これから大学の吹奏楽部はどうなっていくのだろう…。
▪️昨日は、京都コンサートホールで、京都府吹奏楽コンクール・大学の部が開催されました。出場したのは、龍谷大学、京都橘大学、京都産業大学の3校です。全校とも金賞を受賞し、龍谷大学と京都橘大学が京都府代表として関西大会に出場することになりました。おめでとうございます。昨日は、昨年の春からコーチに就任された日景貴文先生が、指揮をされました。これまでは、音楽監督の若林義人先生が指揮をされてきましたが、今回からは日景先生です。京都府大会の後は、関西大会、そして全国大会とコンクールのステージが続きますが、引き続き、龍谷大学吹奏楽部ならではの演奏をしていただきたいと思います。
▪️昨日は、コンクールの後、コンサートホール近くのお好み焼屋さんで、慰労会と打ち上げが行われました。私も参加させていただきました。日景コーチや奥様の前に座っていたこともあり、音楽に関するお話をたくさんさせていただきました。お2人から、ブラームスのポリリズムについてだとか、ショパンコンクールで入賞したピアニスト反田恭平さんの学生時代のこととか、いろいろ聞かせていただきました。勉強になりました。ふだん、音楽についておしゃべりをする機会がないので、プロの方たちとのおしゃべりはとても楽しかったんです。
▪️ところで、京都にはたくさんの大学があり、そこには吹奏楽部があるわけですが、コンクールに出場するのは限られた大学になってきました。今は、固定化されているような感じです。以前は、もっとたくさんの大学の吹奏楽部が出場していました。全国大会までつながっている、大編成(55人まで)の部である「大学の部A」に限ると、京都府吹奏楽連盟の公式サイトでは以下の通りでした。
1997年度:9校/1998 年度:8校/1999 年度:9校/2000 年度:7校/2001 年度:6校/2002 年度:7校/2003 年度:7校/2004 年度:6校/2005 年度:7校/2006 年度:5校/2007 年度:5校/2008 年度:6校/2009 年度:6校/2010 年度:6校/2011 年度:6校/2012 年度:7校/2013 年度:6校/2014 年度:6校/2015 年度:3校/2016 年度:4校/2017 年度:3校/2018 年度:3校/2019 年度:3校/2020 年度:中止/2021 年度:2校/2022 年度:3校/2023 年度:3校/2024 年度:3校/2025 年度:3校/2026 年度:3校
▪️どうして、ここ30年の間に徐々に減ってしまったのか。その背景については、いろいろ考えられます。GoogleのAIモードだと以下のように説明しています。AIだから、「嘘をいう」ので気をつける必要はありますが。
1. 課外活動に対する学生の価値観の変化
現代の大学生は、コンクールでの勝利だけを目的に活動することを避ける傾向が強まっています。「楽しむ吹奏楽」へのシフト:厳しい練習に追われるコンクールよりも、ポップス演奏、定期演奏会、地域イベントでの演奏を重視する部活が増えました。多様な大学生活の重視:アルバイト、学業、就職活動、インターンシップなどと部活動を両立させたい学生が増え、週5〜6日の拘束を伴うコンクール練習が敬遠されるようになりました。
2. 金銭的・環境的な負担の増大
コンクールへの出場には、想像以上のコストとリソースがかかります。少子化による部員減少とコスト高:部員が減ると、1人あたりの部費負担(遠征費、楽譜代、トラック代など)が跳ね上がります。特に大型楽器の運搬費やホール練習のレンタル代は大きな負担です。指導者(指揮者)の確保難:大学の部活は高校までと違い、専任の顧問教諭が毎日指導してくれるわけではありません。外部からプロの指揮者や指導者を招くための謝礼金が払えず、コンクールを断念するケースもあります。
3. 全日本吹奏楽コンクールのルールと「2強」の壁
関西地方、特に京都府の大学吹奏楽界には特有の「格差」とルールの壁が存在します。関西の「2大巨頭」による代表枠の独占:関西支部には、全国大会金賞常連の龍谷大学と近畿大学(大阪)という圧倒的な強豪が存在します。関西から全国大会へ進める枠(代表枠)は基本的に「2つ」しかないため、他大学にとっては「どれだけ努力しても全国大会に行けない」という高い壁になり、モチベーションの維持が難しくなりました。3出(三出)制度の廃止:かつては「3年連続全国大会に出場した団体は、翌年コンクールに出場できない」というルール(通称:三出休み)がありました。この休みがある年は、他の大学にも全国大会へ行くチャンスが巡ってきたため、1990年代前半などは多くの大学が意欲的に出場していました。しかし、2013年にこの制度が完全に廃止されたため、強豪校が毎年枠を埋めるようになり、中堅・小規模の大学がコンクールから離れる決定打となりました。
▪️「1. 課外活動に対する学生の価値観の変化」と「2. 金銭的・環境的な負担の増大」については、基本、その通りかなと思います。ただ、龍谷大学吹奏楽部の場合は、少し違うかなと思います。部員数が多いことで、練習場が足らないとか、全員がサマーコンサートや定期演奏会のステージで全員が演奏できるようにすためには…だとか、いろいろ課題や悩むことはあるのですが…。コンクールは55人しか出場できないことから残りの約150人の部員の皆さんは、他のコンサート、AIが回答したように、コンクール以外のコンサートで活躍しています。大学が開催する「夕照コンサート」、それから甲賀市の児童クラブ(学童保育)の小学生を対象とした「サマースマイリングコンサート」などを初めとして、さまざまな依頼演奏で頑張っています。京都府大会の前日に開催された「サマースマイリングコンサート」は、大変盛り上がったようです。このコンサートは私が部長を務めている時から始まりましたが、小学生の皆さんが音楽を心の底から楽しまれている様子に、吹奏楽部の部員の皆さんも感動されていました。ステージの上に、自分たちの演奏に子どもたちが心を奪われている様子が手に取るように伝わってきたのでしょうね。とても素敵なことだと思います。
▪️2番については、大学からの支援も大きいかと思います。龍谷大学は、しっかりと吹奏楽部の活動を支えてくださっていると思います(もちろん、欲を言えばキリがありませんが)。一般論として、吹奏楽部に限らず、良い成績をあげて、高い評価を獲得して、大学の名を世に知らしめるような活動ができていると、通常、大学からの支援も厚くなっていきます。あと、大学以外では、保護者からの経済的・精神的な支援も非常に大きいのではないかと思っています。これは部長を務めていた時の実感です。
▪️「3. 全日本吹奏楽コンクールのルールと「2強」の壁」では、「枠(代表枠)は基本的に『2つ』しかないため」と説明していますが、2019年に私が部長を務めた時は、関西代表の枠は「1つ」しかありませんでした。私が部長に就任する以前、龍谷大学は2年連続、全国大会に行くことができませんでした。また、「2大巨頭」については、以前は近畿大学と龍谷大学がそうでしたが、今は少し変化が出てきています。近年、急激に立命館大学が実力をつけて全国大会にも出場しているからです。ちなみに、立命館大学は大阪の茨木にキャンパスができたことから、今は、京都府の大学ではなく大阪府の大学としてコンクールに参加しています。
▪️日本の社会は、中高の多くの学校に吹奏楽部があり、コンクールも大変盛り上がっています。ただ、多くの皆さんは、「頑張って吹奏楽に取り組んできたけれど、大学ではもうやりたくない」ということになります。燃え尽きるということもあるのでしょう。それから、AIが説明する「 課外活動に対する学生の価値観の変化」ということもあるでしょう。音楽や演奏を楽しむというよりも、コンクールに勝つことが部活動の目標になってしまうからかもしれません。その点については、「コンクール至上主義」と批判的に言われることがあります。
▪️しかし、そういった傾向が強まる中でも、大学に進学した後も、全国コンクールのステージで演奏したい、全国で金賞を取りたいという人たちがおられます。ただし、コンクールを目指す大学は少なくなり、固定化されてきています。その結果なのかもしませんが、龍谷大学吹奏楽部の部員数は近年ものすごく増えてきました。210名を超えていたと思います。しかも、コンクールで良い成績をあげ続けていることもあり、大学からの支援も他大学と比較して厚いのでないかと思います。調査したわけではありませんが。練習場も大学からきちんと整備していただいています。それぞれの楽器にプロの演奏家がついて指導してくださいます。そして、全国大会で金賞を取り続けるだけの実力をもつ学生バンドに育て上げた、若林音楽監督の存在も大変大きいと思います。龍大サウンドに憧れて入部する人たちも多いのです。そのような諸々のことが積み重なり、余計に部員数が増えるのかなと推測しています。
▪️もうひとつ、気になっていることがあります。これは、もっと大きな話です。それぞれの自治体で、中学校の部活動の地域移行が進もうとしています。そのような動きの中で吹奏楽部はどうなっていくのかということです。そして、そのような中学校吹奏楽部の地域移行が、吹奏楽界全体、さらには日本の音楽界全体をどう変化させていくのかということです。各学校にある吹奏楽部が、日本の音楽界の底辺を支えている側面もあり、地域以降がどう影響を与えていくのかとても気にしています。長くなりすぎました。後日、また別の投稿をしたいと思います。