琵琶湖の固有種、ビワマス

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(桑原雅之氏撮影)
■facebookを見ていて、以前勤務していた滋賀県立琵琶湖博物館の桑原雅之さんの写真に、目が釘付けになりました。桑原さんにお許しをいただき、その写真を掲載させていただきました。魚が写っています。ご自身で釣られたビワマスです。トリミングしたので3匹しか映っていませんが、本当は全部で5匹写っていました。facebookには、「40cmくらい以下は全部放流し,55cmを頭に5匹キープ」と書かれていました。写真の一番上のやつが、55cmだと思います。大量ですね。

■ビワマスは、その形からもわかるように、サケ科の淡水魚です。日本の琵琶湖にしかいない固有種でもあります。秋になると、琵琶湖の北湖の周りの河川を遡上し産卵します。サケ科ですから、自分が生まれた河川を遡上し産卵するのです。次の時の春に孵化した稚魚は河川を下り、琵琶湖の沖合の深くて水温の低い場所まで移動します。そこで、2〜5年かけて大きく成長するのだそうです。まあ、このようなビワマスの生活史は横においておきましょう。私が桑原さんの写真に釘付けになったのは、このビワマスが大変美味しいからです。とくに、これからの季節は、刺身が絶品なのです。

■このビワマスに関して、生態学者の川那辺浩哉さんが、『知っていますかこの湖を びわ湖を語る50章』という本のなかで、次のようなことを書いておられます。画家であり俳人でもあった与謝蕪村が、「瀬田降りて志賀の夕日やあめのうお」という句を残しているのだそうです。「あめのうお」とはビワマスのことです。この句について、川那辺さんは次のように解説されています。「瀬田は夕映えではなくて雨だとして俳を効かせ、天智帝の都ですぐに荒れてしまった志賀里に夕日がきれいに見えているとして、産卵期のビワマスの背が黒く、体側が虹色の姿に対比したわけだ」。なるほど。ビワマスも含めてサケ科の魚たちは、産卵期が近づくと「婚姻色」=虹色になるのです。

■川那辺さんは、蕪村の句について以上のように説明したあと。次のように解説されています。

「この句をどこで吐いたのか。瀬田と比叡山麓が見えるのだから、南湖東岸であることは確かだ。また膳の上のものではなく、「今や漁師が網からとり上げたところ」に違いない。しかし今、漁獲されるのは湖北のみである。だが野洲川はそもそもビワマスの名産地で、御上神社や兵主神社には秋にこの魚が捧げられる。びわ湖の水質が格段に回復し、蕪村さんの句のとおり、南湖でその風景を賞でながらビワマスを食べられるように、これまたすべきなのではあるまいか」。

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