「地域エンパワねっと4期生です!!」
■上の写真は、龍谷大学社会学部地域連携型教育プログラム「社会共生実習」の掲示板です。瀬田キャンパスの6号館、社会学部教務課の横にある社会共生実習支援室の外の壁が掲示板になっています。この教育プログラムで実施されているたくさんのプロジェクトの情報が提供されているのです。
■この掲示板の左の方に、私が担当している「地域エンパワねっと・大津中央」の掲示物もはってあります。そこをよーく見ると、右の写真のような小さな記事のカラーコピーが貼り付けてありました。2枚目の写真です。そのコピーには手書きの吹き出しが貼り付けてあります。「地域エンパワねっと4期生です!!」。
■このカラーコピーは、入試部広報で作成した「2023年度社会学部パンフレット」の15ページ目になります。登場されているのは、卒業生の川端 悠佳さんです。現在、滋賀県庁琵琶湖環境部琵琶湖保全再生課に勤務されています。川端さんとは、少し仕事上のつながりがあります。「地域エンパワねっと」の修了生がこうやって社会で頑張ってくださっていること、そして一緒に仕事ができること、とても嬉しいです。川端さん、カッコいい‼️
「2023年度社会学部パンフレット」
2022年度 集中講義「びわ湖・滋賀学」
■来週月曜日から金曜日まで、滋賀県立琵琶湖博物館の学芸員の先生方と「びわ湖・滋賀学」の集中講義の授業を行います。私自身は、コーデイネーターで授業を担当しません。裏方の仕事です。
■琵琶湖博物館は、「湖と人間」をテーマとする博物館です。滋賀県草津市の琵琶湖に突き出した烏丸半島にあります。6年の歳月をかけて展示をリニューアルを行い、一昨年の10月にグランドオープンしました。この集中講義では、8月29日〜8月31日の3日間をオンライン講義で、9月1日〜2日の2日間は琵琶湖博物館の展示を用いて講義を行う予定になっています。
■講義のねらいは、滋賀県の特徴について、「琵琶湖」と人の関わりという視点から理解を深めることにあります。この地域で暮らしてきた人々の産業(農林水産業が中心です)や日常の文化のありかたを見つめ直し、それらと琵琶湖集水域という環境との密接な関わりについて学びます。
具体的なトピックとしては、琵琶湖の自然と生い立ち、自然と暮らしの歴史、暮らしとつながる自然、水の生き物と暮らしを取り上げ、琵琶湖博物館の新しい調査研究の成果をまじえて講義していただく予定になっています。具体的には、こんな感じです。
【オンライン授業 8月29日・30日・31日】
1.オリエンテーション
2.琵琶湖の魚と水田利用魚類
3.琵琶湖・河川の漁業
4.魚のゆりかご水田・滋賀の水田農業
5.近江のふなずし
6.琵琶湖の漁具・人々の暮らし
7.水辺の暮らし・森の暮らし
8.気候変動と人の利用による植生変遷
9.琵琶湖の固有魚の進化【展示による授業 9月1日・2日】
10.A展示室見学・課題学習
11.B展示室見学・課題学習
12.C展示室見学・課題学習
13.水族展示室見学・課題学習
14.企画展示見学・課題学習
15.まとめと課題レポート作成
■ひょっとすると、「これ、世界農業遺産に認定された琵琶湖システムの内容とちゃうの?」とお気づきの方がおられるかもしれませんね。琵琶湖博物館の学芸員の先生方が、特に世界農業遺産を意識しているというわけではないのですが、そうなんです、内容はかなり重なっています。というか、世界農業遺産の琵琶湖システムも、琵琶湖博物館も、共にこの滋賀県固有の地学・地理、生態、生業、文化、社会…そのような要素が40万年の歴史の中で順番につながり構造化されてきたシステムに焦点を合わせているからです。まあ、琵琶湖博物館の方がちょっと先輩ではありますが。
■このような内容だと、学生さん以外にも、一般の皆さんの中にも、講義を受けてみたいという方がおられるかもしれませんね。その気になれば、龍谷大学のREC等でも同様の市民向けの講義ができるはずです。まあ、その辺りは将来の可能性ということにしておきます。とはいえ、大学の学外連携部門の担当者の職員さんからは、ぜひ進めたいとのご意見も頂いています。私がこの授業を担当しているわけではないのですが、今後の展開が楽しみになってきました。
■最後になりますが、この「びわ湖・滋賀学」を履修した皆さんが、この集中講義をきっかけに、実際の琵琶湖・滋賀県のフィールドへと足を運んでくださることを期待しています。滋賀県に暮らしてみたい、滋賀県で働いてみたい、滋賀県に移住したい、何度も滋賀県に来てみたい、そのような若者が増えたらいいなあと妄想しています。(トップの写真は、昨年の「びわ湖・滋賀学」で琵琶湖博物館を訪問した際、近くの湖岸が撮影したものです。)
作田祥介くんとの再会
■ずいぶん昔に、私の大学院のゼミにモグリ院生で来ていた作田祥介くんが、徳島県の神山町から会いに来てくれました。京都に来る予定があったらしく、そのついでに会いたいと大津までやってきてくれたのでした。一昨日の晩、作田くんと一緒に、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」で夕食をとりました。作田くんとの出会いについては、このブログの記事をお読みいただければと思います。
■作田くん、以前は、東京の「青山ブックセンター」に勤務されていましたが、その後は徳島に移って「一般社団法人神山つなぐ公社」に勤務されていました。現在は、フリーランスの立場で地域づくりの活動に取り組まれています。「大切なことだな〜」と共感する素敵なお話しをたくさん聞かせていただきました。ありがとう。頑張っていますね。話を聞いていて楽しかったな。作田くんの活動の拠点になっている神山町に、ますます行ってみたくなりました。また、作田くんと会ったことを、共通の知り合い(長谷川くん、遠藤くん、末松くん)にfacebookのメッセンジャーで知らせてみました。作田くんと同級生の皆さんです。彼らが、作田くんとの出会いを作ってくれたのでした。彼らともずっと会っていませんね。ということで、今度は彼らも一緒に「呑もう」ということになりました。楽しみです。
■2枚目の写真ですけど、作田くんが私のゼミにやってきていた頃のものです。2007年に、社会人院生の皆さんと一緒に「利やん」で宴会をした時のものです。おそらく、作田くんが京都大学大学院で修士号の学位を取得したお祝いかな。この時も、焼酎の一升瓶をキープしたので、記念に写真を撮ったわけなんです。写真を見ると、作田くんはあまり変わっていませんが、私は、15年間でずいぶん変化して完全に老人になってしまいました。ちなみに、一昨日の晩も、新しい一升瓶をキープすることができました。良いタイミングでした。ということで、1枚目の写真が一升瓶にぶら下がることになります。
「総合的な探究の時間」と卒論の研究テーマの絞り込み
■7月28・29日、8月1日の3日間で、3回生ゼミの夏期集中面談を行います。対面式は難しいので、zoomを使った面談にします。今年は、ゼミ生の人数がすなくなめで12人です。1人30程度、面談を行なってもらいます。面談の目的ですが、卒業論文のテーマを明確にしていくことにあります。まだ焦点化…というレベルにまではいかないと思いますが、少なくとも今よりもう少し絞り込んでいきます。
■本当は、3回生になってゼミに所属する以前に、一定程度、自分が関心のあるテーマに絞り込みをかけて、その関心をもとにどのゼミに所属するのかを考えて欲しいと思っています。しかし、私見では、現在の社会学部社会学科のカリキュラムは、そのような問題関心の絞り込みに相応しい形にはなっていないように思います。問題意識が曖昧なまま、ゼミの所属を決めて、ゼミに入ってから、自分は何を研究するのかを考える…そういうパターンの人が多いのではないかと思います。しかも、1回生の入門ゼミ(「社会学入門演習」)は1セメスター(1年次前期)に開講されますが、その次の演習(「基礎演習」)は4セメスターに開講されることになります。ほぼ1年間、演習形式の授業を受けないことになります。本当は、この1年間で自分自身の問題関心を絞り込んでいって欲しいのですが、それは各自に任させることになります。各自で履修登録をした授業を受けながら、そのような問題意識の絞り込みをやっていける人は良いのですが、そうでない人は(こちらが圧倒的に多数派)、状況に流されるままにゼミに所属してしまうことなります。これは、個人的な見解ですが。これは大変困ったことだと思うのです。
■さらに、個人的な見解を付け加えれば、大学に入学する以前から、つまり高大連携事業の段階から、実質的なカリキュラムは始まっているべきかとも思います。高校では、2022年度より「総合的な探究の時間」に取り組むことになっています。この「総合的な探究の時間」という授業では、これまでの知識習得型ではなく、生徒の皆さん自身が疑問や関心を持ったテーマについて探究すべき具体的な課題を設定し、調査や実験、プレゼンテーションを行っていくことが求められているといいます。大学のカリキュラムも、このような新たな「総合的な探究の時間」を経験した人たちは、大学の授業において何を期待するのでしょうか。本当は、その辺りのことを、高大連携事業の中で考え、新たな事業に取り組んでいくべきなのでしょうね。もし、このような「総合的な探求の時間」と大学の高大連携事業がうまくつながるようになると、その後に続くカリキュラムはどうしていくべきなのでしょうか。その辺りの見通しも、きちんと立てておく必要があります。
■社会学部は、2025年度に深草キャンパスに移転します。組織も改組して、新たなカリキュラムで出発します。現在、そのカリキュラムを具体化していく作業に(私よりも)若い教員の皆さんを中心に取り組んでいただいているわけですが、ここに書いたようなことについてもしっかりご認識いただきたいと思っています。時間をかけて、入学前から(0年次から)、少しずつ無理なく自分の問題意識を絞り込んでいくことができると思うのです。
前期最後のゼミ
■今日は、2限が1回生の「社会学入門演習」、4限が3回生の「社会学演習IA」でした。それぞれの前期最後のゼミになります。両方ともひと通りやるべきことを済ませてきたので、今日は、学生の皆さんにいろいろ話を聞かせてもらうことにしました。ゼミ生、お互いにとっても、良い刺激になるのではないかと思っています。
■1回生の入門演習では、大学に入学して約4ヶ月が経過して、今何を思っているのか、どんなことを感じているのか語ってもらいました。大学の中で、あるいは学外で、いろんな活動や取り組みをしながら少しずつ経験を積み重ねている人がいる一方で、自宅と大学を往復しているだけで終わってしまったという人もいました。アルバイトをしてみたいのだけど、アルバイトを募集しているところに電話をすること自体が、ドキドキしてなかなかできない…という人もいました。笑顔のまま黙っていましたが、内心では「可愛らしい〜」と思いました。私が担当したクラスの中だけでも、いろんな大学1回生がいます。こういうのは慣れですから、頑張ってトライしてみてほしいです。それぞれ、「自分が理想とする素敵な大人」になれるように、いろんな経験を積み重ねていってほしいと思います。
■3回生のゼミでは、夏期休暇中の予定について聞いてみました。多くのゼミ生がインターンシップに参加する予定になっていたり、現在、申し込みをして結果待ちという感じでした。インターンシップの間に、社会調査実習に取り組み、卒論の研究に取り組み、アルバイトをして、旅行をして、家が農家なので稲刈りの手伝いをして…と、それぞれに多忙な夏期休暇になりそうです。まあ、その一方で、アルバイトだけで何も予定がありません…という人もいました。
■まあ、人それぞれなのですが、それでも、自分が学生だった時代とは全然違っているなあと思ってしまいます。私は大学院に進学したので、具体的な就職活動というものをした経験がなく偉そうなことは言えないのですが、今の学生の皆さんたちと比較すると、当時の学生はもっとのんびりしていました。当時の学生が怠けていたというよりも、それが普通の時代だったのです。
■当時のことですが、社会は少しずつよくなるはずだ…と信じることができました。経済も発展していました。『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という本が売れて、日本人が日本の社会に自信を持つことのできた時代でした。これから、「VUCA時代」を生きていかねばならないと言われているZ世代の学生の皆さんには、信じてもらえないと思いますが。
エンパワねっとでまち歩き
■土曜日は朝から、「社会共生実習」の「地域エンパワねっと・大津中央」。大津中心市街地のまち歩きを実施しました。
今年履修している学生は9名。最近のこの界隈の地域課題を理解しながら、高齢者をテーマにしたグループと、子どもをテーマにしたグループ、2つのグループに分かれて、これから街中で地域の皆さんと活動に取り組んでいきます。
■学生の皆さんが、地域の皆さんといろいろ相談をする場所は中央市民センターになります。中央学区の公民館です。今日、中央市民センターを訪問すると乳幼児が親子で遊ぶことのできるおもちゃライブラリー「めだか」が開催されていました。お世話されている下清水さんに、学生の皆さんとご挨拶に伺いました。「めだか」の様子も拝見させていただきました。ありがとうございました。街中にマンションが続々と建設され、お子さんのおられるご家族が転入されているせいか、大変盛況でした。
■玉屋町に着いた時、偶然に岩崎博さんにお会いして、大津祭の曳山・湯立山の蔵を見学させていただくことができました。貴重なカラクリの人形も間近に拝見できました。トップの写真が、カラクリの人形です。岩崎さんありがとうございました。2枚目の写真は、岩崎さんとエンパワの学生の皆さん。YouTubeに湯立山のカラクリの様子がわかる動画がありました。以下のものです。
■ 「大津祭曳山展示館」にもお邪魔しました。事務長の加藤さんから大津祭の解説をしていただきました。ありがとうございました。エンパワの学生たち、今年の大津祭を楽しみにしています。「大津百町館」では、野口さんにお世話いただきました。学生の皆さんは、町家の雰囲気を、若者の感性で味わっていました。野口さん、ありがとうございました。
■今日は、中央学区のたくさんのみなさんのお世話になりながら、3時間半ほど歩きました。今日は、学生の皆さんの活動エリアからは離れますが、長等商店街や、かつて遊郭のあった柴屋町の界隈も歩いてみました。歩数にして7,000歩ほど。距離にしても大したことないのですが、普段あまり歩いていない人たちには、けっこうキツく感じられたようです。仕方ないな〜。大津の中心市街地には、どんどん変化して行く部分と街の履歴を持続させようとする部分、その両方が混在しているわけですが、学生の皆さんは、そこから何を感じ取ったでしょうね。この後は、深草キャンパスに移動して、龍谷大学吹奏楽部のOB総会に出席いたしました。
経済産業省「未来人材ビジョン」について。
未来人材ビジョン
■これって、どうなんでしょうね〜。ちょっと嫌だな〜。いろいろ刺激にはなると思いますが、このまま鵜呑みにするわけにはいかないなあ。大学までの学びは、特に大学の学びについて言えば、企業経営や日本の経済のためだけにあるわけじゃないので。でも、これ、経済産業省の本音なんでしょうね。そこは理解できます。
1年次キャリアセミナー
■火曜日の2限は、「社会学入門演習」です。1回生対象の入門演習です。今日は、キャリアセンターから依頼のあった「1年次キャリアセミナー」の動画を観て、そのあと、manabaという教育支援システムを使ったワークに取り組みました。
■私が学部を卒業した頃は、日本の社会は安定成長期で、就職課があるだけでした。私が学んだ関西学院大学では、たしか置塩さんという方が有名職員さんとして勤務されていました。中央講堂で就職活動の心構えのような話をされていました。懐かしいです。で、龍谷大学、現在です。就職課はありません。キャリアセンターです。学生の人生設計を支援することに目的があります。大学での学びも、そのような自分自身の人生設計と関連づけていく必要があるということになるのですが…そのようなメッセージは、学生の皆さんにとってはどう感じられたでしょうね。
■私自身も、学生の皆さんに、時々、このような話をします。
単位を楽に取って楽に卒業する…そんなことばかり考えていると、カリキュラムという制度のなかで消費されてしまいますよ。講義とアルバイトと自宅の三角形、時々、「盛場で遊ぶ」も入れて四角形をぐるぐる回って4年間なんとなく過ごすことは勿体ないですよ。授業だけでなく、ボランティアや課外活動に取り組む中で、自分自身の学びをどう作り上げていくのかが大切ですよ。予測通りには行かないけれど、いろんな経験をすることが大切ですよ…
■まあ、こんな感じで話をしているのですが、全員に私の思いが伝わったかという、あまりそのような実感はありません。一つ前の投稿で引用した記事の中にある「コスパ」と「タイパ」、「保証」や「安心」が大切だと思うようなら、なおさらです。でも今日のキャリアセンターの動画は、「社会学入門演習」の中で言ってきたこととかなり重なるので、履修している学生の皆さんは、いろいろ考えてくれたんじゃないのかなと、勝手に思っていますが、どうでしょうね。
■この前は、この授業の現地実習を行いました。高島市マキノ町でエコツーリズムに取り組んでおられる谷口良一さんから学生の皆さんと一緒にお話を伺いました。そのお話の中で、若い頃からどのようにキャリアを築いてこられたのかということも伺うことができました。今日の動画、もし学外の方にも観ていただけるのならば、谷口さんにもご覧いただきたかったです。どう反応されたでしょうね。谷口さんからお聞きした話では、人事交流で国の役所に勤務されていたときに、地方自治体職員のキャリア形成の研修等も担当されたとお聞きしていますので、何かご意見をいただけたかもしれません。
■知り合いの大人の皆さんの職場では、やはりキャリア形成支援の研修等があるのでしょうか。もし、あれば社会人の場合はどうなのか知りたいものです。まあ、そんなわけでして、学生の皆さんには、今日、授業で観たキャリアセンターの動画、谷口さんのお話を関連づけながら理解を深めてほしいと思っています。
■続きです。こんな話も出てきました。今の学生の世代はZ世代(1996年〜2012年生まれ)、その上がY世代=ミレニアム世代(1980年〜1995年生まれ)、保護者の世代はX世代(1965年〜1979年生まれ)、それぞれの世代で社会状況は違いますという話です。「皆さんの両親が若者の時代に経験したことは、今では通用しないんですよ」というメタメッセージも感じました。実際、個人的にはそう思っています。自分の人生は、自分自身の責任で切り開いていかないと。また、「おっ!」とも思いました。もう1958年生まれ(私のことですが)は登場させてもらえないんだな〜。私たちは、団塊の世代とX世代の間で目立たない存在です。まあ、それでよかったんですけど。このまま消えていきます。
■この話には、さらに続きがあります。2030年、仕事を激変させる「7つのキーワード」です。パンデミック、DX、AI・ロボット、脱炭素、ジョブ型雇用、ギクワーク、遊び。このようなキーワードで社会が激変していくという説明の後に(このあたりはビジネスマン向けのネット記事にも登場しますが)、Before CoronaからWith Coronaへと社会がシフトしていくというのです。「産業の効率化や高付加価値化を目指す社会」から、「人の生命保護を前提にサイバー空間とリアル空間が完全に同期する社会へと向かう不可逆的な進化が新しい価値を創出する」ような社会へと。こうなると、おそらく1回生の多くの学生さんたちにはピンとこない話になりますが、「めっちゃ大変な時代を生きていかなあんねんな〜」ということは理解されているかもしれません。
■そして、その上で出てくるが、VUCA 時代という言葉です。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉です。成功したビジネスモデルが確立されたとしても、状況が変動するサイクルがとても早く、すぐに昔のものになってしまう。変化のある時代、正解が一瞬にして正解でなくなる。不安定になる。そういう時代ですよ…。そう言われると学生さんたちは、たぶん不安になります。大変です。気分的にしんどいです。
■まだ続きます。その次は、そのようなニューノーマルな社会で求められるのは、変化への対応、課題設定・解決、そして創造という力であると。この後は、全員が受講するテスト(GPSアカデミックテスト)の結果をもとに、社会学部生の強みと弱みについての説明、社会学部のカリキュラムの特徴と続きます。当然ですが、自分達がやっている授業のカリキュラムをもとにして説明されているのですが、社会学部は京都の深草キャンパスに移転することもあり、もっと変えていかないと…とカリキュラムの再検討が進んでいるので、ちょっと違和感があったりもしました。本当に、現在のカリキュラムは、変化への対応、課題設定・解決、そして創造といった力をつけることを支援するものになっているのかなと思いました。こんなことを書くと、キャリアセンターの方に叱られますけど。すみません。先に謝っておきます。個人的には、個人がどう生き残るのかという力に加えて、異なる立場や価値観の人と粘り強く協働することで集団、地域として生き残るための力についても強調していただければよかったかなと思います。そういう経験をすることも大切なんですよ。自分のことは横に置いておいて言っているという自覚はありますけどね。許してください。
■ぼろが出てきたので、もう、このへんで終わりにしておきます。動画を観て、上手に作ってあるなあと思うと同時に、聞く側はプレッシャーだな〜、大変だな〜という気持ちにもなりました。社会学者だと、その辺りを批判的に指摘する人もたくさんいると思います。無責任な言い方に聞こえるかもしれませんが、若い大学教員の皆さんには、これから「変化しなければ」と「煽る時代」で教育をしなければならないので、大変だなあと思います。逆に、そういう「煽り」を「鎮める」教育も必要かもしれません。この「煽り」と「鎮め」、亡くなった社会学者の大村英昭先生が言っておられたことです。
■ということで、朝から「煽りの社会」の別件に対応してバタバタしていた時に、このキャリアセンターの動画を拝見しました。ちょっと疲れたかな。X世代の前の名前さえない世代で良かったのかもしれません。コロナ前に退職された先生方は、もっとそのことを実感されているでしょうね。でも、社会学部の職員の方には「この動画良かったですよ、よくできていますよ」と勧めておきましたからね。基本は、よくできているな〜と思っているのです。準備、とても大変だったと思います。各学部の各学科の学生さんたちに理解してもらうためには、学科ごとに内容を替える必要があるからです。キャリアセンターの皆さんに、感謝いたします。
「地域エンパワねっと・大津中央」でまち歩き
■ 先日の土曜日、休日でしたが、地域連携型教育プログラム「社会共生実習」の「地域エンパワねっと・大津中央」の学生2人と、午後から大津の中心市街地をまち歩きしました。「ここがね、私が通っている居酒屋なんだよ」とまち歩きの冒頭に「利やん」を紹介。もちろん、紹介だけですよ。
■その後は、コッテリ解説をしながら、地図の赤い線を歩きながらガイドしました。通常であれば、ゆっくり歩いて1時間半程度の距離のようですが、何度も立ち止まり解説をしますから3時間ほど歩きました。思い返せば、2004年に龍谷大学に赴任した頃は、中央学区、長等学区、逢坂学区、平野学区、最近では「old大津」と呼ばれるこの界隈を非常によく歩きました。カメラを持って歩いていました。懐かしいです。最近は油断をしているわけではありませんが、歩くことも少なくなってしまいました。町家が解体されてなくなっていることは、この界隈によくあることではありますが、町家を利用した店舗がちょっと増えているような印象を持ちました。やはり、もう少しきちんと歩かないといけませんね。
■結局、昨日は、4.5kmほど歩きました。大した距離ではありませんね。
【追記】■この日のまち歩きの目的ですが、「地域エンパワねっと・大津中央」で活動する中央学区を中心としたエリアを歩いて、多少なりとも「土地勘」を養うということにありました。地図があっても、地図を理解しにくい人たちがいます。これは、もう仕方のないことなのですが、そういう方達でも、活動していくのに不自由がないようにとの配慮からです。もうひとつは、これまで大学の教室で勉強してきた知識を街の景観の中に重ね合わせながら、表面的には見えてこない深いところにあるこの地域の課題や魅力を実感することにありました。
■これまで、コロナ禍以前は、5月の連休後に学生たちは街に出て、地域の方達にお話を伺いにいくことをやっていました。「学生たちの地域デビュー」です。ところが、コロナ禍でそのようなことができなくなりました。そこで、まずは大学でしっかり事前学習を積み重ねることにしました。この事前学習の中身ですが、大きくは3つに別れます。1つめですが、「大津」について学習することです。ここでいう大津とは、近年はold大津と呼ばれる江戸時代の宿場町のエリアを指します。この地域の大きな歴史の流れ(中世から現代まで)を学習をしました。2つめは、自治連合会や自治会等、地域住民組織の歴史や仕組みを学ぶことです。また、現在、これらの地域住民組織がどのような課題や問題を抱えているのか、地域住民組織はどのように変化していこうとしているのか、その辺りのことについて学習しました。これは、地域社会学的な学びということになます。そして3つめは、「エンパワねっと」固有の課題、地域住民の皆さんとの協働による「課題発見×課題解決」に取り組む中で必要とされる、協働や利他的行動のあり方について学びました。ちなみに、龍谷大学生の行動原理は「自省利他」ですから、そのこととも関係していますね。加えて、先輩たちが過去10数年の中で取り組んできた活動の中身についても学んできました。
■今年度は、しっかり準備をしてからのまち歩きです。今年度は9名の学生が履修していますが、金曜日の2限に開講されている「社会共生実習」(その中の私の担当が「地域エンパワねっと・大津中央」)の前後の1限と3限に別の授業を履修している学生が多く、学生を引率して学外に出かけたくてもできないような状況になっています。履修や時間割を組むのは学生の権利ですから、教員がそのことについて何か言うことはできません。とはいえ、自分自身の時間割全体を考えて、もし1限と3限を空けることができるのであれば、もう少し活動の内容も違ってくるかもしれません。この辺り、まあ、仕方のないことですね。このような事情もあって、活動に取り組むのが遅くなっているのです。でも、これから取り返してくれると思います。また、自分自身の成長をしっかり実感できる取り組みになってくれると信じています。
エンパワとヤマモモ
■ 金曜日2 限は地域連携型プログラム「社会共生実習」のプロジェクト「地域エンパワねっと・大津中央」。
■4月から、地域に出て行くために、学生の皆さんはいろいろ勉強をしてきました。自治会の歴史や自治連合会のこと(地域社会学の勉強でもあります)。大津の歴史や現在の概況。先輩たちが「エンパワ」で取り組んだ活動の内容等々、盛りだくさん。先週は、前・中央学区自治連合会会長/現顧問の安孫子邦夫さんにzoomで講義をしていただきました。
■そろそろ、現場に出かけるタイミングになってきました。明日は、2名の学生だけど、まち歩きもします(残りの人たちは来月)。ということで、これまでの勉強で関心を持ったことを、キーワードにして書き出してもらいました。高齢者の問題や、最近増えてきた(マンション建設の結果)子どもたちの問題、中心市街地(old大津)の魅力発信、世代間交流、新住民と旧住民とのコミュニケーション…いろんなキーワードが出てきました。
■これから活動するテーマの前段階のような感じでしょうか。ここから、グループ分けとテーマの絞り込みを行なっていきます。ぜひ、先輩たちが残していった活動の蓄積という資産も利活用しながら、自分たちの取り組みを進めて欲しいと思います。
■授業の後は、こんな感じ。「秋に、農学部の古本先生と一緒に、蜂蜜とジャムのイベントをやるんだけど、2人が企画から参加したいと言ってくれてます(エンパワの学生が)。他の人はどうですか? 考えといて。で、今からジャムの原料になるヤマモモの様子を見にいって、試食してみるんだけど、関心ある人はついてきて」と言ったところ、今日出席していた全員がついてきました。
■現場(場所は秘密…)に到着すると、1人の学生が「これ、知っています。自分が卒業した小学校にありました。私も食べていました」と言ってくれました。慣れた手つきでよく熟した実を取ると、口に入れました。彼女は、九州の出身。彼女は、みんなに熟した実を選んで渡してくれました。恐る恐る口に入れてみていましたが、「甘い」、「すっばい」、「変な香りがする」と色々感想が聞けました。確かに、口に入れて噛んでみると、最初はちょっと薬臭い匂いが鼻を抜けるんですよね。受け止め方には、微妙に違いがありますね。そこが面白い。
■で、ヤマモモには種があるんですが、九州出身の学生は、口からタネをプイッと地面に吐き出しました。ああ、もちろん、木の下の地面にですよ。木の下には、すでに熟して落ちている実もあります。特に、何も問題はないのですが、地面に種を吐き出せない学生もいました。そんなマナー違反はできないというか、気持ちが許さないのでしょうね。きちんと、ゴミ箱に捨てていました。ここも面白いな〜と思いました。状況的に、地面でも問題ないんですけどね。こういう学生が、ヤマモモでジャムを作って食べてくれると嬉しいな。