龍谷大学深草町家キャンパス

20130701fukakusamachiya.png
■龍谷大学社会学部では、地域連携型教育プログラム「大津エンパワねっと」の大津市中心市街地での拠点として、「町家キャンバス龍龍(ろんろん)」を開設しました。「大津エンパワねっと」コースの「地域エンパワねっとⅠ」・「地域エンパワねっとⅡ」を履修する学生たちが、地域の皆さんと一緒に活動する場として設けられたのです。2007年のことです。このような「町家キャンパス龍龍」の開設が可能になったのは、「大津エンパワねっと」が文部科学省の現代GPに採択されたことが直接的な背景になるわけですが、もうひとつ大切な社会的な背景が存在しています。

■現在GPに「大津エンパワねっと」が採択された時点で、私たち担当教員は中心市街地に拠点が欲しいと考えました。中心市街地はキャンパスから少し離れているからです。そのような状況のなかで、以前からお世話になっていた大津市役所都市計画部都市再生課の課長Tさん(当時)から、現在、私たちが使用させていただいている町家を拠点として使ってはどうかとの提案がありました。都市再生課では、中心市街地に多数残る町家を地域資源とした新しい地域づくりを進めておられたからです。そのような市の政策的な背景もあり、都市再生課のほうで、龍谷大学と町家のオーナーさんとの間を仲介してくださったのでした。オーナーさんの方でも、「まちのために使っていただけるのならば」ということで、前向きに了解をしていただけました。大学と行政と地域との連携のなかで、「町家キャンパス龍龍」は開設することができたのです。

■開設にあたっては、当時の若原学長からは「エンパワねっとは地域の皆さんと学生がともに考え、ともに行動していくことができる環境を地道に整えようという考え方が最大の特徴。この町家キャンパスを拠点に、龍谷大学としての姿勢を示していきたい」、そして大津市の目片信市長(当時)からは、「まちの活性化には若者が定着してくれることが非常に重要。龍谷大学が自ら求めて地域に視野を広げてくれることは、まことに時宜を得た取り組みだ」との応援のメッセージをいただくことができました。

■ところで、つい最近のことになりますが、大学の本部のある深草キャンバスにも町家キャンパスが開設されることになりました。「龍谷大学深草町家キャンパス」です。こちらは、特定の学部が利用しているわけではなく、深草キャンパス全体で活用していこうという点で、私たちの「町家キャンパス龍龍」とは異なっています。以下は、大学のホームページにある「龍谷大学深草町家キャンパス」のページに書かれている説明です。

龍谷大学深草町家キャンパスは、本学が、町家の利活用を通じて、地域社会と連携を図りながら、 教育・研究上の成果や学内資源を地域に還元し、地域に開かれた大学として、地域社会と共に発展することを目的としています。

深草町家キャンパスは、京都市が全国初の条例として制定した「京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例」の適用第1号として保存建築物に登録されています。

■「京都市伝統的な木造建築物の保存及び活用に関する条例」の適用第1号。京都市が進めようとしている政策ともうまくマッチする形で開設されてきたことがよくわかります。じつは、明日、「龍谷大学深草町家キャンパス」を訪問します。「町家キャンパス龍龍」の方が、開設が早く兄貴分であるわけですが、後から開設された弟分の「龍谷大学深草町家キャンパス」の方が、より公共に資する形で運営しようとされていることに関心をもっています。開設までの経緯や、運営の仕方等について、いろいろヒアリングをさせていただき、勉強してくるつもりです。

管理者用