学生側からみたオンライン授業

20200409mygarden.jpg
■1人の学生さんからメールを受け取りました。兵庫県にお住まいで、瀬田キャンパスに通っておられますが、今は「緊急事態宣言」により自宅から出ることができません。また、うちの大学では学生はキャンパスに入ることができません。さて、メールをくれた学生さんのお宅には、パソコンが1台あります。しかし、ご両親が在宅のテレワークで日中は使っておられるので、時間割と同じ時間帯にオンライン授業をすることになると、ご両親と相談をしなければならないのだそうです。しかもWi-Fiの通信量も制限があるとのことでした。ですから、その学生さんとしては、スマホで受講できたらありがたい…ということを訴えておられました。ただ、スマホだって通信量に制限がありますよね。家のすぐ近くに、無料で使えるWi-Fi環境があれば良いのですが…。画像をたくさん流すような教材だとスマホでは無理があるかなと思います。

■龍谷大学の学内関係者だけが閲覧できるポータルサイト内に、「龍谷大学 オンライン授業まとめ 2020春」というページがあります。そこには、推奨環境として、以下のことが説明してあります。ただ、これだけの環境をどれだけの学生が準備できるのでしょうね。そのあたりが、よくわかりません。教員の側は、「今時の学生だから、自分用のパソコンを持っているだろう」と思っていると、大変なことになります。自宅で、たくさん家族の皆さんと1台のパソコンを共用しているため、自由に使うことができない学生さんもおられます。そういう学生さんからは、スマホのフリック入力でレポートを書いて、それを大学のパソコンで打ち出して提出するという話を聞きました。また、「学費は出してあげるけど、生活費は奨学金とバイトでなんとかやってね」と言われている学生さんであれば、「コロナでオンライン授業になるので、この際、思い切ってパソコンを買っておこう」ということはできません。コロナでますますバイトが減って収入が減少している状況では無理です。光インターネット、下宿先に備えられていれば良いですが、自分で契約してということになると、その料金も払わなければなりません。そのため、大学では、オンライン授業を受けられない学生は、大学にきて端末を利用しても良いということになっています。ただ、この感染拡大のなか、大阪の街中を通って通学している自宅生だと、かなりのリスクを覚悟しなければなりません。

オンライン授業のための推奨環境
光インターネット等の安定したブロードバンドインターネット環境(携帯電話回線は推奨しません)
最新のOS(Windows10・MacOS Mojave,Catalina)を搭載したパソコン
Webブラウザ:Google Chrome 最新版
Microsoft Office(学部生・大学院生はOffice365がダウンロード・インストールできます)
双方向ビデオ通話のためのWebカメラ・マイク・ヘッドフォン・ヘッドセット等

■「持続可能なと開発目標 SDG’s」のスローガンである「誰一人取り残さない」ということを考えるのであれば、てんこ盛りの動画等をオンライン授業で流すよりも、実質性だけを担保する、通信容量のあまりかからない方法が良いかなと思っています。「携帯3社、通信料一部無料に」という報道もあります。仮にそのような無料サービスを受けても、できるだく「重くない」オンライン授業をしなくてはいけないように思います。ということで、授業を履修する学生の人数にもよりますが、こんなのはどうかと考えました。

(1)これまでだと授業でプリントを配布してきました。文献や資料を切り貼りしたプリントです。それからパワーポイントのスライドを印刷したもの。全て印刷してテキストを作成して、それを学生の自宅に郵送するのです。これだと著作権の問題に抵触しないかなと思います。4月6日の毎日新聞で「オンライン授業でも著作物利用可能に 文化庁、新型コロナで改正著作権法前倒しへ」との記事があります。このことの詳細について、もっと知りたいとところです。もし、前倒しになるのならば、履修学生限定ではありますが、「manaba course」というクラウド型教育支援サービスを使って、資料をオンラインで配布することができます。それが間に合わなければ、印刷をして郵送したらどうかと思うのです(ただし、郵送料は大学の費用で負担してもらう必要があります)。講義用のパワーポイントは、オンラインで配布することができます。

(2)そのテキスト(資料とパワーポイント)を元に、講義を録音する。それを「manaba course」において都合がつく時間に聞いて、テキストをみながら自習してもらう。オンディマンド方式です。これだと、もし自宅にパソコンが1台しかなくても、自分の都合がつく時間帯に事前学習してもらえます。

(3)そのような事前学習をしたことを前提に、学生との質疑応答は、授業時間中に「manaba course」を使って小テストをしたり、あるいは使えるのならば「Google Hangouts Meet」も使って対応することができます。こうなると、いわゆる「反転授業」になりますね。

■私の経験からすれば、若い時に聞いていた「旺文社のラジオ講座」のような感じなんですが。今だと、ポッドキャストっていうんですかね、そんなふうにできないかなと思うわけです。それとは別に、放送大学のノウハウからも学ばせていただこうと思っています。どの学生も通信量の制限のないWi-Fi環境にいるわけでなく、自由に使えるカメラとマイクのついたパソコンを使えるわけでもありません。ということで、全ての学生に授業を受けられることを保証しようと思うと、こんなやり方もあるんじゃないかなと思いました。まあ、まだ思いつきのようなレベルですけど。

■話は変わりますが、新入生の学生の皆さんはどうされているのか気になっています。特に自宅から離れて初めて1人で下宿している学生の皆さんです。どうされていますかね。新しい友だちもできない。1人で下宿でポツンと過ごしているわけでしょうか。コロナで地元に帰省することも難しくなっています。精神的にきついでしょうね。大学教員としては、学習面だけでなく、学生の皆さんのメンタルのことも心配しています。

■最後に。写真は、自分が世話をしている自宅の庭です。コロナやオンライン授業とは全く関係がありません。春らしい、とても気持ちの良い雰囲気になっています。しかし、世の中は新型コロナウイルスの感染で大変なことになっています。春の雰囲気とコロナ感染との大きなギャップ、大変辛いものがあります。

管理者用