですね。志を持ったキーパーソンとなる人たちによるネットワークがどのように生まれて、そのネットワークを基盤に、どのような組織を作り、資金を調達するためのアイデアがどこから生まれ…そういうプロセスを知りたいなと思いました。
■すると、山口さんからは以下のような返信をいただきました。
脇田 健一 さま、ありがとうございます。愛東の場合は、既にその成功体験を持つ方々が複数おられ、その方々が中心になって、すぐに行動に移されました。当初から資金が必要なことはわかっていたので、ずっと相談に乗っておりました。また、店として成功させるには「みんなの店」にすることを提案しました(当初よりそのつもりをされていました)。当基金以外の助成申請は通らず、三度目の正直が当基金への申請でした。ただ、それだけでは足りないこともわかっていたので、融資や寄付、社会的投資(今回はまだ投資はないですが)の組み合わせも提案してきました。湖東信金さんが協力してくださったのは大きいです。ほんとにプロセス大事ですし、強い動機を持った人が複数いることとつながっていることが地域づくりでは最も重要ですね。
■さまざまなまちづくり活動で成功体験を持つ複数のキーパーソン(まちづくり活動への強い動機、知識やノウハウを持っている人びと)が、「スーパーの再生」という地域課題を共有し、団体を作るとともに、寄付、融資、助成金、社会的投資等の様々な手段で事業費を捻出し、スーパーの再生という事業を成功させる…、そういうプロセスから私たちは多くのことを学ぶことができるように思うのです。成功したと言われる事例の「完成図」からではなく、そこに至るまでのプロセスにこそ大切なポイントがたくさん埋まっているはずです。山口さんが常務理事として関わっておられる公益財団法人東近江三方よし基金は、活動へ助成金を出すだけでなく、そのプロセスをサポートしようとされていました。このような、より専門的な立場からの支援も含めて、事業が展開していくプロセスをきちんと学ぶべきなのかなと思います。
『いつでも君のそばにある 小さなちいさな優しい世界』(リト)
■素敵です〜。童話を題材に、心の中に浮かぶ物語が、葉っぱの切り絵として表現されています。新聞で作者・リトさんのことを知り、早速、この本を買い求めました。Twitterにも投稿されています。この本の「おわりに」には、「あの時『ADHD』という言葉に出会っていなかったら、きっとこんな人生の転換には巡り会わなかった」と。私は、このリトさんの気づきがとても大切なことだと思います。詳しくは、以下の動画をご覧ください。
[シブ5時] 発達障害 個性を生かした “葉っぱの切り絵アート” | NHK
「奈良博三昧」
■先日の日曜日に、吹奏楽コンクール関西大会が、奈良文化会館で開催されました。コンクール当日、朝が速いので、前日から宿泊することにしました。そして、せっかく奈良に行くのだからと、奈良国立博物館の特別展「奈良博三昧」を観覧することにしました。展示品の中に、鬼をやっつける神々が描かれていました。平安末期から鎌倉初期にかけての作品のようです。
■上から順番に、「神虫」、「鍾馗」、「天刑星」です。いずれの神様も迫力があります。「神虫」の強さは半端ないですね。「鍾馗」は少しメキシコっぽいな〜。「天刑星」は鬼を酢につけてボリボリ食べています。こういう作品をみると、新型コロナ(=現代の鬼)をやっつけてくれる神様に登場してほしいという気持ちになります。平安時代の人々の気持ちがよく理解できます。今回の展覧会は、写真OKなので撮影させてもらいました。
■吹奏楽コンクールで奈良に行くついででしたが、良かったです。皆さんもぜひ…とお勧めしたいところですが、簡単に出かけるわけにいきませんね。残念だけど、不要不急と思います。
奈良博三昧
特別展「奈良博三昧―至高の仏教美術コレクション―」では写真撮影が可能です