「無印良品」の「ローカルニッポン」
▪︎あの「無印良品」が提供している「ローカルニッポン」というサイトがあります。そのなかに、参加している総合地球環境学研究所のプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」でお世話になっている、滋賀県甲賀市甲賀町小佐治のことが取り上げられました。小佐治のコミュニティビジネスや環境保全の取り組みが紹介されています。そのことに加えて、私たちの研究プロジェクトのことも。リーダーの奥田さんと私がインタビューを受けて、そのコメントが文章になっています。事実関係で少し違うところもありますが…丁寧に記事にしていただき恐縮しています。ただし、酔っ払いのおじさんのような私の写真も載っています。これは、小佐治に開設されたフィールドステーションの、開所式に続く交流会の時に撮っていただいたものです。私は、焼きそば担当で、暑い鉄板の横でビールを飲みながら皆さんのために焼きそばを焼いていたのですが、写真の様子からするとかなりアルコールが効いていますかね…。
フィリピン調査(2)
▪︎10月26日から30日まで5日間、総合地球環境学研究所のプロジエクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」の一部のメンバーでフィリピン調査に行ってきました。ということで、この文章を書いているのは帰国後になります。
▪︎私たちのプロジェクトの調査対象地域は、フィリピンの首都マニラから40kmほど南にあります。具体的にいうと、ラグナ湖というフィリピンで一番大きな湖に流入するシラン・サンタローザ川流域が調査地域になります。ラグナ湖には24の流域がありますが、シラン・サンタローザ川流域、そのうちの1つの小さな流域になります。流域の広さは約120㎢程度ですが、ラグナ湖周辺の地域には人口が集中しています。流域内には、カビテ州のシラン町(マニシパル)、ラグナ州ビニャン市(シティ)、カブヤオ市、サンタローザ市が含まれています。そのうちのシラン町とサンタローザ市が私たちの調査地の中心になります。
▪︎2日目の午前中は、まずはシラン町の役場を表敬訪問することになりました。開発、健康、環境、農業といった部門の部長さんたちに、私たちの研究プロジェクトの紹介をしたあと、町長さんとも懇談をさせていただきました。今後、調査にあたっていろいろご協力とご支援をいただけることになりました。写真は、記念写真です。複数のカメラやスマホで一度に撮ったものですから、皆さんの視線はあちこちに向いています。後列、左から3人目の方が町長さんです。日本で町長というと年配の男性を連想しますが、シラン町長は若い女性です。フィリピン社会では、多くの女性が政治家や議員になるとともに、様々な組織の管理職等に女性が採用されていることで有名です。こちらのシラン町役場のばあいもそのようです。
▪︎午後は、シラン町にあるカルメンというバランガイ(日本でいうところの自治会)を訪問し、聞き取り調査をしました。ここで、カルメン村の話しを進める前に、少し、地理的なことについて説明しておこうと思います。(本文続きます)
総合地球研究学研究所で全体会議
◼︎土日は、総合地球環境学研究所でコアメンバーとして参加しているプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」の全体会議が開催されました。研究プロジェクトは、複数の班とワーキンググループから組織されていますが、それぞれから報告が行われ、また2日目には総合討論も行われました。私は、「人間社会班」、そして「Human well-being 評価WG」と「流域ガバナンス比較検討WG」の報告を行いました。プロジェクトの社会科学系の部分をリーダーとして一手に引き受けている形になっているのですが、これもかなり辛いものがあります。大学の研究部の仕事となかなかうまく調整することができません。なんだか、時々、プレッシャーに押しつぶされそうな気持ちになりますが、頑張らねばなりません…。にもかかわらず、参加されたみなさんにはとても申し訳なかったのですが、大津市の都市計画マスタープランに関するイベントと重なってしまい、全体会議は両日とも午前中にしか参加できませんでした。
■私は、大津市の都市計画審議会の委員をしています。その関係から、大津市都市計画マスタープラン案策定専門部会の委員も兼務することになりました。今回は、土日の両日とも、審議会の議長や専門部会の部会長の皆さんと一緒に、「平成27年度大津市都市計画マスタープランまちづくりフォーラム」というイベントに参加しました。そしてシンポジウムのシンポジストを務め、基調講演を行いました。議長や部会長の方たちは、都市計画の専門家なのですが、私だけちょっとイレギュラーな感じです。基調講演では、「住み続けたい地域社会を育むために」というタイトルでお話しさせていただきました。びっくりしたのですが、私の職場で教員をされている同僚の方も、市内の住宅地の自治会長という役割で参加されていました。また、社会学部で取り組んでいる「大津エンパワねっと」でお世話になっている地域の方も参加されていました。
金才賢教授が小佐治を訪問
▪︎10月10日の出来事です。ここしばらくのあいだ、母親の介護の問題でてんやわんや…。なかなか更新することができませんでした。しばらく、まだ、この忙しさが続くため、なかなか更新できないと思いますが、写真と短いキャプションだけでもアップできればと思います。この2枚の写真、10日に、韓国にある建国大学の金才賢先生と研究員のみなさんが、参加している総合地球環境学研究所の研究プロジェクトの調査地である、滋賀県甲賀市甲賀町小佐治を訪問されたときのものです。水田やその周囲で生物多様性を育むための活動や実験等について、現地で説明させていただきました。また、小佐治に開設したフィールドステーションもご案内させていただきました。上の写真は、小佐治神社の神饌田の前で撮影したものです。すでに神饌田での稲刈りは終わっているようですが、韓国にはない風景であることから、興味深く見学されていました。下の写真は、フィールドステーションで、PD研究員の浅野さんから説明を受けているところです。ドローンを飛ばして撮影した画像をご覧になっています。私たちの研究プロジェクトでは、ドローンのカメラ、ウエアラブルカメラ、水中カメラ等を駆使して、鳥の目・人の目・虫の目からみた小佐治の四季を動画作品にまとめる予定にしています。
金才賢先生(韓国・建国大学)の来日
▪︎8日(木)、韓国のソウルにある建国大学から金才賢先生が来日されました。金先生は、大規模な干拓が行われたセマングム地域の環境保全に関する巨大プロジェクトに参加されていますが、そのプロジェクトの参考にしたいと、滋賀県の取り組みに関して聞き取り調査に来られたのです。プロジェクトに一緒に取り組む研究員の方たちとご一緒です。私は、今回の調査のアレンジとアテンドをさせていただきました。
▪︎8日(木)は、金先生方はお昼過ぎに京都に到着されましたが、休む間も無く、すぐに聞き取りに出かけることになりました。出かけた先は、滋賀県立琵琶湖環境科学研究センターです。センターでは、「琵琶湖総合保全計画」=「マザーレイク21」の第2期計画と、その計画との関連で実施されている「マザーレイクフォーラム」や「びわコミ会議」が生み出されきたプロセスや運営等について説明していただきました。説明していただいたのは、研究員の佐藤祐一さんです。私自身も、佐藤さんと一緒に、「マザーレイク21」第2期計画や「マザーレイクフォーラム」づくりに関わってきたこともあり、金先生の聞き取り調査を横で拝聴しながら、改めて自分がかわかってきたことを「復習」するような感じになりました。センターの次は、滋賀県庁に移動しました。こちらでは、農林水産部の「食のブランド推進課」の職員の南参事に、「環境こだわり農産物」に関してお話しを伺いました。特に、直接支払制度に関連して細かくお話しを伺うことができました。私自身も勉強になりました。センターも滋賀県庁でも、資料にもとづき、それぞれ2時間近く丁寧にご説明いただきました。本当に、ありがとうございました。
▪︎翌日、9日(金)の午前中は、京都の上賀茂にある総合地球環境学研究所で、私がコアメンバーとして参加しているこの研究所のプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」の概要について説明させていただきました。それに加えて、地球研のプロジェクト研究の仕組みや、地球研が取り組んでいる「超学際」という考え方、さらにはその「超学際」を推し進めようとしている地球環境研究の国際プログラム「Future Earth」等についても説明させていただきました。本日10日は、私たちの地球研のプロジェクトのフィールドにご案内することになっています。
▪︎今回、金先生が来日調査されたのには、理由があります。セマングムでの巨大プロジェクトが、研究者や行政によるトップダウン方式で進められています。また、学問分野としても工学分野が中心となっています。しかし、金先生ご自身は、そのような状況を問題視しておられます。多様な住民がステークホルダーとして参加する「環境ガバナンス」を必要性を痛感されているのです。今回の聞き取り調査が、韓国のプロジェクトにとって、何か良い刺激になればと思っています。
▪︎8日の晩は、私の行きつけの居酒屋、大津駅前の「利やん」で歓迎会も開催させていただきました。「利やん」の料理や、お店の雰囲気を楽しんでいただきました。「利やん」では、新しい焼酎の一升瓶をキープするたびに、周りの方たちと記念写真を撮ってパウチカードにしてぶら下げていくようなシステムになっています。金先生は「利やん」は2回目なので(昨年の秋に来店されています)、このシステムにつしいてご存知でした。研究員の方たちに、一升瓶をキープするたびに、「思い出」が溜まっていくのだよと説明されると、お2人ともいたく納得されていました。「韓国の居酒屋でも、このシステムを導入するべきだ!」などと盛り上がりました。写真ですが、新しい焼酎をキープしたので、記念写真を撮りました。これもパウチカードになります。じつは、まだ前の一升瓶に焼酎が残っていたのですが、「利やん」のマスターの「新しい焼酎をキープして写真を撮ってはどう?かまへんよ」とのお計らいで、今回の金先生の来店も、パウチカードの「思い出」にすることができました。マスター、ありがとうございました。
「生物多様性」と「幸せ」に関する研究
▪︎今日は、京都大学に行きました。コアメンバーとして参加している総合地球環境学研究所のプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」に関することで、京大の教員をされている方に、ご相談に伺ったのです。ちょっと心が共振しあうような良い出会いになりました。詳しく書くことはまだできないのですが…。農村コミュニティにおいて生物多様性を高める様々な活動の成果が、人びとをどのようにエンパワメントし、農村コミュニティ内外に社会関係資本をどのように蓄積していくのか。そのプロセスが、結果として、人びとの幸せにどのように結びついていくのか。また、そのことをどのような方法で評価し、比較可能な形にしていくのか。一言でいえば、地域の生活や生業の文脈に埋め込まれた意味での生物多様性が、地域のHuman-wellbeingとどのような関係にあるのかを評価する手法の開発ということになるのですが、いろいろ心強いアドバイスをいただくことができました。ちなみに、私たちのプロジェクトにもご参加いただくことになっています。
▪︎プロジェクトを進捗させていくことに関しては、いろいろ悩むことが多く、辛い思いをしていたのですが、少し気持ちが楽になりました。大学の研究部の仕事、老母の介護、その他にもやらなくてはいけないことが山積し、重苦しい気持ちがずっと続いていましたが、少し食欲も出てきたかな…。ということで、京都大学のキャンパス内にある「カンフォーラ」というカフェレストランに行きました。正門を入って左側にあります。ここで有名な「総長カレー」をいただきました。私のなかでは、やはり大阪の「インデアンカレー」が一番なのですが、「総長カレー」も美味しくいただくことができました。
Biodiversity-driven-nutrient cycling research in Laguna de Bay officially underway
▪︎コアメンバーとして取り組んでいる総合地球環境学研究所のプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」では、フィリピンのラグナ湖の流域でも研究を進めていきます。共同研究のフィリピン側の研究チームでも、サイトを立ち上げてくれました。
ぼてじゃこトラストの記念シンポジウム
▪︎本日の午前中は、ボランティアの皆さんと一緒に自治会の夏祭りの後片付けをして、午後は大津市南郷の「アクア琵琶」に移動しました。この「アクア琵琶湖」を会場に、発足20年を迎えた市民団体「ぼてじゃこトラスト」の記念シンポジウムが開催されたからです。20年も地道に活動を継続しながら成果もあげていく…とてもすごいことだと思います。私は、お祝いの気持ちとともに参加させていただきました。この「ぼてじゃこトラスト」は、環境の変化や外来種の増加で激減したぼてじゃこ(タナゴ)の調査を行うとともに、子どもたちへの環境教育活動にも取り組んでおられます。
▪︎今日のシンポジウムでは、琵琶湖や琵琶湖流域に関わって活動をされている小中高生を中心とした団体が活動報告をされました。「ぼてじゃこワンパク塾」、「アイキッズ」、「ホタルの学校」の3団体の皆さんです。それぞれの団体のみなさんの活動のレベルの高さに驚きました。素晴らしい。活動報告のあとは、前滋賀県知事・びわ湖成蹊スポーツ大学学長の 嘉田 由紀子さんが基調講演をされました。嘉田さんのファンの方達がたくさんいらしゃっていたようで、真剣にメモを取りながら聞いておられました。そのあとのパネルディスカション、残念ながら、夕方から自宅マンションの管理組合の理事会があるため、聞かせていただくことができませんせでした。途中で会場を後にしました。「滋賀の川遊び、雑魚取り文化を次世代につなげよう!!」というテーマでのディスカッションだったようです。残念ですね〜。でも、総合地球環境学研究所のPD研究員の浅野さんが来てくれていたので、彼にどのようなディスカッションだったのかをあとで聞かせてもらうことにしたいと思います。このパネルディスカッションのテーマ、すごく大切なテーマだと思っています。
2015「びわコミ会議」
▪︎昨日は、大津市の「コラボしが21」で、「びわコミ会議」が開催されました。琵琶湖に関わって活動をしている人びとが一堂に会すると同時に、琵琶湖の現状を知るための「大交流会」です。この「びわコミ会議」ですが、「マザーレイク21」と呼ばれる琵琶湖総合保全整備計画との関連で開催されています。詳しくは、こちらをご覧ください。私は、参加している総合地球環境学研究所のプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」のメンバーと参加しています。
▪︎午後のセッション「びわ湖のこれから話さへん?」では、様々なテーマに分かれてグループ・ディスカッションを行いました。地球研のプロジェクトリーダー奥田昇さんと、PD研究員の浅野さん、サブリーダーである京都大学生態学研究センターの谷内茂雄さん、そして私で担当したのは、「野洲川と人びとのつながり」に関するグループです。野洲川上流、甲賀市の丘陵地帯にある農村、そして野洲川下流の守山市にある農村からお越しの、3人の農家の皆さんにお話しを伺うことができました。特に話題になったのは、お3人がまだ少年だった昭和20年代の話しです。河川改修や圃場整備事業が実施される以前の、「魚つかみ」「魚食」の文化の豊かさについていろいろお話しを伺わせていただきました。皆さん、大変楽しそうにお話しになりました。私自身も、とても興奮しました。野洲川流域の上流、野洲川の下流と、お住まいの農村はもちろん、「魚つかみ」をしていた河川の状況や、つかんだ魚の種類も全く違っているわけですが、「もっと話しをしていたい」とおっしゃるぐらいに話しあいは盛り上がりました。村の中で昔話をすることはあっても、他所の村の方たちと話しをした経験はないそうです。必ず、また、こういう盛り上がることのできる「場」を設けること、お約束いたしました。
▪︎「びわコミ会議」の最後まではいることができませんでした。自分の所属する自治会で「夏祭」か開催されており、そこでボランティアとして焼きそばを作らなければならなかったからです。あとで、プロジェクトリーダーの奥田さんに聞いたところ、琵琶湖に関わって活動をしている人びとが一堂に会する「大交流会」である「びわコミ会議」らしく、いろんな方達との今後の協働の可能性が見えてきたようです。こういう人びとの連携が生まれるとこも、この「びわコミ会議」の魅力かなと思います。