関西学生アメリカンフットボール入替戦に思うこと

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■今年の関西学生アメリカンフットボール、1位は関学か立命館か…という話題とともに、1部と2部との入替戦が注目を浴びました。「京都大学」対「追手門学院大学」の試合です。昨日、その試合が神戸の皇子山スタジアムで行われました。京大の大西監督は、追手門学院の水野監督の教え子です。大西さんが現役のときは、水野さんは京大の監督でした。ということで、「子弟対決」ともいわれました。また、「京大は創部以来、初めての2部転落か…」と、多くのファンが注目したわけです。試合結果は「京大52-0追手門学院大」で京大の完勝でした。

■とはいえ、私は、追手門学院大学の頑張りは立派だと思います。デイリースポーツでは、以下のような記事が掲載されました。

追手門学院大は77年以来の1部復帰はかなわず、完敗に水野総監督は「京大の胸を借りるようになるのは、2、3年後でしょうね」と話した。

「うちは2部でも弱い方、特にラインは最弱」と言うが、巧みな手腕で入れ替え戦まで導いた。「今年は舞台に上がれるチームじゃないけど、よお頑張った」と選手をねぎらった。

■あの水野監督が、「よう頑張った」と言ったのです。追手門学院の選手たちは、試合には負けました。きっと、完封されて悔しいと思います。しかし、このような「よう頑張った」というねぎらいの言葉を監督からかけられて、選手たちはグッときただろうなと思います。さらに、強くなると思います。今年の春から指導している水野監督とは、当初、対立した時期もあったといいます。しかし、水野監督のもとで練習を積み、確実に実力をつけてきたことを,選手たち自身が一番実感しているのではないでしょうか。こちらは、朝日新聞「Asahi Shimbun Digital」の記事からの抜粋です。

一方、敗れた追手門大の水野総監督は「もう少しやれると思っていたが、選手たちが固くなってしまった。今年は助走のようなもの。来年はもっと選手を集めて、一からチームを鍛え直したい。現時点の戦力では、選手たちはよく戦ってくれたと思う」と試合を振り返った。

今季、追手門大は水野総監督の下、2人のプロコーチを採用するなどチームを強化して、大きな変革をもたらした。この日、けがのため試合に出場することができなかった主将の馬場貴弘は、「最初はみんなばらばらだったが、水野監督流の厳しい練習を乗り越えて、成長することができた。1部に上がって甲子園ボウルに出場するという夢は、後輩たちに託したい」と涙ながらに語った。

■記事の引用の最後にある馬場主将の言葉、素敵ですね。こういう経験は、体の中から一生消えることはないと思います。もちろん、スポーツだけではありません。勉強でも、研究でも、地域での活動でも。大きくても、小さくても。あらゆることで、学生たちはこういう経験をします。問題は、「本気」になって取り組み、その経験が、自分中にしっかり「定着」しているかどうか。経験が根を張っているかどうか。そういう経験が、将来、その時の自分の枠を超える基盤になるのだと思うのです。馬場主将やチームメイトにとって、今年の経験は、一生の財産になるはずです。こういう経験を「最初はみんなばらばらだった」学生たちにさせられる水野監督、本当にすごいと思います。口先だけの、自己満足的な指導ではないですからね。ほんまもんです。

■この記事に関連してfacebookに投稿したところ、ある大学の先生が、以下のようなコメントをくださいました。

学生たちの言葉に「少しずつ頑張っていきます」というまとめの言葉があります。私はこの言葉を聞くたびに『それはやりませんといういみですね』とか『少しずつやって出来るのは、かなり出来ている人のやりかたです』と言います。

『現実は、すんごい頑張って、少しだけできるようになる、です』小学生がお習字を始めたときに言う言葉なら分かるけど、大学生が言う言葉ではない。

■この先生にお尋ねしたところ、身近におられる学生の皆さんに対しての「お叱り」の言葉でした(安心しました…)。どの大学でも、状況は似ていますね…。

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