少子化・部活の地域展開と吹奏楽

▪️ネットの「AERA widt Kids +」の「『吹奏楽部』が部活の地域展開で継続が困難に?すでに部員が1ケタ台の学校も…少子化が突きつける課題とは」という記事を読みました。吹奏楽を指導されている関係者にとっては深刻な内容かと思います。吹奏楽部の地域展開について詳しい北海道教育大学准教授の渡部謙一さんへのインタビューに基づいた記事です。

▪️少子化の影響が一番大きいようですが、「一つの学校だけでは団体競技のチーム編成が難しいなど、これまでには考えられなかった未曾有の時代がやって来」たためです。2003~2005年の頃は、「一つの学校あたりの部員数が生徒全体の1割を超えることも珍しく」なかったといいます。これは大変なことです。中学校の吹奏楽部って、日本の音楽の世界を底辺から支えてきたといっても間違いではないと思います。その吹奏楽部が縮小・減少している厳しい状況は、弦楽器は背景や事情が違うと思いますが、管楽器や打楽器は大変なことになっていくのだろうなと思います。

今までのように、みんなでコンクールを目指し、一緒に涙を流せると信じている指導者もまだいます。
ですが、それが叶わなくなった地域もすでに存在します。部員が半減した公立中の吹奏楽部なんてざらですし、部員数が1ケタというのも珍しくなくなりました。10年後を考えると、都市部も少子化は人ごとではありません。いわゆる強豪校だけ生き残るかもしれません。

▪️この少子化に加えて、もう一つ状況を深刻にしているのは中学校の部活動の地域展開です。スポーツの場合は、野球、サッカー、バスケットボールなどには、地域社会にクラブチームがあるので地域展開も成り立ちやすいのだそうです。しかし、吹奏楽部の場合は、そのような組織が存在していません。また、お金と手間がかかるわけです。

誰が指導するのか。楽器や人の移動はどうするのか。誰が楽器を買い、どこに格納するのか。保険はどうするのか。事務経費はどうするのか。吹奏楽部が抱える問題は複雑で、思いつくだけでこれだけの課題がありますが、まだまだあると思います。事務経費といっても、指導料から楽器のメンテナンス、運搬費などさまざまなことを含んでいます。

▪️フルートやトランペットであれば、自分で運ぶことができますが、ティンパニー、バスドラム、コントラバス、チューバといった大きな楽器は保管するのも運ぶのも大変です。また、部活でなくなると学校が楽器を貸し与えるということもなくなり、個人負担になる可能性が大きいわけです。そうなりますと、家庭の経済力の差で音楽ができるかどうかが決まってきます。インタビューの中で、渡部さんは「家庭の経済状況に左右されず、同じ条件で音楽に向き合える。こうした『平等さ』こそが、吹奏楽部が長く大切にしてきた大きな美徳の一つだと思います」と答えておられます。美徳であると同時に、音楽の裾野を広げていたのだと思います。だからこそ、大人数で迫力のある演奏をすることができたし、そのような演奏により吹奏楽コンクールで競い合うことが、音楽のレベルを上げてきたし、結果として、日本の音楽の底辺を支えてきたのだと思います。もちろん、以下に指摘されている点も非常に大切なことだと思っています。

部活動は技術や能力の向上だけでなく、社会性の涵養(かんよう)や人間形成の役割を大きく担ってきました。子どもたちの環境を守るために、仕組みを支える大人の側が変わらなくてはなりません。社会全体でどう支えていくのかが、今、問われているのだと思います。

▪️私は、龍谷大学吹奏楽部の部長しか務めたことがないのですが、ここで指摘されている「社会性の涵養(かんよう)や人間形成の役割を大きく担ってき」たというのは、大学でもそうだと思います。龍谷大学では、課外活動は正課授業とあいまって大学教育の重要な一環を成すものとして明確に位置付けられています。

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