集中講義「びわ湖・滋賀学」(2)-博物館展示室での授業-

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■サマーセッション集中講義「びわ湖・滋賀学」、3日間のオンライン授業の後、昨日から博物館の展示室での講義でした。4人の学芸員の先生方にお世話になりました。写真は、B展示室。妹尾先生に、丁寧な解説をしていただいているところです。レポートを執筆するためのヒントをたくさんいただきました。写真ですが、琵琶湖博物館が開館した時に、B展示室で展示するために新たに建造された丸子船です。そういう意味で、最後につくられた丸子船ということになりますかね。妹尾先生から学生の皆さんが説明を受けているところです。もう1枚の写真、真ん中の角柱の上を見るとゴミが…。明治29年の大水害では、ここまで水位が上昇しました。ゴミはゴミでも水に浮かんでいるゴミなのです。

■ここからは個人的なことですが、昨日は嬉しいことがありました。私は、今から約四半世紀前、この博物館の学芸員をしていましたが、その時に、一緒に働いていた展示交流員のお1人が、ベテランスタッフとして今も勤務されており、私を見つけて声をかけてくださったのです。ありがとうございました。

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■今日は集中講義の最終日。最終日の午前中は、学芸員の金尾滋先生に、水族展示をたっぷりご紹介いただきました。魚たちの生き様を学びながら、人は自然とどう適切に関わっていけばよいのかについて考えました。関わり方、難しい問題です。展示を拝見していて、リニューアルする以前と変わっていることは、水族展示室内にも、漁業等の生業に関する情報がずいぶんたくさん展示されている点です。単に淡水魚を観察して楽しむというのではなく、湖と人との関係を考える仕掛けになっています。

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20220902lbm5.jpg■ 水族展示の最後の方では、「生き物と人間の関わりや文化」について解説されていました。実際の高島市にある湖魚店をモデルにした展示です。立っているのは、学芸員の金尾さんご本人。金尾さんが魚屋さんに扮して写真を撮り、パネルにしてあります。金尾さん。きちんとマスクもされていますね。そして、パネルになった金尾さんの横にあるのは、鮒寿司の樽の断面。おそらく、これはリニューアルされる前の展示で使われていた鮒寿司の樽でしょう。この鮒寿司の樽を担当したのは、実は私です。私がこの博物館で学芸員をしていたときに製作したものです。実際に、鮒寿司を漬けて、凍らせて、その断面から作りました。もちろん作業をされたのは展示会社の方です。その工程を管理しました。ところで、実際に鮒寿司を作る…ということについては、面白い話があり、京都新聞の記事にもなっています。いつかfacebookで紹介したいと思います。

■龍谷大学社会学部は、2025年に深草キャンパスに移転し、改組します。カリキュラムも変更になります。残念ながら、この「びわ湖・滋賀学」も、京都の深草キャンパスに移転した新・社会学部カリキュラムからは消えていくことになります。ということで、個人的には、この「びわ湖・滋賀学」が、その学びの中身からして、瀬田キャンパスにある先端理工学部や農学部の学生の皆さんの教養科目にならないかなと考えています。キャンパス共通の教養科目です。学内の関係者とはいろいろ相談を始めています。うまくいったら良いなと思っています。

■さて、この授業を履修している学生の皆さんには、すでに課題が出されています。8つ出された課題から1つを選び、レポートを執筆することになっています。履修している学生のほとんどの皆さんは、龍谷大学社会学部の学生さんたちです。それ以外に、コンソーシアムを経由して履修している滋賀大学経済学部の学生さんと、立命館大学生命科学部の学生さんもおられました。社会学部の学生の皆さんは、どちらかと言えば社会的なこと民俗学的なことに関心を持ったようですが、生命科学部の学生さんは進化や遺伝子に関することに関心があったようです。普段勉強していることと親和性の高いテーマにどうしても関心がいってしまうのかも知れません。とはいえ、社会学部の学生さんの中にも、遺伝子の交雑に関心を持った方がおられました。どんなレポートが提出されるのか楽しみにしています。

■今年の「びわ湖・滋賀学」、新型コロナ感染第7波の真っ只中での開講になりましたが、月曜日から金曜日まで、3日間のオンライン講義と2日間の展示を使った講義、なんとか終えることができました。学生の皆さん、充実した経験をすることができたと思いますが、同時に、少々、疲れたのではないでしょうかね。ある学生さんは、「夏期休暇中で、日々の過ごし方がだらしなくなっていたこともあり、急に早起きして、毎日たくさんの授業を受講しなくては行けなくなり、やはりちょっと疲れました」と正直に語ってくれました。実は、私も少々疲れました。今日は、早く休みます。

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